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伯爵家
第9話 凶刃
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私は自室のベッドの上で四肢をを広げて寝転がり感慨に耽っていた。窓から差し込む月明かりが時間の経過を感じさせる。先生は行ってしまった。指導の期間は終わり依頼は達成したのだから当たり前だが少し寂しい。
でも、約束してくれたし、待ってるとまで言ってくれた。しかし、あのお義母様が冒険者をしたいと言って素直に聞き入れてくれるだろうか。お義母様は貴族至上主義のような人だ。冒険者を蔑視している節があるし、お父様亡き今この伯爵領の実質的な権威はお義母様が握っているといっても過言ではないだろう。
だが、この国、ゼフテロス王国の法では前当主に子息がいる場合、次の当主は前当主の息子または娘の婿がならなければならない。私は来月で成人年齢の十五になるのでそうなる可能性は極めて高い。どうしたらいいだろうかと色々と思案するがいい考えは浮かばない。私はその陰鬱な気分を払うように体を勢いよく起こす。すると、机の上に置いていた黒塗りの剣が目に入った。私は気晴らしに剣でも振ろうと思い当たり、その剣を持ち上げ屋敷から飛び出す。鬱蒼と茂る芝を踏みしめ屋敷から少し離れた開けた場所まで歩いていく。
「ふっ! ふっ!」
軽く息を吐きながら上段から剣を振り下ろす動作を繰り返す。月の光で怪しく輝く漆黒の剣は羽のように軽く、まるで重さを感じさせなかった。それでいてこの剣は降るたびに独特な風切り音を響かせるほどの切れ味を誇っている。試しに足元の草を薙ぐと、全く抵抗を感じさせず両断していた。
改めてこの剣は凄まじい価値があるものだと自覚した。同時にそれほどの物を先生が自分に託してくれたのだと思うと自然と頬が緩む。父以外で初めて自分を認めてくれた人であり、圧倒的な武力と魔力を持ち、世界で十数人しか攻略したことのない迷宮を踏破した英雄。憧れないわけがない。そこは私が目指している場所なのだから。
私は幻視したのだと思う。あの大きな背中を見つめるのではなく、その隣に立って戦う姿を。その思いを乗せ再び剣を振る。その未来を実現させる一歩を踏み出すために。
だが、その時草を踏みしめる複数の足音が聞こえた。その音は徐々に近づいてくる。その方向を見ると三人の男が歩いてくるのが見えた。そのうちの二人は腰にブロードソードを下げ、革鎧を身に纏っている。剣は少しさび付いており、鎧には血のような染みが所々残っていた。後の一人は他の二人とは違い、チェインメイルで体を覆い、二本のダガーを身に着けていた。
その装備はくたびれているが汚れ一つ見当たらない。丁寧に手入れされているのだろう。私は三人の男を観察し、武装していることと、貴族の屋敷の領地に無断で侵入してきたことから少なくとも友好的なものではないと剣を構える。
「お頭ぁ~、ターゲットがこんなところにいますがどうします?」
取り巻きの一人から軽薄そうな声が響く。すると、ダガーを身に着けた大男が口を開く。
「計画に変わりはない。さっさと始末してここを去る」
「え~、もったいなくないですか? すげー上玉ですよ。少し楽しんでからでもいいでしょ~」
「おい、何言ってんだ。相手は一応魔法が使えるんだぞ。支障をきたすようなことはやめろよ」
「そのとおりだ。今回は仕事。いつもとは違う」
「はいはい、分かりました」
その会話を聞き私は思考を巡らせていた。この男たちが私を殺すのは明白だ。おそらくはこの近隣を縄張りをしている盗賊の類だろう。だが、そんなことはどうでもいい。今はこの男たちをどうやったら倒せるかを考えなければならないのだから。
