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「ミシェル様、そろそろお客様のお見えになるお時間ですよ」
「あ、もうそんな時間か。着替えておかなくては。花を見ていると時間の過ぎるのは早いね」
庭の手入れをしていたミシェル、侍従の言葉を受け屋敷に戻って支度をした。
今日は天気も良いし、花達も喜んでいる。楽しい一日を過ごせそうだ。知らず笑みを浮かべた頬がほんのりほてり、白い肌は輝くようだ。
「失礼します」
応接室で椅子に腰掛けて待っていたミシェルに侍従の声がかかった。お客様が到着されたのだな。
その時、玄関ホールから侍従の開けたドアを通ってえもいわれぬ芳しいムスクのような薫りが入ってきた。
「あっっ…」
「はっ!」
走って入ってきたのは、銀髪碧眼の背の高い男性。体つきは筋肉質ですっきりした美しい顔。何よりその高貴で薫り高いフェロモンは、初めて知った類を見ないかぐわしさだ。貴族らしい服装であるが、見知った人ではない。ミシェルは一目で恋に落ちた。
「「あなたは…」」
お互いに時を同じくして問いかけた。
「あ、申し訳ありません。お初にお目にかかります。私は辺境伯の子息で、フレディと申します。この度は資材を分けて頂きありがとうございます」
「え、では貴方様が今話題の王子殿下?このようなところへお越しになられるとは思わず失礼致しました。武功は拝聴しております。侯爵家次男のミシェルと申します」
「ミシェル様、失礼ながら貴方様はオメガであられますね?何と良い薫りでしょうか。甘く、芳しく、優しく、惹かれてやまず離れられなくなります」
「私も素晴らしい薫りだと思って驚いていたところです。発情期でもありませんのに、お互いに感じていたのですね」
「はい。これ程好ましい薫りに出会ったことはありません。また私はお会いしてすぐ貴方の清楚で凛とした美しさにも囚われてしまいました。どうか私と結婚して頂けませんか?」
突然の出会いと求婚。びっくりしたミシェルだったが、侍従に促されお互いに席に腰掛けて話を始めた。
「まずは今回必要な資材取引の契約書を交わしましょう」
まず戦争で疲弊した辺境の復興に対処を。そしてフレディから
「私は今回まで自分の出自も知りませんでした。今後の人生についても分からないことばかりです。それでもぜひ貴方と人生を歩みたい。いかがですか?」
「僕は王子妃を婚約破棄された人間です。いつも妹に疎まれ、何も誇れることもありません。王子殿下には、きっとふさわしい方がたくさんおられることでしょう。僕はいつ父に嫁ぎ先を決められてしまうかも分からない身です」
「どうか少しだけ待っていてくださいませんか?私は伯爵の父にも、今後訪れる王宮でも、貴方との結婚について王家を継ぐ条件とさせて頂き交渉します。きっと貴方を幸せにします」
「わかりました。お待ち申し上げております」
辺境に戻ったフレディは、すぐに伯爵に伝えた。侯爵次男のミシェルと結婚したい。
「君の父上は、結婚に際して自ら決められなかったことを生涯悔やんでいた。好きになった人なら信念を貫き通しなさい」
「ありがとうございます」
王宮に入るには条件がある。侯爵次男のミシェルを妃として迎え入れて欲しい。彼はオメガで婚約者もいない。何の支障もないとして書面を送った。
「何か言われたらこれを持ち出しなさい」
国宝の珠と剣、これはお前を守るだろう。国を守る母と力。まさにミシェルとフレディのようなもの。
元宰相の去った王宮では、過去の反省も踏まえてフレディの妃に関する希望はすんなりと受け入れられた。
侯爵家でも、このまま妹と共に没落寸前であったところをミシェルのお陰で浮上できるのだ。
誰にも妨げられることなく婚約が叶った。間もなくフレディは王太子、ミシェルは王太子妃として広くしらされることになる。
伯爵城に挨拶に訪れたフレディとミシェルは、伯爵、母、叔父に過去の経緯を聞き、今後の二人の門出を祝ってもらった。
「おめでとうございます。どうかお体に気を付けて」
