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第一章 もっこもこカフェへようこそ!
これは夢か幻か?
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「疲れた……」
俺――――森林樹木は、今にも力尽きそうだった。
今年で大学三年生。只今絶賛、就職活動中である。
緩やかに景気回復なんてどこの国の話なんだ? 我が国の就職前線はシベリアも真っ青なくらい、超氷河期な極寒気候に見舞われているのに!
「疲れたぁ~。眠い~。ゴロゴロして~。ゲームやりて~。漫画読みたい。遊びたい。腹減ったぁぁぁ――――!」
今思い付く限りの欲望を吐き出して、少しでも自分を押し潰そうとするストレスを軽くしようとしてみたが、何の効果も得られなくて余計にストレスが膨らんだ。
夢も希望もなくなりそうだ――――って、もともと俺にそんな眩いもの存在していたっけ?
大学だって取り合えずは入れればいいと思って選んでしまったし、今だって特にやりたいこともなくて、就活もどこか拾ってくれたらラッキーくらいでいのに。
「だから駄目なのかな……でも今からやりたいこと見付ける気力もないし、何のために生きていけばいいのかすら分からないんだけど~」
ただのんびり楽しく日々を過ごせていけるだけでいいのに――――世の中そんなに甘くはないよな。
こんなこと家族に言ったら説教されるのは目に見えているから言えないし、同じ感覚で愚痴れる親友が居る訳でもない。同じ悩みを持っている人間は、世に中にごまんといるかもしれないけど、この不安を一緒に共有してくれる人は誰もいないのだ。
あぁせめて、一瞬でもいいからこのストレスを解消して欲しい――――。
「はぁぁ……癒されたい……」
肩を思いっきり落としながら、細やかな望みを呟いた時だった――――。
「大変にゃ~! 急がにゃきゃ~! 開店準備に間に合わないにゃ!」
にゃーにゃー叫びながら、かなり慌てた様子で走って行く人物――――否、動物。
『猫』が後ろ足だけで走り抜けていく。
有名な童話の出だしみたいに突然に起きた現象に、さっきまでのストレスを飛び越えて頭の中が一瞬、真っ白になる。
これは夢か幻か? 疲れすぎて、とうとう幻覚が見えるようになってしまったのかも?
確かに後ろ足で立つ猫は、ネットなどでも良く見る。だけど物凄い勢いで走っていく上に、人語を喋る猫なんてあり得ますか?
それとも俺が就活に明け暮れている間に、世の中の科学が発展したのか?
――――そんな訳ないだろっ!
頭の中で一人勝手にボケ突っ込みを繰り広げている間にも、喋る猫はどんどんと遠のいて行く。
「間に合わにゃいと、今日のおやつが抜きににゃるにゃ~!」
気になる――――めっちゃ気になる!
これが例え自分の幻覚だとしても、後を追ってみたい!
ストレスからのナチュラルハイか? でも今の俺には、一番胸が滾っている。
俺は湧き上る衝動のまま、慌てふためく猫の跡に付いていくことにした――――。
「これならギリギリセーフにゃぁ~!」
曲がったぁぁぁ!
追いかること数分――――猫は道を曲がり、大通りから離れた路地裏に入って行った。
そして追いかけている間すれ違う人たちが喋る二足ダッシュの猫に誰も驚いていなかったのだが、今はそのことは気にしないでおこう。取り合えず、目の前に起きていることの行く末を見届けるのが先決だ!
何となく、そう思っている方がカッコいい気がして、俺はひたすら『喋る猫』追いかけた。
ギリギリセーフって言っていたよな? ならこの先に、猫の目的地があるのかな?
