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柊の処置
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北都先生side
診察室で待って居ると、時間ピッタリにドアをノックする音が聞こえりょうが入って来た。
「いらっしゃ~い。」
「お願いします。」
きちんと挨拶をして、ズボンとパンツを籠に入れると内診台に上がった。
りょうは、18歳で月経も来ている子だ。
しかしその月経は、不規則で同じ月に2度来たり、そうかと思えば30周期でくる。
今月は既に2度来ているにも関わらず、また出血していると相談を受けていた。
「先生、血が垂れるかも…。」
「大丈夫だよ。ガーゼで拭うから。経膣エコーの前に内診するね。」
「はい。」
内診台を診察体位に動かし、りょうの足元に移動し視診する。
りょうが言うような膣から垂れる程の出血は見られなかった。
「指入るよ。ゆっくり深呼吸続けててね。」
ゴム手袋をはめそっと膣に中指を入れ内診していく。
膣壁に目立った以上はない。
「はい…楽にしていいよ。」
膣から指を抜くと僅かにゴム手袋に経血が付着していた。
「クスコ入れるね。圧迫感が辛いかなぁ。」
僅かに太ももが強ばったりょうに声をかけ、下腹部を優しく撫で力が抜けるのを待った。
経膣エコーのプローブにゴムを着け潤滑ジェルを纏わせると、クスコで開いた膣に先端をゆっくりと挿入していく。
子宮口にプローブを押し当て隈なく診察していくが、これといった異常は見受けられなかった。
診察が終わり服を着替えたりょうを椅子に座らせて診察結果を話す。
「特に異常は見られなかったよ。膣も子宮もとても綺麗。少しホルモン剤を変えて様子をみようか。」
「…わかりました。ありがとうございます。」
…ん~。
なんだかなぁ……
「りょうもっと肩の力抜いてみな?しっかり者なのは良い事だけど、少し窮屈そうだ。たまにははっちゃけても誰も咎めたりはしないよ。」
「……努力します…。」
努力する事でもないと思うんだけど…。
りょうの場合、精神的に張り詰めているのも不順の原因だろうなぁ……。
りょうの診察を終えてスタッフルームに戻ると、東郷先生に呼び止められた。
「北都先生、これから柊の治療かい?」
「はい、そうです。」
「柊、今そこの部屋に居るから。」
そう言ってスタッフルームの奥の個室を指す。
「ぇ…?!何かあったんですか?」
起床からの短時間で何しでかしたんだ?
「……点滴を抜去して、精神的にも落ち着かないようだったから、安全を考慮して一時的に収容している。…柊の場合気持ちが伴っていないのに治療が強制的に進むから、やり場のない感情から癇癪を起こすんだろう。これからも衝突は覚悟しておいた方が良い。」
「…そうですね。」
東郷先生の言う通りだ。
柊の気持ちがどうであれ体調を見つつ治療は進めていかないといけない。
この世に生まれたふたなりの辛い現実だ。
柊がいる部屋に医療用ワゴンを押して向かう。
コンコン……
「入るよ。」
部屋からは物音1つしない。
そっと扉を開けて部屋に入ると、四肢を台に抑制され布団を掛けてもらっている柊の姿があった。
想像異常に大暴れしていたようだ。
「柊、診察に来たよ。」
頬には薄っすらと涙の痕があって泣いていたのが分かった。
「これ外せよ…。」
柊の顔を覗いて声をかけると、キッと鋭い目つきで睨まれ手足の抑制帯を取ってくれと軋ませる。
「ごめんね。東郷先生以外には取る権利がないんだ。」
柊には悪いけど……嘘を吐いた。
この革張りの台は特殊で、ボタン操作でフラットタイプから様々な診察体位に変えられる。
「診察の準備しようか。下に履いてる服脱がせるね。」
「ベッド動くよ。」
固定した足の部分を開閉しM字に曲げる。
ずっと沈黙している柊は、壁に顔を向け表情が分かりずらい。
「内診するね。」
項垂れた陰茎を持ち上げ、固く閉ざされている膣を開きゴム手袋をはめた指を膣に挿入しグルりと触診する。
「っぅ…やめっ……ゔぅぅ…。」
「ごめんね。もう抜くからね。」
呼吸に嗚咽が混じり始めヒックヒックとお腹が凹み泣き始めた。
持って来ていたワゴンからクスコを取り膣にゆっくり挿入する。
「ッ、…ふぅ…はぁ…。」
異物感を逃すように不規則な深呼吸をし力を抜こうとする柊。
M字に開いた太ももが小刻みに震えて、なかなか思うように力が抜けないようだった。
「エコー入れるね。」
部屋に設置されている経膣プローブの先端にゴムを着け、クスコで開いた膣の中に入れて行く。
「……はい。うん、子宮も綺麗だね。最後に座薬入れておしまいね。」
スッとクスコを抜きクスコの挿入で程よく開いた状態の膣に座薬を押し込み座薬の先端を子宮口にはめ込んだ。
「ぁ゛……ゔぅぅ…はぁ…ッ…。」
唸って腰を捩るが、ベルトで抑制されているため革張りのベッドが軋むだけだ。
「昨日も入れてたから分かると思うけど、膣の奥に痒みが出てくると思うからね。そんなに長く効果が持続するお薬じゃないけど、治療の初歩段階だから頑張ろうね。また様子見に来るね。……ぁ、それと後で香西先生が尿カテ入れに来るからね。」
