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第5章 鳥籠の少女
20、谷川咲夜はデレが欲しい
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「……ん」
「おっ、目が覚めたか」
あれから2時間程度咲夜は眠っていた。
熱は下がったので昼寝をしていたにすぎないだろうが。
「体調はどうだ?」
「かなりスッキリしたな。やっぱり氷水は凄いな」
「……おい」
「冗談だ、ありがとうな秀頼」
ベッドの中で身体だけ起き上がらせて俺と目を合わせる咲夜。
タオルを手渡され、俺は受け取り桶の中へと放り込んだ。
「明日学校行けそうか?」
「このまま2日くらい休んでやろうくらいのノリだったのに身体がピンピンなんだが……」
「……おい」
「冗談だよぉ。ありがとう、ひでよりぃー」
「お前甘える時は語尾伸ばすのな」
マスターに対してそういうおねだりをしているんだろうなと色々察してしまう。
「まぁ、別に病み上がりだし数日休んでも良いんじゃね?」
「あれ、秀頼が優しい……」
「俺、お前以外には優しいぞ」
「ひでよりぃ」
「だから甘えるなって……」
ベッドの上から俺に抱き付いてくるので、咲夜の身体を止める。
なんなんだ、この可愛い謎の生き物は?
いつものヘンテコ毒舌キャラはどこへ消えた……?
「つまりウチだけが秀頼の特別であり、秀頼は好きな子には優しくできないタイプと見た!」
「………………」
「無視しないでぇ!」
咲夜は無視っぽいことをされるとよくこういう反応をする。
ムカついた時のあしらい方である。
「ウチは秀頼のデレが欲しい!」
「需要がないって!」
「秀頼のデレ。ひデレりと言ったところか?」
「おつかれー」
「帰らないでぇぇ、ひでよりぃぃ」
俺はなんでこんな謎の生き物に付きまとわれたんだろうか……?
初対面の時に『おい、貴様!ここはキッズが1人で来る店ではないぞ!今すぐ立ち去るんだ!』と言われてすぐ立ち去るのが正解だったのだろうか……?
デレとか言われても引き出しがないんだが……。
頭に思い浮かぶデレをそのまま口にする。
「別にあんたのために看病したんじゃないんだからねっ!」
「……きもっ」
「帰る」
「ひでよりぃ、ごめんよぉー、好きなのぉー」
「帰らせてくれねぇかな、マジで!?」
『きもっ』とか言われたら、そりゃあ俺だって帰りたくなりますよ!?
咲夜のノリに慣れたとはいえ、暴言はメンタルにくる。
「看病とかするんじゃなかったよ、まったく……」
「帰らせろとか看病しなきゃとか、普通にウチ傷付く……、秀頼ぃ」
「冗談だよ、わかったから泣きそうになるな……」
「いつもすまないねぇ……」
無理させないようにまたベッドに寝かし付けて、毛布を乗せておく。
「とりあえず、明日病み上がりで休むの?」
「えー、どうしよっかなー。休もうかなー」
「あぁ、そう。休むのね。……残念だな。明日は咲夜に会えないのか。寂しいな……」
せっかくギフト使って完治させたのに、なんかずる休みする目的を作ってしまったな。
残念だが、明日は咲夜には会えないらしい。
「…………行く」
「え?」
「そんなデレ見せられたら行くしかないじゃないですか……」
「?」
ベッドにうずくまりながらぶつぶつ呟く咲夜。
何を言っているのか聞き取れなかったが、嬉しい感じのニュアンスには聞こえる。
「最近ウチも秀頼の友達と仲良くて学校楽しいし、学校行く!」
「変な奴しかいないけど……」
「大丈夫だ。秀頼が1番変だ」
「ぶっ飛ばしてやろうか?マジで?」
クスクスと笑う咲夜を見て、『まっ、いっか』って気持ちになる。