モチベーションが高くなっているからか、いつになく頭が冴えている気がする。益々高まるテンションに、ドキドキと胸の鼓動も高鳴らせつつ、自分も路地裏に入る小道に入って行く――――。
「あっ!」
「間に合ったにゃぁぁぁ~!」
喋る猫は安堵の言葉を叫びながら、一軒のお店の中に入って行った。俺は猫が入った店の前まで急いで駆け寄る。
そのお店は全体が木造で森の中のロッジみたいな見た目だが、外壁やドアなどパステルカラーで凄くファンシーだ。それこそ本当に童話に出てくるような、お菓子の家みたいだった。
入口の前の木の看板に視線を移し、そこに書かれた文字を無意識に読み上げる――――。
「もっこもこ……カフェ」
店の名前、だよな? 『もっこもこ』って、一体なんだろう?
正直、取り分けて珍しい名前でもない。意味不明な響きの店名なんて沢山あるだろうし。だけど妙に気になる。寧ろ日頃無関心な俺が、ここまで興味を持つ方が珍しいと思う。
それはきっと――――さっきの喋る猫のせいだ。
あの猫の正体は何だったのか、どうしても確認したい。
このドアの向こう側に、本当に喋る猫は存在しているのだろうか?
それとも俺の妄想か――――?
まだ準備中の表示を下げているドアの前で考えあぐねていると、キィ~と音を立ててドアが開いた。
ドアから顔を覗かせて来たのは『喋る猫』――――ではなく、可愛らしい女の子だった。
その女の子はふわふわのはちみつ色の髪に真っ白な肌、不思議な輝きを放つ青緑色の瞳と、まるで人形みたいに整った容姿と美しさを持っていた。本当に物語の世界からやって来た、ヒロインみたいだ。
女の子は宝石のような瞳で俺の顔を見詰めて、にっこりと微笑んだ。
「いらっしゃいませ。ご来店でしょうか?」
「あ……はい」
「すみません。まだ開店時間じゃないのですが……」
自分のことを客だと思った女の子は、申し訳なさそうな表情を浮かべる。
客じゃないのに女の子にこんな表情をさせてしまって、却って罪悪感が胸を過る。ここは一旦帰って、出直した方がいいのかもしれない――――いや、だけど! めっちゃ気になるしぃぃぃ!
どうしても『喋る猫』の存在をこの目で今一度、見たい衝動が何よりも勝ってしまった。
「あのっ! ちょっと変なこと聞いてもいいですか?」
「はい。何でしょうか?」
いきなり声が大きくなった俺の様子にも驚くことなく、女の子は優しく微笑み返してくれた。
「えっと……こんなこと言うと、頭がおかしいと思われるかもしれないんですが……このお店には『喋る猫』は居ますか?」
「え……喋る猫?」
女の子の表情が、少し曇る。
だけど俺は、怯まずに言葉を続けた。
「は……い。喋る猫が、この店の中に慌てて入って行ったのを見かけて、凄く気になってしまって……」
尻つぼみになって消えていく俺の言葉を女の子は綺麗な瞳を輝かせながら、ジッと聞いていた。そして――――
「お客様、それは本当ですか?」
「本当なのか、自分自身が知りたいくらいなんです」
「まぁ……うふふ」
――――嬉しそうに、微笑んだ。
その彼女の微笑みの意味が今の俺には全然分からない。
でも何となく――――何となくだけど、俺の言っていることを信じてくれているような気がして、胸の奥がぽかぽかと温かくなった。
彼女は暫くすると笑顔のまま店のドアを大きく開けて、指先を綺麗に揃えた手を店内に向けた。
その仕草は、もしかして――――!?
「どうぞ、まだ準備中ですけど入ってください」
「良いんですか!」
やったぁ~! 受け入れてくれた。
『喋る猫』がまだ本当に居るかは分からないけど、快く招き入れてくれるだけで疲弊しきっていた俺の心が一気に救われた気分になる。
「お邪魔します」
俺は逸る気持ちを抑えながら、店内に一歩足を踏み入れた。そんな俺を歓迎してくれた彼女は、花の蕾を咲かせたような華やかな笑顔浮かべていた。
「いらっしゃいませ! 『もっこもこカフェ』へようこそ!」
これから俺は、この扉と彼女の笑顔の向こう側の『もこもこ』な世界を知ることとなる――――。
俺――――森林樹木は、今にも力尽きそうだった。
今年で大学三年生。只今絶賛、就職活動中である。
緩やかに景気回復なんてどこの国の話なんだ? 我が国の就職前線はシベリアも真っ青なくらい、超氷河期な極寒気候に見舞われているのに!
