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第1部 目指せゲームオーバー!
第12話 初めての武器屋(後編)
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リフレの説明は簡潔だったが、それでも「どういうことだよ」とツッコまざるを得なかった。
ケアレ氏は凄腕の鍛冶職人で、彼の造る武器はそのほとんどは、元魔王も認める超一級品。
だが、10パーセントの確率でハズレがいる。
いや、パチンコかよ。
店の看板が【Carele's Smith Shop】ではなく【Carele Smith Shop】になっていたのも、発生率10%の凡ミスってことか。
職人が看板をミスるんじゃあねぇ。
「フッ、情報が古いぞリフレ。それはお前がこの村を出たときの話じゃ、ワシも成長するんじゃよ」
パチンコジジイから、自信満々に訂正が入った。
どうやらもう凡ミス癖は克服したらしい……。
「今では19回に1回に減っておる」
「そもそもミスをなくしてくれねぇかなぁ!!」
あとどうせ19回まで行ったなら20回まで行ってほしい。
ドルーオも困惑しているのか、何とも言えない表情で固まっている。
200年近い年月を生きても、さすがにこんな特殊すぎる職人を見るのは初めてなのだろう。
「安心しろ、元々は金細工の一級工匠だったんじゃ。刀身の出来なら、鍛冶一筋の職人にも負けんわ」
「ごめん、論点そこじゃねぇんだわ」
「確かに、刀身にはわずかな歪みも欠けも見られない。研ぎの具合いを見るに、切れ味も申し分ないだろう」
「だからドルーオも、論点そこじゃないんだって」
短時間にツッコミ連発して疲れたわ。
現状ツッコミどころがないのはリフレくらいか。
「……じゃあドルーオ、オレの武器を選んでもらっていいか?」
「む、そうだったな」
「忘れてたんかい……」
チラリと視線を向けると、少し退いた場所からリフレが微笑みを向けていた。
どちらかと言うと、ドタバタを見守って楽しむタイプのようだ。
隣では天の声が我関せず状態で武器を見ている。
助け船出してくれよ。
「ふむ……カイトはあまり運動能力が高くなさそうだから、近接武器ではなく魔道具の方がいいか……どんなものが好みだ?」
「え?」
不意にドルーオに訊ねられ、答えに詰まる。
まず魔道具が何かを知らないし、どんなものが好みかと訊かれても、少し悩んでしまう。
自分の設定とかマル秘ノートにまとめてる中二病なら、即決できるのかねぇ。
とりあえず天の声に質問する。
「魔道具って多分、魔法の使用をサポートする道具のことだよな?」
「なんで知ってるの……? そうだよ。広い意味では、普通の刀剣も魔道具に入るね」
「そうなの?」
「刀身に魔法を纏わせる《魔纏》って技があってね」
「へー。まぁ近接とかできる気しないからナシとして、魔道具には種類とかあるの?」
「杖の形した杖型と、手に直接装備する手袋型と、弓矢とかスリングショットの形した弓矢型の3つ。まぁこの3種類で性能に違いとかないけど」
「ないのかよ」
「どれも魔法の射程距離と狙いやすさを補助してくれるけど、そこに差とかないよ」
「あれよ」
あれこれ考えた末に、オレは答えを出した。
「……無くしたり盗まれたりするの怖いから、そういうのがないといいなー」
やれ変身に必要なアイテムを奪われた魔法少女だの、杖を強奪された魔法使いだの、そういった類をオレは何度か見てきた。
フィクションなら大抵その後も何やかんやあって上手いこと展開が進むことが多いが……悲しいかな、いざ自分が魔道具を紛失しても上手く立ち回れるという自信はない。
「ふむ、であれば……これだな」
そんな言葉と共に、オレの前に白銀の籠手がずいっと差し出された。
さっき天の声が言っていた手袋型の魔道具の1つか。
手の甲の部分に、魔法の発射口と思しき穴が空いている。
「これなら紛失や盗難の心配はない。手に持って狙う必要もないから、魔道具なしで魔法を使っている今の感覚そのままで使えるだろう」
流れるような説明に思わず聞き入っていると、ケアレ氏の声が耳に入ってきた。
「ほう、お主は見る目があるな。それはワシがこれまでに造った武器の中でも、2番目の出来のものじゃ」
「2番目?」
「1番はどんな武器なんだ?」
オレとドルーオがそう訊ねた瞬間、ケアレ氏の目が輝いた。
いや、目と言うか顔がキラキラしてる。
「ワシの職人人生で最高の出来を誇るのは、1月ほど前に造った《魔剣ストリーク》じゃ。雷の魔力を宿した、尋常でない硬さの狼の爪を……」
「ド、ドルーオさん、天の声さん! お2人も何か、予備の武器とか買った方がいいんじゃないですか!? これからの旅で何があるか分かりませんし! その方がいいですよ!」
いきなりリフレが大声で申し出た。
突然の奇行に困惑しつつも、2人はすぐに応じた。
「あ、あぁ……確かに、不測の事態に備えておいて損はないな……」
「そ、そうだね……」
「そうですよ!」
驚いているオレ達に、リフレはうんざりしたような表情で耳打ちした。
「ケアレさん、魔剣ストリークの話になると長いんです……」
「じゃあ、あそこで止めて正解だったか……」
「ありがとなリフレ……」
しかしオレは、内心ではストリークなる魔剣が気になっていた。
魔剣などロマンの塊だ、当然気になる。
だが、すぐにオレは知ることになる。
