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未定
110.知らない事
しおりを挟む「一先ず、校内に入りませんか?」
最初に沈黙を破ったのは美月だった。
今はまだ朝早く教師も学校に来ていない、そんな時間帯だ。
「どうやって入るんだ? まだ開いてないだろ」
「ああ、先輩は知らないんですね。まあ、付いてきてください」
「ん、こっち」
凛と咲良はそう言ってある場所に向かう。
3人の反応からして、何か俺の知らない事でも知っている様だ。
俺は置いていかれないように3人の後に付いていく。
ーーー
「ここです」
凛が止まったのは、一年生の教室近くにあるトイレの裏だった。
「ここのトイレの窓は止め金具が歪んでいて、閉めたと思っていても実は普通に開くんです」
美月がトイレの窓を掴んでスライドさせると、普通に開いた。
何故だ? 3人はまだ入学したばかりだよな?
何で1年間、この高校に通っていた俺よりも学校について詳しいだよ。
まさか、知らないのは俺だけなのか?
慶に会ったら聞いてみよう。
山田姉の事もそうだけど、何で入学したばかりの3人が色々と知っていて、1年早い俺が新人アルバイトみたいに教えてもらっているんだ。
俺は1年間何していたんだよ。と考えている間に3人はさっさと窓から校舎へと入って行く。
「先輩、入らないんですか?」
中から凛に呼ばれた。
俺もトイレの窓から中に入ろう。
「今入る。…ここも女子トイレかよ」
窓から中に入るとそこは女子トイレだった。
考えてみれば当たり前だ。
3人は窓から躊躇なく中に入るという事は、男子トイレで無い事くらい簡単に予想出来るだろ。
まあ、女子トイレの窓についての事だったなら俺が知らなくてもおかしくはないか。
「まあ、先輩なら大丈夫ですよ」
何が大丈夫なのか分からないが、と言うか分かりたくないので、俺は無視して女子トイレから出た。
「それでこれからどうするんだ?」
校内に入れたと言っても、殆どの場所は鍵が掛かっていて入る事が出来ない筈だ。
「図書室で時間を潰しましょう」
ろくな説明も無く3人とも歩き出したので、仕方なく俺も遅れないように付いていく。
またシャワー室の時の様に鍵を持っているのか?
3人の内誰かが図書委員で鍵を返し忘れたとか?
でも、一年生はまだ委員会に入っていない筈なんだけどな。
ーーー
図書室に行くのかと思っていたら、3人は図書室を通り過ぎて階段を上っていく。
そのまま進んで行き丁度図書室前の上の廊下で美月達は立ち止まった。
「ここです」
「ここって図書室の上だろ? ここからどうするんだ?」
俺が美月にそう聞くと。
「ここから入るんですよ」
美月は側にある窓を指差す。
「ああ、成る程」
ダンジョンで上げた身体能力を戦闘と移動くらいにしか活用してかなったから、すっかり忘れていた。
この高校の図書室は天井が高く、光を入れる為か窓が沢山ある。
その窓は天井が高い所為もあってか2階の廊下とも繋がっていた。
窓の止め金具は廊下側に付いているので開ける事が出来る。
あとはダンジョンで上げた身体能力を生かして、その窓から飛び降りると、図書室の中に入れる。
美月達は次々と飛び降りていき、俺もその窓から図書室に飛び降りる。
そして、図書室の扉は内側から簡単に鍵を開ける事が出来るので、今からの出入りは自由だ。
「あとはそれぞれで時間を潰しましょう」
美月がそう言うと全員がそれぞれ本を探しに行った。
俺も適当な本を読む事にするか。
それから教師が来て各教室が開けられるまで、図書室で時間を潰した。
ーーー
俺達4人は図書委員が登校して来る前に図書室を出てそれぞれの教室に向かう。
教室に入ると、当たり前だが俺が一番乗りだった。
そんな訳で慶が登校してくるまでは暇なので、マジックポーチから適当な漫画を取り出して読む。
さっきの図書館では何故か図書室の特に興味も無い本を読んでしまった。
マジックポーチには、俺の好きな本やゲームがある程度入っている。
その存在を忘れていたと言うよりは他の3人が全員、図書館の本を読み始めるから、俺も図書館の本で時間を潰さないといけないと無意識に思ってしまったんだろうな。
慶は登校してきたのは遅刻しないギリギリだった。
俺が慶と朝の挨拶と昼の約束以外には喋る事も出来ず高野先生が来てホームルームが始まった。
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