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第四章 毒娘、潜り始める
96:パーティーでお揃いの装備に整えてみました
しおりを挟む「あらぁ~可愛いわね~」
「うぅぅっ……ボクもうオーフェンに帰れないよ……」
『禁域』初探索を終え、色々と修正点・反省点が出たものの、ひと先ずはマリリンさんに色々と相談しようという運びになった。
そんな翌日、五人でぞろぞろと『ファンシーショップ・マリリン』へと向かう。
私たちは常連だし、リーナのワンワン装備を買った時にも来ているので全員がマリリンさんとも顔馴染みだ。
さすがはマリリンさんと言うべきか、リーナがダンデリーナ王女だと分かっても傅いたりしない。
「あらぁ~可愛いわね~」といった余裕のオネエっぷり。四天商は伊達ではない。
リーナにしても『王都一の上級魔装技師』という事で尊敬を持って接する。
この娘は生真面目すぎるから、見た目や言動に引くような事はない。
ともかくそんなわけで常連として訪れたわけだが、意外にも私たち以外の冒険者の女の子が、二~三人ではあるが店内で物色していた。
「おっ? ようやくファンシーに目が向けられる時代が来ましたか!」
「うふふ~、ピーちゃんたちのおかげよ~」
マリリンさんの見た目に引く事なく、店内に居続けられる豪胆かつファンシー思考の女子!
それをこそ求めていたのだよ!
どうやら私たちは自分たちが思っている以上に注目を集めていたらしい。
私たちの装備がこの店で買ったものだと口コミで広がり、様子を見に来る女の子が多いと。
その中でも一部の娘は、マリリンさんが声をかけても逃げ出さずに居てくれると。
さすがに動物モフモフシリーズを買う猛者はサフィーくらいのものだったらしいが、ファンシー初心者としてパステル調の軽装や外套はすでに買われているらしい。
モフモフはハードルが高いのか……。
中でもファンシー装衣の人気は高いらしいが、手に取って「可愛い」とは言うものの、「完全に真似になるとさすがに怒られるのではないか」という女性冒険者の声もあるようだ。
別に真似されたって嬉しいだけだし、有用な装備には違いないと思うんだけど、どうもここでも「ダンデリーナ王女の真似など恐れ多い」という弊害があるようだ。
当然、リーナは怒らないし、リーナ大好きの国王も、リーナのファッションが真似されるほど人気となれば嬉しがるだろう。
一応そんな事をマリリンさんには言っておいた。リーナからも。
ともかく私たちも買い物である。
課題はポロリンの防御力増強(外套の相談も含む)、サフィーの忍装束をファンシー装衣風に出来ないか。そして魔法の鞄。
マリリンさんと相談しつつ考える。
「サフィーちゃんの忍装束をファンシー装衣風にね~、面白そうだわ~。あたし、忍装束は作ったことないし!」
そりゃそうだろうね。忍装束なんて【忍者】限定だろうし、そもそも【忍者】自体がレアすぎる。
問題は世界システムさんが何をもって『忍装束』としているか、なんだよね。
くノ一っぽい和服であればいけるとは思ってるけど、そうなるとファンシー装衣のスクール系とはかけ離れる。
ツーピースなのは変わらないから、あとはマリリンさんの力量にお任せするしかない。
サフィーも「これで皆さまとお揃いになりますわね!」と気が早いながらも上機嫌に扇子を広げていた。
そして問題の美少女(男子)である。
「ふふふっ、いつかそういう注文が入ると思って作っておいたのよね~、ポロちゃん用の装備!」
『おおっ!?』
やはりマリリンさんは格が違った。
私たちが動物モフモフシリーズで揃えているのに、ポロリンだけ着ないなどありえないと、隠れて自主製作していたらしい。
いつか絶対注文が入ると確信があったようだ。
そうして奥から持ってきた物を見ての反応。
「おおー!」と声を上げる四人と、「ええーっ!?」と驚くポロリン。
拍手をする四人と、首を横に振るポロリン。
言っておくがマリリンさんに細かい注文などしていないし、ポロリンが【セクシーギャル】だとも言ってない。
私たちの噂を知っているのなら固有職だとバレているかもしれないが明言はしていない。
装備制限があるのは知っている。武術着を着てトンファーを武器としているのも知っている。
そこまでの情報だけでポロリン専用装備を作ったというのか……!
