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本編
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「躾をしとけよ!
国王陛下を噛もうとするとか、野蛮過ぎるだろ!」
「あら、噛まれそうになった国王陛下は、悲しそうではありましたけれど受け入れておられましたわよ?
『君の騎竜は私が気に食わないようだな。
仕方あるまい...竜とはそういう生き物だからな!』
と仰られて、それ以降は余程の事情がなければ私には近付こうとなさいませんわ。
お祖父様は数え切れない程噛まれそうになり、実際には3度程噛まれて重傷になりましたわね。」
「あり得ない...」
「竜にはあり得ますのよ。」
オホホホホ!さぁ、どんどん怖じ気づきなさいませ。
契約内容の説明を聞いて青白いお顔のフェバリシス様に、呆れたお顔のお父上から追い打ちがかけられますわ。
あのときはしれっとお聞きになられていましたのに、今更ですわね...オホホホ!
「騎竜となったとは言え、竜を誤解してはいけない。
フェビー、これは当たり前のことだろう?
婚姻前に、何度も説明した筈なんだが?
取り敢えず、説明を続けるぞ。
『2、騎竜の慣らしを終えていないため、慣らしを終えるまでは騎竜が何をしてきても文句は言えない物とする。』
騎竜が我々に慣れるまでは、竜のみならず竜騎士にも安易に近付かないように気を付けなければならない。
そして、騎竜が我々に慣れることなく白い結婚の状態で3年経てば離縁することとなるわけだ。」
「噛まれて重傷を負っても、文句は言えないって言うのか?!」
「えぇ、噛まれたことのあるお祖父様も、一切文句は仰いませんでしたわ。
通常であれば、シリウスに嫌われているお祖父様とは絶縁となりますのに、血筋を優先するためにとなかなか絶縁させていただけていなくて...これらはお祖父様も納得の上ですから。」
私としては、シリウスが噛もうとした時に、そして実際に噛んだ時に、是非とも絶縁しておきたかったわ。
ハァー...けれど、王命だと言われてしまえば仕方ないのよね。
殆ど会っていないとは言えきちんと絶縁していないものだから、私からお祖父様の匂いや気配がするらしく、常にイライラしていなければならないシリウスが可哀想でしたわ。
ベロンベロンと全身を舐められたり、シリウスの寝床に引き込まれたり、匂い付けをよくされましたわね。
なんだか嫉妬されているみたいで可愛らしかったけれど、色々と大変でしたわ。
オホホホ!青白い顔をしておられるけれど、竜の生態としては当然のことですのよ?
本当に学園を卒業なさっておられるのかしら?
「『3、夫、または妻に、不貞の可能性が出て来た場合、国が主導して調査をするものとする。』」
「は?国が主導して調査?!」
一応妻である私も対象ですけれど、婚姻したとは言えシリウスの慣らしを終えていない私には竜騎士としての仕事がございますし、不貞とか面倒くさいですし、私はいたしませんので問題ありませんわね。
フェバリシス様には愛人さんがおられるというのはお父上より露呈しておりますから、宰相閣下が主導なさって調査を行っておられることでしょう。
早急に終わらせていただきたいわね。
「そもそも、シリウスは顔合わせの際にお2人を拒否しておりますので、3年後の離縁は決定しておりますわ。
私との3年間の白い婚姻に関しては、お父上様もフェバリシス様も納得の上で結ばれたものでございましょう?
3年間は不貞などなさいませんようにお願いいたしますわ。」
もう既に不貞をしているのは知っておりますけれど、一応釘を刺しておかなければなりませんわよね...面倒くさいですわ。
ハァー、愛人であるマリエンヌさんにも接触してみなければなりませんわ。
普通の愛人であれば対処も楽ですけれど、もしも権力で従わせていたりなんてことがあれば、時間がかかりますのよね...ハァー。
「え、拒否されている?」
「えぇ、顔合わせの際にシリウスから拒否されている筈ですわよ?」
「あ!あれか...」
「えぇ、あれですわ。」
*
国王陛下を噛もうとするとか、野蛮過ぎるだろ!」
「あら、噛まれそうになった国王陛下は、悲しそうではありましたけれど受け入れておられましたわよ?
