皐月 禅の混乱

垣崎 奏

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2-2.(っ、やば……)※

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 楓羽は、部屋に入って真っ直ぐソファに向かい、すとんと腰を下ろした。楓羽の分も靴を揃えつつ入り、そんな楓羽を直視できず、横にバッグを置いた。

「……シャワー、してくる。ゆっくりしてて」

 ひとりで浴室へ進んで、時間をかけて息を吐いた。なんとなく帰りたくなさそうで、大して慣れてもないくせに、勢いとはいえ酒も入っていないのに、女の子とホテルに入った。気がつけば、頭から湯をかぶっていた。身体を流すだけで出るつもりだったのに。

 バスローブを着て、タオルを首に掛けたまま軽くドライヤーをかけて、歯を磨いた。スーツを持って浴室から戻ると、楓羽が入れ替わりですっと消えていった。

 またひとりになったのをいいことに、ソファに服を置いて、久々入ったラブホテルの一室を見回した。どこも似たような造りで、大きめのベッドがまず目に入る。テレビにソファ、テーブル、小さい冷蔵庫と怪しげなグッズのコンビニボックスがある。まさか、こういうところに、あの楓羽と来ることになるとは。

 バッグを探って、避妊具を出した。そういえば、取り出していなかった。ホテルに用意されたものでは辛く、自分に合うサイズを持ち歩くようになったのはいつからだろう。

 引っ越す前に付き合っていた彼女には転職を応援してもらえず、正式に内定をもらって遠距離になると伝えるとあっさり振られた。おそらく転職が絡まなくても、次のデートでは振られていた。仕事帰りに彼女の家に行くことも多く、成功しなかったものの、バッグに入れっぱなしだったのが役に立つとは。

 浴室から持ってきてしまったバスタオルを畳みつつベッドに腰掛け、枕元にそれを置いた。そわそわしても仕方ない。もう、部屋に入ってしまったのだから。ついでに煌々と光る照明も下げ、楓羽がシャワーを終えるのを待った。


 ◇


 バスローブを羽織った楓羽は、当然のように真横に座った。向けられた視線が、絡んだ。楓羽がその気だと、理解できてしまう。

「……キス、していい?」
「ん」

 楓羽の腕に触れ、軽く引き寄せ、まずは頬に唇を寄せた。さっきオレも使った、備え付けの化粧水の匂いがする。

 間近で見た頬はほんのりピンク色で、毛穴のひとつも見えなかった。元交際相手には、すっぴんだと誰か分からないような人もいたけど、楓羽は違った。仕事用だったのか、メイクは薄かったらしい。きりっとした目元も多少柔らかくなっている。

 背中と頭に手を回し、ちゅっと音を立てながら、軽く吸っていく。

「んっ……」
「…………」

 しっとりと潤った唇を、無理に割ろうとはしなかった。軽く啄む方が心地よく、角度を変え音を鳴らしながら数回繰り返す。楓羽の舌がオレの唇に当たっても、吸うだけだ。

 舌を入れるキスが好きではないし、楓羽に誘われたにしても多少の罪悪感はある。今から、大きな一線を超えるのだから。

 ゆっくり距離を取り、伏せていた目を上げると、待ち望むような楓羽の瞳が見えた。十分に期待されているのが伝わって、背筋が伸びた。入れられるかどうかなんて、やってみないと分からない。バスローブの結び目を解き、楓羽の肩から下ろした。

「あ……、つけてなかったんだ」
「するんでしょ?」

 楓羽の胸はたわわで、モノトーンのオフィスカジュアルの下にそんな魅力が隠されていたなんて、想像もしていなかった。遠慮なく、肩から二の腕へ手を滑らせて、くすぐったかったのだろう、ぶるっと身体を揺らした楓羽に、期待したくなる。楓羽の背中に手を回し、首筋や鎖骨に唇を寄せた。

「……白くて、すべすべで、綺麗」
「んっ」

 肩に戻した手で、楓羽をゆっくりと押した。腰に跨って、だんだんと下がりながらキスを落とすと、その度に楓羽の身体は震える。

「すごい、感度もいいんだね」
「んん……」

 腰回りにそっと触れると、楓羽は少し身体を捻ってくる。そのまま撫でていると、手をぎゅっと握られた。

「っ、くすぐったい」
「それがいいんじゃないの」
「んん、まあ……」

 そっと振り解き胸に沿わせると、「んっ」と声がする。ただ柔らかいだけではなく、揉みがいのある少し張った膨らみだ。寄せるとできる深い谷間にもキスをして、ふにふにと弄ぶ余裕のあるそれを、揺らして楽しんだ。

 少しだけ手を離して、ギリギリ触れるか触れないかの距離を取る。先端にだけ、当たるように。

「綺麗なピンク色」
「あっ……、んんっ」

 色素が薄くて、誰にも見せたことがないと錯覚するくらい綺麗な色味なのは、部屋が薄暗くても分かる。触れてほしそうに主張した突起に息を吹きかけると、それだけでも楓羽は軽く腰を反った。滾ってきた自身が、当たったかもしれない。

「……わざわざ口に出すの、好きなの」
「そうかも」
「かも?」
「言ったことない。思ったことなかったからかな」

 事実だ。異性と付き合った経験はそれなりにあるし、ベッドに入ったこともある。でも、ここまで余裕がある夜は初めてだ。たぶん、楓羽が慣れていると分かって、一度緊張して、綺麗な身体を前に開き直った。