さすがマリリンさん……! さすが【幻想魔装】のゴンザレス……!
マリリンさんが広げて見せたのは、動物モフモフシリーズ。
しかも髪色に合わせたような『ピンクのクマ』である。
ケープ、グローブ、ブーツの三点セット。
あまりのファンシーさに目が輝く。
「うふふ、すごいでしょ~。かなりの力作よ~。ポロちゃん用に作ったから『盾役の武闘家』を意識した付与になってるしね~」
「「「「おおー!」」」」
「いやいやいや、ちょ、ちょっと待って下さい! ボクは動物モフモフシリーズじゃなくていいんですけど!」
「何を言ってるんだポロリン。マリリンさんがポロリンの為に作ってくれたんだよ? それを拒否るとか信じられないよ」
「い、いや、あの、そ、そうですよ! ブーツとか買ってもらったばっかじゃないですか! なのにモフモフにしちゃったらせっかく金属製のグリーブにしたのに……」
「下がらせる目的で蹴るって聞いたから<ノックバック強化>の付与にしておいたわ~」
「ぐはっ!」
ふふふ、逃げ場などないのだよポロリンくん。
諦めて君もモフモフ仲間になるのだ。
見たまえ、ネルトがすでに「もふもふ」と撫でているじゃないか。
結局は当然のようにポロリンが折れた。
サフィーの「んまぁ! お可愛らしいですわ!」というのはともかく、リーナが真剣に「最高の魔装技師であるマリリン様がポロリン様の為にわざわざ……これは素晴らしい事です」と言えば、小市民ポロリンは頷くしかない。
そんなわけで買います。三点セットでお値段、金貨五五枚。
今までで一番高いが、これでも相当安いと思う。即金です。
ささ、お着換えの時間だよ。さっさと着ろや、この美少女が。
「あらぁ~可愛いわね~」
「うぅぅっ……ボクもうオーフェンに帰れないよ……」
「おおー!」パチパチパチ
―――――
名前:ポロリン
職業:セクシーギャルLv28(+2)
武器・白銀のトンファー(攻撃+25、防御+27)
防具・萌芽の武術着(攻撃+5、防御+20、敏捷+5・ウォークライ)
クマクマケープ(防御+30、魔法耐性(抵抗+10)、威圧耐性)
クマクマグローブ(防御+10、攻撃+10、状態異常耐性(抵抗+20))
クマクマブーツ(防御+15、敏捷+10、ノックバック強化)
―――――
さすがに高性能。固いわー。ピンククマ最強説。
恥ずかしがってうつむく様は、より美少女感をアップさせる。
「しかしこうなると武術着が浮くかね」
「そうね~、サフィーちゃんと同じようにファンシー装衣で武術着っぽくしてみましょうかね~」
「うえっ!?」
やっぱりそうだよね。マリリンさんもそう思うよね。
ここまで来たら五人全員、動物モフモフシリーズ+ファンシー装衣にしたいって。
でもそうなるとマリリンさんには言っておかないといけないんだよね。
「ファンシー装衣を『セクシー』にって出来ます? あんま言えないんですけど装備制限がありまして」
「まぁ、そうなの~。ファンシーとセクシーの両立ね~。なんて難しい課題でしょ、腕がなるわ~」
チャレンジしてくれるらしい。サフィーの忍装束と一緒に考えてくれると。
もうこうなればマリリンさんに全面的にお任せするしかないね。楽しみに待ちましょう。
パーティー資金にはまだ余裕はあるが、ファンシー装衣がどれほど掛かるか分からないので、とりあえず魔法の鞄は保留とした。いずれ買うつもりではいますとだけ伝えておく。
同じくトンファーの新調も今回は見送りに決定。
まぁこれはポロリンも乗り気じゃなかったからいいんだけどさ。
レベルアップが早いから近い将来物足りなくなりそうだけど、現状は防御に専念して頑張ってもらいましょ。
♦
その後、『禁域』に潜りつつ、帰り際にマリリンさんのお店にちょくちょく寄る感じにした。
ホームもお店も中央区だから行きやすい。
やはりサフィーとポロリンの装備制限が厳しく、どうにか世界システムの壁を越えられないかと試しつつ、何とか形にしてもらった。
