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最近の通学風景
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新学期始まって暫く経った。あれからも私は変わらない日常を過ごしている。
春さんとの距離が近づく事もない。
けど離れてないので良いかな、なんて消極的な気持ちの毎日だ。
今日も学校に向かい、いつも通りに1日が始まる。
いつもの通学路。いつもの時間に春さんを見つけた。
「春さん」
春さんを見つけて声のトーンが上がってしまった自分を自覚しつつ、好きな人に声をかける。
春さんは私の声に気が付くと、にこやかな笑みでを向けて手を振ってくれた。
やっぱり、可愛い。今日も素敵だ。思わず抱きしめたくなる。
「明ちゃん、最近同じ時間だね」
「はい、最近はこの時間が多いですね」
勿論わざとだ。この人は大体いつも同じ時間帯に通学に向かう。
私はそれに合わせて出ているだけだ。勿論約束しているわけではないから会えない時もある。
伝えたら気持ち悪いとか言われるかな、なんて思ってはいる。
ちょっと前まではそれが怖くてこの行動すらとれなかった。
雛に後押しして貰ったおかげで、今の私はこういう事をしている状態だ。
「そうだ明ちゃん」
「はい、何ですか?」
春さんが何かを思い出したように声をかけて来た。何だろう。
何であっても春さんの提案ならそうそう断る事は無い。
「姉貴が偶には遊びに来てって言ってたから、気が向いた時で良いから構ってやってくれる?」
「はい、近いうちに遊びに行きますと、伝えておいてください」
「あーい」
お姉さんには私の想いがばれている。
そして私の何を気に入ったのか「春あげるから早く妹になろうよ」等と言われる事も有る。
その気持ちは嬉しいけど春さんには迷惑だ。だからお姉さんには勿論黙ってもらっている。
基本的には気の良い人で、春さんの事が大好きな人だ。
ただ私にも可愛い服を着せて来ようとするので、それだけは勘弁して欲しい。
どこの誰が2メートルの大女のフリフリなんか見たいのか。
お姉さんは楽しそうなんだけど、私は楽しくない。
似合わない恰好を姿見で見せられる気持ちは筆舌に尽くしがたい。
「あー、姉貴が無茶言ったら、すぐに教えてくれよ?」
「いえ、大丈夫ですよ。私、お姉さんの事好きですから」
「なーんか仲良いよね、姉貴と。姉貴も明ちゃんの事結構好きみたいだし」
確かにお姉さんの事は好きだけど、春さんの方がもっと好きだ。
いや、春さんが好きだからこそお姉さんと仲良くなったのかもしれない。
お姉さん、春さん大好きだし。春さんはお姉さん苦手にしてるけど。
「私は春さんの事も好きですよ?」
「・・・ん、ありがと」
春さんに好意を伝えると、春さんは照れくさそうに頬をかく。
ああ、やっぱり可愛い。動作の全部が可愛い。大好きだ。
けど春さんの方が誰よりも好きです、とか言う勇気は出なかった。
流石にそれは無理だ。
「あー、えっと、うん。俺も明ちゃん好きだよ」
「はい、ありがとうございます」
春さんの答えに胸の中が温かくなる気持ちを覚える。
恋人としての好きじゃないのは解ってるけど、今はそれで十分だ。
心の中で暫く反芻していよう。
今日も一日良い日になりそうだ。
春さんとの距離が近づく事もない。
けど離れてないので良いかな、なんて消極的な気持ちの毎日だ。
今日も学校に向かい、いつも通りに1日が始まる。
いつもの通学路。いつもの時間に春さんを見つけた。
「春さん」
春さんを見つけて声のトーンが上がってしまった自分を自覚しつつ、好きな人に声をかける。
春さんは私の声に気が付くと、にこやかな笑みでを向けて手を振ってくれた。
やっぱり、可愛い。今日も素敵だ。思わず抱きしめたくなる。
「明ちゃん、最近同じ時間だね」
「はい、最近はこの時間が多いですね」
勿論わざとだ。この人は大体いつも同じ時間帯に通学に向かう。
私はそれに合わせて出ているだけだ。勿論約束しているわけではないから会えない時もある。
伝えたら気持ち悪いとか言われるかな、なんて思ってはいる。
ちょっと前まではそれが怖くてこの行動すらとれなかった。
雛に後押しして貰ったおかげで、今の私はこういう事をしている状態だ。
「そうだ明ちゃん」
「はい、何ですか?」
春さんが何かを思い出したように声をかけて来た。何だろう。
何であっても春さんの提案ならそうそう断る事は無い。
「姉貴が偶には遊びに来てって言ってたから、気が向いた時で良いから構ってやってくれる?」
「はい、近いうちに遊びに行きますと、伝えておいてください」
「あーい」
お姉さんには私の想いがばれている。
そして私の何を気に入ったのか「春あげるから早く妹になろうよ」等と言われる事も有る。
その気持ちは嬉しいけど春さんには迷惑だ。だからお姉さんには勿論黙ってもらっている。
基本的には気の良い人で、春さんの事が大好きな人だ。
ただ私にも可愛い服を着せて来ようとするので、それだけは勘弁して欲しい。
どこの誰が2メートルの大女のフリフリなんか見たいのか。
お姉さんは楽しそうなんだけど、私は楽しくない。
似合わない恰好を姿見で見せられる気持ちは筆舌に尽くしがたい。
「あー、姉貴が無茶言ったら、すぐに教えてくれよ?」
「いえ、大丈夫ですよ。私、お姉さんの事好きですから」
「なーんか仲良いよね、姉貴と。姉貴も明ちゃんの事結構好きみたいだし」
確かにお姉さんの事は好きだけど、春さんの方がもっと好きだ。
いや、春さんが好きだからこそお姉さんと仲良くなったのかもしれない。
お姉さん、春さん大好きだし。春さんはお姉さん苦手にしてるけど。
「私は春さんの事も好きですよ?」
「・・・ん、ありがと」
春さんに好意を伝えると、春さんは照れくさそうに頬をかく。
ああ、やっぱり可愛い。動作の全部が可愛い。大好きだ。
けど春さんの方が誰よりも好きです、とか言う勇気は出なかった。
流石にそれは無理だ。
「あー、えっと、うん。俺も明ちゃん好きだよ」
「はい、ありがとうございます」
春さんの答えに胸の中が温かくなる気持ちを覚える。
恋人としての好きじゃないのは解ってるけど、今はそれで十分だ。
心の中で暫く反芻していよう。
今日も一日良い日になりそうだ。
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