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偉人
剣豪
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あれから川沿いを飛行して1時間くらい経っただろうか、眼下には色とりどりの花畑が広がっていた。
「そろそろだ。降りて歩いて行こう。」
揃って川沿いの土手に降り立ったが、透は着地にもたついて少し躓いた。
歩いてものの数分、とある寺院に着いた。
「12が揃いもそろって4人も、いやそこの童もか。何のようだ?」
寺院の入口の立って待ち構えていたのは、肩まで伸びたぼさぼさの髪に無精髭を生やした男で、少しはだけた茶色い和装姿に草履を履き、腰には刀を2本拵えていた。
「ははん__。さてはわしのヘパイストスの宝石が目的か?」
「僕はアインちゃん、アインシュタインさんに言われて、心の鍛錬を__。」
男が透の話を遮って言った。
「心の鍛錬?アインシュタイン?アインシュタインとは犬猿の仲でのう。」
寺院の中庭の丁度真ん中にきた所で男がそう言うと、こちらを振り向きこう言った。
「あんたらの話はもう聞き飽きた。わしの名前は坂本龍馬、宝石強盗よ。いざ尋常に勝負じゃ」
男はぼさぼさの髪を1つに括り上げると刀を抜いた。
「とは言ってもわしも暇ではない、ここを通って来られたら少しは構ってやろう」
『炎 壁』
坂本龍馬がそう唱えると5人と坂本龍馬の間の地面が盛り上がり、その隆起は炎を纏っていた。
「ちょっと、え!?さ、坂本龍馬!?」
隆起した地面と唸るような炎にたじろぎながら透が言った。
揺れる炎に呼応するように坂本龍馬の影が揺れ、消えて行った。
「さて、ここまでは想定内だ」
「想定内!?」
ポセイドンの言葉に思わず透が声に出した。
「彼のこの世界での存在意義は誰にも寄せ付けない力だ。アインシュタインと同じ方法入界、日本国から提供されたDNAで出自は分かっていない。12の均衡を保つ為にあえて、力(パワー)では最高クラスの赤のヘパイストスの宝石を格納している。」
「よって人間不信だ。僕がアインシュタインから聞いたのはこれで全てだ」
ポセイドンがそう話すと、ポケットから3センチ程の薄い黄色の宝石を取り出した。
「こんな事もあろうと補助宝石を貰って来たんだ」
ポセイドンは自分の杖にコツンとその宝石を当てると杖は一瞬黄色く光って杖に格納された。
「補助宝石は能力とは違いゼウスがいなくとも格納できるが、効果は通常1つの補助宝石につき1つだ。君のそれとは話が変わるがね」
ポセイドン透の腕時計を指さしながら言った。
それからポセイドンは杖をかざしながら唱えた。
『大 き く て 小 さ な ね ぐ ら』
するとポセイドンの杖先からシュルシュルと砂埃と共に出てきてのは麻で作られた一人用のテントだった。
「このテントで?」
「いいからそこの端、ペグで留めてくれないか」
透はポセイドンに言われるがまま、4つ端をペグで留めた。
「よし、出来上がりだ。さぁみんな今日はもう遅い、中に入るんだ」
ポセイドンにそう言われるとナナ、ララ、華奏とテントの中に入っていく。
「さぁ、透君も」
ポセイドンが透の背中を押した。
前につんのめる形でテントの入口に入った。
するとそこに広がっていた風景は、広い玄関に大広間、奥にはキッチンが見える。
「異世界ってすごいだろ」
ポセイドンがほほ笑んだ。
「横の階段を上った先には幾つか部屋がある。みんな好きに使ってくれ。」
「はーい!」
ポセイドンの声にナナとララがいち早く反応してドタドタと階段を駆け上がって行った。
透も1階をぐるりと見回った後、二階に赴いた。
ナナとララは自分好みの部屋を見つけたのか、ドアが開けっぱなしになっているのもお構いなくベッドで跳ねるように遊んでいた。
