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第一章
09.クラス担任を外されて
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春は始まりの季節。
始業式を終え、帰っていく生徒たちを職員室から眺めながら、矢神はふとそんなことをぼんやり考える。
生徒たちは今日から新学期を迎えていた。
今年度のクラス担任を受け持つことがなかった矢神は、少しだけ時間を持て余していたのだ。
六年教師を務め、三年間同じクラスの担任を受け持ち、矢神にとって自信を持ってもおかしくない時期だった。
しかし、内心はクラス担任を任されなくて良かったと安心していた。
今の自分がクラスをまとめられるわけがない。
クラス全員を卒業させることができなかった。そのことが矢神の頭から離れることはない。
自分の生徒を退学させてからというもの、上の空でいることが多く、集中力に欠けていると実感していた。
あの日も酔い潰れたせいで、朝起きた時には前夜の記憶が全くなかったのだ。
どうやってホテルに行ったのか、一人ではなく相手がいたのか、まるで覚えていない。
思い出そうとしても、慣れない酒が残っていて頭痛だけが矢神を襲ったのだ。
こんな軽率な行動は珍しいことだった。
自分が校長だったら、この教師には任せたくない。
実際のところはわからなかったが、今回はクラス担任を外されたと矢神は思っていた。
始業式を終え、帰っていく生徒たちを職員室から眺めながら、矢神はふとそんなことをぼんやり考える。
生徒たちは今日から新学期を迎えていた。
今年度のクラス担任を受け持つことがなかった矢神は、少しだけ時間を持て余していたのだ。
六年教師を務め、三年間同じクラスの担任を受け持ち、矢神にとって自信を持ってもおかしくない時期だった。
しかし、内心はクラス担任を任されなくて良かったと安心していた。
今の自分がクラスをまとめられるわけがない。
クラス全員を卒業させることができなかった。そのことが矢神の頭から離れることはない。
自分の生徒を退学させてからというもの、上の空でいることが多く、集中力に欠けていると実感していた。
あの日も酔い潰れたせいで、朝起きた時には前夜の記憶が全くなかったのだ。
どうやってホテルに行ったのか、一人ではなく相手がいたのか、まるで覚えていない。
思い出そうとしても、慣れない酒が残っていて頭痛だけが矢神を襲ったのだ。
こんな軽率な行動は珍しいことだった。
自分が校長だったら、この教師には任せたくない。
実際のところはわからなかったが、今回はクラス担任を外されたと矢神は思っていた。
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