あの人と。

Haru.

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After Story

意外なこと

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 デザートも食べ終わってゴロゴロまったり中。なぜかダグが持ってた僕の魔法具のペンダントのおかげでだんだんと腰にも力が入るようになってきているけれど、気にせずにダグにもたれかかって座ってる。

「ユキ、髪の毛いじってもいいか?」

「いいよ?」

「髪飾りを変えてもか?」

「他の持ってるの? 別にいいけど……」

「用意してある。きっとユキに似合う」

「また買ったの?!」

 いつのまに!! ダグは僕に散財しすぎだよ!!

「駄目だったか? ユキへと何かを選ぶのが楽しいんだ。俺が好きでやってることだからいいだろう?」

「むぅ……駄目じゃないけどぉ……ほどほどにね?」

「ああ、わかった」

 多分わかってないなぁ……まぁ、ダグが楽しいならいいけども……

 僕は手櫛でさっと整える程度を予想していたら、ダグは魔法収納からパッと見て質がいいとわかるブラシを取り出した。

「……なんでブラシ持ってるの?」

 ダグが使ってるところ見たことないよ。ブラシも明らかに新品だし。

「ユキの髪をいつか弄りたいと思って用意していたんだ。漸く役に立った」

「いつでも弄ってよかったのに」

「ユキの髪が綺麗すぎて俺が弄るのは気が引けてな……綺麗に整えられた髪を変にしたら怒られるかと思ったんだ」

「ダグならいいよ? だって僕、ダグに綺麗って思って欲しくてリディアに整えてもらってるんだもん。ダグがやりたいなら好きにやっていいよ?」

 初めてのデートでダグが編み込まれた僕の髪を褒めてくれたのをきっかけに、僕はリディアに綺麗に整えてもらうのが好きになった。綺麗にして貰えばもらうほど、ダグは綺麗だって言ってくれるかなって。たとえ自分でやったわけじゃなくても、ダグに褒めてもらえるのは嬉しいのです。

「ユキ……よし、俺がうんと綺麗にしてやろう」

「ふふ、楽しみ!」

 それからダグの格闘が始まった。

「む、こうか……? しまった、歪んだ……」

「く……だめだ、やり直しだ」

「くそ、バランスが悪い……!」

 ものすごく格闘してます。もう30分は弄られてるけど悪戦苦闘してるダグは珍しくてなんだか面白いので何も言わずにニマニマと笑いながら完成を待つ。

 そしてさらに20分後────

「よし、やっと出来た」

 わぁ、やっと完成! どんなのか、な……

「え、思ってたのよりはるかに高い完成度なんだけど……!」

 ダグに差し出された手鏡を覗けば、そこにはこれでもかってくらい凝りに凝られた髪型が。なんだかこのまま舞踏会にだって出れそうなくらいに綺麗にされてるよ。

「え、初めてでこれ……? え、すごい。すっごい綺麗! どうなってるのこれ?!」

 なんだかレースとかも編み込まれててものすごく綺麗なんだよ。ええー? 初めてで挑戦する髪型ではないと思うんだけど……! なんでレースを持ってたのかは気にしない!

「時間はかかってしまったが自信作だ。ユキの髪はやはり白いレースがよく似合う。可愛いよ」

「レースが似合うのはなんだか複雑な気持ちだけどダグが気に入ってるなら、うん。すっごいねぇ……またやってくれる?」

「ああ、勿論だ」

 ふわー、本当にすごい。これ取るの勿体無いなぁ……お風呂に入るギリギリまで崩れないように気をつけなくちゃ。

「ダグって器用だねぇ。出来ないこととかないんじゃない?」

「いや、料理と裁縫はできん。壊滅的だぞ」

「そうなの? パパッと美味しいお手軽料理とか作れそうなイメージなのに。絵が上手だから刺繍とかもできそうだけどなぁ……」

「騎士団に入ったばかりの頃、討伐に行って炊き出しをやらされたんだが……2度と手を出すなと言われた。俺も2度と自分で作ったものは食いたくない」

 ……そんなに?

