ココハドコ?ワタシハ幼女!!

神谷 絵馬

文字の大きさ
9 / 32
2:女のバトルと男のバトル

代官邸です。2─side─

しおりを挟む
「さて、では、クリスちゃんを見付けたときの詳細を聞こうかな?」

「こちらの、ボロボロのワンピースであったと思われる服?を着てました。
自分が見付けたときには、ホーンラビ1匹を偶然により仕留めていたらしく、この辺りに少し血が付いてます。」

息子のパーティーの面々に話しかけると、ガルドール君がボロッボロの布を出してきた...。
え、これが服なの?ただの茶色い薄汚れた布じゃなくて?
あ、一応頭とか腕の位置にはそれぞれ通せるようになってるね...でも、所々穴が空いてるし、破れてる所もある。
どのくらいの期間、あの森にいたんだろうねぇ?

「あの服は、誰のなのかな?」

「あの森に入ると、稀に捨てられたらしい子供に遭遇するので、私が用意して持っていました。
女の子であっても男の子であっても、被るだけの長めのシャツが1番楽ですから...。
私の母が念のためにと残していた、私の兄弟が着古したシャツです。」

「そうか...やはり、定期的に捜索した方が良いのかな?」

「そうですね...その方がよろしいかと。」

あ、服はリーダー君が持ってたんだ。
そっかそっか、裾がワンピースよりも短くて...見えそうで見えないといういかにも目に毒な格好だったから、少し心配してしまったよ。

やっぱり、定期的に捜索することも必要そうだね。
一応、領主であるグレルヴォルトにも話しておこう。

「クリスには、名字があったのですね...。」

「うーん、鑑定で見れないってことは、本来なら無かった筈なんだよね...。
多分だけど...親のどちらかがうちの一族の出身だったんだろうね。
その親に捨てられてしまったクリスちゃんは、うちの一族の血を引いている訳でしょ?
だから、うちで保護出来るようにって名字が付いたんだと思うよ?

うちの一族の血って、なんだかよく分からないんだけど...解けない呪いかなんかを受けてるみたいだからね!
ま、クリスちゃんの親はなんかやらかしたのか、一族の呪いとかから外れてるみたいだけどねー?」

「呪い...ですか。」

「うん、呪い。」

「...呪い。」

うん、どうやら、一族の始まりの来栖 紅連がかけた呪いみたいなんだよねー。
詳しくは手記に書いてあるらしいんだけど、文字が独特で分からなさすぎてさ?
彼の子供達の中にも読める人はいなくて、未だに解明出来てません。
いや、あれなんなの??3種類の文字を使って書くとか、どんな暗号なのよ?
あ、クリスちゃんなら読めるのかな?
来栖 紅連とは多分親戚らしいけど...あれ?クリスちゃんの母の兄って言ってたっけ?
それだと、おかしくないか?

「で、続きは?」

「クリスのように幼い子供をあんな森に放っておける筈もなく、本人に了解を得て保護しました。
あ、自分の顔にもビビらず、普通に話してましたよ?」

「...ガルドに、すごく、懐いてた。」

「ザイル...クリスのことなら話すのか。」

「...?ガルド、落ち込んでた、から。」

「それは!」

「...クリス、一族の子。
魔力の波長が合う。
近くにいると、心地好い。」

「ザイルがこんなにも沢山話すなんて、珍しいですね。
クリスを気に入りましたか?」

「...多分、クリス、貴族無理。」

「それは、ザイルと同じですね。」

「...ん、守る。」

あの、話すことが嫌いなザイルが...長々と話している。
クリスちゃんの存在は、なんだかよくは分からないけど癒しだもんね。
知らない大人に抱かれても驚くだけで泣かないなんてねー。
アハハ、肝が座ってるよ。
ま、同じ一族だったからかも?しれないけど。

「たぁのもーぉう!」

─────ドッ!─────

「あれ?あかなかったぁー。」

「クリスちゃん?お手々が痛かったのではない?
もう!扉なら、私が開けてあげるのに!」

「ん?てはジンジンするが、このくらいはだいじょうぶだぞ?
どうせなら、かっこうよくとうじょうしたかったのだ!!」

「あらまぁ!幼い頃のザイルと同じことをしようとしていたのね!
もう、本当に可愛いわぁ!」

「キャアッ!ははさま!
スリスリはだめなの!こしょばゆいのだ!」

「あら、ごめんなさいね?
クリスちゃんが可愛らしくて可愛らしくて...あら?皆どうしましたの?」

「...クリス、可愛い。」

「ん?ありがとう?」

妻とイチャつきながら陽気に現れたクリスに、めっちゃ和む。
後ろから入ってきたシュラも、微笑ましいという顔をしていて...うん、やっぱりクリスは癒しだね。

そして、そのワンピース、すっごく可愛いよ!
ザイルからの連絡を受けてから、妻とワクワクしながら選んだんだけど、めちゃくちゃ似合ってる!





*
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

処理中です...