ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

文字の大きさ
41 / 171
第二章 毒娘、王都デビューする

34:新米魔剣保持者ですが鞘が欲しいです

しおりを挟む


 ギルドを後にした私たちは、その後出歩く元気もなく、近場の宿で一夜を過ごす。
 ガイドブックに載っていた新人と中級者の間くらいのランクの宿。
 十歳の新人が泊まる宿ではないが、何か無性に安全性を求めてしまった。後悔はない。

 むろん二人部屋である。男女ではあるが十歳の新人冒険者に個室という概念はない。
 私としてもポロリンが少年であるという事実は未だに若干疑っている次第だ。

 だって部屋に着くなりベッドメイクし出すし、背嚢から荷物を出せばきちんと折りたたんだ着替えが出て来る。
 どんだけ女子力高いんだって話だよ。お姉さんびっくり。


 夕食後には改めてガイドブックを広げ王都の地理をお勉強。
 翌日からは本格的に冒険者活動をする前に王都を色々と見て回ろうと計画していた。

 やらなければならない事は以下の通り。(優先度高い順)


・山賊の宝、宝石と装飾品の換金+コボルトキングらの魔石売却→現金調達。
・魔剣の鞘の購入。
・魔法の鞄の価格調査。あわよくば購入。
・トンファーの新調。
・防具の新調。優先度はポロリン>私。
・錬金術ギルドでスタミナ回復剤の入手。道具屋で売ってるならそれでも可。
・五年間住む場所の物件探し。


「多過ぎません、これ? 明日一日で回れるんですか?」

「無理そうなら明後日もだね。無理はしない。って言うか王都広すぎだし」


 なるべくギルドのある中央区付近で回るつもりだけど、実際に歩くとかなり時間が掛かるはず。
 慣れない土地だし、人も多いからね。
 我ら十歳の田舎者。おのぼりさん上等で行きます。

 そんなわけで翌日、朝食を終えるとすぐに行動開始。
 まずは色々と売却して資金調達したいところ。


 しかしこれも一つ問題があって、山賊のお宝にあった装飾品の指輪とかなんだけど、これが果たして装備品かただのアクセサリーか、と。
 アクセサリーなら売るだけなんだが、有用な装備品だったら使いたい。

 ちなみに山賊のお金の三分の一はネルトに渡しています。同じ被害者だし取り分としてね。
 宝石とかはいらないらしいから私たちが貰っている。


 じゃあそれ装備してみればいいじゃん、そんでステータス画面で装備品の内容確認すればいいじゃん、って思ってたんだけどポロリン曰くそれは危険らしい。

 いわゆる″呪いの指輪″的なものもあるらしく、装備したら外れないとか何かしらデメリットがある場合があると。
 だからちゃんと鑑定してもらった方が良いと言う。


 そんなわけで冒険者ギルドの近くにある直営の道具屋に来た。
 直営店は品揃えも超普通。買い取り額も販売額も超普通。
 たぶん宝石とか店によって多少買い取り額違うんだろうけど、そういうのを無視して安全確実に鑑定・買い取りしてもらう事にした。


「うーん、装備品はないね。全部普通の宝石とアクセサリーだ。ただ量が量だから売ってくれるなら色つけるよ」

「魔石はどうです? ここで買い取れます?」

「買い取れるよ。コボルトは銀貨一枚、ゴブリンは銅貨五〇枚、コボルトキングが金貨三枚かね」


 おおっコボルトキング高い! 三〇万円か!
 ポロリンと相談して全部売っちゃうことにした。しめて約金貨一四枚。

 やっぱ宝石とかは盗品じゃなくていざというときの予備費だったのかも。
 王国に潜入してるから万が一のね。
 貨幣じゃなくて宝石で持っておこう的な。

 これにワイバーン資金と山賊の持ってたお金を合計して金貨五四枚が今回の軍資金となる。

 ポロリンはおばちゃんに結構もらってて、私は私でワイバーン資金からお小遣いを別にしているので、それらには手をつけず、パーティー資金として金貨五四枚という事。これで装備とかも考えようとしてます。

