独自ダンジョン攻略

sasina

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呪いのスキル

25.残り3時間

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「冷たいな」

 目が覚めると、川の途中で岩に引っかかっていた。

 起き上がり辺りを見渡すと、知らない場所でした。

 まあ、森を出ていないので、水死体に間違われる事は防げたな。
 
 見た感じかなり下流に流されてきたみたいだ。

 この川は流れが緩やかだから、特に衝撃とかもなくて気付かずにここまで流れてきてしまったのか。

 「あっ!マジックポーチ」

 滝に入るからって、一応濡れない様にマジックポーチは滝横の岩の上に置いていたんだった。

 天眼さんの空間把握の範囲内だったから、身に着けていなくても大丈夫だと思っていた。

 急いで取りに戻らないと。

 俺は川から上がると、川沿いに川の上流へと向かう。

 川沿いは木が少なく開けていて走りやすい。石を飛び移るようにして滝の場所なで駆け上がっていく。

 少しして滝の側まで戻る事ができた。

 直ぐにマジックポーチを置いた場所を確認すると、ちゃんとその場所にあった。

「はあ、良かった」

 流石に人は来ないとは思っていたけど、この森は動物なんかは結構居るようだからな。持っていかれたら大変だった。と言うか、発狂するな。

 マジックポーチの中には俺のスマホに財布などの荷物とこれまでのスライム狩りの戦果のドロップアイテムが全て入っているからな。
 持って行かれたら、1人で森狩りを行わなくてはいけない所だった。

「少し気を抜き過ぎたな」

 ポーチを拾い腰に身に着けておく。

 思っていたのとは違う気分転換になったが、そろそろ稽古を再開しよう。

 開放感もあって気持ちが良いから、ダンジョンには戻らずここで稽古をするか。
 汗をかいたらそのまま川に飛び込めば良いしな。

ーーー

 再開後、稽古を2セットをやり終えると、20時になっていたのでテントに戻る事にする。

 戻る前にかいた汗を川で洗い流してから、走ってテントに向かう。

 服は走っているうちに乾くだろう。

ーーー

 テントに戻ったけど、結局服は乾かなかった。
 ポーチの中の新しい服に着替えて、濡れた服はテントを支える紐に掛けて乾かしておく。

 お湯を沸かして、晩御飯にカップ麺(シーフード)を食べる。

 今日は特に急いでないので、食事を終えると、テントに入り入口を開けたまま空を見上げて、星を眺める。

 町が近いからか星が少ない。

 森のある自然とは言え、町に近い所為で、家で見る夜空と変わらなかった。

「ダンジョンって何なんだろうな?」

 いや、別に何、と区別付けられる物じゃないのかもな。
 俺の理解が及ばないだけで地球にとっては唯の自然現象なのかもしれない。
 特別な理由があるとかでもなく唯そういう物だって事は良くあるからな。

 あまり深く考えるのはやめよう。ダンジョンが楽しめなくなる。

 それに俺が考え付く様な事なら、誰かが思い付くので、そんな事は他の暇な誰かが考えれば良いだけだ。

 今はそれよりもダンジョンの試練だ。

 今が20時半だから、30分後くらいにダンジョンに入って、供物の杯から黒い小石を回収しに行く。

 それが終わったら今日はもう寝よう。眠いから。

ーーー

 30分。特に何もしないで星を眺めながらぼーとして過ごした。

 テントから出てダンジョンに入り、供物の杯がある部屋に移動する。

 供物の杯がある部屋に着き、鑑定をする。

【名前:供物の杯
 条件:1000/10000
 効果:扉の開閉  】

「まだか」

 まだ時間になっていない様なので、供物の杯の前で待つ。

 数分後。小石と小石がカラカラと擦り合う音が聞こえてきた。

【名前:供物の杯
 条件:1500/10000
 効果:扉の開閉  】

 鑑定すると、500個増えていたので、全部回収してダンジョンを出る。

 テントまで戻ってきたら、ドライシャンプーで頭を洗う。

 今日はもうする事がないので、昨日の様にぐっすりと寝る事にする。

 黒い小石が10000貯まるまでは、出来る事も限られるからな。

ーーー

 おはよう。現在、朝の5時です。

 今日も少し寝すぎてしまった。

 6時になったら供物の杯に回収しにいこう。

 と、その前に朝飯。カレーうどんのカップ麺をお湯を沸かして作る。

 出来上がったら食べながら、スマホでネットを開く。

 面白そうな情報は無いな。ダンジョンに無断で入った芸人が事務所をクビになったって事くらいかな。

 あとはダンジョンを民間にも開放しろって声が大きくなってきているようだが、まだ先は長そうだった。

 カップ麺を食べ終え6時まで暇になったので、朝の日課の稽古を始める。

ーーー

 アラームで6時になった事が分かったので、稽古を中断してダンジョンに入る。

 供物の杯のところまで行き、鑑定で1500個溜まっているのを確認してからマジックポーチに全部回収する。

 あと必要な数は500個なので、3時間経ったら黒い小石を回収して目標の10000を超えるはずだ。

 残り3時間もあるので、その間に川で体を洗って目を覚ましておきたい。

 試練はボス戦かもしれないので、寝ぼけたまま挑めない。

 と言うのは建前で、川で体を洗ってさっぱりしたいだけだったりする。
 普段なら4月に川で水浴びなんてしない。
 川に飛び込む時にはそれなりの備えをしていないと本当に死ぬからな。