 上を向き、刺激されるのを待っている突起を口に含み、そっと舌で舐めると「あんっ」と嬌声が上がる。少し吸って、押し込むように力を掛けても、高い声が漏れ聞こえる。

 様子を見つつ、指でも攻めた。引っ張りつつ離したり、コリコリと挟んでみたり。どちらも気持ちよさそうで、楓羽は小刻みにずっと震え、肩に添えられた手はあたたかかった。

 硬さと大きさを増す突起を舐めながら、楓羽の下半身に触れていく。太腿も臀部も滑らかで、撫でているだけでも触り心地がよく、下半身に熱が集まっていく。

(っ、やば……)

 胸から離れ、唇にキスを落としつつ横に寝転んで、内腿に触れると、楓羽は抵抗なく足を開いた。手入れがされ、つるつるの割れ目に指を沿わせる。

「濡れてる」
「っ……」

 今までに寝たどの女性よりも、溢れていた。形を確認するように撫でただけで、指には愛液がまとわりついた。おそらくシーツも汚しているくらい、滴っている。これならもう、準備はできているのかもしれない。

 起き上がって、楓羽の足の間に移動した。濡れ具合を、目視しておきたかった。

「さっきオレが使ったやつだけど、敷いていい?」
「ん」

 畳んだバスタオルを差し出すと、腰を浮かせてくれた。シーツと楓羽の間に、糸が引く。ひんやりとしたタオルで、いい感触ではないはずだ。気にならなくなるほど、感じてくれるだろうか。

 一度閉じられた足を再度開いて、濡れて光った秘部を目に焼き付けるために顔を寄せる。凝視される恥ずかしさを逸らしてあげようと息を吹きかければ、楓羽の身体がまた震えた。

 足を腕で押さえながら内腿に口を寄せ、沿うように啄んでいくと同時に、愛液を馴染ませた指をゆっくりと進める。誘ってきた仕草とこの濡れ具合、処女ではないだろう。

「んっ、んっ、……うあっ」

 楓羽は口元へ手を当てて、声を抑えようとしているのだろうか。抵抗するように、足の間に潜るオレの方へ片手を伸ばし、眉間に皺を寄せる様子が、上半身に触れていた時と違う気がした。

「っ……」
「ん、ここ触られるの嫌?」
「……引いてないかと思って」
「引く?」
「……濡れやすいらしいから」
「敏感で、楽しい。反応が返ってきて嬉しいよ」
「んんっ……」
「声、聴きたい。腰浮いちゃうのも、もっと見たい」

(……可愛い)

 欲しい反応をくれる女の子に、初めて出会った。急いてしまうのを堪えているなんて、楓羽には伝わってほしくない。

 指を沈めたまま、少し割れ目を引っ張ると、濃いピンク色をして勃ち上がった芯が見える。白い内腿にちゅっちゅっとキスを落とし舌を這わせ、だんだんと足の付け根へ寄っていく。

「ん、やっ!」
「嫌?」
「んん……」

(慣れてそうだけど、クリを攻められるのは嫌なんだ?)

 そこを刺激しなくても、みるみる愛液が溢れてくる。何も、問題はない。

 中指と薬指の二本でも余裕そうで、人差し指を増やしても動かせないほどキツくはない。楓羽の嬌声と綺麗に光る秘部、閉まってくる足が、オレの下半身に響かないわけがなかった。

「……気持ちいいとこ、どの辺? こことか、好き?」
「んあっ……」
「手、退けて。声、我慢しなくていいよ」
「……っ、んっ」
「ここ、いいとこ?」

 浅めの、ざらざらするところ。知識として知っているだけで、本当にそこを擦って感じる女の子を目の前にするのは、楓羽が初めてだ。自分の熱から目を逸らすように、楓羽を攻めた。

(オレとする女の子は、苦しむことになるから……)

「こっちは?」

 指を根元まで入れ切ってからそっと曲げて、痛そうには見えなかったのを確認してから、指の腹でぐいぐいと押してみる。楓羽の声は一段と大きくなって、腰も浮いてくる。

「あっ……、まって、そこだめ……」
「何がだめ? イっちゃいそう?」

 表情を確認しようと覗くと、楓羽は目を閉じたまま、枕を握って顔を背ける。感覚が正しければ、さっきの「いや」とは違って、この「だめ」は従わなくていいものだ。恥ずかしさから、口に出てしまっているだけのはず。指にまとわりつく内壁も、そう伝えてくる。

「ん、……あっ、あ……、ぜんくんっ」

(ここでオレを呼ぶの……っ!)

「……イって、ふーちゃん」
「あっ、ああっ……」

 指で届く限り奥の、楓羽が感じる場所を、少し強めに擦った。楓羽の腰が逃げるのを、空いた手で引き寄せる。

「……んんっ!」

 身体を反って、息を止めながら震える楓羽の唇を吸いに、顔を寄せた。楓羽は、果てる感覚を知っていて、おそらく何度も達したことがあるのだろう。一体、今までどんな男と関係を持ってきたのか、ふと過ぎったけど、ここで行為を止めて話す気にはなれなかった。

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