普通の女子高生が異世界に行っても魔法は使えませんがたくましく生きます。

アオ

文字の大きさ
28 / 66
2章

14

しおりを挟む


 「で、なんでヒナタの気持ちをわからせる必要があったのですか?」

 ロンと日向がいなくなった部屋で、ロールがニコにたずねた。

 「なんでって、どういう意味ですか?」

 ニコは2人が走り去った後を見つめていた。

 あの2人なら大丈夫だよね・・・・。

 そう信じたい。信じないと先に進めないのだ。

 ニコの質問には答えそうにないロールのほうを向きなおし彼をじっと見つめた。

 しばらく見つめ合っていたが、ニコが観念したかのようにため息をついた。

 「わかりました。話します。その代わり、2人にはまだ言わないでください」

 ニコの真剣な表情をまるで心の中まで探るように見つめていたロールは静かにうなずいた。

 「彼女がこっちの世界に来る少し前、占いで出たのです。彼女が来ることが。

 それから、スターター国の不穏な動きについても占いに出てました。

 スターター国は今のこの国には手ごわすぎます。

 近隣の国にかなり手を回して確実に手に入れようとしています。

 そこまでしてもこの国がほしいようです。なぜだかわかりますか?」
 
 ニコの質問に静かに答えた。
 
 「水と土・・・・ですか」

 その答えにニコリと笑った。

 「さすが文官長。調べはついてるみたいですね。この国の水はなぜかどの国のものよりも澄んでいており、

 土の状態が良いため、作物の育ちがいいです。
 
 その作物は栄養・味・見た目どれをとっても世界一です。それゆえに、誰もがこの国に水や土を求め、

 人が集まります。人が集まれば国が豊かになっていきます。土地と水は誰も作ることが出来ない。

 それゆえ、人はそれを追い求めてしまいます。」

 ニコの言葉はロールが考えていたものと同じだった。

 「この国を制覇するにはどうしたら一番いいと思います?」
 
 「この国の弱点・・・・。予言の少女ですか」

 その答えにまたニコリと笑った。

 「そう、ヒナタです。まだ、この国の支えでもあり、この国のもっとも弱いところ。

 今のうちに彼女を消すことが出来れば国全体の大ダメージとなって、そこで一気に攻め込む・・・。

 だけど、意外とヒナタ自身がが強かった。なかなか消すことが出来ない。となれば、ヒナタをこの国から

 追い出すことを考える・・・・」

 この国から追い出す?どうやって?

 「占いでは、国王とヒナタの仲を引き裂くと出ました。お互いの気持ちを利用して」

 ニコの言葉はとても冷たいものだった。

 「東の魔女は利用できるものは何でも利用します。たとえ人の心でも。お互いが惹かれあうことは

 占いに出ました。そこを東の魔女はついてくると思います」

 東の魔女はとても冷酷で計算高いと聞いている。ニコのいってることは間違いないだろう。

 「下手な戦争を仕掛けてくるより怖いと思います。心理的にせめてきますから。というか、

 じわじわときてるんですよ、実際。気づいているでしょ?」

 ロールは神官もかねており、王宮の結界を彼がほとんどやっていた。

 ここ最近、結界に入り込もうとする人数が増えているのだ。

 「きっと向こうも焦ってきてると思います。だんだん、お互い惹かれあってきてますから。

 惹かれあって2人の気持ちが通じたらもう手出しは出来ないと占いに出てます」

 その言葉にロールは疑問に思った。
 
 「でも、2人の仲を引き裂くと出たのでは?」

 ふふ~んとニコは笑っていた。

 「2人の気持ちがつながったらもう最強です。これは絶対なんです。先代の予言ですから。

 だから、2人の気持ちがつながる前じゃないと東の魔女の手だしが出来ない・・・」

 ここまで話すとニコはふーっと息をついた。

 「邪魔が入る前に2人にはくっついていただかないとこの国は本当に危険でした。

 でも、人の感情を操作したくない。それだけはやってはいけない。

 だから王宮に入り込んで2人を見守りました。その先は知ってますよね」

 「お互い惹かれあってるのに想いを告げることもしなければ、
 
 なかなか先に進もうとしない・・・」

 ロンとヒナタの周りはみなが気づいておりながら口出すことも出来ず、

 ハラハラドキドキしていたのだ。

 「なのでちょっとだけ手をださせていただいたのです。

 だけど、お互いの心は操作してません。それだけは絶対です。

 心配をかけて申し訳ありませんでした」

 そういうと、ニコはロールに深く頭を下げた。

 「もう一つ、あなたが西の魔女だという確証は?」

 「これでよろしいでしょうか?」

 ニコは右の手のひらの円陣を見せた。

 西の魔女には右手、東の魔女には左手に魔方陣のあざが生まれつきあるのだ。

 ニコが呪文を唱えると右の手のひらの円陣から虹が出てきた。

 淡いパステル色の虹は一つだけではなくいろんな七本の虹がきれいな半円を描きクロスして

 とても幻想的でいつまでも見つめていたい暖かい気持ちにロールはなった。

 それこそが西の魔女の証であり、彼女の力の大きさだった。

 「東の魔女は次の手を打ってくるでしょう。私は私なりに力の限りこの国を

 守らないと。この国が平和であり周りの国々とつながることで世界の平和につながるのです」

 ニコの言葉にロールは暖かいものを感じながら、うなずいた。

 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

処理中です...