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3章
1
しおりを挟む暗い暗い部屋に一つだけろうそくに明かりが灯る。
ろうそくは、自ら指定の位置に動き、そして部屋全体に、
火をともし明るくする。
明るくなったその部屋に、一人の美女が現れた。
その美しさはとても妖艶で、うっとりとするほどだ。
美女は、部屋にある鏡の中をしばらく覗いていた。
そして、その鏡の中に手を入れ、何かを手にしていた。
ポカポカと温かい日差しの中、ジャージを着た私は
お気に入りの芝生の上に三角座りをしてぼんやりと空を眺めていた。
ロンと両思い。
両思いかぁ。
はぁ。
そのため息はピンクピンクしていた。(ニコによる発言。)
初めて人を好きになった。
あ、幼稚園の頃、同じ組の祐くんが好きだったっけ。
やさしかったもんなぁ。祐くん。違う小学校に行ったから会えなくなって疎遠になったけど。
その後は・・・・・。恋愛色一切なし。
小学校から剣道やら武道を始めたせいかな。
上達していくことが楽しすぎて恋愛なんて考えもしなかったし、
ぶっちゃけ生きて生活していくことが大変だったんだよね。
それも、さびしい人生だったなぁ、私って。
でもいいんだぁ。
かっこいい彼氏ができたんだもーん。
まさか、この私にあんな彼氏が出来るとは。
いいのかなぁ、こんな私で。
がさつだし、とりえといったら武道ぐらいで、
女らしいところないしね。
ついでに、胸もない。
頭も・・・・・・。
いかんいかん、そんなこと考え出したらどんどん深みにはまっていく・・・・。
「確かにそうだよな」
後ろから、声がした。
「なんで私の心の中が読めるのよ」
睨みながら振り向くとニヤニヤしたロンが立っていた。
「だから、独り言で出てたって。
それに、みんな見てるよ」
はっと周りを見渡すと動物達がにやけながら囲んでいた。
そうだ、日向ぼっこする為に、芝生の上で座ったままだった。
「ねえ、その祐くんとはどうなったの?」
隣に座りながらロンは動物達の頭を撫でている。
「べつに、どうともなっていないよ。
淡い初恋だったのさ」
ふーんと言いつつ、つまらなそうな表情。
「自分で話振ったくせに。そんな顔しないの」
そういって思いっきり両頬を伸ばしてやった。
綺麗な顔を伸ばすのってへんなの。
ププッ。
「なんで、やきもちってわかんないのかね」
ブツブツとロンが何か言ってるのも聞こえないくらいに笑ってしまった。
「あー、おかしかった。こうしてるとさ、この国が危機だって忘れそうだよね」
ごろんと、草むらに寝転びながら言った。
「そうだな、ここ数日、スターター国の動きも見られてないし。
だが、静か過ぎるのも気持ちが悪い」
真剣な表情でロンが答えた。こんなときのロンは王様の顔に戻る。
国のみんなを守る為にどうしたら良いのか、きっと考えてるんだろうな。
「いっそ、スターターに行ってみる?」
私の爆弾発言にかなり驚いている。
「なんでそんなこと言うんだ、命がいくつあっても足りないぞ」
良い考えだと思ったんだけどな。
「だってさ、戦争はしたくない。でも、今の状況を変えなきゃいけない。
そしたら話し合いしかないでしょ?私がいた世界でもいろんな国の会議とかあったよ。
お互いの国を結びつけいかにみんなで住みやすい世界にするか、
何度も何度の話し合ってるの。中には戦争で片をつける国もある。
でも、それは結局罪のない人たちが犠牲になって、うえに立ち人間は無傷どころか、
裕福な生活をしてるの。それって変だよね。
犠牲を少なくしていかに決着をつけるかって、国をまとめる人間の勤めでしょう?
そしたらさ、こっちから行って話し合いをしましょうって訴えるのが一番じゃないかと思うんだ」
「それが通じる相手じゃないから悩んでるんじゃないか」
「通じるって、国中のみんながそんな考えなの?そんなわけ無いと思うよ」
どこの国にも、話がわかってくれる人はいるはず。
私が何を言いたいのかわかったロンはじっと見つめていた。
「やっぱりヒナタには敵わないな」
そう言ってホッペにキスをしてきた。
「実は同じことを考えていてね、向こうの国に行って偵察している人物から、
話がつく人たちの候補を絞ってもらっているんだ」
こっちの世界で言う007みたいな人がいるんだろうな。
「ただ、東の魔女がくせものでね、こっちの行動を読もうとあらゆる術をかけてくるんだ」
東の魔女・・・。
とても残虐でそしてとても美しいといわれている。
その美しさに、魂を奪われるほど。
実に恐ろしい存在だった。と、書物には書かれている。
しかし、こっちには西の魔女がいる。
「ニコは、絶対東の魔女になんかまけない」
うん、ニコなら大丈夫。
「あら、ありがと」
そう声がしたと思ったら急に目の前に現れた。
しかも、メイドの格好で。
「びっくりしたぁ~。」
ほんとにびっくりした。こんなことさらっとされるとやっぱり魔法使いだなって思う。
「ごめんごめん、2人でいるところを邪魔したくなかったんだけど、
ちょっと気になることがあったから。面倒なことになったの」
そう言ったニコの表情にはいつものような笑顔がなかった。
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