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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?
毒の正体?
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王妃が暮らしている宮殿には愛猫専用の侍女や料理人が付いている。
愛猫の食事にも気を使っており、炙った高級牛ヒレ肉のタルタルステーキや新鮮なお刺身、王室御用達の絶品かつお節、ゆで卵、ササミと野菜のスープ……人間が食べても十分美味しいメニューを毎日食べている。
爪研ぎにしても最高級の木材で国一番の職人に作らせた美術品のような代物だし、身に付けている首輪や衣装もオートクチュール。
むしろ、人間で由緒正しいお姫様である自分よりも、猫たちの方が優雅な暮らしをしているし舌が肥えていると、内心思うシャルロットだった。
かつてクライシア大国へ滞在してダイエットをしていた王妃は、すっかり健康食やダイエット食に目覚めて、可愛い猫たちの為だけにシャルロットやユハの元へ、猫専用の料理人を留学させていたこともある。
毎日、猫たちが口にする料理は王妃が自ら毒味をしている。
それくらいペットを我が子のように愛しているようだ。
「マリアンヌ……?」
ーー愛猫のマリアンヌが宮殿から姿を消した。
早朝は決まって王妃の寝室にやってきて毛布に潜り込んで甘えてくるのに、今日は珍しくやって来ない。
朝の身支度を済ませて、マリアンヌを探すがどこにもいない。猫の世話係をしている侍女も夜明け前からずっとマリアンヌを探しているが、宮殿のどこにもマリアンヌは居ないようだ。
マリアンヌの部屋や庭に、猫が吐いたと思わしき吐瀉物が落ちていた。
他の飼い猫たち数匹も、どこか元気がない様子だった。
それから数時間後ーー、花壇の中でヨダレを垂らしぐったりしていたマリアンヌを発見したのは、グレース皇子と騎士のユーシンとアーサーだった。
白猫マリアンヌの腹は張っており、触れるとかなり痛がった。
側には嘔吐した形跡もあるし、息も荒く苦しんでいる様子だった。
ユーシンはすぐに猫を介抱した。
「この子……、王妃様の猫じゃないか?」
「様子が変だぞ……」
グレース皇子はすぐさま、王妃の宮殿へ連れて行くことにした。
元気が無い猫達のヘルスチェックをするために、すでに宮廷医が到着していた。
街に住んでいる獣医が到着するまでの間、呼ばれていたのだ。
「マリアンヌ……!」
王妃が顔を真っ青にして愛猫を抱くユーシンに元に駆け付けた。
半泣きで、手脚をガクガクさせている。
「庭園の花壇の中で倒れて居ました」
「ど、どうして、そんな場所に……?」
「猫は身体が弱っていると、身を隠そうとする習性がありますから…」
「な……っ!……マリアンヌは今まで病気一つしない健康な子だったわよ?……や、やっぱり、誰かがマリアンヌに毒を盛ったのね?この子だけじゃないわ、他の子たちも……!」
「いや、これは毒なんかじゃないです……」
ユーシンは台の前に立っている宮廷医に言った。
「恐らく胃拡張だと思います。俺が昔飼ってた犬も、同じ病気になったことがあるんです」
「……ああ、本当だ。何か消化に悪いものでも食べたのではないだろうか?……幸い、ショックは起こしていないな。おい、他の猫達と同じように輸液の準備を……」
宮廷医は助手や侍女達に声を掛けた。
ユーシンは前世の記憶を思い出していた。
大学時代に留学していたが、ホームステイ先で飼っていたゴールデンレトリバーが早食い癖のある犬で、度々胃捻転を起こしていた。
「ナージャ王妃…!」
シャルロットもゲーテと共に、遅れて駆けつけた。
「母さん、ゲーテ……。大丈夫っす。食あたりみたいなものだって」
「食あたり?王子宮の猫とババアんとこの猫は同じ餌を食べているが、弟達の猫はみんな元気だぞ?」
「拾い食いでもしちゃったのかしら?うちのグレイも毒ガエルも長靴も、ハリネズミも、落ちてる物をなんでも食べちゃうわよ」
やっぱり、『毒』なんだろうか?