透は双子が使う2部屋を通り過ごし、ララの隣の角部屋を使うことにした。
少しこじんまりとしていたが、どこか落ち着く雰囲気の部屋だった。
ベッドに横になり、入界からの事をゆっくりと考えているとそのまま眠りに落ちてしまった。
「コンコン」
どれだけ時間が経っただろうか、ドアを鳴らす音で透は目を覚ました。
「はい。どうぞ」
透が腰を上げながら声を掛けると華奏がお盆を持って入って来た。
「起こしてしまったかしら。少しでも食べて力をつけないとと思って。」
お盆を机に置きながら華奏が言った。
「本当は下でみんなと食べられたら良かったのだけれど、ぐっすり眠ってしまっていたみたいだから」
透が椅子に座り直すと、机にはお盆に乗ったシチューとパン、サラダが置いてあった。
「私特製のシチューなんだから!明日も頑張ってね」
華奏はそう言うと部屋を出て行った。
透はシチューを食べながらあの坂本龍馬の能力の攻略法を考えていた。
「__。バタン」
透が思案に更けているとどこかの部屋のドアが閉じる音がした。
時間は夜中の1時を過ぎている。華奏が透の部屋を去ってから2時間は経っていた。
不思議に思った透はドアを開け、外を覗いてみたが寝静まっているのかシーンとしている。
透は気になって外に出てみる事にした。
ララ、ナナの部屋を通り過ぎ、階段を下る。大広間を横切り玄関へ。
麻のカーテンをくぐり、外に出るとめらめらと唸る炎が煌々と辺りを照らしていた。
「勘違いか__。」
透は視界の限り辺りを見回すが人影は見当たらない。
「何を探してんだ?」
急に後ろから声がした。
振り向くとそこには翔が立っていた。
「なにビックリしてんだよ。感動の再会じゃねーか」
翔は飄々と言って見せた。
「お、おまえ此処でなにやってるんだよ」
後ずさりしながら透が聞いた。
「バカ、声が大きいって、みんな起きちまうだろ。」
「そのー。ちょっと野暮用でな」
翔がふわりと浮き上がった。
「順調そうじゃないか。透とはまた何処かで会える気がするよ。それじゃあな」
そう言うと翔は物凄いスピードで飛んで行ってしまった。
「なにしに来たんだよ__。」
ぼそっと透が吐き捨てると、自室に戻った。
翔の事、兄さんの事、両親の事、自分の能力の事、坂本龍馬が放った能力の事。
様々な事が透の脳裏をめぐり、寝つきを遅くした。
翌朝、机でうとうとしていた透はナナの声で眼を覚ました。
「キャー!どこなの?どこに行ってしまったの?」
透が自室を出ると声を頼りに隣の部屋へと向かった。
ララの部屋に入るとナナが泣き崩れていた。
直ぐにポセイドンと華奏も駆け付けた。
「何があった?どうしたんだナナ」
ポセイドンが優しくナナに聞いた。
「ララが、ララが向こう側に行ってしまったわ」
ナナはそう言うと1枚の紙をポセイドンに渡した。
そこにはララのお別れのメッセージが書かれていた。
ポセイドンは直ぐに唱えた。
『異 世 界 の 航 海 図』
ララの部屋一面に無彩色の地図が広がった。
ポセイドンは直ぐに赤い点を数えだした。
「北に1つ、これはアインシュタイン。東に5つ、これは僕ら4人とヘパイストスの坂本龍馬。中央に2つ、これはヘラの宝石と古川だ」
ポセイドンがブツブツと数えている。
「やはりだ。みんな此処を見てくれ。」
ポセイドンが八潮市の南に位置する場所を指さした。
そこには5つの赤い点が集結していた。
「間違いなくララはここにいるだろう」
そこは高層ビルが立ち並ぶ無彩色の心臓部、透の兄が居る場所だった。
それを聞いたナナが再度泣き始めた。
「ララ。どうしてなの」
そしてナナはララの部屋に籠り、1日中出てくる事は無かった。
一方、透はというと、ララの部屋を出てから3人で話し合いをしていた。
透は昨日の夜中に翔に会った事をポセイドンと華奏に話した。
「やはりヘルメスの手引きがあったのか。ララ1人ではどうしても考え難いと思ってはいたが__。」
