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本編
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現在5歳の私よりも12歳も上の...先日17歳になられたばかりの下のお姉様は、学園を後1年程で卒業されるそうです。
卒業後は、近年ではまだ珍しい女性騎士と言う称号を得られたことにより、女性王族の為の近衛騎士団へと配属されるらしいと、先程から大層自慢気に語られております。
突然、これまでは1度も寄り付きもしなかった私の部屋へと訪れられたときには、それはそれは嫌な予感がいたしました。
昨日、私よりも5歳上のそろそろ10歳になるらしい1番下の兄に、階段の中程から突き飛ばされたことにより静養中の私を庇う侍女を、腰に帯びていた剣の柄で打ち据えてまで無理矢理に拉致されまして...この鍛練場へと着くなり細い金属製の棒を強引に持たされました。
そして、これから妹と模擬戦をするなどとほざかれまして...ご愛用らしい巨大な模擬剣で、幼く身体の弱い私をふっ飛ばしたのでございます。
我が家は武に秀でた家柄ですから、我が家では男女問わず3歳から武道を習うことが義務のようになっております。
けれど、私は成人まで生きることが可能か分からないと医師に宣告されている程度には身体が弱いことから、父の判断により免除されております。
まぁ...実際は、医師から庭でのお散歩すら禁止されておりますから...自分の部屋の中からは出たことが殆どありません。
生まれてから1度も会いになど来ない両親の顔も思い出せませんし、5人いる筈の兄は1番下の兄以外には会った記憶すらありません。
姉に関しましては、もう1人いるのですが...私よりも17歳も上の姉は、私が生まれた頃にはもう嫁いでおられましたから、5日程前の私の誕生日にお会いしたのが初めてでした。
通常の貴族家であれば...5歳の誕生日に子供のお披露目をするのですが、私は身体が弱いからかしないようです。
末の妹である私のお披露目の招待が来なかったとを訝る上のお姉様から、お披露目の為の可愛らしいドレスを頂きましたが...いない者のように扱われている私が着ることは無いでしょう。
「アリーお嬢様?!
ご無事でございますか?!!
あぁ!!なんてことなの?アリーお嬢様?!
私の声は聞こえておりますか?アリーお嬢様?!
お身体の弱いアリーお嬢様になんてことを!!!」
あ、気が付きました?
ネムリスさん、先程は庇ってくれてありがとうございました。
意識を失われているようだったので、とても心配していたのですが...あぁ、かなり青褪めてますよ?
ネムリスさんこそ大丈夫ですか?
「アリーお嬢様、ご無事ですか?
あぁ、なんてことだ!
アリーお嬢様、直ぐに簡易式の保護膜を張りますからね。
これは、サーシャお嬢様の仕業ですか?
貴女は、女性騎士となられるご予定の筈では?
そんな貴女が、身体の弱い妹君になんてことを!!
そこの騎士共!!ボケッとしていないで、大罪人であるこの者を縛り上げておきなさい!!
仕えている家の娘だからと手心など加えるでないぞ??
サーシャお嬢様、貴女には実の妹に対しての殺人という疑惑がございます。
潔く、大人しく縛につかれませ。」
うん、ノーレン先生?
ご自身で暴れるお姉様を制圧して拘束しながら、近場の騎士に縛り上げておくように言うなんて...矛盾してますよ?
もしかして、混乱してて気付いてないんですか?
ほら、ご自身で縛り上げてますよ?
「ふん!私は、我が家の義務である鍛練を行わない根性なしに指導をつけてやっただけだ!!
罪などは犯していない!
ノーレン、これを解かぬか!!」
うーん、お姉様って脳筋なの?
このまま私が死んだら、貴女は殺人犯として裁かれると思いますけど?
たとえ、義務である鍛練をしなかったとして...我が家の義務って言っている時点で、鍛練は我が家独自の義務であるということを自分で説明してますよね?