本人が幸せそうだし、咲夜の笑顔は尊いな。
「因みにあいつらで誰が1番好みだ?」
「あんまり順位は付けたくないけど……、絵美が好き」
「へー」
咲夜の返答に目を丸くする。
咲夜、絵美が好きなんだ。
意外なとこが来たって感じでちょっと不意打ちをくらった気分になる。
「それまたなんで?絵美とお前違うクラスだし」
「違うクラスだからこそ、色々話してみたいし……。それに……」
「それに?」
絵美をそういう視点で見ていたのかと、咲夜の考えをはじめて知る。
そしていい淀み、5秒ほど考え込む。
「絵美とウチはライバルなんよ」
「ライバル?なんの?」
「お互い同じ人に片思いしてるの」
「か、かたっ!?」
「つまり、ウチと感性似ている。つまり、話が合いそう」
「それはどうなん?」
……絵美と咲夜が好きな人同じ。
それはつまり、タケルのことか。
主人公流石過ぎるぜ……。
接点ないのに、接点ないキャラの好感度まで高いのか……。
恋愛チートだな。
「でも、理沙も円も多分ウチと同じ気がする……。全員ライバルだ」
「修羅場じゃねーか!」
ひえー……。
タケル凄いな……。
確かに理沙もタケルが大好きだもんな……。
津軽までライバル扱いとか知らなかったが。
………………モテないって罪だわ。
心で泣いた……。
「へへー、抜け駆けぇー。だきっだきっ」
「…………」
永遠ちゃんもタケルに取られるだろうし……。
抱き付いてくる咲夜を作業のように引き剥がしながら色々考えてみる。
クズゲスな悪役親友はその内、『悲しみの連鎖を断ち切り』本編みたいに主人公に反乱を起こしても文句言えないんじゃねーかな?
リアル本能寺の変でも起こしてやるか?
「…………はぁ」
「よしよし、可愛いなぁ貴様は」
「…………」
なぜか咲夜に頭を撫でられていた。
もし本気で俺の恋人を探すなら原作外の人間から探す必要があるかもしれない。
強くそれを認識したのであった。
「おっ、目が覚めたか」
あれから2時間程度咲夜は眠っていた。
熱は下がったので昼寝をしていたにすぎないだろうが。
「体調はどうだ?」
「かなりスッキリしたな。やっぱり氷水は凄いな」
「……おい」
「冗談だ、ありがとうな秀頼」
ベッドの中で身体だけ起き上がらせて俺と目を合わせる咲夜。
タオルを手渡され、俺は受け取り桶の中へと放り込んだ。
「明日学校行けそうか?」
「このまま2日くらい休んでやろうくらいのノリだったのに身体がピンピンなんだが……」
「……おい」
「冗談だよぉ。ありがとう、ひでよりぃー」
「お前甘える時は語尾伸ばすのな」
マスターに対してそういうおねだりをしているんだろうなと色々察してしまう。
「まぁ、別に病み上がりだし数日休んでも良いんじゃね?」
「あれ、秀頼が優しい……」
「俺、お前以外には優しいぞ」
「ひでよりぃ」
「だから甘えるなって……」
ベッドの上から俺に抱き付いてくるので、咲夜の身体を止める。
なんなんだ、この可愛い謎の生き物は?
いつものヘンテコ毒舌キャラはどこへ消えた……?
「つまりウチだけが秀頼の特別であり、秀頼は好きな子には優しくできないタイプと見た!」
「………………」
「無視しないでぇ!」
咲夜は無視っぽいことをされるとよくこういう反応をする。
ムカついた時のあしらい方である。
「ウチは秀頼のデレが欲しい!」
「需要がないって!」
「秀頼のデレ。ひデレりと言ったところか?」
「おつかれー」
「帰らないでぇぇ、ひでよりぃぃ」
俺はなんでこんな謎の生き物に付きまとわれたんだろうか……?
初対面の時に『おい、貴様!ここはキッズが1人で来る店ではないぞ!今すぐ立ち去るんだ!』と言われてすぐ立ち去るのが正解だったのだろうか……?
