無彩色の空の下で

みらる

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無彩色

遭遇

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 「おやまぁ、久しぶりのお客さんやねぇ」
透はバクバクと鳴る心臓をなだめながら打ち付けてしまった左肩を抑えゆっくりと起き上がった。
  辺りを見渡すとそこは見慣れた駅の構内の様だった。
普段の構内とは違った光景で、人ひとりいなく閑散としていた。
 「おーい、こっちこっち!あんさんこっちやで!」
トーンの高い声が構内に響いた。
構内中央、改札の前に大きなビジョンが設置されていて、そのビジョンには小柄な男が映っていた。
 透は転がっていた指輪を拾い、ビジョンに近づいて再度小柄な男を見返した。
小柄な男はボサボサした髪型に無精髭と、いかにも清潔感のない顔立ちとは対照的に煌びやかなスーツを着て、真ん丸な瞳でニヤニヤと透を観察していた。
「よ う こ そ 無彩色へ!」
小柄な男は大きく手を広げ決めポーズをしながら話を続けた。
「これ、一度やってみたかったんや!わいは古川ふるかわ 金太きんた、通称ゼウスや!まぁお古のお古やさかい使える能力ギフテッドは少ないんやけどなぁ」

金太のテンションに透は呆気にとられていた。
「あれれ!?あんさん変やなぁ。ここに来たのは初めてやないみたいや、ほんだら説明はいりまへんな!」

金太の話にびっくりした透は重い口を開いた。
「ここはどこですか?それに、僕の前に友達が来ていたはずですが・・」
金太は真ん丸な目で覗くように透をまじまじと見ながら答えた。
「あらまぁ、分からのかいな。この世界は【無彩色】。現代とパラレルワールドを繋ぐパイプ状の狭間にできた異空間や。まぁ都市一個分やさかい、そう大きくはありまへん。それと…」
金太はバツが悪そうにこう続けた__。
「あんさんの前に来た松田まつだ かける、通称ヘルメスは神出鬼没ピエロで有名やさかいこれ以上関わらん方がええで。」

透が口を開こうとするも、金太の説明が食い気味に遮った。
「さて、本題や_。」

「あんさんの持ってる宝石を能力ギフテッドとしてモノや身体の一部に格納、能力の発動の起点として扱えるようになりまっせ。」
「基本、1人1つで宝石の種類やレベル、格納した部位によって能力が変わるっちゅう話ですわ。あんさんはいかがしますぅ?」

透は金太の説明に飲まれるように答えた。
「これでも大丈夫ですか? 」
透は左腕を見下ろし、右手で指を指すように聞いた。

「あんさん珍しいですなぁ、でも才能ありまっせ。」
金太は少し驚いた様子で話しを続ける。
「あんさん、宝石お持ちになってますやろ? 今からその宝石を格納させまっせ。」

透は6歳の時、父親に貰った腕時計に宝石を格納する事に決めた。
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