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しおりを挟む初夜では、フローレンスは感じられなかった。ただただ、痛く辛い行為だった。それなのに、重ねるごとに気持ちよさを見つけてしまう。フローレンスは目を閉じているが、王子たちに顔を見られながら、今日も王太子が腰を振っている。
「んっ、んあっ…、あっ、んんっ」
「気持ちいいだろう、なんといっても、オレのモノだからな」
「はっ、んっ、ああっ」
(なに、いつもとちがう……!)
ゾクゾクと背中から何かが上がってくる。越えてはいけない一線だと、フローレンスは本能的に思ったが、抽送を止めてはもらえないし、その希望を口に出す気もない。
「腰が浮いている。そんなに欲しいのか?」
「んっ、あっ…、あんっ、んっ」
「おい、逃げんな」
「んっんっ、んあっ…、んああっ!!」
フローレンスには何が起こったのかよく分からず、浮いた腰がマットレスへと勝手に戻り、身体を痙攣させながら息を落ち着けようとする。
「これはこれは…」
「イったか。はしたない女め」
「許可もなく勝手にイくとは、どこの領分だ? 立場を弁えろよ?」
「んっ!」
フローレンスが力を抜いている隙に、身体を反転させられた。
「肘をついて、尻をあげろ」
「まだ敏感なままだろう?」
「責め続けてやるよ、お似合いだからな」
調子づいた王子たちが、一度吐き出したにも関わらず、後ろから突き刺し始めた。腰をぐっと掴まれモノを押し挿れられ続けた。フローレンスには、今誰のモノを受け入れているのかさえ、分からなかった。
「んっ、んっ…、んああっ」
「この対位、いいだろ?」
「奥により深く当たるはず」
「兄上、口を使っても?」
「ああ」
フローレンスの目の前に、熱り立ったモノが。拒否しようにも、呼吸は荒く、口は開いたままだ。
「咥えろ」
「んう…、んがっあっ」
「間違っても、歯を立てるなよ」
「ん、ごっ、うっ、はっ…」
「口も最高だな…」
この夜、初めて、フローレンスが気を失った。隣の部屋で窺うエリストンは、それも分かった上で、後処理のために部屋に入った。漏れ聞こえる声から、ある程度は想定していたものの、実際に目にした衝撃は大きかった。
エリストンが見たフローレンスは、口からも秘部からも濁液を流し、白い滑らかな腹や美しい金髪にも吐き出されていた。
◇
「そう、ただ感じていればいい。もぬけの殻の、能無し王太子妃なんだから」
「んあっ、んっ、んああっ!」
「またイった。ちゃんと言ってくれなきゃダメだって」
「これしか、オレたちの役に立てること、ないもんなあ」
最近のフローレンスは、簡単な刺激でも、何度も果てさせられてしまう。身体が反るのも止められず、達した後は身体の敏感さが抜けるのをただ待つだけだったが、待たせてもらえるわけもなく、次が始まる。
寝室での行為は日に日に激しさを増し、もう何も、最中に考えられなくなった。ロリーガス王国はフローレンスから見れば敵国だったし、堕ちるわけにはいかないと、思っていたのに。戻れないのも分かっている。もう守ることを諦めて、快感に身を委ねてしまうほうが楽だった。
◇
深夜の後処理から、昼間を過ごし夜に王子たちへフローレンスを引き渡すまでの間、側仕えとして部屋に居てくれる第四王子エリストンは、ロリーガス王国のことを何も知らないフローレンスに、いろいろと教えてくれた。
王太子のアーネストは二十五歳、続く第二王子イライジャは二十四歳、そして第三王子ウィズダムは二十二歳。エリストンは十七歳と、異母兄たちとは少し離れていて、十五歳のフローレンスと近かった。エリストンの母親は元国王付き侍女。現在は追放されているらしい。
エリストンとの会話の内容は、「誰にも言ってはいけない」と、条件付きだった。当然、フローレンスが母国セイントーヌに手紙などで送っていい情報ではないのも、察した。
元々、ロリーガス王国は閉鎖国家で、外部との交流を極端に嫌う国だ。内部情報が漏れないのも、頷ける。
(エリストンは、何故教えてくれるの? 何故、私を信用してくれるの? やはり、虐げられているから…? 貞操帯だって、この部屋にいる限りは外してくれるし…)
フローレンスが宿すのは誰の子でもいいと言いつつ、結婚する相手は王太子である第一王子アーネストだ。
ロリーガスに来てからほぼ毎日、ナカに出されていても、フローレンスは妊娠しない。
私物を王家に管理されている他国の元王女に、薬を毎日飲ませているのは、第四王子だ。
王太子たちは妊娠しないことに気づいていながら、エリストンが画策しているとは思っていないらしく、毎日フローレンスを抱き続けている。
ただ都合良く、快楽を求めているから。
一度に何回も精を吐き出せる身体と性欲を、どうにかしたいだけだ。敗戦国から終戦の条件として迎え入れた、王太子妃であるフローレンスに対してなら、無茶をしても許される。政治には不向きな人たちではないかと、夜しか関わらないフローレンスですら感じていた。
◇
エリストンは、毎夜自室で、側仕えとして行為が終わるのを待つ。もう、猿轡や拘束はされていない。フローレンスが、拒否するような言葉を発さないし、逃げるのも諦めてしまったから。
激しく犯されるフローレンスの悲鳴を聞いても、エリストンは興奮しなかった。ただ、異母兄たちのフローレンスの扱いに腹が立つ一方だった。
朝方など、フローレンスがエリストンに対して、気を許していることが分かると、背筋が伸びる。
(僕だけは、味方でいてあげないと。怖がらせることは、絶対にできない)
あの日、すでにセイントーヌ王国との決着が間近で、ロリーガス王国側が勝利するのは確定していた。ロリーガスが奇襲を成功させられたのは、情報統制された中で発展させた、外国が使っていない兵器を繰り出したからだ。
(奇襲なんてやるべきじゃない。どれだけの民間人を巻き込むと思ってる?)
