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無彩色
強襲
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『能 力 受 付』
金太が画面越しにそう唱えると、透の持っていた宝石が眩い光とともに宙に浮かび、腕時計へと吸い込まれていった。
「これで完璧やさかい、いつでもそこの改札から出とって」
金太は一仕事終えたような口ぶりで改札へと透を促した。
「ちょっと待って下さい、まだ聞きたいことが・・」
急に興味が無くなったかのように振る舞う金太に見かねて透が口を開く。
「僕の能力とかって分からないんですか? 」
「あんさん、宝石ってモノは色がついてますでしょう? 」
呆れた口調で金太は話を続けた。
「この世界では尚更や、ある程度の能力は宝石の色で決まりますぅ。色さえ分かれば多少のアドバイスもできまんのに、あんさんの宝石の色は無色透明ですわな、かないまへんわ__」
そう言ってビジョンの電源は落ち、金太はどこかへと行ってしまった。
取り残されてしまった透は聞きたかった兄の話もできずに、仕方なく改札を抜ける事にした。
「君が本田 透君ね。」
透が改札を抜けるとどこからともなく声が聞こえた。
「私は通称アテナ、私の能力で会話は透君にしか聞こえていないわ」
透は、兄の事や翔の事、この世界の事や自分の能力の事が不完全燃焼に進んでいて
少し不満気味にこう答えた。
「で、何か用ですか?」
透の心情とは裏腹にアテナとの会話は急ぐように進んだ。
「今あなたは狙われているわ、奥のベンチに梟(フクロウ)がいるの分かるわよね? 」
透は支柱に隠れていたベンチを覗き込むように見ると薄い緑色の眼をした梟が1羽とまっていた。
「その梟が能力で変身した私よ。安全な場所まで案内するわ。」
アテナは急かすようにそう言い、北口と書かれた方へ飛び出して行った。
「僕が狙われてる? 僕はこの世界に来たのは初めてなんだけど? 」
透が疑問を問いかけながら北口を出るとそこに広がっていた光景は
いつも見ていた八潮市だった。
「この世界って・・?__」
透が話をしている途中で後ろから『豪 火 炎 球』と聞こえた瞬間、梟と透の間に炎の玉が通り過ぎ、バス停に当たって破壊してしまった。
「うわぁぁぁぁあ__」
腰を抜かして倒れてしまった透に梟は冷静に話を続ける。
「この世界はある一定の時から独立して変貌を遂げたあなたの故郷、八潮市のパラレルワールドよ。そして今あなたが襲撃されているのはこの世界では常識、改札を通って来た者を狙っているの。この世界は大きいようでとても小さいのよ。」
透は腰を上げながら、破壊されてしまったバス停が元通りになるのを見てここは本当に異世界に来てしまったのだと実感した。
「第2波が来る前に逃げるわよ!先ずはロータリーを回って直進、北西部を目指すわ!」
走り出した透は後ろを伺いながら梟への質問は続いた。
「北西部に何があるんですか? それに、あれに当たったら大変なことになるんじゃ? 」
梟はちょうど首都高速6号三郷線を滑空しながら答えた。
「資料館よ、そこに基地があるわ。安全な所よ。 あと、攻撃に当たれば、そりゃまあ元の世界と同じ事になるわ。__」
「それって死んでしまう恐れがあるってことですか? それと資料館までだいぶありますけど・・」
透は先の攻撃の惨状が目に浮かび、走るスピードを速くした。
「最悪、死んでしまったら元の世界には戻れないから気を付けて!それとこの世界には車も信号機もない、今は全力で走って。 中継地点で仲間が待っているわ!」
梟は透を誘導しながらそう答えた。
首都高速6号三郷線を越えて600メートル進んだ辺りで透から提案があった。
「資料館に行くなら大原公園を通り抜けて斜めに進んだ方が近いですよ!」
怖さからか、透はそう言って独断で右に曲がり、大原公園方面へ向かってしまった。
「待って!中継地点があるって言ったでしょ!それにそっちは行き止まりよ!」
梟は旋回し、透を追いかけながら大声で呼び掛けた__。
透が大原公園入口の大きな楠木の前まで来ると、行き止まりになっている事にようやく気が付いた。
「もう、何やってるのよ! 元の世界とは違い、【無彩色】はある一定の時から独立した成長を遂げているの。 引き返すしかないわ。」
梟がやっとの思いで透に追いつきながらそう言うと、後ろから「バサッバサッ」という音が聞こえ、透とともに振り向いた。
「やっと追いつきました。手間を取らせましたね。」
翼の生えた長身の男が空から、したり顔で降りてきた。
スーツ姿で細長い眼鏡を掛けていて、如何にもサラリーマンといういで立ちだ。
「私は見ていましたよ、あなたがあのクズからその腕時計に宝石を格納してもらっている所を。見て頂きましたよね? 私の能力。 喰らいたくなかったら腕時計ごと宝石を渡してもらいましょうか。」
じりじりと詰め寄りながら男はそう言う。
「羽持ちだったなんて。一気に距離を詰めて来るわ、もうどうしよう。そうだ君、レベル1の能力だったら使えるはずだわ。なんでもいいから相手の攻撃が来る前に能力を発動させて!」
梟が藁にも縋る思いで透に言葉を投げかけた。
「え? 僕にも能力が? でもどうやって・・・・」
透は訳も分からず、左腕を掲げて力を込めてみるも何も起こらず、その場は一瞬膠着したように見えた。
「なんですか? まったく。自分の能力もまともに発動できないのですか? まぁ、その方が手っ取り早い。 おとなしく渡さないのであれば仕方ないですね、そろそろ喰らってもらいましょうか。」