デレとか言われても引き出しがないんだが……。
頭に思い浮かぶデレをそのまま口にする。
「別にあんたのために看病したんじゃないんだからねっ!」
「……きもっ」
「帰る」
「ひでよりぃ、ごめんよぉー、好きなのぉー」
「帰らせてくれねぇかな、マジで!?」
『きもっ』とか言われたら、そりゃあ俺だって帰りたくなりますよ!?
咲夜のノリに慣れたとはいえ、暴言はメンタルにくる。
「看病とかするんじゃなかったよ、まったく……」
「帰らせろとか看病しなきゃとか、普通にウチ傷付く……、秀頼ぃ」
「冗談だよ、わかったから泣きそうになるな……」
「いつもすまないねぇ……」
無理させないようにまたベッドに寝かし付けて、毛布を乗せておく。
「とりあえず、明日病み上がりで休むの?」
「えー、どうしよっかなー。休もうかなー」
「あぁ、そう。休むのね。……残念だな。明日は咲夜に会えないのか。寂しいな……」
せっかくギフト使って完治させたのに、なんかずる休みする目的を作ってしまったな。
残念だが、明日は咲夜には会えないらしい。
「…………行く」
「え?」
「そんなデレ見せられたら行くしかないじゃないですか……」
「?」
ベッドにうずくまりながらぶつぶつ呟く咲夜。
何を言っているのか聞き取れなかったが、嬉しい感じのニュアンスには聞こえる。
「最近ウチも秀頼の友達と仲良くて学校楽しいし、学校行く!」
「変な奴しかいないけど……」
「大丈夫だ。秀頼が1番変だ」
「ぶっ飛ばしてやろうか?マジで?」
クスクスと笑う咲夜を見て、『まっ、いっか』って気持ちになる。
本人が幸せそうだし、咲夜の笑顔は尊いな。
「因みにあいつらで誰が1番好みだ?」
「あんまり順位は付けたくないけど……、絵美が好き」
「へー」
咲夜の返答に目を丸くする。
咲夜、絵美が好きなんだ。
意外なとこが来たって感じでちょっと不意打ちをくらった気分になる。
「それまたなんで?絵美とお前違うクラスだし」
「違うクラスだからこそ、色々話してみたいし……。それに……」
「それに?」
絵美をそういう視点で見ていたのかと、咲夜の考えをはじめて知る。
そしていい淀み、5秒ほど考え込む。
「絵美とウチはライバルなんよ」
「ライバル?なんの?」
「お互い同じ人に片思いしてるの」
「か、かたっ!?」
「つまり、ウチと感性似ている。つまり、話が合いそう」
「それはどうなん?」
……絵美と咲夜が好きな人同じ。
それはつまり、タケルのことか。
主人公流石過ぎるぜ……。
接点ないのに、接点ないキャラの好感度まで高いのか……。
恋愛チートだな。
「でも、理沙も円も多分ウチと同じ気がする……。全員ライバルだ」
「修羅場じゃねーか!」
ひえー……。
タケル凄いな……。
確かに理沙もタケルが大好きだもんな……。
津軽までライバル扱いとか知らなかったが。
………………モテないって罪だわ。
心で泣いた……。
「へへー、抜け駆けぇー。だきっだきっ」
「…………」
永遠ちゃんもタケルに取られるだろうし……。
抱き付いてくる咲夜を作業のように引き剥がしながら色々考えてみる。
クズゲスな悪役親友はその内、『悲しみの連鎖を断ち切り』本編みたいに主人公に反乱を起こしても文句言えないんじゃねーかな?
リアル本能寺の変でも起こしてやるか?
「…………はぁ」
「よしよし、可愛いなぁ貴様は」
「…………」
なぜか咲夜に頭を撫でられていた。
もし本気で俺の恋人を探すなら原作外の人間から探す必要があるかもしれない。
強くそれを認識したのであった。
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