皐月 禅の混乱

垣崎 奏

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6-2.(うわ……、真っ赤だ)※

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「これとか、使われたことある?」

 どのラブホテルにも枕元にほぼ備え付けられた、電マを持ち上げる。楓羽の目が開いて、息を呑むのが分かる。得られる快感に、期待したのだろう。

 ここ最近、楓羽が調子に乗るのが悪い。いや、半分は楓羽への気持ちを自覚して、間が悪いだけだ。

「オレ、使ったことないからさ……、気持ちよくなかったら言って。一緒に楽しみたいだけだから」
「ん、あ」

 まだ動かしてはいない。芯に軽く当てただけでも、楓羽の声が漏れる。カチッとまずはひとつ、スイッチを入れた。

「ん……、ああっ、あああっ!」
「いいよ、好きなだけ」
「んあっ、ああっ、はあっ、あっ、ぜんんっ!」

 芯に当てつつ、割れ目に触れれば当然びしょびしょに濡れていた。指を二本入れて、とっくに柔らかい内部を掻き回す。楓羽の好きな、指が届く限り一番奥を的確に擦ってやれば、腰は何度も浮いてくる。

 足を絡めて押さえ込みつつ、電マを横や縦に揺らしてあげる。芯に指で触れる時も、コリコリと擦るとよく感じるから。

「ああっ、んあああっ!」
「叫びっぱなしだね」

 楓羽の太腿に、凶器を当てる。感じまくってる楓羽が、認識できているかは分からないけど、楓羽が揺れるたびに当たって、勝手に刺激される。それでなくても、楓羽の姿が響くのに。

「あっ、ああっ、だめ、だめっ!」
「気持ちいいね、ふーちゃん」
「あ、んあっ、むり、むりいいっ!」
「いいよ、イって。我慢しないで」
「ん、あっ、あ、ぜんんっ!」

 一段と大きく身体を反った楓羽は、ぴゅっと潮を吹きながら果てた。引きちぎられると思えるほどに、オレの指は吸い付かれていた。

(潮吹く女の子、初めてだ……)

 これも、フィクション限定ではなかった。気持ちよさそうに溶けた楓羽を見ると、もっと苛めたいと思ってしまった。楓羽を好きだと自覚した、気まずさを隠すために。


 ◇


「あっ、ぜん……っ、んっ、ひっ……」
「ふーちゃん? ごめっ、ふーちゃん」

 楓羽が、腕で顔を隠そうとする。吐息からも、ガチ泣きしているのが分かる。調子に乗りすぎた。たぶん、すぐには泣き止んでくれない。

 手は顔に掛かりきりで、オレがベッドのどこにいるのか、追ってくる視線はない。楓羽の力の抜けた足を広げて、ひくひくと痙攣する割れ目を少し引っ張る。

(うわ……、真っ赤だ。腫れてるみたい……)

「うっ……、ふっ……」

 涙を流し息を乱したまま、オレを押し退けるように、楓羽が起き上がってトイレに入った。慌てて追いかけ、ドアのそばまで来たものの、できることは何もない。

 明らかに経験豊富で、ホテルに必ずあると言っていいこの機械を、使われたことはあったはずだ。楓羽は、文字通り経験が多い。その分、ハメ撮りの危機に遭ったとも聞いた。全ての経験が、楓羽にとって良いものだったとは限らない。

 オレだって、交際相手の女性とホテルに入ったことはあったものの、行為に関しては初心者に近かった。女性の体内に入れたとしても、果てることはなかったから。

 流水音がした後、ガチャリとドアが開く。

「だい、じょう、ぶ?」
「…………」

 楓羽は答えずに、ぴたっと上半身を密着させるように身体を寄せて来た。楓羽から近づいてくれたことに、とりあえずほっとして、背中に手を添えた。

「……感覚が、変。トイレ、行きたいのに出ない」
「それは…………」

 言葉が続かない。対処も分からない。口をぱくぱくさせているのはさぞ滑稽だろうけど、楓羽は詰りもせず、言葉を続けてくれた。

「時間空けば大丈夫だと思う」
「そうなったこと、ある?」
「何回かは……、あんまりなりたくはない」
「ごめん」

 背中から手を移動させ頭を撫でていると、楓羽が腰を引き、オレの股間に触れた。

「っ!」
「ほんと、素直だね、ぜんくんのここ」
「っ……」

 さっきまで熱り立っていた自身は、楓羽の涙を見たせいで、萎んでいた。むしろ、この状況でも勃っていたら、それは本当にヤバいやつだと思う。

「焦った?」
「……それなりに」
「ちょっと休んだら、入れてね。今までの誰よりも大きくて、気持ちいいから」
「……分かった」

 楓羽にはオレの不安や嫉妬なんて、筒抜けなのだろうか。過去のセフレたちも、同じように楓羽を独り占めしたいと思ったなら、オレはただトレースしているだけになる。楓羽にとって、新鮮味は何もない。

 そんなことを思って、油断していた。楓羽がすとんとしゃがみ、自身を目の前にして笑った。少し首を捻ったと思えば、袋にキスを落とされた。

「っ……!」

 予想外の場所への刺激に驚いて腰を引いたけど、楓羽は離れなかった。口に含まれ、舌でころころと移動させられる。今まで刺激されたことのない部位から来る熱と柔らかさに、ゾクゾクと痺れが走り、背筋が伸びる。

「ちょっ、ふーちゃん、……ベッド行こ」
「立ってられない?」

 さっきまで泣いていたから顔は赤いけど、元気そうではある。立たせてキスを落として応えると、手を引かれた。

 楓羽のフェラは、上手い。されるたびに、どんな男に仕込まれたのか、ムカつく自分が嫌になる。過去は過去、今の楓羽には、オレしかいない。

(……いない、よな?)


