享楽忘種

行木しずく

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宅配のお兄さんと

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「だ、だめ……こん、なとこで、あぁん♡」
「本当にだめだと思ってたら、こんなパツパツのTシャツにホットパンツなんて格好で応対はしないでしょ」

ハッ、と鼻で笑われて、尻を揉む手の動きが更に大きく大胆になる。

「だ、って今日ッ♡暑いからぁ♡」
「ほら、Tシャツ着ててもひと目でわかるくらい乳首立ってるじゃん。雑な言い訳してますけど、言い訳するならそれなりに誤魔化そうとしてくださいよ」
「ンぁ♡やぁあ♡♡」

彼の犬歯が乳首に緩く突き刺さり、そのままカリカリと甘噛みされる快感に腰が震える。
眉根を寄せてその快楽を追いかけていたら、すぐにれろれろと服の上から舐り始める、そのもどかしさに俺は抱えていた段ボールを滑り落としてしまった。

「ちょっと、荷物いいんですか?」
「いぃ……はぁ、もっと、いっぱぃ♡」

空いた両腕で胸元をくすぐる黒い短髪を掻き抱くと、ぢゅぱぢゅぱくぐもった水音をさせつつも大きな手が俺のホットパンツが脱がしにかかる。

「ん……はぁ? 家でTバックなんて履いてるんですか? えっろ。俺みたいな配達員いっぱい咥え込んでるんですね」
「ちが♡そんなこと、ひぅ♡しなぃ、あ゛♡ぁ゛はッ♡♡ぐちぐちしなッ♡しないでぇ♡♡」
「今まさに咥え込もうとしてんのに、説得力なさすぎですよ成海さん」

無骨な指が穴に捩じ込まれて、ぐにぐに解される。とろとろと滴る先走りを絡めては更にくちくちと攻めたてられて、蕩けてしまう。

「ほらー……ちょーっと捏ねただけでこんなにとろっとろになるなんて、ほんとに成海さんってセックスのことしか考えてないんですね」
「やだやだぁ♡やめてよぉ♡♡」
「はいはい」

逞しい腕が俺を抱え上げて、いつの間にか寛げていたズボンからまろび出た肉棒が穴にあてがわれる。触れるか触れないかの位置にある熱を取り込もうと、口がくぱくぱ開閉してるのがわかってしまう。

「さぁ、嘘吐きなるちゃん、そろそろほんとのこと言わないと。俺も時間ないんですよ」
「……ッ♡」

確かな情欲の揺らぐ冷えた瞳と声に、詰るように言い捨てられて下腹部がきゅん、と反応する。

「ぅあ、うそついてごめんなさい♡なるはセックス狂いです♡おにーさんのちんぽ奥まで突っ込んで、いっぱいいーっぱいおまんこしてください♡♡♡」
「あはは、成海さん挿れられる前からバカになってんじゃん。じゃあいつも通り……」

ズン、とそのまま熱が腹の奥まで押し込まれて、一瞬にして脳みそが蕩けた。

「~~~ッ♡♡♡」
「あ、成海さん。俺の制服汚さないでくださいよ? イくときはちゃんとメスイキしてくださいね」
「ッ、はぃ♡♡なるはメスだから♡せーぇき出しません♡♡ぁ゛♡らめ、これ♡すぐイく♡♡」

今俺の身体を支えているのは、おにーさんの逞しい腕と奥深くまで突き刺さった熱くて固いちんぽだけだ。
いつも俺のことを取り落としたりはしないのだけど、不安定さが怖くて全身を使って彼の身体に縋りつくことになって、結果更に深々と胎内が押し広げられる。

「イ゛ぐ! イ゛っぢゃう゛ぅ♡♡んぁ゛あ゛♡♡♡」
「ちゃんと言いつけ通りずっとメスイキしててえらいねなるちゃん」
「ぇへ♡ほめらぇたぁ゛♡♡ごほーびに♡ちゅー♡ちゅーしぇくらぁい♡♡」
「ちょっと褒めただけですぐ調子乗る……まぁいいか、舌出して」
「ひン♡んぁ、あ゛ー♡♡」

