カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

文字の大きさ
193 / 421
第八章 黒の主、復興の街に立つ

186:神々が集いし場所

しおりを挟む


■シャムシャエル 天使族アンヘル 女
■5043歳 セイヤの奴隷 創世教司教位


 大変な任務を仰せつかりました。
 【勇者】たるご主人様のお住まいに神殿を作るという壮大なものです。
 ただの神殿ではございません。何柱もの神々を祀る『総合神殿』というものを作れと。

 まさに多種族を率いる【勇者】様ならではのお考えでしょう。

 皆それぞれに信仰を持ち、それでも尚一つの所で共に祈りを捧げようと、そういうお考えなのです。
 何という革新性。いくつもの信仰がこの一室に全て集まるという、未だかつてない奇跡が起きようとしているのです。

 これは本国に報告しないわけには参りません。
 現状を逐一報告し、この崇高なお考えを後世に伝えるべく残してもらわねば。


 ちなみに私とマルティエルがメモしたご主人様のお言葉、そのご様子は、すでに本国へと報告し、新たな備忘録として編纂作業に入っているはずです。

 次の報告を早く寄越せと、せっつかれております。
 今回の総合神殿の件は本国でも大いに賑わうこととなるでしょう。


 とは言え、与えられたスペースはパーティーホール一室。
 これに皆さんが祀る全ての神像を並べ、簡易祭壇を作らねばなりません。

 部屋の内装にしてもとても神殿と呼べるようなものではございませんし、祭壇の配置の問題もあります。


 とりあえずパーティーホールに元々あったテーブルや椅子、【領域主】のドロップ品展示などは撤去します。
 展示は娯楽室でいいですかね、とりあえず。ほとんどがエントランスに並んでいますし、あるのは少数です。


 空になったパーティーホールに立って悩むのは、私とミーティアさん、エメリーさん、マルティエルです。


「配置は決めるにしても【創世の女神ウェヌサリーゼ】様の祭壇は一番大きく、一番目立つようにすべきです。ご主人様の侍女である以上、皆さんが第一に祈るべき場所ですから」

「ありがとうございます、エメリーさん」

「やったでござる! 嬉しいでござる!」

「そうなると窓側の中央に女神様の祭壇。そこから並んでぐるっと部屋を囲うように配置するべきでしょうか」

「数がありますからね……果たしてどれくらいのスペースがとれるか……」


 皆さんが信仰する神様の祭壇・神像ですから相当な数になります。
 一応皆さんにお聞きしまして、どの神様を祀っているのか確認してみました。


※敬称略
【創世の女神ウェヌサリーゼ】【獣神ダルダッツォ】【正義の神アンディロ】【戦神ブルロイ】【豊穣の神エルトフィール】【手工の神ロンジィ】【樹神ユグド】【運命神リンデアルト】【大地の神ディール】【鍛治の神ドンディラウ】【酒神ベヘレテ】【魔法神マギアロード】【商売の神ディーコック】【農業の神バルア】【造形の神ハンナム】【竜神ドラウグル】【海神アクアル】


 十七柱……。現段階で十七柱です。

 この先ご主人様が新たな侍女を引き入れるであろう事を考えますと、その種族によってはもっと増える事になるでしょう。
 これだけの数の神々を、パーティーホール一室で祀らなければならない。
 なんと難しい命題でしょう。


「こう、両手を広げたこのくらいのスペースが限界じゃないでしょうか」

「そ、そんなに狭くでございますか!?」

「いえ、ミーティアの言う通りでしょう。それでさらに祭壇同士がほぼくっつくくらいでなければ並べ切れません」

「神様大渋滞でござる……」


 それほど狭く小さい祭壇であるならば、そこに置く神像はもうマネキン程度の大きさが限界でしょう。
 飾り付けも最小限にせざるを得ません。
 皆さん納得して下さるでしょうか。少し心配になってきました。


「しかし考えてみれば多種族の我々が手を取り合うように、奉ずる神々同士が近しいというのも悪くないかもしれません」

「……なるほど、言われてみれば確かに。では、いっそのこと神像同士が手を繋ぐというのはどうでしょうか。これならば祭壇が近い理由にもなりますし、我々が共に手を取り合うという象徴にもなります」

「「おお!」」


 その発想はありませんでした! それはとても良い考えに思えます!