「疲れたぁ~。眠い~。ゴロゴロして~。ゲームやりて~。漫画読みたい。遊びたい。腹減ったぁぁぁ――――!」
今思い付く限りの欲望を吐き出して、少しでも自分を押し潰そうとするストレスを軽くしようとしてみたが、何の効果も得られなくて余計にストレスが膨らんだ。
夢も希望もなくなりそうだ――――って、もともと俺にそんな眩いもの存在していたっけ?
大学だって取り合えずは入れればいいと思って選んでしまったし、今だって特にやりたいこともなくて、就活もどこか拾ってくれたらラッキーくらいでいのに。
「だから駄目なのかな……でも今からやりたいこと見付ける気力もないし、何のために生きていけばいいのかすら分からないんだけど~」
ただのんびり楽しく日々を過ごせていけるだけでいいのに――――世の中そんなに甘くはないよな。
こんなこと家族に言ったら説教されるのは目に見えているから言えないし、同じ感覚で愚痴れる親友が居る訳でもない。同じ悩みを持っている人間は、世に中にごまんといるかもしれないけど、この不安を一緒に共有してくれる人は誰もいないのだ。
あぁせめて、一瞬でもいいからこのストレスを解消して欲しい――――。
「はぁぁ……癒されたい……」
肩を思いっきり落としながら、細やかな望みを呟いた時だった――――。
「大変にゃ~! 急がにゃきゃ~! 開店準備に間に合わないにゃ!」
にゃーにゃー叫びながら、かなり慌てた様子で走って行く人物――――否、動物。
『猫』が後ろ足だけで走り抜けていく。
有名な童話の出だしみたいに突然に起きた現象に、さっきまでのストレスを飛び越えて頭の中が一瞬、真っ白になる。
これは夢か幻か? 疲れすぎて、とうとう幻覚が見えるようになってしまったのかも?
確かに後ろ足で立つ猫は、ネットなどでも良く見る。だけど物凄い勢いで走っていく上に、人語を喋る猫なんてあり得ますか?
それとも俺が就活に明け暮れている間に、世の中の科学が発展したのか?
――――そんな訳ないだろっ!
頭の中で一人勝手にボケ突っ込みを繰り広げている間にも、喋る猫はどんどんと遠のいて行く。
「間に合わにゃいと、今日のおやつが抜きににゃるにゃ~!」
気になる――――めっちゃ気になる!
これが例え自分の幻覚だとしても、後を追ってみたい!
ストレスからのナチュラルハイか? でも今の俺には、一番胸が滾っている。
俺は湧き上る衝動のまま、慌てふためく猫の跡に付いていくことにした――――。
「これならギリギリセーフにゃぁ~!」
曲がったぁぁぁ!
追いかること数分――――猫は道を曲がり、大通りから離れた路地裏に入って行った。
そして追いかけている間すれ違う人たちが喋る二足ダッシュの猫に誰も驚いていなかったのだが、今はそのことは気にしないでおこう。取り合えず、目の前に起きていることの行く末を見届けるのが先決だ!
何となく、そう思っている方がカッコいい気がして、俺はひたすら『喋る猫』追いかけた。
ギリギリセーフって言っていたよな? ならこの先に、猫の目的地があるのかな?