小さく舌打ちが聞こえた気もするけど、それ以上何も反応を返して来ない柊を気にしつつ治療に使った物を片付けワゴンを押して部屋を出た。
診察室で待って居ると、時間ピッタリにドアをノックする音が聞こえりょうが入って来た。
「いらっしゃ~い。」
「お願いします。」
きちんと挨拶をして、ズボンとパンツを籠に入れると内診台に上がった。
りょうは、18歳で月経も来ている子だ。
しかしその月経は、不規則で同じ月に2度来たり、そうかと思えば30周期でくる。
今月は既に2度来ているにも関わらず、また出血していると相談を受けていた。
「先生、血が垂れるかも…。」
「大丈夫だよ。ガーゼで拭うから。経膣エコーの前に内診するね。」
「はい。」
内診台を診察体位に動かし、りょうの足元に移動し視診する。
りょうが言うような膣から垂れる程の出血は見られなかった。
「指入るよ。ゆっくり深呼吸続けててね。」
ゴム手袋をはめそっと膣に中指を入れ内診していく。
膣壁に目立った以上はない。
「はい…楽にしていいよ。」
膣から指を抜くと僅かにゴム手袋に経血が付着していた。
「クスコ入れるね。圧迫感が辛いかなぁ。」
僅かに太ももが強ばったりょうに声をかけ、下腹部を優しく撫で力が抜けるのを待った。
経膣エコーのプローブにゴムを着け潤滑ジェルを纏わせると、クスコで開いた膣に先端をゆっくりと挿入していく。
子宮口にプローブを押し当て隈なく診察していくが、これといった異常は見受けられなかった。
診察が終わり服を着替えたりょうを椅子に座らせて診察結果を話す。
「特に異常は見られなかったよ。膣も子宮もとても綺麗。少しホルモン剤を変えて様子をみようか。」
「…わかりました。ありがとうございます。」
…ん~。
なんだかなぁ……
「りょうもっと肩の力抜いてみな?しっかり者なのは良い事だけど、少し窮屈そうだ。たまにははっちゃけても誰も咎めたりはしないよ。」
「……努力します…。」
努力する事でもないと思うんだけど…。
りょうの場合、精神的に張り詰めているのも不順の原因だろうなぁ……。
りょうの診察を終えてスタッフルームに戻ると、東郷先生に呼び止められた。
「北都先生、これから柊の治療かい?」
「はい、そうです。」
「柊、今そこの部屋に居るから。」
そう言ってスタッフルームの奥の個室を指す。
「ぇ…?!何かあったんですか?」
起床からの短時間で何しでかしたんだ?
「……点滴を抜去して、精神的にも落ち着かないようだったから、安全を考慮して一時的に収容している。…柊の場合気持ちが伴っていないのに治療が強制的に進むから、やり場のない感情から癇癪を起こすんだろう。これからも衝突は覚悟しておいた方が良い。」
「…そうですね。」
東郷先生の言う通りだ。
柊の気持ちがどうであれ体調を見つつ治療は進めていかないといけない。
この世に生まれたふたなりの辛い現実だ。
柊がいる部屋に医療用ワゴンを押して向かう。
コンコン……
「入るよ。」
部屋からは物音1つしない。
そっと扉を開けて部屋に入ると、四肢を台に抑制され布団を掛けてもらっている柊の姿があった。
想像異常に大暴れしていたようだ。
「柊、診察に来たよ。」
頬には薄っすらと涙の痕があって泣いていたのが分かった。
「これ外せよ…。」
柊の顔を覗いて声をかけると、キッと鋭い目つきで睨まれ手足の抑制帯を取ってくれと軋ませる。
「ごめんね。東郷先生以外には取る権利がないんだ。」
柊には悪いけど……嘘を吐いた。
この革張りの台は特殊で、ボタン操作でフラットタイプから様々な診察体位に変えられる。
「診察の準備しようか。下に履いてる服脱がせるね。」
「ベッド動くよ。」
固定した足の部分を開閉しM字に曲げる。
ずっと沈黙している柊は、壁に顔を向け表情が分かりずらい。
「内診するね。」
項垂れた陰茎を持ち上げ、固く閉ざされている膣を開きゴム手袋をはめた指を膣に挿入しグルりと触診する。
「っぅ…やめっ……ゔぅぅ…。」
「ごめんね。もう抜くからね。」
呼吸に嗚咽が混じり始めヒックヒックとお腹が凹み泣き始めた。
持って来ていたワゴンからクスコを取り膣にゆっくり挿入する。
「ッ、…ふぅ…はぁ…。」
異物感を逃すように不規則な深呼吸をし力を抜こうとする柊。
M字に開いた太ももが小刻みに震えて、なかなか思うように力が抜けないようだった。
「エコー入れるね。」
部屋に設置されている経膣プローブの先端にゴムを着け、クスコで開いた膣の中に入れて行く。
「……はい。うん、子宮も綺麗だね。最後に座薬入れておしまいね。」
スッとクスコを抜きクスコの挿入で程よく開いた状態の膣に座薬を押し込み座薬の先端を子宮口にはめ込んだ。
「ぁ゛……ゔぅぅ…はぁ…ッ…。」
唸って腰を捩るが、ベルトで抑制されているため革張りのベッドが軋むだけだ。
「昨日も入れてたから分かると思うけど、膣の奥に痒みが出てくると思うからね。そんなに長く効果が持続するお薬じゃないけど、治療の初歩段階だから頑張ろうね。また様子見に来るね。……ぁ、それと後で香西先生が尿カテ入れに来るからね。」
小さく舌打ちが聞こえた気もするけど、それ以上何も反応を返して来ない柊を気にしつつ治療に使った物を片付けワゴンを押して部屋を出た。
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