 やはり神聖国に籠り、女神様だけにしか目を向けていなかったが故なのでしょう。
 皆さんのお考えの柔軟さには毎日のように感心させられます。


「であれば中央の女神様の祭壇を広めに取り、それで尚手を繋げるように、女神様の神像は一回り大きくした方が良いでしょう」

「ええ、その周りに我々と同じ大きさの神像を並べると。想像してみると壮観ですね」

「なんと神聖な空間でございましょうか」

「やっぱり内装も神殿っぽくしたくなるでござる」


 となると問題はその神像をどうやって作成依頼するのかと。
 石材彫刻となれば北西区なのでしょうが、十七柱もの神像、それも作った事がないであろう神の神像を依頼しなければなりません。
 複数の工房に依頼するにしても手を繋ぎ合わせる為に完璧な設計図が必要ですし、そもそも商業組合がほぼ停止状態なので自分たちで探さなければなりません。

 どうしたものかと、しばし四人で悩みます。


「やはり自分たちで作るべきでしょうか……」

「出来ますかね? エメリーさんは器用だから出来るでしょうけど、私は自信ないです……」

「そもそも北西区の職人を探したところで、例えば女神様の姿形も分からないと思いますよ。創世教会が神聖国以外にないのですから。であるならば我々で作ったほうが良いものが出来そうに思えるのですが」

「確かにそうでございますね……私もマルティエルも何千年も毎日女神様の神像を拝顔しておりましたし」

「女神様のお姿はばっちりでござる! 自分で女神様の神像を作るなんてすごいでござる!」

「侍女全員で事に当たりましょう。自らが奉ずる神を自らの手で作るのです。否とは言えないでしょう」


 エメリーさんの一声で決まりました。さすがは侍女長様でございます。
 それから我々は大量のマジックバッグを持って、北西区へと石材の調達に行きました。合わせて彫刻用のノミやヤスリも大量に買います。
 戻ったら地下の訓練場に並べ、そこを作業場とします。

 夜には皆さんにエメリーさんから神像作成の依頼をしました。


「ええーっ!? 私たちで作るんですか!?」

「神像の彫刻だなんて、出来るかしら……」

「無理だよ! あたし絶対出来ないって!」

「何事も経験でしょうか……」

「楽しそう! 私やるー!」


 反対も少数出ましたが、やはりそこはエメリーさん。有無を言わさず全員強制参加となりました。
 そしてその日から作成を開始。地下からコンコンと鳴り続ける日が続きます。

 皆さん【器用】にも<カスタム>してあるのですが、どうもこういう事にはセンスや得手不得手があるようです。

 ネネさん、サリュさん、ティナさんの三人はご主人様とタイラントクイーンを作った経験からか、かなり器用に作っています。
 ツェンさんやラピスさんは大雑把な性格に難があるのか、苦手そう。
 ジイナさんとエメリーさんはさすがの一言。颯爽とご自分の担当を終わらせてお手伝いに回っています。
 ミーティアさんは、その……監督役をお願いできますか?


 この件に関しては不干渉を決め込んでいたご主人様も、さすがに顔を見せるようになりました。
 ご自分で作ったりはしませんが。
 ノミの一振りだけでもお願いしたいのですが、頑なに彫ろうとはしません。

「やったらどうせ『女神の使徒セイヤが手ずから掘った神像だ』とか言われるんだろ? だから絶対やらんぞ」との事。
 まぁそういう報告を本国にしたい気持ちも少なからずあります。


 そのご主人様は皆の作っている神像を見ながら回ります。


「へぇ、獣神って狼っぽいんだな。これは竜神? 竜じゃん。六枚翼はカッコイイけど竜そのままじゃん。……え、それなに? 海神? これ海神なの? SAN値がやばくなるな……って言うか、獣神にしても竜神にしても手、繋げるの? どうやってやるの? 後ろ足で立たせるの?」


 そこは両サイドの神様が身体に触れている感じにするつもりです。
 海神様は触手があるので問題ないと思いますが。

 そしてご主人様は今まで避けていた、私たちの作る女神様の神像をまじまじと見始めました。
 やっとご興味が湧いたのでしょうか。嬉しい事です。


「あー。シャムシャエル、マルティエル、非常に言いにくいんだけどな……女神ヤツはこんな顔じゃないぞ」

「「えええええ!!??」」

「もうちょっと丸顔で目付きがキツイ。鼻もこんなに通ってないな。美人は美人なんだが……」

「そ、そんな! かなりの力作でございますのに!」

「じゃ、じゃあ聖殿の女神様像も全部違うって事でござる!? 大事件でござる!」


 今まで私たちが女神様のお姿として見てきたものが全く違うお顔だと……これはかなりショックです。
 しかし誰であろう、実際にお会いしたご主人様のお言葉なのですから本当なのでしょう。