それでも十日も掛かってないけどね。マリリンさんさすがです。
―――――
名前:ポロリン
職業:セクシーギャルLv31
武器・白銀のトンファー(攻撃+25、防御+27)
防具・クマクマケープ(防御+30、魔法耐性(抵抗+10)、威圧耐性)
クマクマグローブ(防御+10、攻撃+10、状態異常耐性(抵抗+20))
クマクマブーツ(防御+15、敏捷+10、ノックバック強化)
ファンシー装衣verP(防御+15、運+10)
―――――
名前:サフィー・フォン・ストライド
職業:スタイリッシュ忍者Lv28
武器・忍刀・闇風(攻撃+25)×2
クナイ等暗器類
防具・コンコンローブ(防御+30・火属性強化・火耐性)
コンコンブーツ(防御+10・敏捷+10・魔法耐性(抵抗+10))
ファンシー装衣verS(防御+15・運+10)
―――――
ポロリンのセクシー縛りについてはブラウスの首元を広めに開け、膝上丈のプリーツスカートをかなりミニにしてみた。
どうせスパッツ穿くし問題ないだろうと。
ここまでやって、やっと『セクシー』と認められるらしい。
ちなみにタータンチェックは赤を基調としている。
武術着に付与してあった<ウォークライ>が使えなくなったのは痛いが、ファンシー装衣に付けられる付与はマリリンさん曰くこれが限界との事。
見た目重視派なんで問題ないです。私的には。
サフィーはまずブラウスを和服のように前合わせにする所から。裾もスカートから出して腰ひもで絞める。
本来ホットパンツのようだった下半身は、ポロリンと同じようにミニのプリーツスカートとスパッツにした。
これでどうかと色々チャレンジした結果である。やはり上半身を和服の形状にし、くノ一っぽい動きやすさを出したのが良かったのかもしれない。
タータンチェックは紫が基調。なんとなくサフィーっぽい。
というわけで五人全員が動物モフモフシリーズ+ファンシー装衣となったわけだ。
・ピーゾン 白ウサギ+ピンクスカート
・ポロリン ピンクくま+赤スカート
・ネルト 黒ネコ+灰スカート
・リーナ 紺イヌ+緑スカート
・サフィー 茶キツネ+紫スカート
こんな感じ。
今までも相当目立ってたという自覚はあるが、五人が揃うとさらに目立つらしい。
シャンゼリゼ通りを戦隊ヒーロー五人で歩いているようなものだ。
知っている人には三度見され、知らない人には大道芸人に見えるらしい。
ギルドに入れば、もはや私たちの事など知っている人しか居ないわけで。
「あ、あいつら、パワーアップしやがった……」
「パーティーで装備揃えるとか、騎士団や神殿組織じゃあるまいし……」
「あっちは揃える意味が分かるけどよ、こっちは……全く意味不明だぜ……」
「ポロリンちゃん可愛くなりすぎだろ、あれヤバイ」
「ああ、殿下が霞むとかとんでもねえな……」
奇異の視線に加え、ヒソヒソ話が多い事多い事。
相変わらず私やリーナ、ネルトは無視だし、ポロリンはうつむきっぱなし。顔真っ赤。慣れろ。
サフィーは扇子を広げて誇らしげ。お前はもうちょっと忍べ。
ちなみに、ファンシー装衣に関しては今までと同じ値段にしてくれた。
試行錯誤して試作作って注文して、ってやったけど、そこら辺は全部無視して今までと同額でと。
「あたしも楽しかったわ~、おかげで良いもの出来たし満足よ~」と言っていたが完全に甘えた格好だ。
本当にマリリンさんには頭が上がらない。
近いうちに魔法の鞄を買いに来ますと言っておいた。
おそらく私のウサギポーチと同じような感じで、ポロリン用とネルト用を作ってくれるだろう。
「ワタクシも欲しいですわ!」
「出来ればわたくしも。やはりマリリン様製のものに比べると性能が落ちますので」
今度は二人がそんな事を言い出した。
実家にありそうだけどね、超高性能な魔法の鞄。
ま、あってもファンシーじゃないか。揃えた方が可愛いね。
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