ポセイドンが憤りを見せると華奏が話を続けた。
「ナナの事は私に任せてポセイドンと透は坂本龍馬に集中して。いち早くララを迎えにいかなきゃ」
『いや、駄目だ。ヘパイストスと修行が出来たとして、ララを迎えに行っても透君とお兄さんとの直接対決は日けられないだろう。ララを迎えに行くのはしっかりと透君の準備が出来てからだ」
「僕と兄さんが対決__。」
「そうだ。前も言ったが君のお兄さんはこの世界を終わらせようとしている。それもこの世界にいる人を閉じ込めてだ。」
そこで透は初めてこの無彩色にいる人が3週間前から閉じ込められている事を知った。
「今、無彩色から出られる人間はただ一人、ヘルメスの能力だけだ。」
「それはそうと今はヘパイストスとの修行が先決だ。ナナは華奏に任せて外に出るとしよう」
透は一縷の疑問を抱えながらポセイドンと一緒に外へ出た。
「さて、透君。この壁の攻略法は見つかったかね」
「1度上空まで見に行きたいです」
「僕が考えたのは坂本龍馬の能力上空まで飛び、飛び越えるか、死角から侵入する方法です。」
透の考えは直ぐに途絶えた。坂本龍馬の能力は上空まで至っており、炎の先から透明の壁になっていた。また、死角は無く、坂本龍馬がいるとみられる寺院を中心に円を描く様に能力は展開されていた。
「やはり一筋縄では行かないか。透君、次はどうする。」
地上に降り立ちながらポセイドンが言った。
「待ちましょう」
透の言葉にポセイドンが思わず口をついた。
「待つ?透君、時間はだいぶ経っている。待っていたってこの壁は消えるものじゃない」
「いや__。ごめんなさい。夕方まで待ってください。」
意外にも透の眼はしっかりとしていた。ポセイドンは仕方なく待つことにした。
夕方4時を回った頃だった。
それまで大広間のソファーで体育座りをしながら待っていた透が突然動きだした。
「ポセイドンさん、行きましょう」
キッチンでコーヒーを淹れていたポセイドンは慌てて外に出ると透が炎 壁と向き合っていた。
「そろそろだ。降りて歩いて行こう。」
揃って川沿いの土手に降り立ったが、透は着地にもたついて少し躓いた。
歩いてものの数分、とある寺院に着いた。
「12が揃いもそろって4人も、いやそこの童もか。何のようだ?」
寺院の入口の立って待ち構えていたのは、肩まで伸びたぼさぼさの髪に無精髭を生やした男で、少しはだけた茶色い和装姿に草履を履き、腰には刀を2本拵えていた。
「ははん__。さてはわしのヘパイストスの宝石が目的か?」
「僕はアインちゃん、アインシュタインさんに言われて、心の鍛錬を__。」
男が透の話を遮って言った。
「心の鍛錬?アインシュタイン?アインシュタインとは犬猿の仲でのう。」
寺院の中庭の丁度真ん中にきた所で男がそう言うと、こちらを振り向きこう言った。
「あんたらの話はもう聞き飽きた。わしの名前は坂本龍馬、宝石強盗よ。いざ尋常に勝負じゃ」
男はぼさぼさの髪を1つに括り上げると刀を抜いた。
「とは言ってもわしも暇ではない、ここを通って来られたら少しは構ってやろう」
『炎 壁』
坂本龍馬がそう唱えると5人と坂本龍馬の間の地面が盛り上がり、その隆起は炎を纏っていた。
「ちょっと、え!?さ、坂本龍馬!?」
隆起した地面と唸るような炎にたじろぎながら透が言った。
揺れる炎に呼応するように坂本龍馬の影が揺れ、消えて行った。
「さて、ここまでは想定内だ」
「想定内!?」
ポセイドンの言葉に思わず透が声に出した。
「彼のこの世界での存在意義は誰にも寄せ付けない力だ。アインシュタインと同じ方法入界、日本国から提供されたDNAで出自は分かっていない。12の均衡を保つ為にあえて、力(パワー)では最高クラスの赤のヘパイストスの宝石を格納している。」
「よって人間不信だ。僕がアインシュタインから聞いたのはこれで全てだ」
