ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

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第二章 毒娘、王都デビューする

閑話8:愛娘と息子からの手紙

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 拝啓 お父さん、お母さん。


 やっと王都に着いたので手紙を出します。
 オーフェンから十日の馬車旅だったけど、さすがに遠かったよ。
 だんだんとファストン村から遠ざかっているのだと思うと寂しくなります。

 王都に向かう途中で山賊めいたものに拉致られたりもしたけど、怪我一つなく無事に着きましたので安心して下さい。


 しかし王都はすごいです。とても広く、とても綺麗で、想像以上に賑わっています。
 冒険者の人数も多くて、依頼がたくさんあります。ダンジョンも王都に四つもあるらしいのでそのせいもあると思うけど。

 中には固有職ユニークジョブを集めたクランなんてのもあるらしく、拠点変更手続きをした途端に絡まれましたが、穏便に断ったので安心して下さい。
 私はポロリンとパーティーを組んでるけど、いずれは六人でパーティーを組み、なるべく平和な冒険者稼業をしたいと思ってるんで。


 装備品を売っているお店もすごく多くて、王都を歩き回りました。
 結果、かわいいウサギさんの装備を見つけたので、私の防具はウサギさん装備になっています。今度帰った時に見せたいと思います。とても可愛いです。
 店長のマリリンさんもとても良い人だったので、ちょくちょく通おうかと思っています。


 まだ定宿や借家は決めていないので、適当な宿に泊まっていますが、落ち着いたらゆっくり探そうかと思っています。そうすればそっちからの手紙も届くだろうしね。
 また近々、近況報告がてら手紙を出します。待っていて下さい。


追伸

 ひょんな事からダンジョンを攻略し魔剣を手に入れました。
 武具屋のベルダさんに装備できたよって伝えておいて下さい。



■ベルダ 【鍛冶師】 30歳


「かわいいウサギさん装備かぁ~。いやぁかわいいピーゾンが益々かわいくなっちまったかぁ~」

「うふふ、ピーゾンは何を着てもかわいいわよ」

「そりゃそうだ。むしろウサギに勝っちまうからな、ピーゾンのかわいさは」

「いやいや、ちょっと待て、ソルダード、ピエット」


 俺はファストンの武具屋ベルダだ。
 また手紙が届いたと騒いでいたので食堂に来てみた。

 しかしこの馬鹿親どもは……なぜこの手紙を読んで第一の感想がウサギ装備についてなのか。

 いや、ウサギ装備って何だよ。角ウサギの毛皮でローブでも作ってるのか? 王都の防具屋はここらと感性が違うってのか? 非常に気になる……

 ……ってそうじゃねえよ!


「ウサギ装備は後回しだ。重要なのはそこじゃねえ」

「ああ、分かってるぜ、ベルダ――山賊に拉致ってやつだろ?」

「おお、そうだ。まず一つはそれだ。親らしくそこをまず心配しろよ」


 ピーゾンがさらっと書くもんで流しそうになったが一大事じゃねえか。
 おそらく乗り合い馬車だったはずだから、その馬車ごと山賊に襲われたのか……それでよく無事だったと思うぜ。

 ここらじゃ山賊なんてまず聞かねえが、襲われれば身ぐるみ剥がされ、女子供は売られると聞く。それに遭遇したなんざ聞くだけで恐ろしい。

 まぁ無事って書いてあるから、おそらく護衛の冒険者に助けられたのか、国の役人に助けられたのか……まぁ分からねえが、とにかく詳細を知りたいところだ。


「山賊めいた・・・ってなぁ……山賊じゃない何かってことか?」

「あなた、海賊かもしれないわ。怖いわね」

「違ーーう! そんな疑問どうでもいいんだよ! もう山賊でいいよ! 山賊で!」

「なんだよお前は、何が違うって……ああ、この絡んで来た冒険者ってやつか!」

「苦情よ! 苦情を入れましょう! 冒険者ギルドに!」

「おう、そうだな! 何なんだこの固有職ユニークジョブだけのクランってのは! 俺がぶっ潰してやるぜ!」

「私だってやるわよ!」

「待て待て待て! それはもう断ったって書いてあるだろうが!」


 冒険者ギルドに所属する冒険者たちはパーティーの他にクランって組織を組むことがある。
 手紙の内容からするに王都にゃ固有職ユニークジョブだけのクランがあるって事だな。

 しかし固有職ユニークジョブの数自体が少ねえはずなのに、それが集まった組織があるとは……さすがは固有職ユニークジョブが集められた王都ってことか。
 よく目ざとくピーゾンを見つけるもんだ。そんなに特徴的なヤツでもないはずなんだが。

