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2:女のバトルと男のバトル
代官邸です。2─side─
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「さて、では、クリスちゃんを見付けたときの詳細を聞こうかな?」
「こちらの、ボロボロのワンピースであったと思われる服?を着てました。
自分が見付けたときには、ホーンラビ1匹を偶然により仕留めていたらしく、この辺りに少し血が付いてます。」
息子のパーティーの面々に話しかけると、ガルドール君がボロッボロの布を出してきた...。
え、これが服なの?ただの茶色い薄汚れた布じゃなくて?
あ、一応頭とか腕の位置にはそれぞれ通せるようになってるね...でも、所々穴が空いてるし、破れてる所もある。
どのくらいの期間、あの森にいたんだろうねぇ?
「あの服は、誰のなのかな?」
「あの森に入ると、稀に捨てられたらしい子供に遭遇するので、私が用意して持っていました。
女の子であっても男の子であっても、被るだけの長めのシャツが1番楽ですから...。
私の母が念のためにと残していた、私の兄弟が着古したシャツです。」
「そうか...やはり、定期的に捜索した方が良いのかな?」
「そうですね...その方がよろしいかと。」
あ、服はリーダー君が持ってたんだ。
そっかそっか、裾がワンピースよりも短くて...見えそうで見えないといういかにも目に毒な格好だったから、少し心配してしまったよ。
やっぱり、定期的に捜索することも必要そうだね。
一応、領主であるグレルヴォルトにも話しておこう。
「クリスには、名字があったのですね...。」
「うーん、鑑定で見れないってことは、本来なら無かった筈なんだよね...。
多分だけど...親のどちらかがうちの一族の出身だったんだろうね。
その親に捨てられてしまったクリスちゃんは、うちの一族の血を引いている訳でしょ?
だから、うちで保護出来るようにって名字が付いたんだと思うよ?
うちの一族の血って、なんだかよく分からないんだけど...解けない呪いかなんかを受けてるみたいだからね!
ま、クリスちゃんの親はなんかやらかしたのか、一族の呪いとかから外れてるみたいだけどねー?」
「呪い...ですか。」
「うん、呪い。」
「...呪い。」
うん、どうやら、一族の始まりの来栖 紅連がかけた呪いみたいなんだよねー。
詳しくは手記に書いてあるらしいんだけど、文字が独特で分からなさすぎてさ?
彼の子供達の中にも読める人はいなくて、未だに解明出来てません。
いや、あれなんなの??3種類の文字を使って書くとか、どんな暗号なのよ?
あ、クリスちゃんなら読めるのかな?
来栖 紅連とは多分親戚らしいけど...あれ?クリスちゃんの母の兄って言ってたっけ?
それだと、おかしくないか?
「で、続きは?」
「クリスのように幼い子供をあんな森に放っておける筈もなく、本人に了解を得て保護しました。
あ、自分の顔にもビビらず、普通に話してましたよ?」
「...ガルドに、すごく、懐いてた。」
「ザイル...クリスのことなら話すのか。」
「...?ガルド、落ち込んでた、から。」
「それは!」
「...クリス、一族の子。
魔力の波長が合う。
近くにいると、心地好い。」
「ザイルがこんなにも沢山話すなんて、珍しいですね。
クリスを気に入りましたか?」
「...多分、クリス、貴族無理。」
「それは、ザイルと同じですね。」
「...ん、守る。」
あの、話すことが嫌いなザイルが...長々と話している。
クリスちゃんの存在は、なんだかよくは分からないけど癒しだもんね。
知らない大人に抱かれても驚くだけで泣かないなんてねー。
アハハ、肝が座ってるよ。
ま、同じ一族だったからかも?しれないけど。
「たぁのもーぉう!」
─────ドッ!─────
「あれ?あかなかったぁー。」
「クリスちゃん?お手々が痛かったのではない?
もう!扉なら、私が開けてあげるのに!」
「ん?てはジンジンするが、このくらいはだいじょうぶだぞ?
どうせなら、かっこうよくとうじょうしたかったのだ!!」
「あらまぁ!幼い頃のザイルと同じことをしようとしていたのね!
もう、本当に可愛いわぁ!」
「キャアッ!ははさま!
スリスリはだめなの!こしょばゆいのだ!」
「あら、ごめんなさいね?
クリスちゃんが可愛らしくて可愛らしくて...あら?皆どうしましたの?」
「...クリス、可愛い。」
「ん?ありがとう?」
妻とイチャつきながら陽気に現れたクリスに、めっちゃ和む。
後ろから入ってきたシュラも、微笑ましいという顔をしていて...うん、やっぱりクリスは癒しだね。
そして、そのワンピース、すっごく可愛いよ!
