魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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序章・第5話

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**「王立魔法学院 入学式」**

実技試験から数日後。

王都の中心にそびえる**王立魔法学院**の大講堂には、新入生たちが集められていた。

高い天井。
巨大な魔法灯。
歴代の大魔導士たちの肖像画。

ここは王国で最も優秀な魔導士たちが学ぶ場所だった。

その席の一つに――リナが座っていた。

(ここが……学院……)

まだ少し信じられない気持ちだった。

魔法が使えない自分が、こんな場所にいるなんて。

周囲の生徒たちは、皆華やかなローブや貴族風の服を着ている。
地方の村から来たリナの服は、どうしても目立ってしまう。

「……あれ」

近くの生徒が小声で言った。

「あの子……」

「噂のやつじゃない?」

「魔力ゼロの」

「なんで入学してるんだよ」

ひそひそと声が聞こえる。

リナは膝の上で手を握った。

(大丈夫……)

(気にしない)

その時だった。

「静かに」

低い声が講堂に響いた。

壇上に、一人の男性が立っている。

王立魔法学院の学院長だった。

「諸君、入学おめでとう」

穏やかな声だが、圧倒的な威厳がある。

「君たちは王国中から選ばれた優秀な若者だ」

「ここで三年間、魔法と知識を学び、未来の魔導士となる」

講堂は静まり返っていた。

学院長は続ける。

「だが覚えておきなさい」

「魔法とは力だ」

「そして力とは――責任だ」

その言葉に、多くの生徒が真剣な顔でうなずいた。

「ではこれより、新入生の代表を紹介する」

ざわめきが起こる。

「今年の首席入学者――」

学院長が名前を呼ぶ。

「**アルト・ヴァルディス**」

講堂の扉が開く。

そこから一人の少年が歩いてきた。

銀色の髪。
整った顔立ち。
堂々とした立ち姿。

貴族の制服を着た少年だった。

周囲がざわめく。

「ヴァルディス家だ!」

「王国屈指の魔導貴族!」

「しかもSランク適性らしいぞ」

アルトは壇上に立つと、軽く頭を下げた。

その動きは完璧だった。

そしてふと――

彼の視線が、客席のリナに向いた。

一瞬だけ目が合う。

アルトの眉が、わずかに動いた。

(……あれが)

(魔力ゼロの女か)

彼はすぐに視線を戻した。

そして短い挨拶をする。

「アルト・ヴァルディスです」

「この学院で、多くを学びたいと思います」

簡潔だが、堂々とした言葉だった。

拍手が起こる。

---

入学式が終わり、生徒たちは教室へ移動することになった。

廊下は新入生で溢れている。

その途中。

リナの前に、数人の生徒が立ちはだかった。

中心にいるのは――アルトだった。

周囲の生徒がざわめく。

「ヴァルディス様だ」

「何だ?」

アルトはリナを見下ろす。

「君が……リナか」

「は、はい」

リナは少し緊張して答える。

アルトは淡々と言った。

「試験の噂は聞いた」

「装置を壊したそうだな」

周囲がクスクス笑う。

「運が良かっただけだろ」

「偶然避けただけだ」

アルトの目は冷たかった。

「ここは魔導士の学院だ」

「魔法が使えない者がいる場所ではない」

はっきりと言い切る。

「いずれ限界が来る」

「その時、恥をかくのは君だ」

リナは何も言えなかった。

それは、ずっと言われてきた言葉だから。

アルトはそれ以上言わず、去っていった。

---

その日の夜。

学院の寮の部屋。

小さな机の前で、リナはノートを開いていた。

今日の授業で聞いた魔法理論を書き写している。

だが――

(あれ……?)

手が止まる。

魔法陣の図を見た瞬間。

頭の中に、情報が流れ込んできた。

**「構造解析開始」**

**「魔力循環:非効率」**

**「改良案提示可能」**

リナは慌てて頭を振る。

(また……)

試験の時と同じ感覚。

魔法を見ただけで、何かが**わかる**。

(これ……)

(何なんだろう……)

その時、窓の外で鐘が鳴った。

学院の夜の合図。

リナは空を見上げる。

星が輝いていた。

(私は……)

(ここでやっていけるのかな)

不安は消えない。

でも、心の奥には小さな決意があった。

(それでも)

(私は……)

(諦めない)

この学院で。

魔法が使えない少女は、
自分の力の意味を知ることになる。

そしてやがて――

世界の魔法の常識を、
根底から覆す存在になる。

だがそれはまだ先の話。

物語はここから――

**第一章へと続く。**
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