現代ダンジョンで成り上がり!

カメ

文字の大きさ
上 下
43 / 73

42話 お試し期間1

しおりを挟む

「私は問題ない、それでいこう」

「それで決まりだな。俺の名前は四ノ宮翔だ。君は?」

「私は、如月きさらぎ芽依めい。めいって呼んで」

「じゃあめいって呼ぶな。俺のことはかけるって呼んでくれ」

「分かった、翔」

「おう、じゃあ行くか。よろしくな芽依」

「うん、よろしく翔」

俺と芽依は、六層へと進み出した。


「お試しって、どこまで?」

歩き出して少し経ち、芽依がそんなことを言ってきた。

「そうだな。俺は今日、10層まで行こうと思っているから、そこまででどうだ?」

「問題ない」

「そうか、芽依は門限とかはあるのか?見た感じ高校生だろ?」

芽依は黒のショートカットで顔はまだ幼さを残してはいるが、かわいいというよりも綺麗と呼べる容姿をしている。けして、見た目でパーティを組もうとしているわけではない。背丈は160㎝くらいだ。見た目の幼さから、高校生くらいだと予想した俺は、芽依にそう聞いた。

「そう、だけど門限はない。うち、放任主義だから。それに親は共働きで夜遅くまで帰ってこない」

「そうか、でも遅くならないようにするか」

「、、ありがとう」

俺の言葉に、芽依が小さくお礼を言ってきた。

「どーも」

そんな話をしていると、目の前にゴブリンが3体出てきた。

「どうする?俺がやるか?」

芽依の実力が分からなかったため、俺は芽依に聞く。

「ううん、翔に私の実力を見せるために、私がやる」

そう言うと、芽依は背に背負う大きな大剣を抜く。

「いく」

短くそう言うと同時に、芽依は低い体勢でゴブリンとの距離を詰める。その速さは、反転を使った時の俺の速さ以上かと思うほどだ。

(あんな大きな大剣を持っているのに、凄い速さだな)

あっという間にゴブリンとの距離を詰めた芽依は、横に大剣を一閃する。

近くに集まっていたゴブリンは、たった一閃したことで全てが胴体と頭を離され、命を散らした。

(芽依の実力は相当のものだな。今の俺よりもステータスは上か?これでまだレベル1とは、末恐ろしいな)

そんなことを考えていると、芽依は魔石を拾って帰ってきた。

「ただいま。私の戦い、どうだった?」

「凄かった。それにその大剣の切れ味も凄まじいな。芽依のSTRも凄いんだろうが」

「ありがとう、私とパーティーを組む気になった?」

「それはまた別だ。それにお試しは十層を攻略するまでと言っただろ?」

「残念」

芽依はそう言って、すこし残念そうな顔をした。それだけ今の戦いは自信があったんだろうか?

「まぁ、今の戦いでパーティーを組む未来がぐっと近づいたのは確かだ」

俺がそう芽依に言うと、芽依は嬉しそうに笑った。俺はそれに一瞬目を惹かれたが、すぐに気を持ち直し、芽依に声をかける。

「次行くぞ」

「うん」

歩き出して少しして、すぐに俺のセンサーに素早く接近してくる魔物が引っかかった。

「この速さ、ウルフか」

センサーに引っかかった方向を見ると、ウルフが3頭こちらに向かって来ていた。芽依の方を見ると、とっくにそちらの方を向いていた。

(心眼の効果か?)

「これは俺に行かせてくれ」

「いいよ」

俺と芽依は短いやり取りで、ウルフ戦は俺に任せてもらえる事になった。

「よし行くぞ。速い敵は、こちらから距離を詰めてやる」

「ッ!」

「ッガル!」

まだ少し遠い場所にいるウルフに向かって、反転(跳)で距離を詰める。後ろの方で息を飲む雰囲気を感じたが、それは思考の外に出す。

急に距離を詰めてきた俺に対して、ウルフ達は戸惑った雰囲気を出し、俺に対して攻撃を仕掛けるために急停止をしようとした。しかし、それなりのスピードを出していたため、すぐに急停止など出来るはずもなく、体勢を崩す。

「速さが命のウルフも、こうなると型なしだな」

体勢を崩したウルフは隙だらけなため、2匹を素早く仕留める。

「ガル!!」

俺が2匹を仕留めている隙に、体勢を整えたウルフは、俺に向かって口を大きく開けることで攻撃を仕掛けてきた。

「1匹しかいないウルフなんて怖くないな」

ウルフの怖いところは、速さと多数のウルフによって行われる連携攻撃だ。体勢を整えたといっても、速さの乗っていない攻撃と、連携でない直線的な攻撃は、俺にとっては全く脅威ではない。

(反転(付与))

俺は、ウルフが攻撃してくる直線的な攻撃の戦場から少し体をずらすと、ウルフは俺の横すれすれを通る、、はずだった。

「キャンッ!」

俺の横を通ろうとしていたウルフは、何かにように、横に飛んでいった。

「なんでだ?」

その突然のことに驚いたが、突然弾かれたウルフが受け身を取れるはずもなく、地面に転がったウルフは隙だらけだ。そんなウルフに素早くとどめを刺す。


「、、、あっ!俺、反転(鎧)を使用しているままだった!」

なぜ今のことが起こったのかについて考えていた俺は、その理由が反転(鎧)である事に気がついた。

「反転?」

考え込んでいたため、芽依が近づいてきている事に、俺は気がついていなかった。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ミコトサマ

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

俺だけが持つユニークスキル《完全記憶能力》で無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:727

魔王転生

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:313pt お気に入り:23

最愛の人がいるのでさようなら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:62,103pt お気に入り:638

私が王女です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:12,630pt お気に入り:136

初恋の王女殿下が帰って来たからと、離婚を告げられました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:70,297pt お気に入り:6,933

これがホントの第2の人生。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:867

処理中です...