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1 : 悪口が罪ですって?!
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急遽ホールの真ん中に、私・殿下達・両陛下と、三角形になるように椅子と机を並べた仮の裁判場が作られました。
私と殿下達の周りには簡易的なものではありますが、学園の生徒やその保護者の席が設けられております。
目撃者や証拠を出す場合、証人用のお席がなければ出せませんからありがたいと言えばそうなのですけれど...皆様楽しんでいるようにしか見えない方々が多いのが気になりますわね。
ウフフ、お顔を覚えておきましょう。
私が呼ばれてホールへと入った際には、学園長から詳しい事情を聞きながら静かに目を閉じて両陛下が待っていらっしゃいました。
私達が揃うと、青銀色の髪をオールバックにした国王陛下が切れ長の蒼目を開けて殿下を見つめ、私を見つめ...(娼婦のことは丸無視でしたわ。)何を考えているのか読み取れない、いつも通りの無表情で、また、殿下を見つめています。
そして、国王陛下の隣におられる橙寄りの豊かな茶髪の王妃陛下は、少々顔色が優れませんけれども倒れられることなく、殿下の側にいる娼婦を敵でも見るかのように琥珀色のつり目で睨み付けておりますわ。
あら?...殿下の母である側妃は連れて来られなかったのですね。
この場にてどのようなお顔をされるのか、見てみたかったのですけれど。
「これから、ユーティリカ嬢の要請による王前裁判を始める。
先ずは、第2王子、述べよ。」
そして、国王陛下のお言葉から...殿下による、私を断罪する裁判が始まりましたわ。
普通に裁判として進めばよろしいのですけれど...相手はあの殿下なのですもの、不安ですわ。
「父上!!母上!!
私は、この雌狐との婚約を破棄させていただきます!!
そして、こちらの...愛しのフェリスと婚約することを宣言いたします。」
「...そのようなことは聞いておらん。
お前が訴えている、ユーティリカ嬢の罪?...についてのみ話せ。
それと、今は家族の時間ではない。
厳正なる裁判の場なのだから、けじめを付けよ。
ハァー...いつまで子供気分なのだ??」
「父上?!」
「第2王子!今は厳正なる裁判の場ですのよ?
父であっても、きちんと敬称をつけてお呼びなさい!
それと、私は貴方の母ではありませんわ!
もう一つ言わせていただくわ。
第2王子、その娼婦は1人で座ることも出来ないのかしら?
椅子は2つ用意されているのだから、貴方の膝に乗せる必要なんて無いでしょう?
人前でそのようなはしたないことが出来るなんて、なんて恥知らずなのかしら...流石は娼婦ね。」
「母上!!母上まで娼婦と呼ぶのですか!?!
フェリスは、とてもか弱い女性なのです!!
自分を攻撃してきたこの雌狐が側にいて、こんなにも怖がっているのですよ!!」
「...貴方達の周りには衛兵がいるというのに、この場で何があるというの?
その娼婦が何もしなければ、誰も手出しなんてしませんわ。
さっさと隣りに下ろしなさい。
このままでは、いつまで経っても裁判が出来ませんわ!
あぁ...しっかりと教育だけは受けさせていた筈なのに、どうしてこんなに愚かに育ってしまったと言うの??
それと、いつまで敬称を付けないおつもりなのかしら?
先程も伝えたけれど、貴方は私の息子では無いじゃないの?!
側妃の子である貴方に、私を母上と呼ぶ権利も義務もありませんわ!!!
本当に、不愉快極まりないですわね。」
もしかして...おバカさんは、王室教育を全く受けていらっしゃらないのかしら?
あぁ、講師の方々から逃げ回るおバカさん...容易に想像出来ますわね。
裁判等の厳正な場で、両陛下を親族とはいえ親しく呼ぶことはマナー違反ですわ。
それに、側妃制度の無い我が国に無理矢理に嫁いで来た側妃の子供が、王妃陛下のことを母上と呼ぶなんて...とんだ侮辱ですわね。
少しくらいヒステリックに叫んでしまっても...仕方ありませんわ。
あらまぁ、恥じらいもせず当然かのように殿下の膝に座り、周りに見えないとでも思っているのか、私を勝ち誇った笑みで見ている娼婦もきちんとした教育を受けていないようですけれど...下級娼婦なのであれば仕方ないわよね。
私の後ろにいる方々には、その醜悪なお顔がバッチリ見えていますわよ??