モチベーションが高くなっているからか、いつになく頭が冴えている気がする。益々高まるテンションに、ドキドキと胸の鼓動も高鳴らせつつ、自分も路地裏に入る小道に入って行く――――。
「あっ!」
「間に合ったにゃぁぁぁ~!」
喋る猫は安堵の言葉を叫びながら、一軒のお店の中に入って行った。俺は猫が入った店の前まで急いで駆け寄る。
そのお店は全体が木造で森の中のロッジみたいな見た目だが、外壁やドアなどパステルカラーで凄くファンシーだ。それこそ本当に童話に出てくるような、お菓子の家みたいだった。
入口の前の木の看板に視線を移し、そこに書かれた文字を無意識に読み上げる――――。
「もっこもこ……カフェ」
店の名前、だよな? 『もっこもこ』って、一体なんだろう?
正直、取り分けて珍しい名前でもない。意味不明な響きの店名なんて沢山あるだろうし。だけど妙に気になる。寧ろ日頃無関心な俺が、ここまで興味を持つ方が珍しいと思う。
それはきっと――――さっきの喋る猫のせいだ。
あの猫の正体は何だったのか、どうしても確認したい。
このドアの向こう側に、本当に喋る猫は存在しているのだろうか?
それとも俺の妄想か――――?
まだ準備中の表示を下げているドアの前で考えあぐねていると、キィ~と音を立ててドアが開いた。
ドアから顔を覗かせて来たのは『喋る猫』――――ではなく、可愛らしい女の子だった。
その女の子はふわふわのはちみつ色の髪に真っ白な肌、不思議な輝きを放つ青緑色の瞳と、まるで人形みたいに整った容姿と美しさを持っていた。本当に物語の世界からやって来た、ヒロインみたいだ。
女の子は宝石のような瞳で俺の顔を見詰めて、にっこりと微笑んだ。
「いらっしゃいませ。ご来店でしょうか?」
「あ……はい」
「すみません。まだ開店時間じゃないのですが……」
自分のことを客だと思った女の子は、申し訳なさそうな表情を浮かべる。
客じゃないのに女の子にこんな表情をさせてしまって、却って罪悪感が胸を過る。ここは一旦帰って、出直した方がいいのかもしれない――――いや、だけど! めっちゃ気になるしぃぃぃ!
どうしても『喋る猫』の存在をこの目で今一度、見たい衝動が何よりも勝ってしまった。
「あのっ! ちょっと変なこと聞いてもいいですか?」
「はい。何でしょうか?」
いきなり声が大きくなった俺の様子にも驚くことなく、女の子は優しく微笑み返してくれた。
「えっと……こんなこと言うと、頭がおかしいと思われるかもしれないんですが……このお店には『喋る猫』は居ますか?」
「え……喋る猫?」
女の子の表情が、少し曇る。
だけど俺は、怯まずに言葉を続けた。
「は……い。喋る猫が、この店の中に慌てて入って行ったのを見かけて、凄く気になってしまって……」
尻つぼみになって消えていく俺の言葉を女の子は綺麗な瞳を輝かせながら、ジッと聞いていた。そして――――
「お客様、それは本当ですか?」
「本当なのか、自分自身が知りたいくらいなんです」
「まぁ……うふふ」
――――嬉しそうに、微笑んだ。
その彼女の微笑みの意味が今の俺には全然分からない。
でも何となく――――何となくだけど、俺の言っていることを信じてくれているような気がして、胸の奥がぽかぽかと温かくなった。
彼女は暫くすると笑顔のまま店のドアを大きく開けて、指先を綺麗に揃えた手を店内に向けた。
その仕草は、もしかして――――!?
「どうぞ、まだ準備中ですけど入ってください」
「良いんですか!」
やったぁ~! 受け入れてくれた。
『喋る猫』がまだ本当に居るかは分からないけど、快く招き入れてくれるだけで疲弊しきっていた俺の心が一気に救われた気分になる。
「お邪魔します」
俺は逸る気持ちを抑えながら、店内に一歩足を踏み入れた。そんな俺を歓迎してくれた彼女は、花の蕾を咲かせたような華やかな笑顔浮かべていた。
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