そのことを意識すると鼓動の音が膨らみ脳にまで響いてくる。その時、不意に私の頭にこの数日間の修行の光景が浮かんだ。そうだ、私には教えられた技術があるんだ。それも最高位冒険者に鍛えられたお墨付きのものが。膨らんでいた音が徐々に萎んでいくのがわかる。深呼吸をするように息を吐くと盗賊風の男たちをまっすぐに見つめる。
次の瞬間私は男たちに向かって走り出した。男たちは大きく目を見開き、慌てて武器に手をかける。まさか、貴族の令嬢が自分から突っ込んでくるとは思っていなかったのだろう。予定通りだ。私は走りながら光の玉を手のひらから真上に打ち出した。
「<閃光/フラッシュ>」
そういうと光の玉がはじけ、眩い閃光が周囲を白く染めた。
「ぐっ……なんだこれは」
男たちは剣を持っているのとは逆の腕を上げ目を庇う。その怯んだ隙に一気に距離を詰め最も近くにいた男の首をはねる。そこからさらに足に力を籠め、もう一人に接近する。
「こいつ……」
男は朧気にしか見えない私に向かって闇雲に剣を振り下ろす。私はその精彩を欠く剣を潜り込むようにしてかわすと下から斜め上に剣を振り上げる。男は粗末な鎧ごと両断され、ずるりと上半身がずれ落ちる。もう一人を仕留めようと男のいた方向を見ると男は数メートルほど離れたところに立っていた。
「ここまでやるとはな。正直予想外だ」
「そうでもないでしょう。魔法も使えると知っていたようですし、私のことを見ていたのではないのですか?」
「そんなわけはない。情報をくれた伯爵夫人が言っていたから知っていただけだ」
私は体をぴくりと震わせた。そうかもしれないという考えは心の片隅にはあった。ただ信じたかったのだ。例え実の娘でなくても少しくらいは愛情を向けられているのだと。だが、その理想は男の発言によって瓦解した。その無情な現実は理想を遅効性の毒に変え、私の心を蝕んでいた。その息苦しい感情が顔に現れていたのか男はこちらを見ながらにやりと笑う。
「夫人が関与しているとは知らなかったのか?それとも知らないふりをしたかったのかな?夫人の性格上お前は露骨に嫌われていただろうにな。まあ、嫌われて当然か。お前は平気で人を殺すような残酷なやつなんだからな」
男の言葉は再び私の心を抉った。無我夢中で戦っていたため意識していなかった肉を立つ感触が、剣を滴る赤黒い血液が、打ち捨てられた死体が罪悪感を感じさせる。心臓が早鐘のように高鳴り、唇が渇いていく。
私は分かっている。男は自分を動揺させるためにわざわざこんなことを言っているのだと。だが、分かっていても私は募る不快感振り払えない。ただの貴族令嬢の私は戦い方は知っていても本物の戦いを経験をしたのは初めてなのだ。そんな私にいきなり人を殺して平気な精神を求めるのは酷だろう。私もその例に漏れず、葛藤の渦の中に囚われている。
これをチャンスと思った男は足に力を籠めると、地をけりかなりの速度で近づいてくる。男は私の間合いの中に無謀にも突っ込んでくる。相手の武器はダガーのためリーチの差は明白だが、まるで挑発するように無防備に近づいてくる。私は迎撃しようと剣を振ろうと手に力を籠めるが、殺人へのためらいが一瞬の隙を生んだ。
「死ね!」
男は私の雪のように白い首を刈り取ろうとダガーを振るう。私は慌てて身を引き辛うじてかかわす。だが、完全には避けきれずその首筋には一本の赤い線が刻まれていた。このままではだめだ。私はこの現状を打破するために仄暗い思考を意識しないようにしようとするが、そうしようとすればするほど意識してしまう。
どうすれば……
私は歯噛みし、苦しげな表情を浮かべる。