ポセイドンがそう話すと、ポケットから3センチ程の薄い黄色の宝石を取り出した。
「こんな事もあろうと補助宝石を貰って来たんだ」
ポセイドンは自分の杖にコツンとその宝石を当てると杖は一瞬黄色く光って杖に格納された。
「補助宝石は能力とは違いゼウスがいなくとも格納できるが、効果は通常1つの補助宝石につき1つだ。君のそれとは話が変わるがね」
ポセイドン透の腕時計を指さしながら言った。
それからポセイドンは杖をかざしながら唱えた。
『大 き く て 小 さ な ね ぐ ら』
するとポセイドンの杖先からシュルシュルと砂埃と共に出てきてのは麻で作られた一人用のテントだった。
「このテントで?」
「いいからそこの端、ペグで留めてくれないか」
透はポセイドンに言われるがまま、4つ端をペグで留めた。
「よし、出来上がりだ。さぁみんな今日はもう遅い、中に入るんだ」
ポセイドンにそう言われるとナナ、ララ、華奏とテントの中に入っていく。
「さぁ、透君も」
ポセイドンが透の背中を押した。
前につんのめる形でテントの入口に入った。
するとそこに広がっていた風景は、広い玄関に大広間、奥にはキッチンが見える。
「異世界ってすごいだろ」
ポセイドンがほほ笑んだ。
「横の階段を上った先には幾つか部屋がある。みんな好きに使ってくれ。」
「はーい!」
ポセイドンの声にナナとララがいち早く反応してドタドタと階段を駆け上がって行った。
透も1階をぐるりと見回った後、二階に赴いた。
ナナとララは自分好みの部屋を見つけたのか、ドアが開けっぱなしになっているのもお構いなくベッドで跳ねるように遊んでいた。
透は双子が使う2部屋を通り過ごし、ララの隣の角部屋を使うことにした。
少しこじんまりとしていたが、どこか落ち着く雰囲気の部屋だった。
ベッドに横になり、入界からの事をゆっくりと考えているとそのまま眠りに落ちてしまった。
「コンコン」
どれだけ時間が経っただろうか、ドアを鳴らす音で透は目を覚ました。
「はい。どうぞ」
透が腰を上げながら声を掛けると華奏がお盆を持って入って来た。
「起こしてしまったかしら。少しでも食べて力をつけないとと思って。」
お盆を机に置きながら華奏が言った。
「本当は下でみんなと食べられたら良かったのだけれど、ぐっすり眠ってしまっていたみたいだから」
透が椅子に座り直すと、机にはお盆に乗ったシチューとパン、サラダが置いてあった。
「私特製のシチューなんだから!明日も頑張ってね」
華奏はそう言うと部屋を出て行った。
透はシチューを食べながらあの坂本龍馬の能力の攻略法を考えていた。
「__。バタン」
透が思案に更けているとどこかの部屋のドアが閉じる音がした。
時間は夜中の1時を過ぎている。華奏が透の部屋を去ってから2時間は経っていた。
不思議に思った透はドアを開け、外を覗いてみたが寝静まっているのかシーンとしている。
透は気になって外に出てみる事にした。
ララ、ナナの部屋を通り過ぎ、階段を下る。大広間を横切り玄関へ。
麻のカーテンをくぐり、外に出るとめらめらと唸る炎が煌々と辺りを照らしていた。
「勘違いか__。」
透は視界の限り辺りを見回すが人影は見当たらない。
「何を探してんだ?」
急に後ろから声がした。
振り向くとそこには翔が立っていた。
「なにビックリしてんだよ。感動の再会じゃねーか」
翔は飄々と言って見せた。
「お、おまえ此処でなにやってるんだよ」
後ずさりしながら透が聞いた。
「バカ、声が大きいって、みんな起きちまうだろ。」
「そのー。ちょっと野暮用でな」
翔がふわりと浮き上がった。
「順調そうじゃないか。透とはまた何処かで会える気がするよ。それじゃあな」
そう言うと翔は物凄いスピードで飛んで行ってしまった。
「なにしに来たんだよ__。」
ぼそっと透が吐き捨てると、自室に戻った。
