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ChapterⅤ:Crazy
No65.Silver
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種田さんと会った翌日、俺は変わらない日常を送っていた。
「これ良いね!」
「確かに。」
ある放課後。羽崎さん以外の楽器専門店に凛と一緒に来ていた。
新設された店であり、ちょっと様子見といった感じだ。ついでに俺のピックを買いに来た。普段使いしている物を紛失したのだ。一応もう一つあるが、あれは大切な物なので、ここぞという時にしか使わない。
「品揃え良い感じだよね。」
「羽崎さんは特注してくれるけど、取り扱っている商品が限定されてるからな。」
この店は幅広く取り扱われている。初心者向けといえる。凛達が使っているものは、最初はそんな数少ない商品から選んだ物だったが、今は羽崎さんが特徴を見て特注した物を使っている。
彼の店の売れ行きは微妙だが、顧客からの評価は非常に高い。彼の人間性も関係しているだろうと言い切りたいが、学生を介抱してもらうためだけに置いていく奴だから肯定できない。
「時間も時間だしそろそろ帰るか。なんか飲み物奢ろうか?」
「本当!じゃあ、お言葉に甘えて!」
思うのだが、凛は印象が大分変わった。それとも、俺の視点が変わったのか。何はともあれ最近は色々あって凛と関わる機会が減っていたため、こういう時間を増やしたいと思っている。
とりあえず、俺達は最寄りの自販機に向かった。
「今日はありがとね。」
「全然。俺もピック買う目的あったし。じゃあ、明日学校で。」
「うん。また明日。」
そう挨拶して俺達はそれぞれの帰路に着いた。
しばらく歩いて家まであと少しの距離の頃、俺は何者かから声を掛けられた。
「白薔薇さん……ですか?」
この呼び方という事は、同胞だ。念のため護身用の銃を構えて、振り向いた。
すると、そこには中学生くらいの少女が二人居た。
「こんな住宅地の真ん中でよく銃を出せますね。尊敬ですよ。」
「おい、それ馬鹿してるだろ。」
思わずツッコんでしまったが、彼女達が敵では無い事は理解した。
「サイレンス Mythology所属の白薔薇だ。お前達は?」
「私は Silver 所属の雨雲という者です。」
「初めまして白薔薇さん。同じく Silver所属の大蛇です。」
二人はそう名乗った。Silverという名前は聞き覚えがあるが、サイレンスにそんなチームは無かったはずだ。
そう思考を巡らせていると雨雲が口を開いた。
「蓬萊さんの弟子って言えばわかりますか?」
思い出した。確かに華隆さんは人材育成にも力を注いでいた。そう言われてみると、面影を感じる。
「それで、何の用?もう日が沈むし家上がるか?」
「え……白薔薇さんマジですか…。」
「失望しました。兄ちゃんがそんな変態だった事に……。」
「おい、ふざけんなや。」
心配してやってるのにこの言われようである。年相応というべきか。
だが、何だかんだ言いつつも家には上がった。
適当にお茶を注ぎ、座らせて本題に入った。
「で、用件は?」
「先日、Leviathan底沼の件で介入させてもらいました。まず、許可なく参入したことを謝罪します。すみませんでした。」
それは司令に言ってほしい事だが、彼女達はサイレンス未加入の単独チームのため、中々会う機会が無かったのだろう。
「そしてもう一つ……は、大蛇が話してくれます。」
「兄ちゃんは知っていますか?Enterというチームについて。」
「確か華隆さんと葉桜さんの元所属チームだろ?でも何故?」
「Enterと政府は対立関係にあります。これから彼らを軸に類を見ない事が起きるかもしれません!兄ちゃんも選択を誤らないように気をつけてください。」
全く話についていけない。Enterは壊滅したんじゃなかったのか?というか、大蛇の口調がふわふわし過ぎて真実か疑ってしまう。
「……雨雲。補足を。」
「はい。Enterはまだ生きています。あの時壊滅したと言われていますが、実際は分離したにすぎません。私達と繋がりのある有力な筋からの情報なので間違い無いかと。そして、Enterは政府を目の敵にし、新たな計画を企んでいます。もう一つ補足説明をすると、Enterはプレデスタンスのトップチームです。並んでLeviathanでした。」
プレデスタンス。確か撫戯がその名を口にしていた。意識が朦朧とする中だったが、今でも記憶している。
「言いたい事は分かった。とりあえず警戒を怠らなければ良いんだろ?」
「はい。それと、私達の事とこの件の事は他言無用でお願いします。」
「私達消されちゃうかもですし。兄ちゃんを信じてます!」
そう言って彼女達は帰って行った。よくわからないが、この平穏がいつまでも続かなそうな事は断言できる。
いつになったら一段落するのやら……。
俺は変わらぬ風景を前にして、一人の人物を待つ。
「どうした?薔羨。」
「愛沙に会ってきてくれ。月歌を連れて。」
「分かった。ただ、すぐには無理だけど……。」
「すぐじゃなくても良い。俺は真実を伝えたい。」
「…来週までには連れてくる。」
