ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

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第一章 毒娘、冒険者になる

19:毒殺屋ですけど超絶美少女に出会いました

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「ただいまーシェラちゃん」

「あっおかえりです、おねーさん!」

「これお土産ね、今日も三羽」

「ありがとうです! あ、あの、それで相談が……」


 いきなりだねぇ。待ち構えてたのかな?
 シェラちゃんはキョロキョロして周りに人が居ないのを確認すると小声で話した。

 やっぱり月のモノは恥ずかしいからね。恥ずかしいのはしょうがない。
 でもね? それは女の子なら誰でも――


「あのー、おねーさんは固有職ユニークジョブなんです?」

「!?」

「間違ってたらごめんなさいです。でも昨日、国の役人さんが来てましたし、ワイバーンを倒したのもおねーさんって話ですし……」

「えっ! ワイバーンの事知ってるの!?」

「食堂に来た冒険者さんが話してたです。鉈もった女の子って言ってたからおねーさんしか……」


 おう……ワイバーンに襲われた私の救援をギルドで叫んだそうだからソレが原因か。
 で、そのワイバーンを持ってきたから私が倒したってバレてるんだな。
 今日のギルドが妙にザワついてたのはそのせいか。

 というか月のモノの相談じゃなかったのか……。
 だよね。いくらシェラちゃんでも早いよね。私だってまだだし。


「おねーさん、冒険者になってまだ新人さんのはずなのに、ワイバーンを倒したり役人さんがもう訪ねてきたり……多分固有職ユニークジョブなのかなぁって……」

「えー、あー、出来れば内緒にしといて欲しいんだけど一応固有職ユニークジョブだよ」

「やっぱり! 良かったです!」


 急に笑顔いっぱいになった。
 でもね? 全然良くなんかないんだよ?
 固有職ユニークジョブで良かった事なんてないんだよ? 私的には。


「あの、相談って言うのは私のお友達の事なんです」

「ふむ」

「そのお友達も今年『職決め』を受けたのです。で、固有職ユニークジョブだったらしいんです」

「うわぁ」

「でもその日から部屋に閉じこもって出てこないです。私も心配で部屋に行って、そこで初めて固有職ユニークジョブだって聞き出したです」


 よほどアレなジョブだったんだろうなぁ。
 私も【毒殺屋】で一日頭真っ白だったし。普通の十歳だったらもっと立ち直るのに時間かかっただろう。
 転生者だから冷静になれた所もあるだろうし。


「おねーさんはワイバーンを倒すほどの実力者です。固有職ユニークジョブを使いこなせないと倒せるはずないです。だからそのお友達にアドバイスして欲しいです」

「いや、私も固有職ユニークジョブに就いたばっかだから新人だよ? 別に実力者ってわけじゃないし」

「そんなことないです! ……それに閉じこもったままはダメです。せっかく固有職ユニークジョブになれたのに、このままじゃ宝の持ち腐れです……」


 あー、世間的には固有職ユニークジョブ=選ばれし者ってイメージらしいからね。
 世界で一人だけって言うのは特別感があるのも分かる気がする。

 しかしだ、夢を壊すようで悪いが、嬉しくない固有職ユニークジョブだってあるんだよ?
 【村人】のほうが素晴らしく思える固有職ユニークジョブだってあるんだよ?


 とは言えその子の気持ちも分かるし、シェラちゃんの気持ちも分かる。
 アドバイスってのも何だけど私が相談に乗るくらいはいいかな。

 了承の意を示すと、シェラちゃんは満面の笑みになった。
 そのまま二人でシェラちゃんのお友達の家に行くことにした。





「ここです。こんにちはー」

「えっ、ここって……いつもの道具屋じゃん」

「あらいらっしゃいシェラちゃん。おや、あんたは……」


 恰幅の良いおばちゃんが驚く。そりゃ子供とお友達らしいシェラちゃんと私が一緒に来たら驚くか。
 今日も抗麻痺薬買ったばっかなんだよね。どうもまた来ました。

 シェラちゃんの紹介で一緒に来た経緯を話す。
 私が固有職ユニークジョブとかは言わず、その子の相談を受けにと。


「あら、そうなの。悪いわねぇ、あの子ジョブに就いてからずっとあんな調子で……同年で冒険者になったあんたなら話も聞くかもしれないね。すまないけど仲良くしてやってくれないかい」


 おばちゃんはいつものサバサバ感を残しつつも、少し表情が暗くなった。
 やっぱ子供がいつまでも閉じこもってるのを、ずっと気にかけてはいたんだろう。

 固有職ユニークジョブに悩む子供と、それを心配する母親。
 店でいつも見せるおばちゃんの顔とは違ってて、こっちが心配になるね。
 アドバイス出来るか分からないけど、仲良くは出来ると思うよ。アルスみたいのじゃなければ。

 私はシェラちゃんに続き、店の奥の住居スペースへ。
 二階に上がり、その子の部屋の前に立つ。


 ――コンコン


「ポロリン、私ですよー。開けて下さい」


 ポ、ポロリン!?

 その子はポロリンって名前なのか!

 いかん、他人の名前で吹き出すのはマナー違反だ! 笑うな私!


 少し間があって部屋の扉を開け、顔を出したその子。
 シェラちゃんを迎えたはずが知らない私が居たもんでビックリしたようだ。


 いや、そんな事はどうでもいい。
 私は衝撃を受けていたのだ。


(か、かわいいっ!!!)


