「やり直しなんていらねえ!」と追放されたけど、セーブ&ロードなしで大丈夫?~崩壊してももう遅い。俺を拾ってくれた美少女パーティと宿屋にいく~

風白春音

文字の大きさ
66 / 108

66話 デビルメイデンCランクに降格する

しおりを挟む
 バレッド達はサンダードラゴン討伐の為、ライトニングマウンテンに向かった。

 豪華馬車で揺られている。

 その中でバレッド達は余裕ぶって浮かれていた。

 普通ならCランク降格の可能性もあるし、更に言えば超高難易度クエスト故死ぬかもしれない恐怖が付きまとう筈なんだが彼らにはそんな危機感は備わっていなかった。


 「これでやっとSランク昇格だな!!」
 「今までは悪夢を見ていたのよ!!」
 「全くだ。一時はどうなるかと思ったぜ!!」


 バレッド達は豪華馬車の中でもうクエストクリアの後を思い浮かべている。

 全く懲りない連中である。


 「そろそろご到着致します。ここからは大変危険ですのでお気を付けください!!」
 「ああっ!! 誰に言ってんだ爺さん!! 俺達はデビルメイデンだぞ!!」
 「すみません。お節介が過ぎましたね!!」
 「ちっ!!」


 バレッド達は御者から魔笛を受け取る。

 そして馬車は一度去ってゆく。


 「ここがライトニングマウンテンか。さっさと山頂目指そうぜ!!」
 「そうだね。僕たちは早くSランクに昇格しなければいけない!!」
 「じゃあお前ら行くぞ!!」


 そうバレッドが鼓舞してライトニングマウンテンに登る。

 
 ライトニングマウンテン――

 この山は大変危険な山である。

 年中落雷しており、天候も悪い。

 サンダードラゴンは大変気性が荒いので常にこの山を外敵から守っている。

 自分が住みやすくなるために。


 バレッド達はライトニングマウンテンを少しずつ登っていく。

 しかし落雷や嵐にバレッド達は恐怖する。


 「ひいっ!!」


 ヴランが雷に怯える。

 いつ直撃しても可笑しくない雷はバレッド達の精神を徐々に削っていく。


 「これは無理なのではないですか!!」
 「ああっ!! 今更引き返せと? そんなことできる訳ねえだろうが!!」
 「でもこの嵐と雷で山頂まで行くのはきつすぎますよ!!」
 「じゃあお前が何とかしろ!! ヒーラーだろうが!!」
 「無茶言わないでください!! そっちこそ何とかしてください。リーダーで男でしょうが!!」
 「何だとてめえ!!」


 二人は登りながら喧嘩をする。

 精神が恐怖により蝕まれて不安定となっている。


 「ちょっと喧嘩してる場合じゃないでしょ!! さっさと登るわよ!!」


 エレノアが切れ気味に言う。

 嵐でバレッドは吹き飛ぶ。

 そして近くにあった岩に激突する。


 「いてええっ!!」


 バレッドは背中を打ち付ける。

 そして同時に思う。

 使えねえ仲間だなと。

 何とかしろよと。


 「ちいっ!! これもあの疫病神のせいだ!!」


 バレッドはラークを口に出す。

 ラークが去ってから碌な目に合ってないと思っていた。

 その理由はラークが残した疫病だと思い込んでいた。

 本当はラークがいたからこその【デビルメイデン】だったのに。


 その後何故か晴れて頂上へと辿り着く事が出来た。


 「おっ!! 頂上だな!! 余裕だったぜ!!」
 「そうね。これが私達の実力よ!!」
 「そうだね。僕達デビルメイデンにかかればこの程度余裕さ!!」
 「服が汚れてしまいました!! 早く終わらせて買い換えたいです!!」
 「ふうー。やっと着いたか!!」


 彼らは苦労した筈の山頂までを余裕だと豪語した。

 何故か途中から晴れていた。

 理由は受付嬢から頼まれたSランク冒険者の少年が天候を晴れに変えたからだ。

 だがバレッド達は後ろから付いてきている事さえ気づいていない。

 その程度の感知能力なのだ。


 「おっ、いたいた!! 眠ってやがるぜ!!」
 「今なら余裕ね!!」
 「よーし一気にやっつけるぞ!!」


 バレッド達は持っていた鋼の剣で攻撃する。

 眠っているサンダードラゴンに。

 しかしその攻撃は全て直前で弾かれた。


 「ぐわああああっ!! いってええええ!!」
 「きゃあああああああ!! 痛いわ!!」
 「うわあああああああ!! 痛いよ!!」


 サンダードラゴンは周囲に雷の結界を張り巡らせていた。

 その雷の結界にバレッド達の攻撃は弾かれた。

 そして感電した。


 「くそがああああああああ!! もう一度だ!!」


 バレッドが苛立ちながらもう一度攻撃しようと試みる。

 その瞬間サンダードラゴンが目覚める。


 「誰だお前らは!! 俺の眠りの邪魔をするな!!」
 「ひいっ!!」
 「死ね人間!!」
 「うわあああああああああああああ!!」


 サンダードラゴンはバレッドに雷の攻撃を放つ。

 頭を抱え怯えて震えているバレッド。

 その間に割って入った少年がいた。


 「全くあれ程言ったのに!! 君たちは学習能力がないのか!?」
 「てめえええ!! あの時の男!! 何しに来やがった!! 邪魔するつもりか!!」
 「邪魔じゃなく無様な君たちを助けたんだ!! 全く感謝してほしいよ!!」
 「ああっ!! 助けただと? 俺達はもう少しで勝てるところだったんだよ!!」
 

