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4章
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しおりを挟むこの人は、私を殺そうとした国王。
私を殺すために、遠いところからわざわざ追いかけてきた人。
記憶の中での私がそう心に訴える。
だけど、心は嵐のように荒れ狂う。こんな感情、なぜこの人に持つのか。
「ヒナタ、だまされちゃだめ」
リリとまったく同じ顔をした人が呪文と呪文がぶつかっている光の向こうから叫んでいる。
「ヒナタ、あの人たちはあなたを手に入れるために惑わす作戦なのよ。だまされちゃダメ」
リリが必死に結界を強くしながら私に向って叫ぶ。
私を惑わす?同じ顔して二人とも同じことを言って意味がまったく違う。
頭がごちゃごちゃになりそうになってガシガシとかく。
「ヒナタ!」
今度は国王が私の名前を呼ぶ。
この声、聞いたことがある。
どこで?
思わず両耳を触る。
「ヒナタ」
どうして私を呼ぶの?
私を殺しに来たんでしょ?
「いや、あなたは私を殺しに来たんでしょ?私の名前を呼ばないで!」
大きな声で叫ぶ。
リリの呪文の声がさっきよりも一層大きくなり、
赤い光が飛び出てきた。
それでも国王は私の名前を呼びながら近寄る。
「ヒナタ」
切なそうでそして何かを訴えながら一歩一歩近づいてきた。
リリの光の近くまでよると、すっと手を差し伸べる。
「いや・・・・・。こ、こないで~!!」
彼の声は私の頭の中に響いて嵐を呼ぶ。
聞いたことある、懐かしいと思ってしまう声。
私の中の記憶が熱い感情を呼び覚ます。
あの青い瞳。
あのサラサラの銀髪。
優しく絡めてくる指。
あの手を私は覚えている。
私たちのいる部屋のなかに大きな風が吹く。
風は、グルグルと私を中心に竜巻のように渦巻き部屋中の本や
飾ってあったものが飛んでいく。
「うわっ」
「きゃっ」
風の強さでとても立っていられない。
「あ、あれは!」
リリがあわてて魔法を解き、
あるものを追いかけだした。
透明のガラスで出来たボールが風に飛ばされ宙に浮いてガンガンと壁にぶつかり、
壊れそうになる。
あのボール、どこかで見たような気が・・・・。
リリが捕ろうとした所をどこから現れたのか野獣がふわりと飛んで口にくわえた。
「返して!」
なにやら呪文を野獣にむかって唱えようとする。
「そうはさせないわ」
眼鏡をかけた女の子がリリに向って光を放った。
「あぶない!」
その光からかばうように私はリリの前に立ちはだかった。
ドンッと光に飛ばされ、
部屋の壁に打ち付けられた。
それと同時に部屋の中に吹き荒れた風がピタリとやんで、
一斉に飛ばされていたものがバサリと落ち、静かになった。
「いったぁ」
腕をさすりながら立とうとした瞬間、
「大丈夫?」
と手を差し伸べ私を立たせたのは、国王だった。
手を離してもらおうと振りほどいても国王の握力がずっと強くって
離してもらえない。
「ちょっと、手を離して」
そういって睨んだ瞬間。
国王は私を抱きしめた。
ふわりといいにおいがした。
そしてとても暖かった。
このぬくもりも私は知っている。
「離さない、ぜったいもう離さない」
ぎゅうっと苦しいほど抱きしめる力が強くなり、なぜかその力に安堵感があふれる。
国王の声が震えていた。
なぜあなたがそんなことするのよ。
あなたは私を殺そうとしていたんでしょ?
それなのになぜ?
急に私を後ろにまわしてリリから隠すようにした国王は叫んだ。
「もう、お前の好きなようにはさせない。
ヒナタは、絶対わたさない」
静かに静かに怒りを表している声は、部屋中に響いた。
後ろにいても震え上がるくらい怖かった。
「渡さないといってもそれはヒナタが決めることじゃないの?
ヒナタはあなたのところに行きたいと思ってるのかしら?」
リリは国王の怒りをなんとも思ってないようにさらりとかわす。
「そうでしょ?ヒナタ。さあ、こっちにいらっしゃい」
私はあわててリリのところへ戻ろうとしたが、国王の腕がそれを許してくれない。
いつの間にか野獣が国王のそばに来て口の中からガラスのボールを差し出した。
右手でそれを受け取りながら野獣を見る。
「そ、それは!返しなさい!」
リリのあわてた声が聞えた。
「これはヒナタのものだ。返してもらおう」
そう言ってそのガラスボールを床に落とした。
ガラスは、砕け散って中からたくさんの色を持った煙が私の体を包み込む。
そして私は気を失った。
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