 考えようによっちゃクランって集団でまとまってた方が安全だとも思うんだが……まぁピーゾンの事だ、何かしらの理由があって断ったんだろう。
 絡まれたって書いてるくらいだから、単に嫌なヤツだったのかもしれないがな。


「お前はさっきから何を騒いでいるんだ? ベルダ」

「魔剣だよ、魔剣! 何だよ、ひょんな事からダンジョン攻略って! ひょんな事したってダンジョン攻略できねえよ! どんなひょん・・・だよ!」

「ああん? お前ピーゾンが嘘ついてると言うのか!」

「ピーゾンは嘘つく子じゃありません! このヒゲ!」

「うるせーよ! ヒゲって言うな!」


 それから俺は懇々とダンジョン攻略の難しさ、魔剣入手の難しさを説明してやった。
 最低でもBランク。Aランクの冒険者パーティーでさえも難しいと聞く。

 それをピーゾンとポロリン、二人で攻略したってのか? こないだジョブに就いたばかりの十歳だぞ?
 出来るわけがねえ。そんな非常識な事をやってなんでか魔剣を入手したってこった。


「……つまりやっぱりピーゾンはスゴイって事だな!」

「やっぱり天才だったのよ! ピーゾンは!」


 ……もう帰ろう。

 ……武器装備できて良かったな、ピーゾン。




■■■


 お母さんへ


 王都に着いて一息ついたのでお手紙書きます。
 まだオーフェンを出てから少ししか経っていないけど、毎日のように色々とあって、伝える事が多すぎるなーと今から文章を書くのが怖くなっています。

 というのも――


 (中略)


 といった感じで、王都はやっぱりすごい所だなーとつくづく思います。

 ピーゾンさんに関しても、ピーゾンさんが原因で色々と巻き込まれている感じもありますが、それ以上にピーゾンさんに助けられている部分もあり、やっぱりパーティーを組んで良かったと、一緒に王都に来て良かったなーと改めて思います。

 ちょくちょく手紙は書くと思いますが、毎日の出来事とか、衝撃的な事が起こり過ぎて、とても全部を書く事はできません。
 今回は三枚で済んだけど、これでも書く事絞ったからね? 全部書くのは無理だから。

 出来ればオーフェンに帰った時にでも話したいですが、今の装備のままオーフェンに帰りたくないなぁ……いや、でも新人冒険者としてはこれ以上ないくらい優秀な装備なんだろうけど……着替えを持って帰りたいと思います。


 追伸、そんなわけでこっちは元気でやっているのでシェラちゃんにもよろしく伝えて下さい。



■シェラ 【無職】 8歳


「――というわけなんだよ」

「はぁ……元気なのはいいですけど……これ本当に大丈夫なんですかね」


 ポロリンからの手紙が届いたというので、道具屋さんに遊びに来ました。
 三枚の紙にびっしりと書かれた手紙です。
 おばさんは先に読んでいたらしく、なんとも言えない表情をしています。

 確かに、無事に王都に着けて、冒険者としても活動を開始してはいるようです。
 でも、やれ山賊に拉致されたとか、やれ先輩冒険者に絡まれたとか、魔物との戦闘以外の所で危機的状況にあっていると聞けば心配にもなります。
 結局は誰かしらに助けてもらいながら無事ではいるみたいですが。


「ピーゾンちゃんには感謝しないとね」

「ですねー。でもお姉さんのせいで苦労している風でもありましたけど」


 お姉さんも物騒なジョブの上に、いきなりワイバーン倒したりする人ですからね。
 冒険者としては優秀なんでしょうけど、何をしでかすか分かりません。一人でダンジョン攻略したらしいですし。
 ポロリンのような普通の子が一緒に付いて行けるのか不安になります。

 でも王都はやっぱり怖い所なのかもしれません。
 これでお姉さんが居なかったら、そんな危険な所にポロリン一人で向かっていたという事でしょうか。
 そう考えるとオーフェンで同じ固有職ユニークジョブのお姉さんと出会えて良かったとも思います。

 おばさんも同じように考えているんでしょう。


「まぁ色々と心配な所はあるが、こっちは手紙を待つくらいしか出来ないからね。元気でやってくれている事を祈るばかりだよ」

「ですね」


 私としては『私たちに見せたくない装備』ってのが気になりますけど。
 優秀ではあるけど見せたくない? どういう装備なんでしょうか?


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