普通の女子高生が異世界に行っても魔法は使えませんがたくましく生きます。

アオ

文字の大きさ
33 / 66
3章

5

しおりを挟む


 私は迷っていた。

 差し伸べられた手をとるかとらないか。

 迷っているうちに相手の手が私の手をとって倒れていた私を引き上げた。

 「君・・・。大丈夫?」

 明らかに、高級そうな身なりをしているこの男性。

 白地に金の刺繍があちこちに入った服なんて普通は着れないだろう。年齢は二十歳ぐらいだろうか。

 深いエメラルドグリーンの切れ長の瞳に長い金髪を一まとめにしている。
 
 そしてあまりにも綺麗な顔をしすぎてなんだか現実味がない。

 ロンも綺麗な顔をしているが、この人はまた違う綺麗さというか、

 ちょっと近寄れない冷たい感じがする。

 私の中の野生のカンがかかわらないほうがいいと言っている。

 「あ、ありがとうございます」

 おずおずと立ち上がって早々にこの場から去ろうとした。

 が、相手は手を離してくれそうにない。

 「あの・・。手を離して頂けませんか?」

 日向は困った。相手がなかなか手を離すどころか、顔をまじまじとみられ、

 逃げられないのだ。

 「君、最近来たの?名前は?」

 「ヒナと申します。昨日からここでお世話になっております」

 下手に逃げると怪しまれるだろう。ちゃんと挨拶して立ち去れば良い。

 相手もそれに納得したのか日向の手を放してくれた。

 が、しかし。

 「ねえ、後から僕の部屋に来てくれない?いい物みせてあげるよ」

 なにを急にこの人はいってるんだろう。

 それに初対面で何者かもわからんのに部屋に行けるわけがない。

 きっと誰もがこの人を知っているぐらい有名な人なんだろうけど、

 あいにく私はこの国の人間じゃないんだけどな。

 立場上、人に命令するのに馴れている口調だし、

 なんだか、変な人にぶつかったみたい。

 しばし困惑していると、くすくす笑い出した。

 「別に君を襲うつもりはないよ。ただ、今の君が一番ほしいものと思うけど」

 私が一番ほしいもの?というか、私が何者か知ってるの?

 頭の中はハテナマークだらけになっている。
 
 「そうだなぁ、真夜中に来たほうが面白いかもね。待ってるから」
 
 そういうと、手をヒラヒラと振りながら鼻歌を歌い去っていった。

 「何者なのよう・・・」

 取り残された日向はつぶやいた。

 大体、真っ黒な髪と、瞳はニコに茶色に染めてもらった。だから、見かけはこっちの人間とかわらないはず。

 言葉も、問題ない。

 だから、正体はばれてないはずだけど・・・・・。

 誰かに相談したくても、もちろん携帯はないから相談できないし。

 困った。どうしよう・・・・。

 










 そのころ、ニコはルルにいきさつを話していた。

 「で、私たちが国を脱出するときに隠れ蓑になるようなでかいことをやってほしいのよ」
 
 「でかいことねぇ・・・・」

 ルルは考え込んだ。

 「あら、あなた火薬系の魔法は誰よりも優れてたじゃない。どかーんとさ。好きなようにやって」

 ニコの適当な言い方にルルは吹き出した。まったく、師匠は相変わらずだ。

 「どかーんて。それにそんなにでかいことするには費用が・・・」

 「うん、大丈夫。フォレット国で領収書切ってて」

 領収書って・・・・・・・。

 でも、面白そう。ニコには恩があるし。ここで、フォレット国に恩を売ってて損はないだろう。

 「それにね、今後ルルが起こすであろう事に関しても協力するってさ」

 さすが、太っ腹だね。あの国王。

 でも、私が計画してることなんで読んでるのさ。

 うちの情報はかなり厳しく漏れないようにしているというのにどうやって情報収集したのやら。

 まったく、恐ろしい人だね。

 今から作るとしても数時間はかかる。でも、間に合わないわけではない。

 そこに運ぶ時間も踏まえるとギリギリ・・・・・か。

 「わかったわ。その代わり、師匠も手伝ってよ。少しは火薬類持ってきてるんでしょ?

 ピン!みんなに呼びかけて計画を伝えな。一群には発光系の火薬を集めさせて、

 二群にはそれを運ぶ車を用意させて。三軍には王宮の様子をもらさずこっちに報告させて。

 四群にはでかいのあげるポイントのチェックと整備を」


 ピンと呼ばれた大男は久々のルルのわくわくした表情にニヤッと笑いながら

 「了解」

 とだけ言ってすぐに自分の仕事に取り掛かった。

 

 


 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※表紙はAIにより作成したものです。 ※小説内容にはAI不使用です。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」「カクヨム」様にも掲載しております。

処理中です...