翔の事、兄さんの事、両親の事、自分の能力の事、坂本龍馬が放った能力の事。
様々な事が透の脳裏をめぐり、寝つきを遅くした。
翌朝、机でうとうとしていた透はナナの声で眼を覚ました。
「キャー!どこなの?どこに行ってしまったの?」
透が自室を出ると声を頼りに隣の部屋へと向かった。
ララの部屋に入るとナナが泣き崩れていた。
直ぐにポセイドンと華奏も駆け付けた。
「何があった?どうしたんだナナ」
ポセイドンが優しくナナに聞いた。
「ララが、ララが向こう側に行ってしまったわ」
ナナはそう言うと1枚の紙をポセイドンに渡した。
そこにはララのお別れのメッセージが書かれていた。
ポセイドンは直ぐに唱えた。
『異 世 界 の 航 海 図』
ララの部屋一面に無彩色の地図が広がった。
ポセイドンは直ぐに赤い点を数えだした。
「北に1つ、これはアインシュタイン。東に5つ、これは僕ら4人とヘパイストスの坂本龍馬。中央に2つ、これはヘラの宝石と古川だ」
ポセイドンがブツブツと数えている。
「やはりだ。みんな此処を見てくれ。」
ポセイドンが八潮市の南に位置する場所を指さした。
そこには5つの赤い点が集結していた。
「間違いなくララはここにいるだろう」
そこは高層ビルが立ち並ぶ無彩色の心臓部、透の兄が居る場所だった。
それを聞いたナナが再度泣き始めた。
「ララ。どうしてなの」
そしてナナはララの部屋に籠り、1日中出てくる事は無かった。
一方、透はというと、ララの部屋を出てから3人で話し合いをしていた。
透は昨日の夜中に翔に会った事をポセイドンと華奏に話した。
「やはりヘルメスの手引きがあったのか。ララ1人ではどうしても考え難いと思ってはいたが__。」
ポセイドンが憤りを見せると華奏が話を続けた。
「ナナの事は私に任せてポセイドンと透は坂本龍馬に集中して。いち早くララを迎えにいかなきゃ」
『いや、駄目だ。ヘパイストスと修行が出来たとして、ララを迎えに行っても透君とお兄さんとの直接対決は日けられないだろう。ララを迎えに行くのはしっかりと透君の準備が出来てからだ」
「僕と兄さんが対決__。」
「そうだ。前も言ったが君のお兄さんはこの世界を終わらせようとしている。それもこの世界にいる人を閉じ込めてだ。」
そこで透は初めてこの無彩色にいる人が3週間前から閉じ込められている事を知った。
「今、無彩色から出られる人間はただ一人、ヘルメスの能力だけだ。」
「それはそうと今はヘパイストスとの修行が先決だ。ナナは華奏に任せて外に出るとしよう」
透は一縷の疑問を抱えながらポセイドンと一緒に外へ出た。
「さて、透君。この壁の攻略法は見つかったかね」
「1度上空まで見に行きたいです」
「僕が考えたのは坂本龍馬の能力上空まで飛び、飛び越えるか、死角から侵入する方法です。」
透の考えは直ぐに途絶えた。坂本龍馬の能力は上空まで至っており、炎の先から透明の壁になっていた。また、死角は無く、坂本龍馬がいるとみられる寺院を中心に円を描く様に能力は展開されていた。
「やはり一筋縄では行かないか。透君、次はどうする。」
地上に降り立ちながらポセイドンが言った。
「待ちましょう」
透の言葉にポセイドンが思わず口をついた。
「待つ?透君、時間はだいぶ経っている。待っていたってこの壁は消えるものじゃない」
「いや__。ごめんなさい。夕方まで待ってください。」
意外にも透の眼はしっかりとしていた。ポセイドンは仕方なく待つことにした。
夕方4時を回った頃だった。
それまで大広間のソファーで体育座りをしながら待っていた透が突然動きだした。
「ポセイドンさん、行きましょう」
キッチンでコーヒーを淹れていたポセイドンは慌てて外に出ると透が炎 壁と向き合っていた。
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