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第五章 毒娘たち、注目の的になる
114:へんてこなジョブの六人が集まったようです
しおりを挟む談話室でお茶を飲みつつ、まずはお互いの能力の明かし合いから始める。
誰がどういう職で、どういう能力、どういう戦い方をするのか聞いた上で、訓練し、連携しないといけないからね。
特にソプラノさんは回復役であると同時にバッファーでもあるので大事な所だ。
「ピーゾンちゃん、私に敬語は不要ですよ。年長者ですけど同じパーティーメンバーなのですから、リーダーの指示には従いますので」
あ、そう?
いやぁリーナとサフィーは一歳上だからまだ良かったけど、ソプラノさんは二五歳だからさ。さすがに躊躇したんだよね。
まぁ私が前世で死んだのも二五歳だったからそこまで抵抗はないんだけど。
……しかし前世の私に比べると……美人の上にナイスバディで、尚且つ聖母的雰囲気……この格差社会よ。
ともかく以降は「ソプラノ」と呼ばせてもらう事にした。ネルトはずっと敬称略なんだけどね。
そして能力情報共有の話に戻る。
ソプラノからすれば五人の情報が一気に入って混乱すると思うので、全員、自分のステータスを紙に書いた。
それを見ながら説明しようと。
「じゃあまずは私から。こんな感じだね。パーティーの役割としては【デバッファー】と指揮かな。あとサブアタッカー的な感じ」
「【毒殺屋】……本当に毒に特化した職なのですね……あの回避も剣技もスキルではないと……」
「私の″毒″って人にも有効なんだけど、ソプラノ回復出来る?」
「うーん、いわゆる状態異常でしたら問題ないです。麻痺も石化も大丈夫でしょう。ただ<腐食毒>は無理だと思いますし、<枯病毒>は……″枯病″を癒した事がないので何とも……」
試すわけにはいかないからねぇ、こればかりは。
でも治せるかもしれないって事だね? それは何よりだよ。
と言うか<衰弱毒>に関しても解毒ポーション頼みだった現状から打破できると思うと感慨深い。
私はずっと待ち望んでいたからね。治してくれる回復役を。
続いてポロリン。
「えっと、ボクはこんな感じです。パーティーでは【盾役】です」
「……えっ、男!? 【セクシーギャル】!? 男!?」
超パニック。そりゃそうなる。
と言うか、ソプラノも気付いていなかったらしい。少女五人のパーティーだと思っていたと。
やっぱ初見で看破したマリリンさんが異常なんだよね。
「あ、ポロリン、完全にハーレムパーティーになっちゃったね、ごめんね」
「アハハ……いえ、もうそれは仕方ないですよ、半ば諦めていましたし……」
「男一人だから女を守らないとね! もっと逞しくならないと! ね!」
「ですよね! よーしもっとムキムキに――」
男らしさを強調してやればポロリンは扱いやすい。実際盾役として守ってもらわないといけないからね。
しかし今現在、ムキムキとは程遠く、ずっと華奢なままです。
さらに美人の聖女様が加入しても尚、一番可愛いのがこの男です。どういう不具合ですかねこれ。
さて、次にネルト。
「ん……ステータスはこれで、役割は……【魔法使い】的な?」
「疑問形にするな。合ってる合ってる」
「【ニートの魔女】……固有職の【魔女】とはまたすごい人材ですね。私も初めてお会いしました」
「一般職の【魔女】も珍しいんだろうしね」
「ええ、しかしこの<空間魔法>というのは複雑ですね……ネルトちゃん、よく使いこなせますね、これ」
こう見えて意外と頭脳派キャラらしいですよ? 私は認めていないけど。
食いしん坊キャラと無口キャラだけで十分だと思うんですけどねぇ。
ともかくネルトの能力は口頭で説明しても理解するのが難しいだろうという事で、明日以降に実際見せる事にした。
基本である<グリッド>からして意味不明だろうしね。
次にリーナ。
「わたくしはこのようなステータスです。役割としては【近接物理アタッカー】です」
「すみません、【サシミタンポポ】という意味が全く分からないのですが……」
「はい、これはピーゾン様に解釈して頂いたのですが――」
リーナの場合はまず【サシミタンポポ】って何? って所から説明が必要。
その上で、包丁しか使えないとか、<包丁術>って何、と。
<タンポポ乗せ><パッケージング>の説明が最後になる感じだね。
「なるほど、そのような複雑な職だったのですか……これを解明し、理解し、自分のものとするには大変でしたでしょうに……」
「それは全てピーゾン様のおかげです」
「やめてよリーナ、私はアドバイスしただけだよ」
「国が危険視する理由も分かりますが、単純に冒険者活動をする上で有効なスキルばかりですね」
<解体><タンポポ乗せ><パッケージング>はその通りだね。
これで魔法の鞄があったら、リーナはマジで『歩く冷蔵庫』と化すから。
