ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

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第一章 毒娘、冒険者になる

08:安全志向なので計画的な将来設計を立てます

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「おねーさん、おはよーございますー」

「おはよーシェラちゃん」


 昨日、冒険者登録を済ませた私はポットさんのおすすめの宿屋を巡った。

 選んだのは初心者には少し敷居の高い冒険者御用達の宿で、周りのお客さんも年上の人たちが多い。
 私的には清潔感があって安心できそうだったから、ここに決めた。

 お値段は朝食・夕食付で銀貨五枚(約五千円)。全然アリだと思います。
 普通、冒険者になったばかりの子供は銀貨二~三枚程度の宿にする事が多いとか聞いた。


 受付に座っているのは宿屋の娘さんでシェラちゃんという八歳の少女だ。
 愛想が良くかわいらしいけど、かなりオマセさんと言うかしっかり者の娘さん。
 これで八歳とは転生者もびっくりだよ。将来有望です。


「今日はさっそく初依頼ですかー?」

「いや、今日は色々と街をまわるよ。外にも出るけど」

「おー、気を付けて下さいねー、迷子とか」


 八歳に迷子を心配される私。
 そんなに田舎者臭するかね?
 これでも精神年齢三五歳なんだがね。前世で二五歳だったから。


 そんなこんながあって、宿を出立する。
 まずは私の目標とやらなければいけない事を確認しておこう。



♦長期目標

 国に囲われた暗殺者にならない事!
 【毒殺屋】のまま普通に国の保護を受けて生活してたら暗殺者として使われかねないからね!
 その為に冒険者になって、強くなって実績を作り、国が何を言って来ても対抗できそうな力を持つ!
 そして出来ればスローライフ!(困難目標)


♦中期目標

 とは言え最低五年間は王都で生活しなければならない。王都での生活基盤を作る。
 冒険者としての生活だから、パーティーや装備も考えたほうが良いと思う。

 ただパーティーは私が固有職ユニークジョブだから、やたら組めないという事情がある。
 なるべくなら【毒殺屋】だって秘密にしたいけどパーティー組んだら無理だろうし、そもそも【毒殺屋】と組みたいって人は早々いないんじゃないかと不安あり。

 それと装備については……武器をなんとかせねば。今日も武具屋に行く予定。
 短期目標にすべきなんだけど半ば諦めている部分もあって中期目標としておく。


♦短期目標

 王都に行くまでの資金とそこで多少は生活できるだけの蓄えが欲しい。
 両親から貰ったお金は残ってるけど、減っていく一方だしね。

 そして何より【毒殺屋】ってものを理解しないと話にならない!
 これ短期目標って言うか最優先事項だから!
 今日は徹底的にスキル考察します!



 さあ、そんなわけでまずは武具屋だ。
 オーフェンには三軒の武具屋があった。
 というか村と違って武器屋と防具屋、雑貨屋が分かれていた。こういう所も村と街の違いだね。

 武器屋だけで三軒もあるオーフェン。
 行ってみた結果がこ・ち・ら!


「まじかよ、何も適性ねぇじゃねぇか! 冒険者なんてやめとけ!」
「王都に行っても無理だと思うぜ? 売り物のランクは変わるが種類は変わらねぇ」
「あとはもう魔剣くらいしかねぇんじゃねーかな、可能性は」


 む・り・で・し・た!

 でも三軒目で魔剣の情報が出たから少し聞いてみた。


「魔剣ってダンジョンにあるってやつ?」

「そう。攻略されてないダンジョンの最奥に一本だけある。【魔法使い】が手にすれば『杖状の魔剣=魔杖』にもなるらしい。つまり【剣士】である必要はねえって事だ。だから理論上は誰にでも装備できる武器ってなるんだが……」

「私が装備できるのかな……?」

「分からねえ。嬢ちゃんの場合、武器そのものが装備できないみたいだしな。だから可能性だ。そもそもダンジョン攻略とかよほどの高ランクじゃねーと死にに行くようなもんだぜ」


 ダンジョンについては私も少し知っている。
 と言うより、本当にあちらこちらにあるのだ。

 村の近所にもあったし、このオーフェンの街中に一つ、街の周りにも何個かあったはず。
 ただそのほとんどが『攻略済み』のダンジョン。最奥の魔剣はすでに取られているだろう。

 私が魔剣を求めるとしたら、いまだ攻略されていない高難易度のダンジョンを攻略するか、誰も発見していないダンジョンを探すかしないといけない。

 うーん、一応『ダンジョンで魔剣をゲット』というのも中期目標に追加しておこう。

 ま、村でおっちゃんに装備の相談をした段階で、何も装備できなそうだったから今回もダメ元だったけどね。
 残念だけど仕方あるまい。


 気を取り直してスキル考察しに行こう。
 私は途中の屋台でサンドイッチ的な肉の挟まれた固めのパンを買って、それをお弁当にする。

 村では祭り以外に屋台自体がなかったし、こんなファストフードとか売ってなかった。だからかなり新鮮。
 同じような屋台がいくつかあるけど、味付けやソースで特色を出しているようだ。
 オーフェンに居る間に屋台巡りもいいかもしれないね。

 そんな事を考えながら門へと向かった。





―――――
スキル:毒精製Lv1(衰弱毒)、毒弾Lv1、毒感知Lv1
―――――


 私のスキルは毒まみれ……言ってて悲しいけど現実だ。
 だから今日のこの時までスキル考察が出来なかった。

 街や村の中や人前でも使えないし、一人で外に行っても、『仮に作った毒がその場に残り続けたら?』『土地に悪影響を与えるものだったら?』そう考えると気軽にお試しというわけにもいかなかったのだ。


 でも唯一、毒が出なそうな<毒感知>だけは使ってみた。
 効果は『自分の周り(半径10mくらいだと思う)の毒物を感知する』というもの。消費MPは1だけ。
 MPは五分くらいで1ずつ自然回復するから、ほとんど消費は考えなくていいくらいだ。

 これはオーフェンに来るまでの野営時、<毒感知>に反応した草花をポットさんに見せ「これ何ですか?」と聞くと、ことごとく毒草・毒花だったので判明した。


 ただ分からない事もあって、死臭の漂う動物の死骸や、排泄物とか毒っぽいのに感知しなかった。
 ポットさんが「これも毒草の一種だよ」と教えてくれたのに反応しなかったものもある。珍しいものらしいが。
 かと思えば、腐りかけの食べ物には反応したりと、いまいち判断基準が分からない。

 何が毒扱いされて、何が毒扱いされないのか。
 単に身体に悪影響という判断ではないらしい。

 だから今言えるのは『<毒感知>で分かる毒もありますよ』って事くらい。
 今後のレベルアップに期待しましょう。


 で、今回は<毒精製(衰弱毒)>と<毒弾>を調べます。

 昨日のうちに調べて、門から出て三〇分ほど歩いた先に小川が流れているという情報を得ている。抜かりなし。
 ここならば何かあった時に毒を洗い流せるだろうと思ったわけだ。天才。
 さらに念の為、初級だけどポーションと解毒ポーションも用意してます。

 ふっふっふ、自分の用意周到さが怖いぜ……全くもって隙がない。もう何も怖くない。

 さあ、いざゆかん! 私専用の練習場……川へ!





 十分後。


「ぎゃあああ!!!」


 私はゴブリン六体に追いかけられていた。

 そりゃそうだよね。
 スキルを調べる為に川に行くつもりだったけど、その前に三〇分も森を歩くんだもんね。
 そりゃ魔物も出るよね。
 戦えるのか調べる前に戦う事態になってるんだけど?


「私のバカああああ!!!」


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