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朝勃ちを騎士に慰められる ※R18
しおりを挟む明るい朝の光線が、三方の窓から洪水のように流れ込んで、クリーム色の天井や、イスの塗料や、床絨毯に眩まぶしく反射しつつ静まり返っている。
俺はぼんやりと朝日が差し込む室内をいつも通り見渡そうとして、すぐ隣にいつもはないはずの厚い壁があることが変だなと寝惚け眼になりながら思う。
「ミト、おはよう。お寝坊さんだな」
ふと頭のつむじ先から降ってきた声に、寝惚けていた意識が芝居の暗転のように急速に切り替わる。昨夜のことを思い出して目覚めの脳では処理が仕切れず、ぎこちないロボットのような動きで恐る恐る顔を上げた。
そこには朝だというのに少しの綻びもない完全に精巧なつくりをした男前の顔がドアップで視界に飛び込んできた。
「よく眠れたか?」
「……うん、おはよう」
「ミトの寝顔は赤ちゃんみたいだったな」
朝の日差しのように柔らかな笑みを向けながら愛おしそうな目でそんなことを言ってくるもんだからどうにかなりそうだ。
俺は咄嗟に顔を背けてさりげなくアルウィンの腕から抜け出そうと身体をズリズリと後ろに持っていく。しかし彼の腕はがっしりと俺の肩を抱いていて全然距離を取れなかった。
「…腕、痛くなかった?ずっとこうしていたの?」
「全く痛くなかったから一晩中こうしていた」
「す、すごいね…」
俺は今すぐにでもアルウィンから離れたかった。今すぐにでもベッドからおりたかった。なぜならば、俺の息子が朝勃ちしていることに気付いてしまったからだ。
今は何とか腰だけを引いてアルウィンの身体に触れていないから気付かれてはいないと思うが、バレたときが非常に気まずい。好きな人に勃起してる姿を見られるなんて恥ずかしすぎて発狂する自信がある。
どうにか気付かれずに、穏便に、何事もなかったかのように1日のスタートを切りたいが、当のアルウィンが全く俺を解放する気配がない。そろそろ起きて朝食の準備をする使用人たちが室内に入ってくる頃なのに、ベッドに縫い付けられたかのように動きやしない。
昨日から全身の血が蜂蜜にでもなったんじゃないかと思わせるほど俺に向ける声や眼差し、表情が甘々になったアルウィン。今日もどうやらそれは続行されているようで、変な薬でも飲んでやいないかと本気で心配になってきた。
しかし今はアルウィンの心配をするよりも目下俺の元気な息子の心配をしなければならない。
「…起きないの?」
「ミトとこうしているのが名残惜しくてな…離れようと思っているのに離れられないんだ」
「……何か変な薬でも飲んだ?昨日からアルウィンおかしいよ?今までのアルウィンじゃないみたい」
「俺も自分でこんな風になるとは思ってもみなかった。ミトが新しい俺を目覚めさせてくれたんだぞ」
「俺のせいでこんなに甘々になっちゃったの?」
「ミトのおかげで新たな幸せを知ったんだ」
それは勃起している俺を目の前にしても同じことが言えるのだろうか。
元気な息子が静まるように何とか会話で時間稼ぎをしているが、好きな人から身体が熱くなるような言葉ばかり言われるので逆効果になっているかもしれない。
彼の完璧なビジュアルも相まって変な興奮がずっと続いており、俺は自分の身が八方塞がりなことに内心冷や汗をかいていた。
「でも…アルウィンは一旦部屋に戻って先に着替えてきたら?そろそろ使用人が来ちゃうし同じベッドに寝ているところを見られたら誤解されるかもしれないよ」
「誤解?そんなもの勝手にさせておけばいい。どうしたミト。やけに早く俺から離れたそうだな?何か疚しいことでもあるのか?」
「へ!?い、いや?全然ないよ?」
「目が泳いでいるぞ。ミトは嘘をつくのも下手くそで可愛いな。正直者の証拠だ。何を隠しているのか言ってみろ。俺には何でも話してほしい」
「えーと…」
そうは言われましてもまさか今勃起してますなんて好きな人に面と向かって言えるほど、俺の神経は図太くないですから!