そんなことを考えられる王家の人間は、ロリーガスには居ない。そもそも、奇襲なしで勝てるほど、セイントーヌは弱くない。むしろ、ロリーガスが格下すぎる。これを進言する側近も居ない。有能な人財は、とっくに秘密裏で国を出ている。
エリストンが何故、外国と同じような感覚を持てたのか。それは、国外に追放された母からの手紙があるからだ。エリストンが唯一、連絡を許可された相手だ。
エリストンの見た目が母親似で、容姿で王家と分からない子を産んだために、国王付き侍女だった母親は追放された。ただしエリストンは、父親である国王の気まぐれにより、見た目が珍しいからと公表され王家に残った。
(結局、残っていないようなものだけど……)
やはり、ロリーガス王家は、頭がおかしいとしか言いようがない。せめて、政治や外交など、国家に有益な方向の振り切れ方だったらよかったのに。
「敵国から王女を娶りたい?」
「ええ、非常に見目が良いと評判のようですから」
「はっはっ、いいだろう。あいつらは逆らえないからな、終戦の条件とすれば差し出すだろう」
(っ……)
国王や王妃、他の王子たちと並んでその場にいたエリストンは、息を呑んだ。こんな国に来たって、きっと彼女の望む生活は送れない。王太子妃として、形式上は迎え入れるのだろうが、あの伝統をアーネストも繰り返すのであれば、普通の令嬢には酷でしかない。
情報統制で、民衆の多くには他国の情報は入らないし、外にも出ないため、他国からの人間はロリーガスでの生活をほぼ知らない状態でやってくる。
貴族の妻にと、他国から令嬢を迎え入れるケースもあるが、馴染める令嬢はごくわずか、逃げようとすれば処刑される。閉鎖国家ロリーガスにとって、他国出身者が母国に情報を持ち帰ることは、避けなければならない。
ちなみに、国の妃に国内出身の者が選ばれることはない。国内に、権力者は王家以外に要らないと考えているからだ。
そのため、王太子アーネストの相手探しは難航し、王女のいるセイントーヌが敗戦するこの機会が、ロリーガスにとってはちょうどよかった。
王家は例外的に、国外に内通者や間者を雇っている。ロリーガスの忠実な駒で、王家の言うことに従うだけの能無しだと、エリストンは思っていた。
(この先、セイントーヌが戦争を仕掛け直すようなことがあれば、人質ともできる。ただ、アーネストの妻になるのは、苦しいだろうな……。セイントーヌ王家の子はひとりだったはず。結婚するにしても他国の王子を招く予定だったろうに……。他国に送られるだけでも辛いはず。アーネストのことだ、伝統がなくても、きっと大事になんかしない)
初日に顔を合わせてから、どうにか話せないかとタイミングを図ったエリストンだったが、結局は事後の寝室だった。
◇
エリストンは王家であって王家ではないため、王子たちに振り分けられている仕事が課されていなかった。そのため、日中はずっと、フローレンスと共に過ごした。
「何故、エリストンが側仕えを?」
「見張りだよ」
「……見張りとして、侍女を雇いは?」
「間者の可能性を排除したい」
「なるほど。私は敵国から来ましたし、疑われても仕方ありませんね」
「……本当に、そう思う?」
「え?」
「毎日、あんな仕打ちを受けるのに?」
「それが、母国のためになるなら」
「そう……、れっきとした、王女なんだね」
「国のために生まれましたから。私がここにいることで、国に平穏が訪れるのであれば、それが一番です」
「……」
(健気というか、穢れなんて知らなかったんだろう。愛人の子だと、無視された僕とは違う)
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