「もう十分だろ?お前は俺の言葉で殺人への忌避感が出ている。お前は根本的に戦いには向いていない。どうせ夢や目標もないだろ?今殺されなくても結局はあの夫人に殺されるんだ。ここで殺されてもは大差ない。今なら一瞬で楽にしてやるぞ」
その言葉に私は再び体を震わせる。だが、先ほどとは違い私の瞳には力強い光が宿っていた。そうだ、私には迷宮を攻略するという父に託された目標があるじゃないか。父のためにもこんなところで死ぬわけにはいかない。それに先生との約束も無駄にはしたくない。私はため込んだ陰鬱な感情を吐き出すように大きく息を吐くとまっすぐと盗賊風な男を見つめ答える。
「ありがとうございます。あなたのおかげで大切なことを思い出しました。私は死ぬわけにはいきません。例えあなたを殺さなくてはいけなくても。それが私の答えです!」
男は苦々しい表情を浮かべ、悪態をつく。
「ちっ……仕方ないな。では、ここからは問答無用で行かせてもらう」
男は左手を上げ、それを振り下ろす動作をする。何か来るのかと私は警戒を強めたが何も起こらない。数秒ほどの空白の時間が流れる。
「どうなっているんだ!」
男は突然ひどく混乱したように喚き散らしている。今までの余裕の態度が消し飛ぶような醜い姿だった。私はわからない。この盗賊風な男が何をしようといてたかを。だが、この絶好の機会を逃すつもりはない。私は一直線に男に接近し、剣を振ろうとした瞬間、男はこの時を待っていたかの如く私に肉薄しダガーを振るう。その顔には君の悪い笑みが浮かんでいた。
嵌められた!
だが、私に残された選択肢は一つしかない。相手より速く切るそれだけだ。私は足に力を入れ、腰を回し剣を一閃する。その瞬間がまるで時間がゆっくり流れたように感じる。
その光景は私の脳裏にはダガーが先に当たる未来を幻視させた。思わず私は目をぎゅっと瞑って死の斬撃が来るのを待ったがいつまで経ってもそれは来なかった。恐る恐る目を開けるとそこには絶命した男が転がっていた。その死体は右腕と首が切断されており、その顔には驚愕の表情が張り付いていた。私は信じられない結末に時がたつのも忘れ暫く茫然としていた。
でも、約束してくれたし、待ってるとまで言ってくれた。しかし、あのお義母様が冒険者をしたいと言って素直に聞き入れてくれるだろうか。お義母様は貴族至上主義のような人だ。冒険者を蔑視している節があるし、お父様亡き今この伯爵領の実質的な権威はお義母様が握っているといっても過言ではないだろう。
だが、この国、ゼフテロス王国の法では前当主に子息がいる場合、次の当主は前当主の息子または娘の婿がならなければならない。私は来月で成人年齢の十五になるのでそうなる可能性は極めて高い。どうしたらいいだろうかと色々と思案するがいい考えは浮かばない。私はその陰鬱な気分を払うように体を勢いよく起こす。すると、机の上に置いていた黒塗りの剣が目に入った。私は気晴らしに剣でも振ろうと思い当たり、その剣を持ち上げ屋敷から飛び出す。鬱蒼と茂る芝を踏みしめ屋敷から少し離れた開けた場所まで歩いていく。
「ふっ! ふっ!」
軽く息を吐きながら上段から剣を振り下ろす動作を繰り返す。月の光で怪しく輝く漆黒の剣は羽のように軽く、まるで重さを感じさせなかった。それでいてこの剣は降るたびに独特な風切り音を響かせるほどの切れ味を誇っている。試しに足元の草を薙ぐと、全く抵抗を感じさせず両断していた。
改めてこの剣は凄まじい価値があるものだと自覚した。同時にそれほどの物を先生が自分に託してくれたのだと思うと自然と頬が緩む。父以外で初めて自分を認めてくれた人であり、圧倒的な武力と魔力を持ち、世界で十数人しか攻略したことのない迷宮を踏破した英雄。憧れないわけがない。そこは私が目指している場所なのだから。