 Sランク冒険者の少年は大きくため息をついた。

 そして内心死んでしまえばいいのにと思った。

 だが受付嬢との約束がある。

 仕方なく守ることにした。


 「君達じゃ無理だ。ここを登るのも君達だけでは無理だったのだから!!」
 「ああっ!! 山頂まで余裕だっただろうが!! 何言ってやがる!!」
 「僕が天候を晴れに変えたんだ!! いい加減その自尊心は捨てたらどうだ!!」
 「何だとてめえ!! 殺されたいのか!!」
 「兎に角戻るぞ。サンダードラゴンは君達では無理だ!!」
 「そんな事ある筈ねえ!!」


 もう一度バレッドが攻撃を仕掛ける。

 しかしサンダードラゴンには届きすらしない。


 「悪いがここは逃げさせて貰うよ!!」
 「勝手にしろ人間共。俺の眠りの生活の邪魔さえしなければいい!!」
 「話が分かってくれて嬉しいよ!!」


 最後にサンダードラゴンは大きな落雷の攻撃をバレッド達にする。

 バレッド達は叫び声を上げて震えて蹲った。

 それをSランク冒険者の少年が余裕そうに剣で落雷を防いだ。


 「これが僕と君たちの実力の違いだ!! さあ帰るぞ!!」


 恐怖で失神寸前の【デビルメイデン】を抱えて下山する。

 結果サンダードラゴン討伐のクエストは失敗した。


 そしてレーステア王国冒険者ギルド支部で受付嬢から非情な通告を受ける。


 「今回の結果によりデビルメイデン様のCランク降格が決定いたしました!! 残念ですが一から頑張ってください!!」
 「な!? ふざけるな? ま、待てもう一度チャンスを寄越せ。今度こそサンダードラゴン狩ってやる!!」
 「その右手は何ですか? 暴力行為は前にも言った通り冒険者ギルド資格剥奪になりますよ。宜しいのですか?」
 「くそがあああああああああああああああ!!」
 

 受付嬢は内心こう思った。

 まだサンダードラゴンを狩れると思っているのかよと。

 だが仕事なので表情にも口にも出さない。


 「またのお越しをお待ちしています!!」
 「ま、待てええええええええええええええ!!」


 バレッドは大声で泣き叫ぶが無意味に終わる。

 涙交じりの大声だけが空に響き渡った。


 そして【デビルメイデン】は現在レーステア冒険者ギルド支部に設置された椅子に呆然として座り込んでいる。

 全員が意気消沈している。

 プライドが高い彼らは内心認められなかったが、それでも現実が嫌でもCランク降格の事実を襲う。

 そんな時先刻バレッド達を庇った少年がやって来た。


 「何の用だ!! ああっ!!」
 「君達は一度Sランクに昇格したそうだがどうやってだ?」
 「ああっ!? 馬鹿にしてるのか!? てめえ!!」
 「いや純粋に疑問に思っただけだよ!!」
 「どうやってって、ラークがセーブして何回もやり直して!! つっ!!」
 「ラーク? 成程。そうか追放した者のお陰か」
 「ちげえ。あんな奴のお陰じゃねえ!!」
 「現実を認めたらどうだ。そのラークというメンバーがいなくなってからこの体たらくだろ」
 「な!?」
 「つまり君たちはラークのお陰でSランクまで上り詰めたという事だ。もう一度Sランクに昇格したければ彼に頭を下げるんだな!!」
 「つっ!! そんな事出来る訳ねえだろうが!!」
 「じゃあ君たちは一生Cランクだ!!」


 そう言ってSランク冒険者の少年は【デビルメイデン】の前から去っていった。

 そして暫し静寂な時間が流れた。

 そして一人禁忌の言葉を口に出す。


 「あのう、ラークを連れ戻すのがいいのでは?」
 「な!? イルーンてめえ。今更そんな事出来る筈ねえだろうが!!」
 「ですがこのままでは私達はCランクのまま。最底辺の冒険者のままですよ!! 他の冒険者に馬鹿にされます!! 耐えられません!!」
 「じゃあてめえが行けや!!」
 「な!? 分かりました。じゃあ私はこのパーティーを去ります!!」
 「何!? てめえ裏切る気か!?」
 「このパーティーに未来なんてありませんから!!」


 イルーンの言葉を聞いた他の者も傲慢な態度で言う。


 「私も去るわ!! こんなパーティーに私は相応しくない!!」
 「僕もだね!! さよならだバレッド!!」
 「私も去らせてもらうよ!!」
 「な!? てめえらふざけるな!!」
 「ラークにでも何でも頭を下げればいいでしょうが!!」


 そう言ってバレッドの周りから全員姿を消した。

 そして一人哀れに取り残されるバレッド。


 「ちっ、仕方ねえ!! ラークに戻って来て貰うか。あいつもきっと生きているなら喜ぶだろ!!」


 バレッドはラークを探す旅に出る。

 実は他の者もラークを探す旅に出ていた。

 皆気づかないうちにラークに依存しラークを独占する為競い合っていた。

 
 だが事実上解散となった【デビルメイデン】のメンバーの絶望は屈辱はここでは終わらない。

 更なる悲劇が待ち受けていた。

 だが彼らはまだ知らない。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...