物理アタッカーとしても普通に優秀だしね。さすがサシタン。
次にサフィー。
「とくとご覧あそばせ! これがワタクシの能力! スタイリッシュステータスですわ!」
「おお、【忍者】ですか! 【斥候職】の最高峰じゃないですか!」
「ソプラノさん違いますわよ! 【忍者】ではなく【スタイリッシュ忍者】ですわ! お間違えなく!」
「……スタイリッシュってどういう意味です?」
そこからサフィーの『スタイリッシュとは何か』という論文発表会になりそうだったので、黙らせつつこっちで簡潔に説明した。
簡潔と言ってもサフィーの能力は多岐に渡るので、どうしても説明が長くなる。
ただの斥候職では収まらないのが【忍者】であり、それに二回宙一回捻りを加えたものが【スタイリッシュ忍者】であると。
「……よく分かりませんが、とにかく魔法も剣技も出来る斥候という事でしょうか」
「だいたい合ってる」
「ちょおっとぉ! 全く説明が足りませんわよ! スタイリッシュの『ス』の字も――」
再度黙らせた。
ともかく現状の【輝く礁域】は、前衛3、中衛1、後衛1といった感じ。かなり流動的だけど。
そこにソプラノが入る事で、後衛が二枚になるんじゃないかと期待している。
「さあ、そんなわけで見せてもらいましょうか! 【七色の聖女】とかいう固有職の全てを!」
「……ん? あれ? ピーゾンちゃん、【七色の聖女】って二つ名であって職の名前じゃないですよ?」
「えっ、そうなの!?」
いや【聖女】って神官系一般職の最上位(女性限定)であるのは知ってたから、【〇〇の魔女】みたいな感じで【七色の聖女】っていう固有職だと思ってたんだけど……違うんかい!
え? 私だけ? そう思ってたの私だけ!?
「見せた方が早いですね、これが私のステータスです」
―――――
名前:ソプラノ
職業:泡姫Lv41
武器・魔杖アルマス(魔力+70、HPドレイン、MPドレイン)
防具・聖女のローブ(防御+10、抵抗+10、MP回復増進)
神官服(防御+10、抵抗+5)
神官のブーツ(防御+5、抵抗+5)
HP:108
MP:315
攻撃:23
防御:150(+25=175)
魔力:275(+70=345)
抵抗:355(+20=375)
敏捷:103
器用:105
運 :271
スキル:癒しの泡Lv5、高揚の泡Lv5、添い寝Lv3、泡姫の舞Lv3、生活魔法Lv5
癒しの泡=ヒールバブル、キュアバブル、エリアヒールバブル、ハイヒールバブル、ハイキュアバブル、リジェネバブル、マジックヒールバブル
高揚の泡=アタックバブル、ディフェンスバブル、スピードバブル、マジックバブル、レジストバブル、デックスバブル、ラックバブル
生活魔法=着火・給水・乾燥・洗浄・照明・手当・縫製・開錠
―――――
「げほっ! げほっ! げほっ!」
「ピーゾンちゃん!? 大丈夫!?」
泡姫!? マジ!? 聖女様って……泡姫!?
いやいやいや、これはマズイでしょう! 問題ですよ、問題!
しかもスキルがこれ、『癒し』『高揚』『舞』はまぁ良しとしよう。『回復』とか『付与』でいいじゃんとは思うけど、それはさておきだ。
<添い寝>って何だよ!
これもう完全アウトだろ! R指定入るぞこれ!
「さすが聖女様ですね、素晴らしい能力とスキルです」
「本当に回復とバフ特化という感じですわね」
「んー? 攻撃は全くなし?」
「はい。ですので【魔杖アルマス】の付与スキルである<HPドレイン>と<MPドレイン>ばかり使っています。杖で戦うという事もしていませんので……」
「あー、聖女様は守らないとダメですもんねー。最後衛でしょうし杖を振るう機会なんてなさそうですよね」
「と言うかソプラノさんも魔剣所持者ですのね。さすが聖女様と言うべきか、おかげでワタクシたちと揃って丁度いいですわ」
「ええ、驚きました。皆さん五人とも魔剣だったなんて……ピーゾンちゃんとかサフィーちゃんは見ていて分かりやすかったのですが」
「やはり形状が『剣』でないと分からないものなのですね。わたくしとしては都合が良いです」
「私も杖なので一見では分からないと思いますけど、どうしても魔剣の黒さが気になっていまして……」
「ん。ソプラノもマリリンにモフモフカバー作ってもらえばいい」
「ああ、その装備の事も気になっていたのです!」
私が項垂れている間に、五人は随分と盛り上がっている。
なぜ私だけダメージを受けているのか。
気にしたら負けなのか。
そりゃこの世界で『泡姫』なんて言葉ないだろうし、そもそもそういった施設もないだろうし、前世だって一部の人しか知らない知識だろうし、じゃあなんで私知ってんだよって話だし……。
ああっ、もうっ! 職業神! いい加減にしろゴラァ!!!
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