私は幻視したのだと思う。あの大きな背中を見つめるのではなく、その隣に立って戦う姿を。その思いを乗せ再び剣を振る。その未来を実現させる一歩を踏み出すために。
だが、その時草を踏みしめる複数の足音が聞こえた。その音は徐々に近づいてくる。その方向を見ると三人の男が歩いてくるのが見えた。そのうちの二人は腰にブロードソードを下げ、革鎧を身に纏っている。剣は少しさび付いており、鎧には血のような染みが所々残っていた。後の一人は他の二人とは違い、チェインメイルで体を覆い、二本のダガーを身に着けていた。
その装備はくたびれているが汚れ一つ見当たらない。丁寧に手入れされているのだろう。私は三人の男を観察し、武装していることと、貴族の屋敷の領地に無断で侵入してきたことから少なくとも友好的なものではないと剣を構える。
「お頭ぁ~、ターゲットがこんなところにいますがどうします?」
取り巻きの一人から軽薄そうな声が響く。すると、ダガーを身に着けた大男が口を開く。
「計画に変わりはない。さっさと始末してここを去る」
「え~、もったいなくないですか? すげー上玉ですよ。少し楽しんでからでもいいでしょ~」
「おい、何言ってんだ。相手は一応魔法が使えるんだぞ。支障をきたすようなことはやめろよ」
「そのとおりだ。今回は仕事。いつもとは違う」
「はいはい、分かりました」
その会話を聞き私は思考を巡らせていた。この男たちが私を殺すのは明白だ。おそらくはこの近隣を縄張りをしている盗賊の類だろう。だが、そんなことはどうでもいい。今はこの男たちをどうやったら倒せるかを考えなければならないのだから。
そのことを意識すると鼓動の音が膨らみ脳にまで響いてくる。その時、不意に私の頭にこの数日間の修行の光景が浮かんだ。そうだ、私には教えられた技術があるんだ。それも最高位冒険者に鍛えられたお墨付きのものが。膨らんでいた音が徐々に萎んでいくのがわかる。深呼吸をするように息を吐くと盗賊風の男たちをまっすぐに見つめる。
次の瞬間私は男たちに向かって走り出した。男たちは大きく目を見開き、慌てて武器に手をかける。まさか、貴族の令嬢が自分から突っ込んでくるとは思っていなかったのだろう。予定通りだ。私は走りながら光の玉を手のひらから真上に打ち出した。
「<閃光/フラッシュ>」
そういうと光の玉がはじけ、眩い閃光が周囲を白く染めた。
「ぐっ……なんだこれは」
男たちは剣を持っているのとは逆の腕を上げ目を庇う。その怯んだ隙に一気に距離を詰め最も近くにいた男の首をはねる。そこからさらに足に力を籠め、もう一人に接近する。
「こいつ……」
男は朧気にしか見えない私に向かって闇雲に剣を振り下ろす。私はその精彩を欠く剣を潜り込むようにしてかわすと下から斜め上に剣を振り上げる。男は粗末な鎧ごと両断され、ずるりと上半身がずれ落ちる。もう一人を仕留めようと男のいた方向を見ると男は数メートルほど離れたところに立っていた。
「ここまでやるとはな。正直予想外だ」
「そうでもないでしょう。魔法も使えると知っていたようですし、私のことを見ていたのではないのですか?」
「そんなわけはない。情報をくれた伯爵夫人が言っていたから知っていただけだ」
私は体をぴくりと震わせた。そうかもしれないという考えは心の片隅にはあった。ただ信じたかったのだ。例え実の娘でなくても少しくらいは愛情を向けられているのだと。だが、その理想は男の発言によって瓦解した。その無情な現実は理想を遅効性の毒に変え、私の心を蝕んでいた。その息苦しい感情が顔に現れていたのか男はこちらを見ながらにやりと笑う。
「夫人が関与しているとは知らなかったのか?それとも知らないふりをしたかったのかな?夫人の性格上お前は露骨に嫌われていただろうにな。まあ、嫌われて当然か。お前は平気で人を殺すような残酷なやつなんだからな」
