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41話 町田ダンジョンへ!2
しおりを挟む「記録によると、町田ダンジョンの六層からは、うちのダンジョンには今の所出てきていないウルフが出てくるんだよな」
ウルフという初めて出会う敵に対して、警戒心を高めながら、六層へと足を踏み入れ、少し歩いた後、俺は後方に声をかけた。
「それで、俺に何か用か?」
ダンジョンに入ってから、俺を追う気配を感じていた。
「気づいてたの?」
「、、、女だったのか。それに、お前は試験の時にいたやつか」
それは女の声だった。そしてその女は、試験中俺が唯一興味を持った人だった。俺を追うような人物といえば、げんしか頭に浮かばなかったため、げんとそもそもが違う、女の声が聞こえてきたため驚いた。
「ああ、ダンジョンに入ってからだけどな。初めは、たまたま俺と進路が被っているだけだと思ったが、次の層に進むためにうろうろしている俺とぴったり進路が同じになる事なんてないからな。俺を追っている事はすぐに分かった。で、俺に何かようか?」
俺は女に聞く。
「私とパーティを組んでほしい」
「ん?俺とパーティを組みたい?」
冒険者になりたての奴が、俺を追って六層に来るほどだ、どんな用があるのかと警戒していると、全く頭になかった事を言われる。
「そう」
「また急な話だな。なんで俺なんだ?俺ぐらいの実力をもつ奴なんて、そこら中にいるだろ?」
試験中、特に力も見せず、周りと同じように振る舞っていたため、自分に力がないように話していく。
「ううん、貴方みたいな人は初めて見た」
「どういうことだ?」
女の言う事がよく分からなかった俺は、つい聞き返した。
「私には、心眼っていうユニークスキルがあるの」
「ッ!そんな易々と、ユニークスキルを言うのか!?」
俺はすぐに辺りを見回す、幸いな事に、周りに人はいなかった。
「貴方だからいい、それに信じてもらえなそうだったから」
「そうか、だが、その心眼っていうスキルが俺にどう関わってくるんだ?」
「私は貴方のことを見たの」
「ッ!」
女の変な言い方に、俺は1つの可能性にたどり着いた。
(今、この女は見たって言ったよな?その言い回しと、心眼ってスキル、この2つが繋がる先は、鑑定の様に見えるってことか!?つまり、俺のステータスが、この女にバレたってことになる。ユニークスキル反転の内容は分からなくとも、祝福やステータスは分かるだろう。心眼ってくらいだ。反転の能力もバレているかもしれない。ここまで一切声をかけなかったのは、俺の実力を見るためか!)
俺はここで、目の前の女が六層まで追いかけてきて、パーティを組みたいと言った理由を理解した。女の次の言動に全神経を注ぐ。
「だけど、貴方のステータスは見れなかった」
「、、、、、、、は?」
俺の脳は、女の言葉を理解できなかった。
「、、、おまえは俺のステータスを見たっていったよな?それなのに見えないってどういうことだ?」
「私の心眼は色んな能力がある。そして相手のステータスも見る事ができるの。私は色んな人を見てきたけど、貴方のステータスは見れなかった」
「???」
目の前の女に、なんて言われているのか、頭が追いつかない。
(鑑定されたのに、俺のステータスが見えない?なんでだ?)
混乱している俺をよそに、女は話を続ける。
「そんな相手はいなかった。それに私は、ステータスを見なくても、その人がどれくらいの強いのか、なんとなく分かるの。それで貴方が強い事は分かった。それにただ強いだけじゃなくて、何か他の人とは違うと感じた。だから、直感でパーティを組むべきだって感じたの。だからここまで貴方を追ってきた、声をかけるタイミングが分からなくて」
(ここまで追ってきたのは、俺の実力を見るためじゃなくて、単に声をかけるタイミングが分からなかっただけか、確かに俺は、ここまで止まる事はなかったからな。
それにしても、まさかパーティを組もうと言われるとは思わなかった。試験中も実力は隠したし、目立った行動も特に取らなかったからな。げんやタツのようなギルドに近い冒険者じゃなければ、パーティを組むデメリットは少ない。女の持つ心眼のせいで、俺の反転が知られるのも時間の問題なような気がする。それに、なんだか、目の前の女の事は、信じて良いような気がする。
まぁ、そう言うのを抜きにしても、試験の時に見せた実力。それにユニークスキル心眼という、汎用性の高そうなスキルを持っていることから、パーティを組むのは、メリットの方が多そうだ)
「要件は分かった。だが、いきなりパーティを組む事は出来ない」
女が、明らかにがっかりした気配を見せる。その態度に、俺も少し動揺してしまった。
「お、落ち込むなよ。パーティーを組むと言って、すぐパーティを組むものじゃないだろ?お互いの実力や、戦い方にも相性がある。お互いの実力を見せ合ってからでも、パーティーを組むのは遅くないだろ?」
俺が何を言いたいのか分からないのか、女は不思議そうな顔をしている。
「つまりだ、パーティのお試し期間だ。そのお試し期間で、お互いに良さそうだと思ったら、パーティを組む、それでどうだ?」
俺の言葉に、女は顔を明るくさせる。
「私は問題ない、それでいこう」
「それで決まりだな」
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