ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

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第二章 毒娘、王都デビューする

56:被害者なので後始末とかは全部丸投げします

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 筋肉ダルマを倒し、ふぅと一息。
 そして周りを見回す。
 どうやら八人とも倒したらしい。
 ポロリンとネルトは……うん、大丈夫だね。良かった。

 駆け寄ってくる二人に軽く手を上げる。


「ピーゾンさん! 大丈夫ですか!」

「うん、そっちも大丈夫そうだね」

「ん」


 【唯一絶対ザ・ワン】の二人と固有職狩りユニークハンターの六人。計八人による襲撃。
 冷静に考えるとかなり厳しかったんじゃないかと。

 私の麻痺が二人に効いたから良かったけど、効かない可能性だってあった。
 ポロリンの<魅惑の視線>が効かない可能性だってあった。
 そうなればポロリンとネルト二人だけじゃ無理。負けが濃厚だった。


 筋肉ダルマとギャル男にしたって、もっと連携されていたり能力の使い方があんなに下手じゃなければ私だって負けていたかもしれない。

 指パッチンだってもっと別のやり方あっただろうし、筋肉ダルマだって体術の達人だったらもっとオーラを有効に使えただろう。

 少なくとも私たち以外の固有職ユニークジョブが狙われたら一溜まりもない。
 そうなれば帝国に拉致られていたんだろう。ヤツらの口ぶりだと。
 これはただの事件・・と済ませる案件じゃないでしょう。国的にも。


 つまりだ。


 あんの変質者は何やってんだって話だよ!


 この非常時に! あのおっさん、私たちの監視が仕事じゃないのか!?
 ネルトの危険性だって伝えたでしょ!? これで帝国に拉致られたらどうする!?
 なんでどうでもいい時に部屋に侵入して、こういう時に来ないのか! あの変質者!


 と、心の中で悪態を吐きつつ、無事に倒せて良かったという安堵感もある。
 さて、冷静に次の行動を考えないと。


「とりあえず私、麻痺ってないのを麻痺らせておくから、悪いけどポロリン、南門の衛兵さん連れてきてくれる? 襲撃してきた【唯一絶対ザ・ワン】の二人と帝国スパイが六人、麻痺ってるから運んで捕らえてくれって」

「うん、了解! すぐ行って来ますね!」

「ネルト、<ホークアイ>をすぐに発動。様子見してる仲間がいたら厄介だから」

「ん。――<ホークアイ>」


 可愛く走っていくポロリンを見ながら一息。
 私はギャル男とかを麻痺らせつつ、ネルトの声を聞いた。


「……ん? アローク?」


 はあ? おっさん? 居ないと思ったら居たって事?


「んー、誰か捕まえてる、っぽい」


 聞けば、<ホークアイ>の俯瞰範囲ギリギリの所……多分300mくらい離れた所で、おっさんが誰かを糸でグルグル巻きにしていると。

 その″誰か″の装備を見るに、おそらくここに居る固有職狩りユニークハンターと同じっぽい。
 やっぱ監視か伝令か、ここの六人で全部ってわけじゃなかったって事か。
 で、おっさんはそいつを捕らえたと。


 ……まぁそれはそれで仕事したと言えるんだけどさ。

 ……こっちの手助けが優先じゃないの?

 ……ジョブ管理局、固有職ユニークジョブ担当員とは思えないんですけど?


 その後、おっさんはそいつを引きずって私たちの所にやって来た。
「よお、大丈夫かー」と気安く。てめえこのやろう……。

 おっさん曰く、一応見張ってはいたらしい。

 その上で周囲の警戒もして斥候を見つけたと自分の有能さを説いていたが、こっちは結構ピンチに陥っていたわけだから、そんな「俺、仕事してっから」的な顔されてもウザイだけなんだよね。

 もう放置する事にした。


 それからポロリンが衛兵さんを連れて来た。
 私からも説明し、同時におっさんからも衛兵さんに説明する。
 以前におっさんが山賊(偽)を衛兵に突き出しているはずだからね。話が早い。
 衛兵さんが持ってきた荷車に筋肉ダルマたちとおっさんが捕らえた斥候も乗せて、そのまま帰った。


「お前ら気を付けて帰れよー、もう変なのに絡まれんじゃねーぞ」

「管理局は未然に防ごうとは動かないわけ?」

「こっちが動く以前にお前ら目立ち過ぎだからな? 自覚ねーのか?」


 ……そう言われて何も言えなくなった。
 おっさんに論破されるとは……ちくせう。

 南門で分かれ、その足でトンボ返りとなった冒険者ギルドでも一応説明しておいた。
 相手が【唯一絶対ザ・ワン】って大手クランだからね。ギルドに報告しないわけにはいかない。

 小声で話したんだけど受付嬢さんの狼狽えっぷりがヤバかった。
 大事おおごとにしたくなかったんで、報告だけしてすたこらさっさです。

 あー、もう今日は疲れたなー。


「せっかくだし共同風呂行ってみる? 時間あるし」

「あー、初日からピーゾンさん言ってましたね」

「きょーどーぶろ?」


 ネルトは風呂という存在すら知らないらしい。それを説明しつつ南東区方面へ足を運ぶ。

 この世界にお風呂っていうのはかなり少ないんだよね。
 我がファストン村にもなかったし、一般家庭にもないのが普通。
 生活魔法の<洗浄>がある時点で風呂の価値観は変わるんだろう。水で拭けばいいじゃんと。

 ともかくそんな調子で共同風呂にやって来た。
 見た目は宿屋。決して銭湯ではない。
 中途半端な時間だがちらほらと客足もあり、他の客に倣う感じで私たちも入った。


 私はネルトと共に女風呂。
 中は大きな浴場が二つあるだけだったが、久しぶりの銭湯気分に私は大満足だ。
 ネルトは何も知らないので洗い方からお風呂の使い方から教える感じ。
 結構なカルチャーショックだったらしいが、ネルトも最後の方にはくつろいでいた。


 ポカポカで共同風呂を出ると、そこには一人佇むポロリンが。
 なぜか泣きそうになっている。


「待たせちゃった? どしたの?」

「…………なんか、ボク、入っちゃダメだって……」


 聞けば私たちと別れて男湯に突入したが、そこで摘み出されたらしい。

 自分は男だと言い張ったが認めて貰えなかったと。
 それからトボトボと通りに出て、ひたすら私たちを待っていたと……。

 おう……その可能性を考えておくべきだったか……。


「なんて言うか……ドンマイ」

「ん。ドンマイ」

「…………うん」


 うつむくポロリンの両肩に私とネルトの手がポンと置かれた。
 踏んだり蹴ったりの日になっちゃったね、ポロリンは。


「よし! なんか美味しいものでも食べて帰ろうか。宿の夕食じゃなくてもいいでしょ」

「ん!」

「はぁ……そうですね、精神的に疲れたから甘いのと野菜たっぷりシチューみたいな……」

「肉!」


 ネルトの反応は非常に良い。
 ポロリンは相変わらず嗜好が女の子なんだよなぁ。


「うむうむ、んじゃ良さげな店を探しましょうか」

「「おお!」」


 こうなりゃやけ食いだね。


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