『君の騎竜は私が気に食わないようだな。
仕方あるまい...竜とはそういう生き物だからな!』
と仰られて、それ以降は余程の事情がなければ私には近付こうとなさいませんわ。
お祖父様は数え切れない程噛まれそうになり、実際には3度程噛まれて重傷になりましたわね。」
「あり得ない...」
「竜にはあり得ますのよ。」
オホホホホ!さぁ、どんどん怖じ気づきなさいませ。
契約内容の説明を聞いて青白いお顔のフェバリシス様に、呆れたお顔のお父上から追い打ちがかけられますわ。
あのときはしれっとお聞きになられていましたのに、今更ですわね...オホホホ!
「騎竜となったとは言え、竜を誤解してはいけない。
フェビー、これは当たり前のことだろう?
婚姻前に、何度も説明した筈なんだが?
取り敢えず、説明を続けるぞ。
『2、騎竜の慣らしを終えていないため、慣らしを終えるまでは騎竜が何をしてきても文句は言えない物とする。』
騎竜が我々に慣れるまでは、竜のみならず竜騎士にも安易に近付かないように気を付けなければならない。
そして、騎竜が我々に慣れることなく白い結婚の状態で3年経てば離縁することとなるわけだ。」
「噛まれて重傷を負っても、文句は言えないって言うのか?!」
「えぇ、噛まれたことのあるお祖父様も、一切文句は仰いませんでしたわ。
通常であれば、シリウスに嫌われているお祖父様とは絶縁となりますのに、血筋を優先するためにとなかなか絶縁させていただけていなくて...これらはお祖父様も納得の上ですから。」
私としては、シリウスが噛もうとした時に、そして実際に噛んだ時に、是非とも絶縁しておきたかったわ。
ハァー...けれど、王命だと言われてしまえば仕方ないのよね。
殆ど会っていないとは言えきちんと絶縁していないものだから、私からお祖父様の匂いや気配がするらしく、常にイライラしていなければならないシリウスが可哀想でしたわ。
ベロンベロンと全身を舐められたり、シリウスの寝床に引き込まれたり、匂い付けをよくされましたわね。
なんだか嫉妬されているみたいで可愛らしかったけれど、色々と大変でしたわ。
オホホホ!青白い顔をしておられるけれど、竜の生態としては当然のことですのよ?
本当に学園を卒業なさっておられるのかしら?
「『3、夫、または妻に、不貞の可能性が出て来た場合、国が主導して調査をするものとする。』」
「は?国が主導して調査?!」
一応妻である私も対象ですけれど、婚姻したとは言えシリウスの慣らしを終えていない私には竜騎士としての仕事がございますし、不貞とか面倒くさいですし、私はいたしませんので問題ありませんわね。
フェバリシス様には愛人さんがおられるというのはお父上より露呈しておりますから、宰相閣下が主導なさって調査を行っておられることでしょう。
早急に終わらせていただきたいわね。
「そもそも、シリウスは顔合わせの際にお2人を拒否しておりますので、3年後の離縁は決定しておりますわ。
私との3年間の白い婚姻に関しては、お父上様もフェバリシス様も納得の上で結ばれたものでございましょう?
3年間は不貞などなさいませんようにお願いいたしますわ。」
もう既に不貞をしているのは知っておりますけれど、一応釘を刺しておかなければなりませんわよね...面倒くさいですわ。
ハァー、愛人であるマリエンヌさんにも接触してみなければなりませんわ。
普通の愛人であれば対処も楽ですけれど、もしも権力で従わせていたりなんてことがあれば、時間がかかりますのよね...ハァー。
「え、拒否されている?」
「えぇ、顔合わせの際にシリウスから拒否されている筈ですわよ?」
「あ!あれか...」
「えぇ、あれですわ。」
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