 間違いなく今まで見た女の子の中で一番かわいい!

 前世、今世含めて、一番かわいい!

 薄いピンクの髪は耳が隠れるショートボブ、長いまつ毛で目はパッチリ。
 色白の透き通るような肌、華奢な身体、こっちを見るオドオドした表情。


 とりあえず言えるのは……


(おばちゃんの要素どこにあんだよ!)


 実の子か!? 違いすぎるよ!
 成長したらおばちゃんになるのか! ある意味将来有望だね!


 そんなことを思っている間にシェラちゃんは私の事を説明し、オドオドしながらも部屋に招いてくれた。

 すまんね興奮しちまって、ポロリン、お邪魔するよ、ポロリン。


「あの、それで、貴女も固有職ユニークジョブなんですか?」

「ピーゾンでいいよ。うん、私も今年の『職決め』で固有職ユニークジョブになったよ」

「そうなんですか……あ、ボクはポロリンって言います」


 ボクっ娘!?
 こいつまだ戦闘力が上がるってのか!
 やべーな。やべーやつだ。萌え殺される。


「えっと……ポロリンも固有職ユニークジョブなんでしょ? シェラちゃんから聞いたよ」

「ごめんですポロリン。おねーさんは今年冒険者になったばかりで大活躍してるです。だからポロリンの力になると思って……」

「あ、うん、いいよ。ボクも誰かに相談しなきゃなって思ってきたところだったから。こっちこそ心配かけてごめんね」


 なるほど、立ち上がる直前だったのか。
 悩み続けても仕方ないもんね。


「えっと、それでポロリンは『職業専門学校』行くの?」

「……それも悩んでるんです。ボクは出来れば自分のジョブを他人に知られたくない。学校に行くと他の生徒とか先生とかにどうしても知られちゃうんじゃないかって……」

「だよねー、私も同じだよ。私も変なジョブだったから知られたくないし、私の場合『過去に例のない未知のジョブ』らしくてさ、学校に行くと卒業しても国で研究対象になりそうだし。だから私は冒険者にしたの」

「ですよね! ボクもそうなるんじゃないかって心配で……!」


 なんか意気投合してきた。
 やっぱ同じ悩みを持つ者同士、悩むポイントも同じなんだね。

 固有職ユニークジョブでも『過去の歴史で確認されている固有職ユニークジョブ』ならスキルとかも判明しているだろうし研究対象にはならないと思うけど、『新発見の固有職ユニークジョブ』なら確実に研究対象だろうし。

 まぁ前者でも希少には違いないから色々とありそうだけどね。

 私はそれで冒険者になったんだけど、ポロリンも反応からすると『新発見』の方なのかな?


「でも王都には行かないとダメでしょ? 神殿で言われたと思うけど国の義務らしいから。なのに行かなかったら強制連行されるらしいよ?」

「ええっ!? そうなんですか!?」

「うん、ギルドの職員さんが言うには遅くとも半年以内には王都で生活できる環境じゃないと、強制連行だって。それが学校なのか研究対象なのかは知らないけど」

「うわぁぁぁ……」


 頭を抱えるポロリン。
 学校も嫌、連行も嫌だったら、もう自立しないとダメなんだよね。
 十歳に厳しい選択させたくないけど実際時間がないんだよ。


「ついでに言うとポロリンのジョブがどんなのか知らないけど、国にとって危険とか有意義とか研究したい対象だったら、半年もせずに役人が来るよ。ちなみに私のトコにはもう昨日来たよ」

「ええっ!? もう!?」

「うん、まぁ私の場合はホントにアレなジョブだからね。極端に早く動いたっぽい。ポロリンのとこにはまだ来てないでしょ? それだけで私よりマシなジョブってことだよ」

「うん……」


 なんか言ってて悲しくなってきたぞ?
 が、事実! ポロリンが閉じこもるほど変なジョブでも私以上に危険性のあるジョブじゃないでしょう。
 私はちらりとシェラちゃんを見る。
 シェラちゃんは心配そうにポロリンを見ていた。


「シェラちゃん、固有職ユニークジョブの情報って国で管理されるからやたら言い触らしちゃダメなんだよ。これからポロリンと少し踏み込んだ話するから、このまま話すとシェラちゃんも私とポロリンの秘密を知ることになっちゃう」

「あ……そうなんですか……」

「私はシェラちゃんが黙っててくれるなら、このまま話しても良いよ? でももし怖くて聞きたくなかったら部屋を出たほうがいい」

「ボ、ボクもシェラちゃんなら大丈夫だよ。むしろ黙ってて心苦しかったし……」

「ポロリン……。うん! おねーさん、私絶対誰にも言わないです! 約束です!」


 シェラちゃんは残って話を聞くらしい。
 ポロリンの将来がかかってるから気掛かりなんだろう。友達思いだねぇ。

 ……ま、私的にはあんまり聞かれたくないんだけど。出てけとも言えないし。

 むやみに言い触らしたりしない限り問題はないと思うけど、相手が国だから心配になっちゃうんだよね。
 まぁシェラちゃんは超しっかり者だから吹聴したりしないと思う。八歳児だけど。


「分かった。じゃあまず私の事を話そう。参考になるか分かんないけど、それからポロリンの今後について一緒に考えよう」

「あ、ありがとうございます」





「ど、【毒殺屋】……」

「暗殺者みたいです……」


 うっさいわ。


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