ただの生理現象ならすぐにおさまるものがそうならないということは、アルウィンと同衾して何もないけど朝チュンしているこの状況に興奮している俺の煩悩のせいなのだ。何よりもそれを知られるわけにはいかない。
「ん?ミト、言えないか?」
ドロドロに甘くて優しい声で尋ねられながらも、絶対に言わせるぞと言う圧も感じる。精一杯不自然にならない範囲で腰を引いていたが、そんな俺の腰をアルウィンがグッと引き寄せたことで俺は変な音を出しながら息を吐いた。
「はぅ…っ」
俺の息子が、アルウィンのお腹に当たる。バレた。確実にバレた。裸を見られたような居心地の悪さと気まずさ、そして羞恥心で顔を手のひらで覆った。鼓膜を圧迫する深い沈黙がおりた。
「……」
「……」
「…ミトも、男だからな」
「……うん」
「その…どうする、出すのを手伝おうか」
「………え?ごめん、なんて?」
羞恥心が限界突破して幻聴が聞こえてきた。とりあえずアルウィンが何か言ったことは確かだったのでもう一度聞き返す。アルウィンの表情を見る勇気がないから顔は見えていないが、彼の狼狽えるような気配が微かに伝わってきた。
「ミトの…ペニス、を俺が慰めたい」
「ッ…!?!?」
驚愕しすぎて息の根が止まるかと思った。酸素が逆流するかと思った。それくらい衝撃的な一言が聞こえてきて、俺はまさかまだ夢の中に取り残されているんじゃないかと本気で疑った。
「これ……楽にしてやる」
そう言われながら息子にアルウィンの手が触れたことで、あまりにリアルな感触にこれは現実なのだと一周回って冷静になってきた。
アルウィンに触れられたことで腰が跳ね、鈍い快感が下半身にじわじわと広がっていく。スボンの中に手を入れられ、下着の上から撫でられると慌てて彼の手首を掴んで止めさせた。
「ま、待って!そんなことまでしようとしなくていいから!たとえアルウィンの仕事が俺のお世話全般なのだとしてもこっちのお世話までは大丈夫だから!自分で何とかしてくる!」
「…仕事だと思ってミトと接したことなど一度もない。俺がミトに触れたいから触れるだけだ。このままではキツいだろう?男同士なんだ、気にするな」
親切心で言ってくれているのだろうが、俺はアルウィンに下心を抱いているので罪悪感が半端ない。俺と彼とでは付随する感情の種類が違いすぎて、同じ行為でも同じ意味として捉えられない。この格差は何度も感じてきたけれど、今この時以上のものはなかった。
「あッ…だめ…!」
「凄く濡れてる…遠慮するな。ただの処理だ」
「ん、ぁ」
早く断らなければと思っているうちにアルウィンの手が本格的に動き始め、下着の中にまで侵入してきた指が俺の息子に直接触れる。もう先走りでぐちょぐちょになっているのが見ても触ってもいないのに分かった。
竿を握られ最初はゆるく動かすだけだったのに、次第に力が入り上下に擦られる。俺はなるべく声を出さないように両手で口を覆うことで必死になり、抵抗するという選択肢は完全に消えていた。
「ふっ…ぅ」
「気持ちいいか?」
「…んっ!」
「ミト…顔を見せてくれ」
ペニスを握っていない、腕枕をしていた方の手で顎をぐいっと持ち上げられ、首が急角度に仰け反る。目をきつく瞑りすぎて目尻にたまった涙がこめかみを流れていく。目の前にアルウィンの顔がある気配はするが、絶対に目を開けることはしなかった。
「うぁ…!」
「先端が感じるのか…?」
親指でぐりっと尿道を刺激され、口を押さえている手のひらの隙間からくぐもった声が漏れる。自分の声とは思えなくて、今の状況が信じられなくて、頭の中は真っ白だった。
布団の下からぐちゅぐちゅとこもった音が聞こえてくる。顔にアルウィンが吐いたのか、熱い息がかかる。好奇心でうっすらと目を開けて、後悔した。
そこには眉間に軽くシワを寄せ、頬を赤く染めながら俺と同じく興奮しているように見えるアルウィンの顔があった。あまりの色気に眩暈がするかと思った。
「は、ぁ…イ、く」
「もうイくか…?まだもう少し我慢してくれ。俺がいいと言うまで」
「だめ…む、り」
「ミトなら出来る」
イきたいのにイかせてもらえないもどかしさに、きつく目を瞑りながらふるふると首を横に振る。全身に甘い痺れがはしり、脳裏が焼けつきそうになるほど熱い。快楽が波のように押し寄せ続ける。
「もぅ、イっちゃ…」
「いいぞ。ミト……俺の手で、イけ」
「あっ!んんん…ッ」
びくんびくんびくん、3回に分けて跳ねた身体。時の感覚を麻痺させるほどの気持ちいい快楽に身を委ね、荒い息が朝日が射し込む室内に大きく響く。
最後の一滴まで出しきらせようと動くアルウィンの手にゆるくしごかれ、何も出なくなったのか、その手はいつの間にか止まっていた。
200m走を全力疾走したときのような疲労感に包まれ、どっと倦怠感を全身で感じる。呼吸が落ち着いてくるととんでもないことをしてしまったと青ざめ、俺はがばりと掛け布団を蹴飛ばした。
「アルウィン!ご、ごめん!」
「謝ることなんてない。出せて偉かったな、ミト」
「偉くもなんともないから早く手洗ってきて!俺の汚い精液なんて触らせちゃって本当にごめん…!」
「汚くなんてない。ミトの精液すらも愛おしく感じる」
「……いいから洗ってきて!」
やはりアルウィンの頭が絶対におかしくなっていると思うから誰かに相談してみようかなと、クリアになった思考で思う。いや、こんなことを誰にどう相談するんだと思い直し、やはりまだ自分の頭が混乱していることを自覚する。
アルウィンの身体をぐいぐいと押し、俺の力の強さに観念したのか、アルウィンは右手に俺の精液たずさえたままベッドからおりて洗面所へと向かった。
これまでで一番気持ちよかった快楽の後味は、苦味の残る複雑なものとなった。これからどんな顔をしてアルウィンと話せばいいのだと思いながら、枕の下に頭を隠した。全身が燃えるように熱かった。
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