*
私と殿下達の周りには簡易的なものではありますが、学園の生徒やその保護者の席が設けられております。
目撃者や証拠を出す場合、証人用のお席がなければ出せませんからありがたいと言えばそうなのですけれど...皆様楽しんでいるようにしか見えない方々が多いのが気になりますわね。
ウフフ、お顔を覚えておきましょう。
私が呼ばれてホールへと入った際には、学園長から詳しい事情を聞きながら静かに目を閉じて両陛下が待っていらっしゃいました。
私達が揃うと、青銀色の髪をオールバックにした国王陛下が切れ長の蒼目を開けて殿下を見つめ、私を見つめ...(娼婦のことは丸無視でしたわ。)何を考えているのか読み取れない、いつも通りの無表情で、また、殿下を見つめています。
そして、国王陛下の隣におられる橙寄りの豊かな茶髪の王妃陛下は、少々顔色が優れませんけれども倒れられることなく、殿下の側にいる娼婦を敵でも見るかのように琥珀色のつり目で睨み付けておりますわ。
あら?...殿下の母である側妃は連れて来られなかったのですね。
この場にてどのようなお顔をされるのか、見てみたかったのですけれど。
「これから、ユーティリカ嬢の要請による王前裁判を始める。
先ずは、第2王子、述べよ。」
そして、国王陛下のお言葉から...殿下による、私を断罪する裁判が始まりましたわ。
普通に裁判として進めばよろしいのですけれど...相手はあの殿下なのですもの、不安ですわ。
「父上!!母上!!
私は、この雌狐との婚約を破棄させていただきます!!
そして、こちらの...愛しのフェリスと婚約することを宣言いたします。」
「...そのようなことは聞いておらん。
お前が訴えている、ユーティリカ嬢の罪?...についてのみ話せ。
それと、今は家族の時間ではない。
厳正なる裁判の場なのだから、けじめを付けよ。
ハァー...いつまで子供気分なのだ??」
「父上?!」
「第2王子!今は厳正なる裁判の場ですのよ?
父であっても、きちんと敬称をつけてお呼びなさい!
それと、私は貴方の母ではありませんわ!
もう一つ言わせていただくわ。
第2王子、その娼婦は1人で座ることも出来ないのかしら?
椅子は2つ用意されているのだから、貴方の膝に乗せる必要なんて無いでしょう?
人前でそのようなはしたないことが出来るなんて、なんて恥知らずなのかしら...流石は娼婦ね。」
「母上!!母上まで娼婦と呼ぶのですか!?!
フェリスは、とてもか弱い女性なのです!!
自分を攻撃してきたこの雌狐が側にいて、こんなにも怖がっているのですよ!!」
「...貴方達の周りには衛兵がいるというのに、この場で何があるというの?
その娼婦が何もしなければ、誰も手出しなんてしませんわ。
さっさと隣りに下ろしなさい。
このままでは、いつまで経っても裁判が出来ませんわ!
あぁ...しっかりと教育だけは受けさせていた筈なのに、どうしてこんなに愚かに育ってしまったと言うの??
それと、いつまで敬称を付けないおつもりなのかしら?
先程も伝えたけれど、貴方は私の息子では無いじゃないの?!
側妃の子である貴方に、私を母上と呼ぶ権利も義務もありませんわ!!!
本当に、不愉快極まりないですわね。」
もしかして...おバカさんは、王室教育を全く受けていらっしゃらないのかしら?
あぁ、講師の方々から逃げ回るおバカさん...容易に想像出来ますわね。
裁判等の厳正な場で、両陛下を親族とはいえ親しく呼ぶことはマナー違反ですわ。
それに、側妃制度の無い我が国に無理矢理に嫁いで来た側妃の子供が、王妃陛下のことを母上と呼ぶなんて...とんだ侮辱ですわね。
少しくらいヒステリックに叫んでしまっても...仕方ありませんわ。
あらまぁ、恥じらいもせず当然かのように殿下の膝に座り、周りに見えないとでも思っているのか、私を勝ち誇った笑みで見ている娼婦もきちんとした教育を受けていないようですけれど...下級娼婦なのであれば仕方ないわよね。
私の後ろにいる方々には、その醜悪なお顔がバッチリ見えていますわよ??
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