ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

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第一章 毒娘、冒険者になる

10:毒殺屋ですけど毒って怖いんです

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「ぐあっ! ……っ! ……何!?」


 身体の内側から殴られたような衝撃が走った。
 とんでもない激痛だが、ゴブリンの攻撃ではない。

 一気に汗が噴き出る。目がチカチカする。
 慌ててゴブリンから距離をとる。
 冷静になれない頭でステータスを見た。


―――――
HP:21→11
状態:衰弱毒
―――――


「うそっ!!!」


 右手を見る……なんともない。
 でもやっぱり攻撃した時に自分にかかったんだ。それしか考えられない。


 ……って言うか私、自分の毒にかかるの!?

 【毒殺屋】なのに毒耐性ないの!?

 初の戦闘ダメージが自分の毒なんですけど!?


 近寄り振るってきたゴブリンの攻撃を避けながら、頭の中で突っ込む。
 ゴブリンも毒ってるとは思うんだけど、よくこれだけ攻撃できるもんだ。と敵ながら感心する。
 そうこうしているうちにやってくる二度目の激痛。


「がはっ……! や、やばい! やばい! やばい!」


 急激な痛みに硬直する身体。
 痛すぎて頭がボーッとしてきた。汗も止まらない。

 まずいまずいまずい!
 背嚢を背負ったまま、右手を突っ込む。
 一番出しやすい上に置いていたポーションをとり、キュポッと瓶の蓋を開け、すかさず飲む。


―――――
HP:1→21
状態:衰弱毒
―――――


 解毒ポーションは……ダメだ! 取れない!
 ポーションで凌ぐか背嚢を下ろすチャンスを狙うしかない!
 時間との勝負。さっさと体力尽きてくれ! ゴブ太郎!

 カウンター気味に腹を蹴り、距離を空けようとするが、背嚢を下ろすほどの猶予はない。

 やっぱ痛みに耐えながらポーションで粘るしか……ぐあっ! またか!


 おそらく<衰弱毒>ってのは十秒で10の固定ダメージ。
 これが量で変わるのか、レベルで変わるのか、それとも私だけがそうなのか分からない。
 でもこれを基準に考えるしかない。

 まさか自分を実験台にスキル考察するはめになるとは思わなかったよ! こんちくしょう!


 口には出さずに悪態をついていたが、やはりゴブ太郎も毒っていたらしく、三本目のポーションを飲む前に倒れてくれた。


 パラパラッパッパッパー
 レベルが上がった。
 別に脳内で音楽が鳴っているわけではない。そんな感覚が分かるだけだ。

 しかしそんな事はどうでもいい!
 私はすかさず背嚢を下ろし、初級解毒ポーションを一気飲みする。

 ゴクゴクゴク……プハーッ! まずい! もういらない!
 どうやら初級の解毒ポーションでも衰弱毒は治るらしい。これも一つの収穫だなぁ。


「はぁ、疲れた……」


 気が抜けて座り込んだ。街を出てからまだ三〇分も経ってないだろう。
 でもこれ以上動きたくない。これから川に行ってスキル考察? ムリムリムリ。
 とりあえずステータスを見る。


―――――
名前:ピーゾン
職業:毒殺屋Lv2(+1)
装備:武器・鉈(攻撃+0)
   防具・布の服(防御+5)
      皮のブーツ(敏捷+3)
      布の外套(防御+5)

HP:26(+5)
MP:31(+6)
攻撃:15(+2)
防御:3(+0)(+10=13)
魔力:13(+3)
抵抗:5(+1)
敏捷:37(+5)(+3=40)
器用:22(+2)
運 :5(+1)

スキル:毒精製Lv1(衰弱毒)、毒弾Lv1、毒感知Lv1
―――――


「ハハハ……」


 乾いた笑いが出る。防御に突っ込みたいが今は無視だ。

 【無職】で一年ごとにしか上がらなかったレベルがゴブリンと戦っただけで上がった。
 これがジョブの力か。すごいね。素直にそう思う。


「帰ろう……」


 十歳らしからぬ「どっこいしょ」という掛け声と共に立ち上がる。
 今日の仕事は終わりだ、終わり! まだ昼にもなってないけど!
 帰ろう、帰ればまた来られるから。至言だよね。


 とりあえず倒したゴブリン六体の討伐証明である右耳を切り取って、一応冒険者ギルドに持ち込んでみよう。
 確かゴブリンは右耳だったはず。
 依頼は受けてないけどもしかしたら達成扱いにできるかもしれないし。

 そして私は村で買ったナイフを片手にゴブリンの死体へと近づいた。


「……ん? これ、死体に触ったら毒るとかないよね……?」


 毒で倒したのだからまだ毒が残っているかもしれない。
 触れただけなら大丈夫でも、耳を切り落として血でも付いたら毒扱いになるとか……怖いんですけど。
 すっかり自分の毒が怖くなってるんですけど。

 念の為、ゴブリンの死体に<毒感知>を使ってみる……どうやら大丈夫らしい。


「…………あっ! 戦ってる時に<毒感知>使ってれば相手が毒ってたか分かったじゃん!?」


 私はバカか。
 ゴブリンが毒ってるのか分からずヤキモキしていたのは何だったのか。
 これからは戦闘中でも<毒感知>使うようにしよう。


 ……ん? って言うかゴブ太郎が毒ってなかった可能性もあったんじゃね?

 ……そしたら私、死んでたんじゃね? 解毒ポーション飲む前に。


 ……深く考えるのはよそう。結果オーライだったし。





 その日の夜、私は夢を見た。
 初めてゴブリンという魔物と戦ったからだろうか。
 それは『クリーチャーハンター』の時のものだった。


「ソラ! そっち終わったら左後方の触手よろしくっ!」
「あいよー!」

「姫―、バフ投げるよー」
「サンキュー!」


 私たちのギルド【輝く礁域グロウラグーン】の前に立ちはだかるのは、屋敷並みに大きい四足獣。
 身体中から生えている触手のせいで、ベースが何の動物かも分からない。
 イソギンチャクの如くウネウネと気持ち悪いのは『クリハン』では見慣れた光景だ。

 私は前衛として、そいつに接近して大剣を振るう。
 ウェディングドレスのような純白フワフワフリルスカートを靡かせて。
 多方向から迫る触手を躱しつつ、強めの一撃を加えては避け、加えては避ける。


「うひゃ~、ソラちゃん相変わらず避け方がエグイ!」
「触手以上に気持ち悪いよね。姫の回避」
「さすが″ラグーンの舞姫″と言わざるを得ない」
「うだうだ言ってないで援護しろ、援護っ!」


 アバターの名前はソラ。仇名は姫。仲間内だけで決められた二つ名は『ラグーンの舞姫』。

 正直ソラに統一して欲しい。恥ずかしいし。
 まぁ姫っぽい装備をしてるのが悪いんだけど。


 そんな事を思いながら触手の群れを避けつつ、大剣を――


「おい、ソラ! 何持ってんだ! お前の武器はそれじゃないだろ!?」


 ギルマスの声に、慌てて手に持つ武器に目をやった。


 これは――なた!?



 ……そこで目が覚めた。

 ……なんつー夢だ。

 ……思わず鉈を捨てたくなった。


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