でろ、と差し出した舌をぐにぐに唇で喰まれ、じゅるじゅる啜られ、じゅぷじゅぷ口内を犯される。
ねっとりとしたその感触に、あまり大きく動かず緩い振動だけなのにあっという間に上り詰めてそのまま降りてこられない。

「ぉ゛あ゛♡え゛ぅ♡♡またイ゛ぐッ♡しにゅ♡♡きもち、すぎぇ♡♡しんぁう゛ぅ♡んほぉ゛ッ♡♡♡」
「成海さぁん、玄関先でこんな大声出してて大丈夫なんですかぁ?」
「お゛ッ♡ぉくッ、やばッ♡あ゛ぁ゛ンッ♡♡」
「聞こえてねぇなこれ……あ゛ー、俺もそろそろヤバい……成海さん、中で出しますからねッ」

ぐっ、と支えてくれている両腕に力が入って、全身が大きく揺さぶられる。少し引いて奥の奥をどぢゅっ! と音がするくらい深く殴りつけられて、そのまま締め付けている肉棒からどぷどぷと精液が送り込まれてきているのがわかる。

「あ゛ぉ゛♡♡んぉ゛~~ッッ♡イ゛っでるぅ゛♡♡……ッ!? なかッ、あ゛ぢゅぃい♡♡ なかだしさぇて♡まら゛イ゛ぐぅう゛♡♡♡」
「……ッ、あ゛ーめっちゃ出る……成海さんのきったねぇ喘ぎ声サイコー……」

再びぐぢゅんぐぢゅんと身体ごと揺さぶられて、深いところがまだまだ固いちんぽでごつごつと力強く突かれる。

「ぉ゛ッ?? ンほぉ゛、ぉあ゛、あ゛ぁぁ゛♡♡♡」

一際大きく突きこまれた瞬間、脳みその中でぱちぱち火花が散って、そのまま意識が途切れた。

*****

「……ん、成海さーん、大丈夫ですか?」
「んぁ……? ぁ゛ー、だいじょ、ぶ……」

イケメンがその端正な顔をしょんぼりさせながらこちらを覗き込んでいたので反射的にそう答えてしまったけど、喉がカッスカスで全然大丈夫そうに聞こえなかった。いや、大丈夫は大丈夫なんだ本当に。ただ水分がちょっと足りてないかな……そんなふうに思っていたらスポドリが差し出され、へろへろと起こした身体を支えてくれた。いつの間にやらぐちょぐちょだった全身が拭われ、でかいサイズのTシャツ(たぶん彼のものだ)を着せてくれていた。
いやぁ、イケメンは行動もイケメンだなぁ。好き。

「成海さん、ごめんね……まさか気絶しちゃうとは思わなくて、激しくしすぎちゃったよね……」
「いやいやほんとに大丈夫。俺がサドいサヤマくんに興奮しすぎただけだから」

撫でやすそうな近さにあったサヤマくんの頭をぽふぽふ撫でても、彼は尚もしょんぼりしていた。
うーん、端正なその顔にはさっきみたいなドSな笑みを浮かべててほしいんだがなぁ……。


甲斐甲斐しく俺の周りをウロチョロしていることからもわかるとおり、さっきまでやっていたのはいわゆるごっこ遊びだ。なんだっけ、『貞淑な男の娘妻が性欲を持て余し、オモチャを届けた宅配員とそのままセックスに縺れ込んで可愛く啼かされちゃう!』って感じの設定だったはずだ。なんか、サヤマくんがそんな設定のマンガを最近読んで、とても良かったからこれやりたい! って言ってきたんだった、はず。