長身の男はそう言うと低空で飛行しながら透との距離を詰め、唱えた。
『豪 火 炎 球』
金太が画面越しにそう唱えると、透の持っていた宝石が眩い光とともに宙に浮かび、腕時計へと吸い込まれていった。
「これで完璧やさかい、いつでもそこの改札から出とって」
金太は一仕事終えたような口ぶりで改札へと透を促した。
「ちょっと待って下さい、まだ聞きたいことが・・」
急に興味が無くなったかのように振る舞う金太に見かねて透が口を開く。
「僕の能力とかって分からないんですか? 」
「あんさん、宝石ってモノは色がついてますでしょう? 」
呆れた口調で金太は話を続けた。
「この世界では尚更や、ある程度の能力は宝石の色で決まりますぅ。色さえ分かれば多少のアドバイスもできまんのに、あんさんの宝石の色は無色透明ですわな、かないまへんわ__」
そう言ってビジョンの電源は落ち、金太はどこかへと行ってしまった。
取り残されてしまった透は聞きたかった兄の話もできずに、仕方なく改札を抜ける事にした。
「君が本田 透君ね。」
透が改札を抜けるとどこからともなく声が聞こえた。
「私は通称アテナ、私の能力で会話は透君にしか聞こえていないわ」
透は、兄の事や翔の事、この世界の事や自分の能力の事が不完全燃焼に進んでいて
少し不満気味にこう答えた。
「で、何か用ですか?」
透の心情とは裏腹にアテナとの会話は急ぐように進んだ。
「今あなたは狙われているわ、奥のベンチに梟(フクロウ)がいるの分かるわよね? 」
透は支柱に隠れていたベンチを覗き込むように見ると薄い緑色の眼をした梟が1羽とまっていた。
「その梟が能力で変身した私よ。安全な場所まで案内するわ。」
アテナは急かすようにそう言い、北口と書かれた方へ飛び出して行った。
「僕が狙われてる? 僕はこの世界に来たのは初めてなんだけど? 」
透が疑問を問いかけながら北口を出るとそこに広がっていた光景は
いつも見ていた八潮市だった。
「この世界って・・?__」
透が話をしている途中で後ろから『豪 火 炎 球』と聞こえた瞬間、梟と透の間に炎の玉が通り過ぎ、バス停に当たって破壊してしまった。
「うわぁぁぁぁあ__」
腰を抜かして倒れてしまった透に梟は冷静に話を続ける。
「この世界はある一定の時から独立して変貌を遂げたあなたの故郷、八潮市のパラレルワールドよ。そして今あなたが襲撃されているのはこの世界では常識、改札を通って来た者を狙っているの。この世界は大きいようでとても小さいのよ。」
透は腰を上げながら、破壊されてしまったバス停が元通りになるのを見てここは本当に異世界に来てしまったのだと実感した。
「第2波が来る前に逃げるわよ!先ずはロータリーを回って直進、北西部を目指すわ!」
走り出した透は後ろを伺いながら梟への質問は続いた。
「北西部に何があるんですか? それに、あれに当たったら大変なことになるんじゃ? 」
梟はちょうど首都高速6号三郷線を滑空しながら答えた。
「資料館よ、そこに基地があるわ。安全な所よ。 あと、攻撃に当たれば、そりゃまあ元の世界と同じ事になるわ。__」
「それって死んでしまう恐れがあるってことですか? それと資料館までだいぶありますけど・・」
透は先の攻撃の惨状が目に浮かび、走るスピードを速くした。
「最悪、死んでしまったら元の世界には戻れないから気を付けて!それとこの世界には車も信号機もない、今は全力で走って。 中継地点で仲間が待っているわ!」
梟は透を誘導しながらそう答えた。
首都高速6号三郷線を越えて600メートル進んだ辺りで透から提案があった。
「資料館に行くなら大原公園を通り抜けて斜めに進んだ方が近いですよ!」
怖さからか、透はそう言って独断で右に曲がり、大原公園方面へ向かってしまった。
「待って!中継地点があるって言ったでしょ!それにそっちは行き止まりよ!」
梟は旋回し、透を追いかけながら大声で呼び掛けた__。
透が大原公園入口の大きな楠木の前まで来ると、行き止まりになっている事にようやく気が付いた。
「もう、何やってるのよ! 元の世界とは違い、【無彩色】はある一定の時から独立した成長を遂げているの。 引き返すしかないわ。」
梟がやっとの思いで透に追いつきながらそう言うと、後ろから「バサッバサッ」という音が聞こえ、透とともに振り向いた。
「やっと追いつきました。手間を取らせましたね。」
翼の生えた長身の男が空から、したり顔で降りてきた。
スーツ姿で細長い眼鏡を掛けていて、如何にもサラリーマンといういで立ちだ。
「私は見ていましたよ、あなたがあのクズからその腕時計に宝石を格納してもらっている所を。見て頂きましたよね? 私の能力。 喰らいたくなかったら腕時計ごと宝石を渡してもらいましょうか。」
じりじりと詰め寄りながら男はそう言う。
「羽持ちだったなんて。一気に距離を詰めて来るわ、もうどうしよう。そうだ君、レベル1の能力だったら使えるはずだわ。なんでもいいから相手の攻撃が来る前に能力を発動させて!」
梟が藁にも縋る思いで透に言葉を投げかけた。
「え? 僕にも能力が? でもどうやって・・・・」
透は訳も分からず、左腕を掲げて力を込めてみるも何も起こらず、その場は一瞬膠着したように見えた。
「なんですか? まったく。自分の能力もまともに発動できないのですか? まぁ、その方が手っ取り早い。 おとなしく渡さないのであれば仕方ないですね、そろそろ喰らってもらいましょうか。」
長身の男はそう言うと低空で飛行しながら透との距離を詰め、唱えた。
『豪 火 炎 球』
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