男の言葉は再び私の心を抉った。無我夢中で戦っていたため意識していなかった肉を立つ感触が、剣を滴る赤黒い血液が、打ち捨てられた死体が罪悪感を感じさせる。心臓が早鐘のように高鳴り、唇が渇いていく。
私は分かっている。男は自分を動揺させるためにわざわざこんなことを言っているのだと。だが、分かっていても私は募る不快感振り払えない。ただの貴族令嬢の私は戦い方は知っていても本物の戦いを経験をしたのは初めてなのだ。そんな私にいきなり人を殺して平気な精神を求めるのは酷だろう。私もその例に漏れず、葛藤の渦の中に囚われている。
これをチャンスと思った男は足に力を籠めると、地をけりかなりの速度で近づいてくる。男は私の間合いの中に無謀にも突っ込んでくる。相手の武器はダガーのためリーチの差は明白だが、まるで挑発するように無防備に近づいてくる。私は迎撃しようと剣を振ろうと手に力を籠めるが、殺人へのためらいが一瞬の隙を生んだ。
「死ね!」
男は私の雪のように白い首を刈り取ろうとダガーを振るう。私は慌てて身を引き辛うじてかかわす。だが、完全には避けきれずその首筋には一本の赤い線が刻まれていた。このままではだめだ。私はこの現状を打破するために仄暗い思考を意識しないようにしようとするが、そうしようとすればするほど意識してしまう。
どうすれば……
私は歯噛みし、苦しげな表情を浮かべる。
「もう十分だろ?お前は俺の言葉で殺人への忌避感が出ている。お前は根本的に戦いには向いていない。どうせ夢や目標もないだろ?今殺されなくても結局はあの夫人に殺されるんだ。ここで殺されてもは大差ない。今なら一瞬で楽にしてやるぞ」
その言葉に私は再び体を震わせる。だが、先ほどとは違い私の瞳には力強い光が宿っていた。そうだ、私には迷宮を攻略するという父に託された目標があるじゃないか。父のためにもこんなところで死ぬわけにはいかない。それに先生との約束も無駄にはしたくない。私はため込んだ陰鬱な感情を吐き出すように大きく息を吐くとまっすぐと盗賊風な男を見つめ答える。
「ありがとうございます。あなたのおかげで大切なことを思い出しました。私は死ぬわけにはいきません。例えあなたを殺さなくてはいけなくても。それが私の答えです!」
男は苦々しい表情を浮かべ、悪態をつく。
「ちっ……仕方ないな。では、ここからは問答無用で行かせてもらう」
男は左手を上げ、それを振り下ろす動作をする。何か来るのかと私は警戒を強めたが何も起こらない。数秒ほどの空白の時間が流れる。
「どうなっているんだ!」
男は突然ひどく混乱したように喚き散らしている。今までの余裕の態度が消し飛ぶような醜い姿だった。私はわからない。この盗賊風な男が何をしようといてたかを。だが、この絶好の機会を逃すつもりはない。私は一直線に男に接近し、剣を振ろうとした瞬間、男はこの時を待っていたかの如く私に肉薄しダガーを振るう。その顔には君の悪い笑みが浮かんでいた。
嵌められた!
だが、私に残された選択肢は一つしかない。相手より速く切るそれだけだ。私は足に力を入れ、腰を回し剣を一閃する。その瞬間がまるで時間がゆっくり流れたように感じる。
その光景は私の脳裏にはダガーが先に当たる未来を幻視させた。思わず私は目をぎゅっと瞑って死の斬撃が来るのを待ったがいつまで経ってもそれは来なかった。恐る恐る目を開けるとそこには絶命した男が転がっていた。その死体は右腕と首が切断されており、その顔には驚愕の表情が張り付いていた。私は信じられない結末に時がたつのも忘れ暫く茫然としていた。
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