「……サヤマくん、さっきので正解だった? 俺、どう考えても『性欲を持て余し』のとこしか一致してなかった気がするんだけど」
「え? 完璧でしたよ! ちょー興奮しましたありがとうございます!」
「いや明らかに『可愛く啼』いてはなかったと思うよ!?」

可愛く啼いてたらこんなスポドリが半ば滲みるほど喉カラッカラにならないと思う。
いやわかってるんなら可愛く啼けよって話ではあるんだが、そして最初はちゃんと、読ませてもらったマンガみたいに可愛く啼く気満々だったんだがまぁ途中でそんなの完全に忘れてたしそんな余裕なかったよね。

「そうですか? ひたすら喘いでメスイキしまくってる成海さん、最高に可愛かったですけど」
「ぅ、あぇ、そ、そう? いやまぁ、リクエストしたサヤマくんが満足してるんならそれでいいんだけど……」

あまりにも真っ直ぐな目で肯定されてしまったので、それ以上何も言えなかった。
俺も着替えよー、と言いながら後ろを向いて宅配員の制服を脱ぎ始めた無防備なサヤマくんの肉体をとっくりと眺める。しっかりと筋肉のついた、均整の取れた美しい肉体。……毎回思うけど、サヤマくんにヤってもらう駅弁最高なんだよなぁ……力強さと安定感があって、奥の奥まで無理やり拓かれてからの中出しが気持ちよすぎる。
そんなことをぼんやりと思いながら、なんの気なしに投げ捨てられた制服を手に取って、それが明らかに俺が出した精液で汚れているのを見てしまって血の気が引く。

「さ、サヤマくん! ごめん、仕事着制服汚しちゃってる!」
「え?」

下だけ履いた状態で振り返らないでください刺激が強いので!
あわあわしつつこれ、これ! と指差すと、サヤマくんは嬉しそうにニンマリと笑う。

「それ、俺が作ったやつの方ですよー! すごいでしょ?」
「へぇ!?」

そう言われてよくよく見ても、普段本当に仕事中のサヤマくんが着てる制服とどこが違うのかわからない。

「今回のは自信作なんですよ! いやぁ、やっぱ本物見ないとね!」
「えぇ……? ほんとにすごいね……」

サヤマくんの趣味はコスプレ衣装を作ることらしい。それも、色んな職業の制服を作るのが一番好きだという。そのために色んな職場を渡り歩いて、本物と遜色ない制服を作り上げては次の職場へ……ということを続けているらしい。で、今はこの宅配業者で働いて俺と出会ったというわけだ。いやぁ、サヤマくんの趣味に感謝しなければならないなぁ。

「慌ててる成海さん、珍しくてかわいー」
「や、やめてくれよもう、んぅ♡」

ぎゅうっと抱き締められてこめかみに軽く唇が触れただけで、胎内がきゅんきゅん疼き始めたのがわかった。
あー、さっき意識が途中でぶっ飛んだせいで、肉体的にはともかく精神的にはイきかけで放置されてる状態なんだよな……。

「……成海さん?」

サヤマくんの首筋に頭を擦り付けて無言でおねだりする。
膝でそっとサヤマくんの股間を擦り上げれば、既に緩く立ち上がり始めていて、俺もにっこりしてしまう。

「こら、ちょっと成海さんッ」
「さっき俺、意識飛んじゃったからちょーっと物足りないかなぁ♡」
「……もー」

大きな手が俺の尻を揉み始めて、俺はまたあっという間に気持ちよくなって喘いでしまう。

「成海さんってば、演技でも何でもなく本当に素でセックスのことしか考えてないんだね」
「せっくす、してくれる♡あいてのこともッ、かんがえてるよぉ♡♡」
「……なるちゃんってば、ほんっと嘘吐き」

結局その後、俺が意識を保ったままセックスできたのは四回戦目からだった。
うーん、サヤマくんの体力についていくためにも、俺もなんか運動すべきかなぁ。
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