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つんつん、と頬をつつかれたような感覚で目を覚ました。ぽやんとした視界は、数回瞬きを繰り返すとはっきりとしてくる。
見上げた先には白い天井。誰もいない。さっき触られたのは気のせいかなと思っていると、急に視界を黒い影が覆った。
「ランドルフ、起きた?」
影だと思ったのは黒い髪の毛だったらしい。記憶にない、黒い髪と青い瞳の男の子がじっとこちらを見ていた。でも、僕は誰だかわかるよ。
「あうあー!」
「うん、お兄様だよ、ランドルフ。アレクシスお兄様だよ」
やっとこの目で見ることが出来た兄に嬉しくなって手を伸ばすと、人差し指が差し出された。それを握りしめて引っ張り、反射的に口の中へ入れる。あむあむと指を噛むと、何故だか少し落ち着く気がした。兄は指を食べられているにも関わらず、嬉しそうな顔のまま頭を撫でてくれる。
しばらくそうしていると、部屋の扉の開く音の後に人の声が聞こえてきた。
「アレクシス、ここに居たのか」
「父様」
「神殿に行く準備がまだ済んでいないだろう。ランドルフも準備があるから、アレクシスも部屋に戻りなさい」
「……はい」
兄の少し残念そうな声と共に口に入れていた指をそっと離され、名残惜しくてバタバタと手足を動かす。それに気付いた兄は、ごめんねと謝りながらまた頭を撫でてくれた。
「また後で来るからね」
「ぶぅう」
「はは、ランドルフはアレクシスの事が大好きみたいだな」
「ええ、僕達は両思いですよ」
「仲が良くて何よりだ。さあ、時間があまりないからもう行きなさい」
また後でね、という兄の声が聞こえて直ぐに遠ざかっていく足音。もっと一緒に居たかったのにな。でもまた後でって言っていたから、すぐに会えるかな。
「ランドルフも準備しようか。アンヘル、頼んだよ」
「畏まりました」
父の声に続いたのは、これまたよく知る人だ。僕の『じじゅー』って人らしい。名前はアンヘル。
アンヘルはベッドから僕を抱き上げると、父の方へと向き直った。父はそれを見計らったように僕へと顔を近づけ、額にキスをする。くすぐったくてきゃっきゃと声をあげれば、優しく頭を撫でてくれた。
「それじゃあランドルフ、私も準備をしてくるからね。また後で会おう」
「うー!」
手を振って去っていく父に、真似をするようにぱたぱたと手を動かす。伝わったかは分からないけれど、アンヘルが僕の手を取って一緒にふりふりしてくれたから大丈夫だろう。
「それではランドルフ様、まずはお食事を済ませましょうね」
そういえばまだ起きたばかりだったことを思い出す。そして何故かこの体での食事は、サイカの時とはちょっと違うらしい。産まれたばかりの赤ちゃんはお母さんのお乳を飲むって思っていたのだけど、ここでは違うのだ。
僕には難しくて分からなかったけれど、赤ちゃんは『まそ』というものを食べるらしい。何時も僕が食べているのは、その『まそ』と言われるものが入った特別な飲み物。ちょっと不思議な味がする。でもそれが美味しくて、何時もお腹いっぱいになるまで食べちゃうの。
今日もいつも通りアンヘルからその『まそ』の入った飲み物をお腹いっぱいになるまで貰うと、体がぽかぽかとしてきて眠たくなってしまった。
「おやすみなさい、ランドルフ様。寝ている間に全て済ましてしまいましょうね」
小さく優しい声でそう囁かれると、するりと意識は落ちていく。
見上げた先には白い天井。誰もいない。さっき触られたのは気のせいかなと思っていると、急に視界を黒い影が覆った。
「ランドルフ、起きた?」
影だと思ったのは黒い髪の毛だったらしい。記憶にない、黒い髪と青い瞳の男の子がじっとこちらを見ていた。でも、僕は誰だかわかるよ。
「あうあー!」
「うん、お兄様だよ、ランドルフ。アレクシスお兄様だよ」
やっとこの目で見ることが出来た兄に嬉しくなって手を伸ばすと、人差し指が差し出された。それを握りしめて引っ張り、反射的に口の中へ入れる。あむあむと指を噛むと、何故だか少し落ち着く気がした。兄は指を食べられているにも関わらず、嬉しそうな顔のまま頭を撫でてくれる。
しばらくそうしていると、部屋の扉の開く音の後に人の声が聞こえてきた。
「アレクシス、ここに居たのか」
「父様」
「神殿に行く準備がまだ済んでいないだろう。ランドルフも準備があるから、アレクシスも部屋に戻りなさい」
「……はい」
兄の少し残念そうな声と共に口に入れていた指をそっと離され、名残惜しくてバタバタと手足を動かす。それに気付いた兄は、ごめんねと謝りながらまた頭を撫でてくれた。
「また後で来るからね」
「ぶぅう」
「はは、ランドルフはアレクシスの事が大好きみたいだな」
「ええ、僕達は両思いですよ」
「仲が良くて何よりだ。さあ、時間があまりないからもう行きなさい」
また後でね、という兄の声が聞こえて直ぐに遠ざかっていく足音。もっと一緒に居たかったのにな。でもまた後でって言っていたから、すぐに会えるかな。
「ランドルフも準備しようか。アンヘル、頼んだよ」
「畏まりました」
父の声に続いたのは、これまたよく知る人だ。僕の『じじゅー』って人らしい。名前はアンヘル。
アンヘルはベッドから僕を抱き上げると、父の方へと向き直った。父はそれを見計らったように僕へと顔を近づけ、額にキスをする。くすぐったくてきゃっきゃと声をあげれば、優しく頭を撫でてくれた。
「それじゃあランドルフ、私も準備をしてくるからね。また後で会おう」
「うー!」
手を振って去っていく父に、真似をするようにぱたぱたと手を動かす。伝わったかは分からないけれど、アンヘルが僕の手を取って一緒にふりふりしてくれたから大丈夫だろう。
「それではランドルフ様、まずはお食事を済ませましょうね」
そういえばまだ起きたばかりだったことを思い出す。そして何故かこの体での食事は、サイカの時とはちょっと違うらしい。産まれたばかりの赤ちゃんはお母さんのお乳を飲むって思っていたのだけど、ここでは違うのだ。
僕には難しくて分からなかったけれど、赤ちゃんは『まそ』というものを食べるらしい。何時も僕が食べているのは、その『まそ』と言われるものが入った特別な飲み物。ちょっと不思議な味がする。でもそれが美味しくて、何時もお腹いっぱいになるまで食べちゃうの。
今日もいつも通りアンヘルからその『まそ』の入った飲み物をお腹いっぱいになるまで貰うと、体がぽかぽかとしてきて眠たくなってしまった。
「おやすみなさい、ランドルフ様。寝ている間に全て済ましてしまいましょうね」
小さく優しい声でそう囁かれると、するりと意識は落ちていく。
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