 山賊さん、拉致ってくれてありがとう。
 結果的に金銭面で助かりました。
 山賊じゃなかったけど。


 ちなみにここの道具屋に魔法の鞄は置いてあったんだけど、背嚢タイプで容量は1.5m四方くらい。
 時間経過あり。これが標準らしくお値段金貨二十枚だそうです。

 私の魔剣もギリ入りそうだけど、急な戦闘時に背嚢に手をつっこんで武器出すってのもなぁと。
 ただ魔剣を見せびらかせて歩くのも不安だから収納する事も考え中。

 いずれにせよ鞘は買うつもりなので武器屋へ。


 いや、これがね、魔剣専門鍛冶屋ってのがガイドブックにあったのよ。
 需要あるのかって感じなんだけど、とりあえず行ってみようと。

 場所は南西区、中央区からは少し離れるが王都にここ一軒しかないから仕方ない。
 そりゃ魔剣を扱う店が何軒もあるわけがないよね。
 むしろある事の方が驚きなわけで。

 大通りから少し奥まった路地にある小さめの工房。
 その名も『魔剣屋』。まんまだ。
 でも魔剣売ってるわけじゃないよね? これで売ってたら驚きなんだけど。


 ポロリンと場所を確認しつつギィと扉を開けると、カウンターにはスキンヘッドの親父が座っていた。
 その手前には客らしき女性が一人。

 青い修道服と白銀の鎧を合わせたような独特で豪奢な装備。
 背は高く、金髪をお団子にして後ろでまとめた髪、キリッとした目は鋭い。
 修道服っぽいせいで神聖にも思えるが、どちらかと言うと剣士的なカッコよさがある。

 神殿組織の神殿騎士とかかな? そんなものがあるのか知らないけど。
 しかし『魔剣屋』に客って……この人も魔剣持ちって事?


「らっしゃい! ちょっと待っててくんな!」


 親父がこちらを向いてそう声を掛ける。
 接客中だからね。店内で待っていましょう。

『魔剣屋』の店内は色々とごちゃごちゃしている。見る分には飽きない。
 魔剣が置いてあるわけないのは当然だけど、普通の剣とかが少し。
 あとは鍋とか包丁とか日用品が多い。
 なんとなく村の武具店を思い出すなー。ベルダさんとこ。


「ふむ、相変わらず良いメンテナンスだな。助かる」

「ったりめえだろ? また持って来いよ、ミルローゼ」


 ミルローゼと呼ばれた女性は剣を受け取ると、店を出る前にこちらを見た。
 その剣が魔剣なのか見たかったんだけど……ちょっと分からなかったな。
 魔剣だったら真っ黒だろうし、見れば分かると思うんだけど。


「すまないな、待たせたようだ」

「いえいえ」

「この店で他の客に会うのは珍しい。鍋でも買いに来る客は居るんだろうがな」

「るっせいよ! 余計なお世話だ!」


 カウンターの親父が口を挟む。
 やっぱ『魔剣屋』は需要がないんだろーなー。だから日用品も売ってるんだろうけど。


「ははっ、君たちは冒険者かい?」

「はい、Eランクのピーゾンです。こっちはポロリン」

「そうか。私はAランクのミルローゼ。これも何かの縁だ。ギルドで会ったら気軽に声を掛けてくれ」


 Aランク!? 昨日のイケメン貴公子と言い、やっぱ王都は強い人がゴロゴロ居るもんなんだね!
 しかも魔剣持ち? なのかな?
 腰に下げているのは大剣……かな? 直剣というよりは大きそう。

 本当は「それ魔剣ですか?」って聞きたいけどあんまり詮索するのもなー。
 逆に私の事とかあんまり話したくないし。

 ミルローゼさんはそれ以上は特に言う事もなく、挨拶だけで店を出て行った。


「はぁ~Aランクかー。カッコイイ人だったね」

「すっごく綺麗な人でしたね!」


 ……それはそうなんだけどさ。
 なんかポロリンが言うと皮肉にしか聞こえないんだよなー。
 あと数年すればポロリンはミルローゼさん以上に綺麗になると思うよ。今は超絶美少女だけど。


「んで嬢ちゃん、それ魔剣だよな! 早く見せてくれ!」


 待ってましたとばかりにハゲ親父が食いついてくる。
 よく布でグルグル巻きのコレを魔剣と思ったもんだ。
 まぁこんな変なのぶらさげてこの店に来れば分かるもんかね。


「えっと鞘作って欲しいんで、見積もりを……」

「んなこたぁ後だ! まずは見せてもらうぜ!」


 そう言ってカウンターから身を乗り出し、私の魔剣を奪い取る。
 この親父ヤバイんじゃないか……? 一抹の不安を覚えた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

処理中です...