 キャンプの時はタオルで体を拭いて誤魔化しているが、lvアップした耐性で問題無く川に入れるなら、何回でも入りたかった。

 だから、今から朝シャンしに行こう。

 ーーー

 ダンジョンを出て滝壺まで走ってきた。

 そのまま入ると服が乾かないので、きちんと脱いでから全裸で飛び込む。

「気持ちいい」

 外で全裸になるには初めてだったが目醒めたと言う訳ではなく、単純に冷たい水がベタついた汗を流してくれて気持ちが良いだけだ。

「うん?」

 天眼さんの気配感知の範囲内に誰か入ってきた。

 天眼さんの気配感知の感知範囲は約100m。

 俺から見て左方向の下流100m先から誰かが近づいて来ているみたいだな。

 川がカーブしていて間に木があるので、お互いの姿はまだ見えない。

 俺がいる事はバレていないだろうと思い、川から上がり近くの木に登り、木の上で体を拭いて服を着てから、息を潜める。

 多分、この人は俺ではなくこの滝を目指して来ているんだろうな。

 人影が滝に着いた。

「あったあった!これがお姉ちゃんの言っていた滝か~」

 その馴染み深い人影は、どう見ても妹の春だった。

 あれ~? どうせこんな森に来る奴に知り合いは居ないと思って隠れたけど、思い切り身内だった。

 と言うかアイツ、学校の課題は終わったのか? 

 3日頑張れば終わると言っていたので、終わったんだろうが、何故こんな場所に来ているんだ?

 まあ、春なら隠れる必要もないか。

 気づかれない様、音を出さずに木から飛び降りて、春の背後からゆっくりと近づいて行く。

 今気付いたんだけど、天眼さんで練習すれば、音を消して動く事も出来そうだな。

 春の真後ろからそっと声を掛ける。

「春」

「うひゃー!」 ジャボン

 春はいきなり真後ろから聞こえてきた事の驚いて、変な奇声を上げながら川へと落ちていった。

 う~ん。期待通りだったとはいえ、あまり面白くなかったな、5点。

 まあ、全然気にしていないけど、1万円の仇みたいな?

 流石に俺の妹が溺れるとは思わないけど一応引き上げてやる。

「寒い、寒い寒い寒い~」

 ブルブルと震えながら寒いと呟き続ける。

「で、なんで森に入ってるんだ?」

「いや!先に脅かして川に落としたこと謝ってよっ!」

「ごめんごめん。で、どうして?」

「それだけっ⁈  まあいいや、この前お姉ちゃんが地図を見してくれた時にこの森には滝があるって教えてくれたからさ」

「そうだったな。課題の方は?」

「そんなの終わったから来たに決まってんじゃんっ それより寒くて風邪ひきそうなんですけど!」

「しょうがないな。この岩場で火を起こすか。適当に枝を拾ってくるから、そこで待ってろ」

 震える春を残し、その辺に落ちている乾燥した枝を拾い集める。

 拾い集めたら春のところに戻り、焚き火の形に枝を重ね、ポーチからメモ用紙を出しページを3枚ほど千切り、バーナーで火をつける。

「ほら、出来たぞ、これで暖まれ」

「おお、あったかい。手と顔だけ」

 春を見ると、まだ濡れた服を着ていた。

「春、普通濡れた服は脱がないと」

「お姉ちゃん、それは私にここで裸になれって事?」

 めんどくさい妹だな。
 さっきまでお前のお兄さんもここで全裸だったから大丈夫だよ。

「俺の服、貸してやるからそれを着ろ」

 そう言ってポーチから着替えの服を取り出して渡す。

 これ以上、ポーチから物を出す訳にはいかない、服を出したら体積的にもう何も入ってない事になるので、これ以上物を出したら春に怪しまれてしまう。

「ありがとう」

 春は服を受け取ると、その場で着替え始めた。

 何気なく春の着替えを眺めてしまっていたが何も感じない。ほとんど風景と同化しているな。

 春の方も俺に見られても特に何とも思っていない様子だった。

 まあ、兄妹なんて実際はこんなもんだよな。

 義理なら分からなくはないけど、自分と似てる兄妹なんてどんなに容姿が整っていようと兄妹としか思えなかった。

「義理の妹が欲しいな」(冗談)

「はあ?」

 そんな頭のおかしい奴を見る目はやめてよ。唯の冗談だよ?

 春が着替え終わり、二人で焚き火にあたる。

 特に会話もなく時間が過ぎていき、春の冷えた体も温まった頃。

「春。もう大丈夫そうなら、俺はテントの方に戻るからな」

「うん、わかった。私ももう帰るね」

「そうか、じゃあまたな」

 春が川を降りていくのを見送ってから、焚き火の火消しをして、テントに戻る。



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