やがて、往診カバンを手に持った獣医の男が慌てて駆け付けた。
症状が一番重たいマリアンヌはすぐに手術が必要となり、他数匹の猫の症状は軽く、輸液を終えると元気を取り戻していた。
「……姫様、ちょっといいですか?」
「アーサーさん?」
騎士のアーサーは透視の魔法で猫達を見ていた。
猫達から、とあるイメージを受信することができた彼は、シャルロットに同行してもらい中庭へ出た。
「王妃の猫に、毒を盛った犯人はあの子供です」
「え……?」
アーサーが指を向けた先には、芝生の上に屈んでいる小さな女の子だった。
シャルロットは走り出し、女の子の腕を後ろから鷲掴みした。
「……ダメよ!」
「え……?お姉ちゃん、だあれ?」
女の子はびっくりしていた。
足下には子猫が2匹いて、スルメをもしゃもしゃ食べている。
確かに毒ではないがーー。
愛猫の食事にも気を使っており、炙った高級牛ヒレ肉のタルタルステーキや新鮮なお刺身、王室御用達の絶品かつお節、ゆで卵、ササミと野菜のスープ……人間が食べても十分美味しいメニューを毎日食べている。
爪研ぎにしても最高級の木材で国一番の職人に作らせた美術品のような代物だし、身に付けている首輪や衣装もオートクチュール。
むしろ、人間で由緒正しいお姫様である自分よりも、猫たちの方が優雅な暮らしをしているし舌が肥えていると、内心思うシャルロットだった。
かつてクライシア大国へ滞在してダイエットをしていた王妃は、すっかり健康食やダイエット食に目覚めて、可愛い猫たちの為だけにシャルロットやユハの元へ、猫専用の料理人を留学させていたこともある。
毎日、猫たちが口にする料理は王妃が自ら毒味をしている。
それくらいペットを我が子のように愛しているようだ。
「マリアンヌ……?」
ーー愛猫のマリアンヌが宮殿から姿を消した。
早朝は決まって王妃の寝室にやってきて毛布に潜り込んで甘えてくるのに、今日は珍しくやって来ない。
朝の身支度を済ませて、マリアンヌを探すがどこにもいない。猫の世話係をしている侍女も夜明け前からずっとマリアンヌを探しているが、宮殿のどこにもマリアンヌは居ないようだ。
マリアンヌの部屋や庭に、猫が吐いたと思わしき吐瀉物が落ちていた。
他の飼い猫たち数匹も、どこか元気がない様子だった。
それから数時間後ーー、花壇の中でヨダレを垂らしぐったりしていたマリアンヌを発見したのは、グレース皇子と騎士のユーシンとアーサーだった。
白猫マリアンヌの腹は張っており、触れるとかなり痛がった。
側には嘔吐した形跡もあるし、息も荒く苦しんでいる様子だった。
ユーシンはすぐに猫を介抱した。
「この子……、王妃様の猫じゃないか?」
「様子が変だぞ……」
グレース皇子はすぐさま、王妃の宮殿へ連れて行くことにした。
元気が無い猫達のヘルスチェックをするために、すでに宮廷医が到着していた。
街に住んでいる獣医が到着するまでの間、呼ばれていたのだ。
「マリアンヌ……!」
王妃が顔を真っ青にして愛猫を抱くユーシンに元に駆け付けた。
半泣きで、手脚をガクガクさせている。
「庭園の花壇の中で倒れて居ました」
「ど、どうして、そんな場所に……?」
「猫は身体が弱っていると、身を隠そうとする習性がありますから…」
「な……っ!……マリアンヌは今まで病気一つしない健康な子だったわよ?……や、やっぱり、誰かがマリアンヌに毒を盛ったのね?この子だけじゃないわ、他の子たちも……!」
「いや、これは毒なんかじゃないです……」
ユーシンは台の前に立っている宮廷医に言った。
「恐らく胃拡張だと思います。俺が昔飼ってた犬も、同じ病気になったことがあるんです」
「……ああ、本当だ。何か消化に悪いものでも食べたのではないだろうか?……幸い、ショックは起こしていないな。おい、他の猫達と同じように輸液の準備を……」
宮廷医は助手や侍女達に声を掛けた。
ユーシンは前世の記憶を思い出していた。
大学時代に留学していたが、ホームステイ先で飼っていたゴールデンレトリバーが早食い癖のある犬で、度々胃捻転を起こしていた。
「ナージャ王妃…!」
シャルロットもゲーテと共に、遅れて駆けつけた。
「母さん、ゲーテ……。大丈夫っす。食あたりみたいなものだって」
「食あたり?王子宮の猫とババアんとこの猫は同じ餌を食べているが、弟達の猫はみんな元気だぞ?」
「拾い食いでもしちゃったのかしら?うちのグレイも毒ガエルも長靴も、ハリネズミも、落ちてる物をなんでも食べちゃうわよ」
やっぱり、『毒』なんだろうか?
やがて、往診カバンを手に持った獣医の男が慌てて駆け付けた。
症状が一番重たいマリアンヌはすぐに手術が必要となり、他数匹の猫の症状は軽く、輸液を終えると元気を取り戻していた。
「……姫様、ちょっといいですか?」
「アーサーさん?」
騎士のアーサーは透視の魔法で猫達を見ていた。
猫達から、とあるイメージを受信することができた彼は、シャルロットに同行してもらい中庭へ出た。
「王妃の猫に、毒を盛った犯人はあの子供です」
「え……?」
アーサーが指を向けた先には、芝生の上に屈んでいる小さな女の子だった。
シャルロットは走り出し、女の子の腕を後ろから鷲掴みした。
「……ダメよ!」
「え……?お姉ちゃん、だあれ?」
女の子はびっくりしていた。
足下には子猫が2匹いて、スルメをもしゃもしゃ食べている。
確かに毒ではないがーー。
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