多面性を持つ最強暗殺者はただ日常を望む

やみくも

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ChapterⅧ:FinalZone

No126.Hello, ▓▓▓people who lost

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 生命再起会の本拠地へと駆け抜け、やっとそれらしき建物が見えてきた。

 「ここがか……当たり前だが、歓迎されていないみたいだな。」

 「……歓迎なんてどうだっていい。撫戯、兄上。」

 「俺一人で十分だ。歪と撫戯は先に行ってろ。」

 「「了解」」
 
 兄上が引き受けてくれたため、俺達は話に聞いていた地下巨大研究所へと繋がる通路を探しに向かった。







 敵はざっと三十人。

 「敵でも無いな。お前達如き!」

 そう挑発すると、敵は一斉に射撃してきた。俺は地を蹴って跳び上がり、リボルバーで一番生きの良い奴を撃ち抜いた。

 「ぐわぁっ!」

 すると、そいつは血を流して倒れ、周囲の連中はざわつき始めた。

 「あれ?クローンじゃなかったか。……それでも喧嘩売る奴は、漏れ無く死ぬ覚悟出来てんだろ?なぁ!」

 そう言いながら一人、二人、三人と次々に淡々と撃ち抜いた。
 すると、背後から刃物で襲おうとしてくる暗殺者らしき人物を確認したが、生憎俺の視野はそんなに狭くはない。
 スコープに片目を添えて振り向き、ピンポイントで心臓を撃ち抜いた。
 しかしそいつはクローンだったらしく、再び立ち上がってきた。 
 
 「しつこい野郎だ。」

 そう言いながら俺は対クローン用の弾を入れた。遺伝子の破壊のみに特化した弾であり、黄牙特注の俺達の改造武器にのみ対応している。
 悪用厳禁の代物だからな。

 「じゃあな。」

 俺は即座に奴の背後を取り、銃口を頭に突きつけた。奴は一瞬の出来事に、何が起きたのか混乱しているようだった。
 それでも俺は無慈悲に脳を撃ち抜いた。

 「あがぁ…!」

 死亡を確認し、俺は歪と撫戯に合流するために先を急いだ。







 こちらが周囲の敵の群体を一掃した頃、距離が離れたところでは規模の大きい戦闘が予想できる音が鳴り響いていた。
 空を見上げると、飛行機が傾きこちらに墜落してきている。これを奴らがやったのだとしたら、本当に怒りが収まらない。

 「冬夜、次の敵襲が中々来ないが、移動するか?」

 「いや、ここに居ましょう。……来ますよ、“奴が”。」 

 「お前もそう感じるか。…磁場が狂う。」 

 谷上先輩のその一言で全てを察し、自分はハンティングライフルの銃口をその向きに向けた。
 その1秒後、半径2m以内の場所に落雷が落ちたが、予め範囲は分かっていたため、難なく回避できた。
 常人では肉眼で目視する事が難しい距離の鉄塔の上で後退する敵に向け、狙撃した。

 しかし、届いた様子は無かった。いい線はいったけど、咄嗟に遮蔽物代わりに何かを設置された。

 「目視は可能ですが、流石に不利です。谷上先輩はスコープ付きですよね、いけそうですか?」

 「俺の技量じゃあれはきつい。月歌に合図は入れたが、こちらが生存できるか…。」

 「なら、自分の射程圏内に入れましょう。anti-life.45の反動はどれほどですか?」
  
 「リチャージに20秒掛かりそうな様子だ。反動は奴の事だ、制御するために改良を重ねただろうからサンプルとは全く異なるだろう。……とは言え、成人男性筋肉質でも軽くノックバックするようだな。」

 「ビルの影に身を潜めながら接近します。自分は先に行くので、谷上先輩はヘイトを稼いでいてください。自分の狙撃が炸裂したら、谷上先輩も急いで合流してください。」

 「了解。」

 そうして自分は、姉を殺した憎き敵を撃ち抜くため、車を跳び越え建物の窓を撃ち割り、そこから内部に侵入して先へと急いだ。
 建物の中にいる間はチャージ中の奴の姿はこちらからも見えない。だけど、谷上先輩がそこは上手いことカバーしてくれるはず。







 鉄塔の上。天災はこれまでのように高みの見物の如く雷撃していた。

 「死に損ないは消えたか……まぁいい。黄牙を殺す。」

 遮蔽物から少し身体を出して、電磁スナイパーライフルをチャージし始めた。
 しかし、死角から飛んできた超口径弾が脇腹に掠めたため、天災の狙撃が歪んだ。

 「ッ!大声出せば届く距離まで来たか。冬夜。」

 「谷上先輩のお義兄さん何でしたっけ?コードネーム:天災。」

 「あんな無能と一緒にするな。それと、距離詰められたからって思い上がるなよ。私の技術はこれだけではない。」

 「はい?……君こそ勘違いするなよ。復讐心を煽ったのは自分だけじゃない。敵の数を……見誤るな。」
 
 「さっきから何を言って……ッ!……何が…どうなっ……て。」

 「死んで?これでおあいこでしょ?」

 奴は倒れた。そしてその裏から、相原先輩が現れた。
 彼女が後ろから天災を刺したのだ。あの時は距離もあって歯が立たなかったけど、計画的に暗殺すれば大した事は無かった。

 「無事に終わったみたいだな。」

 すると、谷上先輩が合流してきた。
 来るなりそうそう、彼は不審な様子で辺りを確認し始めた。恐らく自分達と考えてる事は同じはず。
 そして、それは見事に的中した。

 「クローンを破壊した気分は爽快か。生で会うのは何年ぶりだ黄牙。目を見て話すのは初めてだな。冬夜、寵愛。」

 鉄塔近くのビルの屋上から、別の天災が現れた。あれが本人かクローンかは定かじゃないが、本人らしい様子だった。
 すると、鉄塔の下から謎のクローン集団が現れた。そいつらに表情は無く、意思も無いように見えた。

 「Androidoll。クローン開発のサンプルを戦闘用に改造したものだ。……死んだら仲間に加えてやる。」

 「安心しとけ、お前の技術、人間の才能で壊してやる。」

 「追放者が何を言っている。出来損ない、死に損ない共が。まとめてねじ伏せてやる。」

 そして、ドール達が襲い掛かってきた。自分達も臨戦態勢を取って、応戦を開始した。
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