 ◇


「ふーちゃん?」

 上半身を弄んだ後、指でもしっかり慣らして、内側はとっくに奥まで凶器を咥えて震えているのに、楓羽が身体を起こしてきた。肩を押されるまま、寝転がる。

 上に乗る楓羽は、ゆるゆると前後に動くだけでも甘く達してしまうようで、なかなか抽送をしてはくれなかった。奥で先端が嵌まり、付け根では芯が擦れているだろうか。楓羽の内部はうねってあたたかくて、それだけでもオレはいいけど。

「無理しないで」
「んっ、ああっ」

 顔をしかめながら、快感に耐えつつ腰を浮かせようとする姿は可愛いけど、ただ果てたいなら我慢する必要はない。さっき泣かせてしまった負い目もある。何か、様子がおかしい。

「ふーちゃん、どうした?」
「ぜんくっ……」
「ん?」
「……お風呂、いこ」
「え」
「お風呂でしよ」

 楓羽が上からするっと逃げ、意図が分からないまま、誘われるままに浴室へ入った。

 楓羽は壁を背に立って、オレに指示をしてきた。言われた通り、楓羽の片足を抱きかかえる。大きく股が開いて、丸見えになったつるつるでぐちょぐちょの入口に、自身を突き刺した。

「んんっ、ぜんくんっ」
「動くよ」

 片腕で楓羽の足を、もう片方は腰から背中へと回す。密着が好きなのはオレの方だ。感じる楓羽は腰を反りがちで、離れてしまう上半身を引き寄せると、その分たわわな胸がオレに差し出される。上を向いて寂しそうな頂点を、舐めないわけがなかった。

「ああっ、んあっ、ああっ」
「気持ちいい?」
「ん、りょうほ、きもちい……!」

 そのまま、突起を舌で、内壁を自身で攻め続ける。強くて速い動きではなくても、十二分に感じられる程度の抽送なのは、浴室に響く楓羽の声で分かる。激しくしたい気もあるけど、無理をさせたいわけではない。

「あっ、ああっ、ぜん、も、むり、っ……、っ!」

 身体が震え内壁も締まって、縋ってくる楓羽が達しているのは感じられた。挿入部にはしゃーっと、生暖かい液体が当たる。女性の身体の感覚は当然知りようがないけど、潮との区別がつかないから浴室に誘ったのだろう。

 普通なら、見たくない物のひとつではあるのに、嫌だとは思わなかった。むしろ、こんな姿を晒してくれたことに、満足感すらある。

 ただ、直前に浴室へ誘えるほど、楓羽がこんなプレイまで経験済みで、オレではない誰かと行っていたのを察してしまうと、滾るのを止められなかった。いつもより快感を拾って、体力も使っている証拠なのは分かるのに。

「……ふーちゃん」

 キスをしようと、声を掛けた。楓羽には、首を振られた。顔を上げてもらえない。

「ちょっと、さすがに、恥ず……」

(っ……!)

 俯いたままの仕草がツボで、抱き寄せる手に力を入れ、腰をぐっと押し込んでしまった。

「んあっ、まっ、ぜんんっ」
「ごめん、待てない。股関節とかナカは平気?」
「んあっ、だめ、だめ……、まって、ぜんんっ!」

 楓羽の身体は感じすぎてずっと震えているし、内壁は相変わらずオレに吸いついて離そうとしない。持ち上げていた足は下ろして、楓羽をひっくり返して壁に手をつかせた。浴室には、ぐちゅっと交わる音と、楓羽の悲鳴に似た嬌声が何度も響いた。


 ◇


 すっかり足に力の入らなくなった楓羽を抱きかかえ、ベッドに戻ってきた。家よりも高さのあるマットレスに膝をついて、滑らせるようにそっと下ろすと、「すごいね」と褒められた。

「何が?」
「お姫様抱っこ」

 楓羽の横に寝て、肌をなぞって引き寄せる。

「されたことないの?」
「ないよ、腰痛めるからって」
「ふーちゃん、軽いのに」
「元彼女に、してたの?」

 楓羽に、オレの過去を聞かれた。よっぽど、お姫様抱っこに驚いたらしい。

「……そういう雰囲気にはならなかった」
「セックス、上手くいかなかったから?」
「そう」

 額にキスを落とし「眠たい」と訴えると、楓羽は笑った。いつも疑問に思う。あんなに果てているのに、楓羽は元気だ。その様子に愛おしく感じながら半分呆れていたら、つい口に出てしまった。

「今、ホテル行くのってオレだけ?」
「そうだよ。あれ、相手いないって言わなかったっけ」
「いや、聞いた」
「もうぜんくんとは、半年くらいになる?」
「……そうだね」

 先に目を閉じたオレの瞼に、楓羽がキスをくれた。いつもの、「おやすみ」の合図だった。

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