「ありがとうございます」
「フレディ様、我らはいつまでも忠誠を誓いますぞ」
鍛えてくれた軍司令官、城の皆が見送ってくれた。
「皆達者で。私は国のために尽くします」
「あ、もうそんな時間か。着替えておかなくては。花を見ていると時間の過ぎるのは早いね」
庭の手入れをしていたミシェル、侍従の言葉を受け屋敷に戻って支度をした。
今日は天気も良いし、花達も喜んでいる。楽しい一日を過ごせそうだ。知らず笑みを浮かべた頬がほんのりほてり、白い肌は輝くようだ。
「失礼します」
応接室で椅子に腰掛けて待っていたミシェルに侍従の声がかかった。お客様が到着されたのだな。
その時、玄関ホールから侍従の開けたドアを通ってえもいわれぬ芳しいムスクのような薫りが入ってきた。
「あっっ…」
「はっ!」
走って入ってきたのは、銀髪碧眼の背の高い男性。体つきは筋肉質ですっきりした美しい顔。何よりその高貴で薫り高いフェロモンは、初めて知った類を見ないかぐわしさだ。貴族らしい服装であるが、見知った人ではない。ミシェルは一目で恋に落ちた。
「「あなたは…」」
お互いに時を同じくして問いかけた。
「あ、申し訳ありません。お初にお目にかかります。私は辺境伯の子息で、フレディと申します。この度は資材を分けて頂きありがとうございます」
「え、では貴方様が今話題の王子殿下?このようなところへお越しになられるとは思わず失礼致しました。武功は拝聴しております。侯爵家次男のミシェルと申します」
「ミシェル様、失礼ながら貴方様はオメガであられますね?何と良い薫りでしょうか。甘く、芳しく、優しく、惹かれてやまず離れられなくなります」
「私も素晴らしい薫りだと思って驚いていたところです。発情期でもありませんのに、お互いに感じていたのですね」
「はい。これ程好ましい薫りに出会ったことはありません。また私はお会いしてすぐ貴方の清楚で凛とした美しさにも囚われてしまいました。どうか私と結婚して頂けませんか?」
突然の出会いと求婚。びっくりしたミシェルだったが、侍従に促されお互いに席に腰掛けて話を始めた。
「まずは今回必要な資材取引の契約書を交わしましょう」
まず戦争で疲弊した辺境の復興に対処を。そしてフレディから
「私は今回まで自分の出自も知りませんでした。今後の人生についても分からないことばかりです。それでもぜひ貴方と人生を歩みたい。いかがですか?」
「僕は王子妃を婚約破棄された人間です。いつも妹に疎まれ、何も誇れることもありません。王子殿下には、きっとふさわしい方がたくさんおられることでしょう。僕はいつ父に嫁ぎ先を決められてしまうかも分からない身です」
「どうか少しだけ待っていてくださいませんか?私は伯爵の父にも、今後訪れる王宮でも、貴方との結婚について王家を継ぐ条件とさせて頂き交渉します。きっと貴方を幸せにします」
「わかりました。お待ち申し上げております」
辺境に戻ったフレディは、すぐに伯爵に伝えた。侯爵次男のミシェルと結婚したい。
「君の父上は、結婚に際して自ら決められなかったことを生涯悔やんでいた。好きになった人なら信念を貫き通しなさい」
「ありがとうございます」
王宮に入るには条件がある。侯爵次男のミシェルを妃として迎え入れて欲しい。彼はオメガで婚約者もいない。何の支障もないとして書面を送った。
「何か言われたらこれを持ち出しなさい」
国宝の珠と剣、これはお前を守るだろう。国を守る母と力。まさにミシェルとフレディのようなもの。
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誰にも妨げられることなく婚約が叶った。間もなくフレディは王太子、ミシェルは王太子妃として広くしらされることになる。
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「おめでとうございます。どうかお体に気を付けて」
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