「……逆になんだか食べてみたいんだけど」

 怖いもの見たさってやつ? なんかものすごく興味出ました。

「やめておけ。寝込むぞ」

「え……流石にそれはいや、かも……」

「だろう? 俺のはいいからユキの料理が食べたい」

「どんなものが食べたい?」

「肉」

 ……肉。いや、ハッキリしてるけども……!

「えーと。ガッツリとしたもの?」

「ああ、それがいいな」

 お肉でガッツリ……丼物かな? お肉メインの丼っていったらカツ丼か牛丼か豚丼かな。うーん、どっちがいいかなぁ。

「豚か牛、どっちが好き?」

「どちらも好きだぞ」

 どっちもかぁ……うーん、どうしよ? 全部作ったらいいか、な? ちょっと大変かもだけどダグいっぱい食べるし三種類作っても全然食べきれると思うし……うん、そうしよう!

「いつにする?」

「明日、がいいが材料が揃うか、だな。明後日はどうだ? エプロンも着く頃だ」

 エプロンいつの間に注文してたの? エプロンまで用意してもらったなら張り切って作らなくちゃね!!

「ん、いいよ! 頑張って作る!!」

「楽しみだ」

 こんな表情されたらもう僕張り切って作るしかなくなっちゃう!! 失敗は許されませんよ……!

 お昼に間に合うようにちょっと早くから作り始めて、ケーキも一緒に焼こう! ナイロン袋があればチョコを溶かしてチョコペン作って文字も書けるけどそもそもナイロンがないからできないなぁ……何か専用の器具があったらそれ借りて、なかったら愛情たっぷり込めたケーキで許してもらおう!! いやまぁチョコペン使うとしても愛情はたっっっぷり込めますがね!!




「ユキ、身体が大丈夫ならピアノを弾いてほしい」

「ペンダントのおかげで大丈夫。何が聴きたい?」

 この世界の曲も大分弾いたからある程度のリクエストは曲名でも受けれるようになった。わからない曲もあるけど、そういう曲は次までに弾けるように練習しておくようにしてる。僕も新しい曲を弾くのは好きだしね。

「初めてユキが俺に弾いてくれた曲が聴きたい」

「ふふ、懐かしいね。ゆったりとしてて力強い曲、だったよね」

 難しいリクエスト出すなぁって思ったけど逆に燃えたなぁ。なんか高い壁って越えたくならない? それが自分の力でなんとか越えれるものだったら余計に。 すっごい張り切って弾いたなぁ……

「ああ。まさかあんなにすごい演奏を聴かせてもらえるとは思っていなかったから本当に感動した」

「みんな泣いてたからびっくりしたよ。あの時のダグ、一人称が俺になってたし」

「……本当か?」

「うん。無意識だったの?」

 まぁそうだろうなぁ、とは思ってたけども。毒の時も2人きりになった瞬間に敬語がすっかり抜け落ちたのに気づいてなかったし。

「ああ。全く気付かなかった……」

「ふふ、それだけ感動してくれたってことかな?」

「そうだな。ユキの演奏は本当に何回聴いても感動する。繊細だが力強さもある本当にいいピアノだ」

「もう、そんなに褒められたら照れちゃうよ」

「事実だ。さあ、弾いてくれるか?」

「ん、わかった」

 いそいそとピアノの方へ向かい、椅子の高さを調節してから座り、まずは一音響かせてみる。

 うん、いい音だ。柔らかさも持ち合わせた芯の通った音は僕の好むピアノの音だ。どんな曲にも合うところが気に入っている。

 グッグッと指をほぐしてから鍵盤へ指を置き、一呼吸。

 ────よし。




 そうして弾いたピアノでダグが再び涙を見せることはなかったけれど、本当に嬉しそうに感動を伝えてくれたから僕は満足です! 弾くのも楽しかったしね!
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