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40話 町田ダンジョンへ!1
しおりを挟む売られている武具を見ていると、俺にとっての相棒となっているものを見つけた。
「おっ、あったな殺さずの剣、ノーキルとも呼ばれているんだったな」
殺さずの剣(ノーキル)
ステータス上昇なし
(制限)なし
(注意)この剣には切れ味が全くありません。ステータスの上昇も無いため、購入する事はお勧めしません。
(おぉ、凄い良いようだな。まぁ、反転がなければ、買おうとも思わない内容だけどな)
そんなことを思った俺は、殺さずの値段を見る。
「えっ、1万?安いな。いや、安く無いのか?まぁ、気にするのはやめるか。1万なら問題なく払える」
俺は、売っている殺さずの剣。2本手に取り、武具屋のカウンターに向かう。
先程、防具とアクセサリーには制限があると言ったが、何事にも例外は存在するようで、武器には、例外がある。
それは、武器には装備の制限がないということだ。つまり、理論的には、武器を持てば持つほど、ステータスが上がる。最強!を目指すことができなくは無いということだ。
しかし実際に武器を多く持つ冒険者は少ないという。当たり前だが、俺達は魔物を狩る。そして武器はそれなりの重さがある。そんなものを多く装備した状態では、動きづらい為、結果的に足元を掬われるというわけだ。
それならばと、剣や大剣に比べると軽い短剣を多くつける!と考えたやつもいるらしいが、大剣に比べ、短剣のステータス上昇値は低い。そのため、大剣ほどのステータス上昇値を得ようとするのなら、それなりの本数を装備しなければいけないらしく、結果的に変わらず身動きが取りづらくなり、装備で最強!は出来ない。
しかし、短剣を全部で3本装備するくらいは、なんとも無い為。俺は殺さずの剣を2本買うことにした。それと、2本の短剣を身につける為の鞘も一緒に買う。
「あ、あの、この剣は殺さずの剣と呼ばれていて、切れ味が全くありません。これで魔物を狩る事は難しいのですが、それでも購入されますか?」
武具屋の店員が丁寧にそう言ってくれる。俺が説明を読まずに買ったと思われたのだろう。
「はい、この短剣が殺さずの剣だという事は分かっているので、問題はありません」
「はぁ、そうですか。ではお会計をします」
俺の言葉に、ならなんで買うのだろうという表情を一瞬見せた店員は、気にするのをやめたのだろう、お会計を始めた。
「殺さずの剣を2本と、鞘が2本で、4万円になります」
そう、鞘の値段が、殺さずの剣と同じだった。鞘の値段が高いというわけではなく、それだけ殺さずの剣の値が低いという訳だ。俺は、1万円札を4枚、財布から取り出し、店員さんに出し、会計を済ませる。
「ありがとうございました」
店員さんの声を聞きながら、武具屋を後にする。買った短剣は、1本は腰に、1本は足に身につける。これで2本が腰に、1本が腰に短剣を差している事になる。
「1本は、遠距離攻撃をするために使えるな」
前から、遠距離移動はできるが、遠距離攻撃の手段がない事自体は、何かしらで解決しないといけないと思っていた為、投擲できる短剣を買うことができ、今日その問題が解決できてよかった。
「よし、双剣の練習もしたいし、日野ダンジョンに出る魔物も確認したいから、今日はこのままダンジョンに潜るか」
俺は武具屋を出た足をそのまま、ダンジョン入り口に向かって歩きます。その姿を、ある人物に見られているとは知らないまま。
ダンジョンの入り口に着いた俺は、入り口に立つギルド職員に、冒険者の資格を証明するプレートを見せ、ダンジョンの中に入る。
「日野ダンジョンか、楽しみだな」
まずは、先程来た一層だ。試験を受けた時の感じだと、この層に現れるのは、スライムとゴブリンだ。これは、うちにあるダンジョンと同じだ。
「この辺りはまだまだ相手にならないな。どんどん行こう」
次の層を目指し、その道中に出てくるスライム、ゴブリンを倒していく。その間に、双剣を扱う練習をする。
「両方、異なる動きをするのは難しいな」
一層10から15分程かけて、六層へと辿り着いた。その間に、ゴブリンのお守りを1つドロップしたため、ポーチに入れてある。
「あっという間だな、俺は確実に強くなっている」
自分の力の上昇を、身をもって感じ、嬉しくなった俺は、気分の上がったまま六層へと足を踏み入れた。
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