ザイルからの連絡を受けてから、妻とワクワクしながら選んだんだけど、めちゃくちゃ似合ってる!
*
「こちらの、ボロボロのワンピースであったと思われる服?を着てました。
自分が見付けたときには、ホーンラビ1匹を偶然により仕留めていたらしく、この辺りに少し血が付いてます。」
息子のパーティーの面々に話しかけると、ガルドール君がボロッボロの布を出してきた...。
え、これが服なの?ただの茶色い薄汚れた布じゃなくて?
あ、一応頭とか腕の位置にはそれぞれ通せるようになってるね...でも、所々穴が空いてるし、破れてる所もある。
どのくらいの期間、あの森にいたんだろうねぇ?
「あの服は、誰のなのかな?」
「あの森に入ると、稀に捨てられたらしい子供に遭遇するので、私が用意して持っていました。
女の子であっても男の子であっても、被るだけの長めのシャツが1番楽ですから...。
私の母が念のためにと残していた、私の兄弟が着古したシャツです。」
「そうか...やはり、定期的に捜索した方が良いのかな?」
「そうですね...その方がよろしいかと。」
あ、服はリーダー君が持ってたんだ。
そっかそっか、裾がワンピースよりも短くて...見えそうで見えないといういかにも目に毒な格好だったから、少し心配してしまったよ。
やっぱり、定期的に捜索することも必要そうだね。
一応、領主であるグレルヴォルトにも話しておこう。
「クリスには、名字があったのですね...。」
「うーん、鑑定で見れないってことは、本来なら無かった筈なんだよね...。
多分だけど...親のどちらかがうちの一族の出身だったんだろうね。
その親に捨てられてしまったクリスちゃんは、うちの一族の血を引いている訳でしょ?
だから、うちで保護出来るようにって名字が付いたんだと思うよ?
うちの一族の血って、なんだかよく分からないんだけど...解けない呪いかなんかを受けてるみたいだからね!
ま、クリスちゃんの親はなんかやらかしたのか、一族の呪いとかから外れてるみたいだけどねー?」
「呪い...ですか。」
「うん、呪い。」
「...呪い。」
うん、どうやら、一族の始まりの来栖 紅連がかけた呪いみたいなんだよねー。
詳しくは手記に書いてあるらしいんだけど、文字が独特で分からなさすぎてさ?
彼の子供達の中にも読める人はいなくて、未だに解明出来てません。
いや、あれなんなの??3種類の文字を使って書くとか、どんな暗号なのよ?
あ、クリスちゃんなら読めるのかな?
来栖 紅連とは多分親戚らしいけど...あれ?クリスちゃんの母の兄って言ってたっけ?
それだと、おかしくないか?
「で、続きは?」
「クリスのように幼い子供をあんな森に放っておける筈もなく、本人に了解を得て保護しました。
あ、自分の顔にもビビらず、普通に話してましたよ?」
「...ガルドに、すごく、懐いてた。」
「ザイル...クリスのことなら話すのか。」
「...?ガルド、落ち込んでた、から。」
「それは!」
「...クリス、一族の子。
魔力の波長が合う。
近くにいると、心地好い。」
「ザイルがこんなにも沢山話すなんて、珍しいですね。
クリスを気に入りましたか?」
「...多分、クリス、貴族無理。」
「それは、ザイルと同じですね。」
「...ん、守る。」
あの、話すことが嫌いなザイルが...長々と話している。
クリスちゃんの存在は、なんだかよくは分からないけど癒しだもんね。
知らない大人に抱かれても驚くだけで泣かないなんてねー。
アハハ、肝が座ってるよ。
ま、同じ一族だったからかも?しれないけど。
「たぁのもーぉう!」
─────ドッ!─────
「あれ?あかなかったぁー。」
「クリスちゃん?お手々が痛かったのではない?
もう!扉なら、私が開けてあげるのに!」
「ん?てはジンジンするが、このくらいはだいじょうぶだぞ?
どうせなら、かっこうよくとうじょうしたかったのだ!!」
「あらまぁ!幼い頃のザイルと同じことをしようとしていたのね!
もう、本当に可愛いわぁ!」
「キャアッ!ははさま!
スリスリはだめなの!こしょばゆいのだ!」
「あら、ごめんなさいね?
クリスちゃんが可愛らしくて可愛らしくて...あら?皆どうしましたの?」
「...クリス、可愛い。」
「ん?ありがとう?」
妻とイチャつきながら陽気に現れたクリスに、めっちゃ和む。
後ろから入ってきたシュラも、微笑ましいという顔をしていて...うん、やっぱりクリスは癒しだね。
そして、そのワンピース、すっごく可愛いよ!
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