 どうしたものか……しばらく放心状態になりました。
 これ、本国に伝えたら大騒ぎってレベルじゃありませんよね……。気が重くなります……。


 そんな事があって修正だの何だのがあったある日の事。
 朝食前の早い時間、フロロさんが食堂へと駆けこんで来ました。
 今まで見た事もない様子のフロロさんです。


「エメリー! ミーティア! シャム! たたたた大変だーっ!」

「どうしたのです、フロロ。騒々しい……」

「はあっ、はあっ、し、神託が下りたのだ! たった今! 我の下に!」


 聞けば、毎朝行っている占いの際に、占いとは全く関係のない神託が降ってわいたそうです。
 それも【運命神リンデアルト】様、【大地の神ディール】様の二柱から同時に。


「落ち着きなさい、フロロ。それはどういった内容なのです?」

「あ、ああ、我らの作っている神像、いや総合神殿に関してだ」


 総合神殿に関しての神託!?
 これには食堂にいた全員の顔が険しいものになります。


「三つあるからよく聞いてくれ。『獣神と魔法神を隣に並べてはいけない』『樹神と海神を隣に並べてはいけない』『女神様の両隣を【運命神リンデアルト】様と【大地の神ディール】様にする事』、以上の三点だ」


 なんと……なんと具体的な神託でしょう。
 これほどの神託を受けられるとは……フロロさんの興奮も分かります。
 しかし、神が我らの行動を見て、それに対し指示を出して来るとは……何とも恐れ多く感じてしまいます。


「……すぐに配置は変えましょう。繋ぐ手の位置も微調整が必要かもしれません。……しかしどういう事でしょうか。神々の序列のようなものがあるのでしょうか」

「分からん。我もそんな話は聞いた事がない。巫女であったミーティアや、司教のシャムはどうだ?」

「私はユグド様からそのようなお話は聞いた事はありませんね。女神様以外の神々に上位下位といった区別もないと思うのですが……」

「私も分からないでございます。創世教の聖典では女神様が最初に神々をお作りしたとあります。もしかしたらその順番が関係しているのかもしれないでございますが……詳しくは何とも……」

「シャムの言う事が正解かもしれませんね。リンデアルト様とディール様が先にお生まれになったとしたら、女神様のお隣と言われるのも分かる気がします。何にせよ、取り急ぎ神託の通りにやり直しましょう」


 これは正直、フロロさんが居て下さって助かりました。
 並べて祀る事に固執して、その順番が不敬につながるなどとは考えもしませんでした。
 危うく神々の怒りに触れる所でした。

 今回の神託に関しては本国に伝えねばなりません。
 神々の中のルールなど、今まで知り得もしなかったのですから。
 それもこれもご主人様の周りにこれだけの人材が集まったからこそ。

 やはり我々天使族アンヘルがここへ来て良かった。
 改めてそう思ったのです。







 数日後、完成した神像の並びを見たご主人様が一言。


「マイムマイムじゃねえか……」


 意味は分かりませんが、これも一応報告しておきましょう。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

ダンジョン・イーツ! ~戦闘力ゼロの俺、スキル【絶対配送】でS級冒険者に「揚げたてコロッケ」を届けたら、世界中の英雄から崇拝されはじめた件~

たくみさん
ファンタジー
「攻撃力ゼロのポーターなんて、配信の邪魔なんだよ!」  3年尽くしたパーティから、手切れ金の1万円と共に追放された探索者・天野蓮(アマノ・レン)。  絶望する彼が目にしたのは、ダンジョン深層で孤立し、「お腹すいた……」と涙を流すS級美少女『氷姫』カグヤの緊急生放送だった。  その瞬間、レンの死にスキルが真の姿を見せる。  目的地と受取人さえあれば、壁も魔物も最短距離でブチ抜く神速の移動スキル――【絶対配送(デリバリー・ロード)】。 「お待たせしました! ご注文の揚げたてコロッケ(22,500円)お届けです!」  地獄の戦場にママチャリで乱入し、絶品グルメを届けるレンの姿は、50万人の視聴者に衝撃を与え、瞬く間に世界ランク1位へバズり散らかしていく!  一方、彼を捨てた元パーティは補給不足でボロボロ。 「戻ってきてくれ!」と泣きつかれても、もう知らん。俺は、高ランク冒険者の依頼で忙しいんだ!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...