それがどんな魔剣か、その身をもって、嫌というほど。
その持ち主とオレは、同じ場所を目指しているのだから。
(つづく)
ケアレ氏は凄腕の鍛冶職人で、彼の造る武器はそのほとんどは、元魔王も認める超一級品。
だが、10パーセントの確率でハズレがいる。
いや、パチンコかよ。
店の看板が【Carele's Smith Shop】ではなく【Carele Smith Shop】になっていたのも、発生率10%の凡ミスってことか。
職人が看板をミスるんじゃあねぇ。
「フッ、情報が古いぞリフレ。それはお前がこの村を出たときの話じゃ、ワシも成長するんじゃよ」
パチンコジジイから、自信満々に訂正が入った。
どうやらもう凡ミス癖は克服したらしい……。
「今では19回に1回に減っておる」
「そもそもミスをなくしてくれねぇかなぁ!!」
あとどうせ19回まで行ったなら20回まで行ってほしい。
ドルーオも困惑しているのか、何とも言えない表情で固まっている。
200年近い年月を生きても、さすがにこんな特殊すぎる職人を見るのは初めてなのだろう。
「安心しろ、元々は金細工の一級工匠だったんじゃ。刀身の出来なら、鍛冶一筋の職人にも負けんわ」
「ごめん、論点そこじゃねぇんだわ」
「確かに、刀身にはわずかな歪みも欠けも見られない。研ぎの具合いを見るに、切れ味も申し分ないだろう」
「だからドルーオも、論点そこじゃないんだって」
短時間にツッコミ連発して疲れたわ。
現状ツッコミどころがないのはリフレくらいか。
「……じゃあドルーオ、オレの武器を選んでもらっていいか?」
「む、そうだったな」
「忘れてたんかい……」
チラリと視線を向けると、少し退いた場所からリフレが微笑みを向けていた。
どちらかと言うと、ドタバタを見守って楽しむタイプのようだ。
隣では天の声が我関せず状態で武器を見ている。
助け船出してくれよ。
「ふむ……カイトはあまり運動能力が高くなさそうだから、近接武器ではなく魔道具の方がいいか……どんなものが好みだ?」
「え?」
不意にドルーオに訊ねられ、答えに詰まる。
まず魔道具が何かを知らないし、どんなものが好みかと訊かれても、少し悩んでしまう。
自分の設定とかマル秘ノートにまとめてる中二病なら、即決できるのかねぇ。
とりあえず天の声に質問する。
「魔道具って多分、魔法の使用をサポートする道具のことだよな?」
「なんで知ってるの……? そうだよ。広い意味では、普通の刀剣も魔道具に入るね」
「そうなの?」
「刀身に魔法を纏わせる《魔纏》って技があってね」
「へー。まぁ近接とかできる気しないからナシとして、魔道具には種類とかあるの?」
「杖の形した杖型と、手に直接装備する手袋型と、弓矢とかスリングショットの形した弓矢型の3つ。まぁこの3種類で性能に違いとかないけど」
「ないのかよ」
「どれも魔法の射程距離と狙いやすさを補助してくれるけど、そこに差とかないよ」
「あれよ」
あれこれ考えた末に、オレは答えを出した。
「……無くしたり盗まれたりするの怖いから、そういうのがないといいなー」
やれ変身に必要なアイテムを奪われた魔法少女だの、杖を強奪された魔法使いだの、そういった類をオレは何度か見てきた。
フィクションなら大抵その後も何やかんやあって上手いこと展開が進むことが多いが……悲しいかな、いざ自分が魔道具を紛失しても上手く立ち回れるという自信はない。
「ふむ、であれば……これだな」
そんな言葉と共に、オレの前に白銀の籠手がずいっと差し出された。
さっき天の声が言っていた手袋型の魔道具の1つか。
手の甲の部分に、魔法の発射口と思しき穴が空いている。
「これなら紛失や盗難の心配はない。手に持って狙う必要もないから、魔道具なしで魔法を使っている今の感覚そのままで使えるだろう」
流れるような説明に思わず聞き入っていると、ケアレ氏の声が耳に入ってきた。
「ほう、お主は見る目があるな。それはワシがこれまでに造った武器の中でも、2番目の出来のものじゃ」
「2番目?」
「1番はどんな武器なんだ?」
オレとドルーオがそう訊ねた瞬間、ケアレ氏の目が輝いた。
いや、目と言うか顔がキラキラしてる。
「ワシの職人人生で最高の出来を誇るのは、1月ほど前に造った《魔剣ストリーク》じゃ。雷の魔力を宿した、尋常でない硬さの狼の爪を……」
「ド、ドルーオさん、天の声さん! お2人も何か、予備の武器とか買った方がいいんじゃないですか!? これからの旅で何があるか分かりませんし! その方がいいですよ!」
いきなりリフレが大声で申し出た。
突然の奇行に困惑しつつも、2人はすぐに応じた。
「あ、あぁ……確かに、不測の事態に備えておいて損はないな……」
「そ、そうだね……」
「そうですよ!」
驚いているオレ達に、リフレはうんざりしたような表情で耳打ちした。
「ケアレさん、魔剣ストリークの話になると長いんです……」
「じゃあ、あそこで止めて正解だったか……」
「ありがとなリフレ……」
しかしオレは、内心ではストリークなる魔剣が気になっていた。
魔剣などロマンの塊だ、当然気になる。
だが、すぐにオレは知ることになる。
それがどんな魔剣か、その身をもって、嫌というほど。
その持ち主とオレは、同じ場所を目指しているのだから。
(つづく)
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