そう言って要は部屋を後にした。まだ時間はある。ただ、手遅れになる前に、勢力を拡大しなければ。
「これ良いね!」
「確かに。」
ある放課後。羽崎さん以外の楽器専門店に凛と一緒に来ていた。
新設された店であり、ちょっと様子見といった感じだ。ついでに俺のピックを買いに来た。普段使いしている物を紛失したのだ。一応もう一つあるが、あれは大切な物なので、ここぞという時にしか使わない。
「品揃え良い感じだよね。」
「羽崎さんは特注してくれるけど、取り扱っている商品が限定されてるからな。」
この店は幅広く取り扱われている。初心者向けといえる。凛達が使っているものは、最初はそんな数少ない商品から選んだ物だったが、今は羽崎さんが特徴を見て特注した物を使っている。
彼の店の売れ行きは微妙だが、顧客からの評価は非常に高い。彼の人間性も関係しているだろうと言い切りたいが、学生を介抱してもらうためだけに置いていく奴だから肯定できない。
「時間も時間だしそろそろ帰るか。なんか飲み物奢ろうか?」
「本当!じゃあ、お言葉に甘えて!」
思うのだが、凛は印象が大分変わった。それとも、俺の視点が変わったのか。何はともあれ最近は色々あって凛と関わる機会が減っていたため、こういう時間を増やしたいと思っている。
とりあえず、俺達は最寄りの自販機に向かった。
「今日はありがとね。」
「全然。俺もピック買う目的あったし。じゃあ、明日学校で。」
「うん。また明日。」
そう挨拶して俺達はそれぞれの帰路に着いた。
しばらく歩いて家まであと少しの距離の頃、俺は何者かから声を掛けられた。
「白薔薇さん……ですか?」
この呼び方という事は、同胞だ。念のため護身用の銃を構えて、振り向いた。
すると、そこには中学生くらいの少女が二人居た。
「こんな住宅地の真ん中でよく銃を出せますね。尊敬ですよ。」
「おい、それ馬鹿してるだろ。」
思わずツッコんでしまったが、彼女達が敵では無い事は理解した。
「サイレンス Mythology所属の白薔薇だ。お前達は?」
「私は Silver 所属の雨雲という者です。」
「初めまして白薔薇さん。同じく Silver所属の大蛇です。」
二人はそう名乗った。Silverという名前は聞き覚えがあるが、サイレンスにそんなチームは無かったはずだ。
そう思考を巡らせていると雨雲が口を開いた。
「蓬萊さんの弟子って言えばわかりますか?」
思い出した。確かに華隆さんは人材育成にも力を注いでいた。そう言われてみると、面影を感じる。
「それで、何の用?もう日が沈むし家上がるか?」
「え……白薔薇さんマジですか…。」
「失望しました。兄ちゃんがそんな変態だった事に……。」
「おい、ふざけんなや。」
心配してやってるのにこの言われようである。年相応というべきか。
だが、何だかんだ言いつつも家には上がった。
適当にお茶を注ぎ、座らせて本題に入った。
「で、用件は?」
「先日、Leviathan底沼の件で介入させてもらいました。まず、許可なく参入したことを謝罪します。すみませんでした。」
それは司令に言ってほしい事だが、彼女達はサイレンス未加入の単独チームのため、中々会う機会が無かったのだろう。
「そしてもう一つ……は、大蛇が話してくれます。」
「兄ちゃんは知っていますか?Enterというチームについて。」
「確か華隆さんと葉桜さんの元所属チームだろ?でも何故?」
「Enterと政府は対立関係にあります。これから彼らを軸に類を見ない事が起きるかもしれません!兄ちゃんも選択を誤らないように気をつけてください。」
全く話についていけない。Enterは壊滅したんじゃなかったのか?というか、大蛇の口調がふわふわし過ぎて真実か疑ってしまう。
「……雨雲。補足を。」
「はい。Enterはまだ生きています。あの時壊滅したと言われていますが、実際は分離したにすぎません。私達と繋がりのある有力な筋からの情報なので間違い無いかと。そして、Enterは政府を目の敵にし、新たな計画を企んでいます。もう一つ補足説明をすると、Enterはプレデスタンスのトップチームです。並んでLeviathanでした。」
プレデスタンス。確か撫戯がその名を口にしていた。意識が朦朧とする中だったが、今でも記憶している。
「言いたい事は分かった。とりあえず警戒を怠らなければ良いんだろ?」
「はい。それと、私達の事とこの件の事は他言無用でお願いします。」
「私達消されちゃうかもですし。兄ちゃんを信じてます!」
そう言って彼女達は帰って行った。よくわからないが、この平穏がいつまでも続かなそうな事は断言できる。
いつになったら一段落するのやら……。
俺は変わらぬ風景を前にして、一人の人物を待つ。
「どうした?薔羨。」
「愛沙に会ってきてくれ。月歌を連れて。」
「分かった。ただ、すぐには無理だけど……。」
「すぐじゃなくても良い。俺は真実を伝えたい。」
「…来週までには連れてくる。」
そう言って要は部屋を後にした。まだ時間はある。ただ、手遅れになる前に、勢力を拡大しなければ。
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