悪いことをした子供を叱るにしても、5歳の子供が相手だと言葉で叱るのが適切だと思います。
正確には分からないけど、私の骨って普通の子供よりも脆いから折れまくってるでしょうね。
これは、確実にやり過ぎちゃってます。
お姉様は、確実に加害者として裁かれますよー。
*
卒業後は、近年ではまだ珍しい女性騎士と言う称号を得られたことにより、女性王族の為の近衛騎士団へと配属されるらしいと、先程から大層自慢気に語られております。
突然、これまでは1度も寄り付きもしなかった私の部屋へと訪れられたときには、それはそれは嫌な予感がいたしました。
昨日、私よりも5歳上のそろそろ10歳になるらしい1番下の兄に、階段の中程から突き飛ばされたことにより静養中の私を庇う侍女を、腰に帯びていた剣の柄で打ち据えてまで無理矢理に拉致されまして...この鍛練場へと着くなり細い金属製の棒を強引に持たされました。
そして、これから妹と模擬戦をするなどとほざかれまして...ご愛用らしい巨大な模擬剣で、幼く身体の弱い私をふっ飛ばしたのでございます。
我が家は武に秀でた家柄ですから、我が家では男女問わず3歳から武道を習うことが義務のようになっております。
けれど、私は成人まで生きることが可能か分からないと医師に宣告されている程度には身体が弱いことから、父の判断により免除されております。
まぁ...実際は、医師から庭でのお散歩すら禁止されておりますから...自分の部屋の中からは出たことが殆どありません。
生まれてから1度も会いになど来ない両親の顔も思い出せませんし、5人いる筈の兄は1番下の兄以外には会った記憶すらありません。
姉に関しましては、もう1人いるのですが...私よりも17歳も上の姉は、私が生まれた頃にはもう嫁いでおられましたから、5日程前の私の誕生日にお会いしたのが初めてでした。
通常の貴族家であれば...5歳の誕生日に子供のお披露目をするのですが、私は身体が弱いからかしないようです。
末の妹である私のお披露目の招待が来なかったとを訝る上のお姉様から、お披露目の為の可愛らしいドレスを頂きましたが...いない者のように扱われている私が着ることは無いでしょう。
「アリーお嬢様?!
ご無事でございますか?!!
あぁ!!なんてことなの?アリーお嬢様?!
私の声は聞こえておりますか?アリーお嬢様?!
お身体の弱いアリーお嬢様になんてことを!!!」
あ、気が付きました?
ネムリスさん、先程は庇ってくれてありがとうございました。
意識を失われているようだったので、とても心配していたのですが...あぁ、かなり青褪めてますよ?
ネムリスさんこそ大丈夫ですか?
「アリーお嬢様、ご無事ですか?
あぁ、なんてことだ!
アリーお嬢様、直ぐに簡易式の保護膜を張りますからね。
これは、サーシャお嬢様の仕業ですか?
貴女は、女性騎士となられるご予定の筈では?
そんな貴女が、身体の弱い妹君になんてことを!!
そこの騎士共!!ボケッとしていないで、大罪人であるこの者を縛り上げておきなさい!!
仕えている家の娘だからと手心など加えるでないぞ??
サーシャお嬢様、貴女には実の妹に対しての殺人という疑惑がございます。
潔く、大人しく縛につかれませ。」
うん、ノーレン先生?
ご自身で暴れるお姉様を制圧して拘束しながら、近場の騎士に縛り上げておくように言うなんて...矛盾してますよ?
もしかして、混乱してて気付いてないんですか?
ほら、ご自身で縛り上げてますよ?
「ふん!私は、我が家の義務である鍛練を行わない根性なしに指導をつけてやっただけだ!!
罪などは犯していない!
ノーレン、これを解かぬか!!」
うーん、お姉様って脳筋なの?
このまま私が死んだら、貴女は殺人犯として裁かれると思いますけど?
たとえ、義務である鍛練をしなかったとして...我が家の義務って言っている時点で、鍛練は我が家独自の義務であるということを自分で説明してますよね?
悪いことをした子供を叱るにしても、5歳の子供が相手だと言葉で叱るのが適切だと思います。
正確には分からないけど、私の骨って普通の子供よりも脆いから折れまくってるでしょうね。
これは、確実にやり過ぎちゃってます。
お姉様は、確実に加害者として裁かれますよー。
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