魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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序章・第4話

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**「実技試験」**

スキル測定の騒動からしばらくして、受験者たちは学院の**訓練場**へと集められていた。

王立魔法学院の実技試験は単純だ。

**魔物との模擬戦闘。**

もちろん、本物の危険な魔物ではない。
学院が管理している低級の魔物を使い、受験者の戦闘能力を測る。

訓練場の中央には巨大な結界が張られていた。

教師の一人が説明する。

「これから一人ずつ、結界の中で魔物と戦ってもらう」

「制限時間は三分」

「倒すか、戦闘能力を示せば合格だ」

受験者たちの表情が引き締まる。

「最初の受験者、前へ!」

---

最初の少年が結界の中に入る。

檻が開かれ、中から現れたのは――

**ゴブリン。**

人型の小型魔物だが、牙と爪を持つ危険な存在だ。

「ギィッ!」

ゴブリンが飛びかかる。

少年は即座に詠唱した。

「火よ、燃え上がれ!
**ファイアボルト!**」

炎の弾が放たれる。

**ドン!**

ゴブリンが吹き飛び、地面に倒れた。

観客席から歓声が上がる。

「おお!」

「一撃だ!」

教師がうなずく。

「合格」

次の受験者。

風魔法で動きを封じ、勝利。

また次。

氷魔法で凍らせる。

順調に試験は進んでいった。

---

そして――

「次、リナ」

試験官が名前を呼ぶ。

一瞬、空気が変わった。

「あいつか」

「魔力ゼロの」

「死ぬんじゃね?」

笑い声。

リナは深く息を吸った。

(大丈夫……)

(怖くない)

(やるだけやる)

彼女は結界の中へ入った。

扉が閉まる。

教師が合図する。

「魔物を出せ」

檻が開く。

出てきたのは――

さっきと同じ**ゴブリン**。

だがリナの手には、魔法も武器もない。

ゴブリンが彼女を見る。

「ギィィ!」

次の瞬間。

**突進。**

速い。

リナの身体が硬直する。

(速い……!)

避けきれない。

観客席から声が上がる。

「終わった!」

「危ない!」

その瞬間だった。

リナの視界が――

**変わった。**

世界が、ゆっくりになる。

ゴブリンの動き。

筋肉の動き。

重心。

地面との摩擦。

すべてが**情報**として頭に流れ込んできた。

(……え?)

同時に、別の感覚が浮かぶ。

**「この動きは回避可能」**

**「左へ半歩」**

リナの身体が、自然に動いた。

スッ。

ゴブリンの爪が、ほんの数センチ横を通り過ぎる。

「!?」

観客席がざわつく。

「避けた?」

「偶然か?」

ゴブリンが振り向く。

再び突進。

だがリナの頭の中には、次々と情報が流れていた。

**「攻撃軌道解析」**

**「次の動作予測」**

**「弱点:首の付け根」**

リナ自身は意味がわからない。

(なにこれ……?)

(頭の中に……声?)

ゴブリンが腕を振る。

リナの身体がまた動く。

回避。

回避。

回避。

ゴブリンの攻撃はすべて空を切った。

観客席が騒然とする。

「おい!」

「なんだあれ!」

「魔法使ってないぞ!?」

教師たちも眉をひそめる。

「動きが……」

「見えているのか?」

ゴブリンが怒り狂う。

「ギィィィ!」

三度目の突進。

今度は大きく振りかぶった。

だがその瞬間。

リナの頭の中に、はっきりとした情報が浮かぶ。

**「弱点露出」**

**「最適攻撃角度:右」**

リナは無意識に手を伸ばした。

そして――

**トン。**

軽く、首元を押した。

次の瞬間。

ゴブリンの身体が崩れ落ちた。

**ドサッ。**

沈黙。

観客席が凍りつく。

「……え?」

「今……何した?」

教師の一人が呟く。

「急所を……正確に突いた?」

だがリナ本人は、一番驚いていた。

「え……?」

地面に倒れたゴブリンを見る。

(今……私……)

(何したの……?)

試験官がしばらく沈黙し、そして言った。

「……戦闘終了」

「リナ」

「**合格**」

観客席がどよめく。

「嘘だろ!」

「魔法使ってないぞ!」

「なんだあいつ!」

教師たちも困惑していた。

だが白髪の老人だけは、静かに目を細める。

(やはりだ)

(あのスキル……)

(戦闘解析まで含んでいる)

老人は小さく笑った。

(面白い)

(この学院に、とんでもない存在が入ってきたな)

リナはまだ知らない。

自分の力の正体を。

そしてこの日。

王立魔法学院の歴史の中で――

**最も異質な生徒**が、誕生したことを。

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