あの人と。

Haru.

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After Story

夢じゃない

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 うぅううぅ……昨日の夜、ご機嫌だった僕の何がダグに火をつけたのか、言葉責めされながら甘いえっちでとろとろにされました……

 いや、うん、そこまではまだいいの……! いつもよりダグの責めが容赦なかった気がするけどまぁいいの……!

 なんで爽やかな月曜の朝に僕はキスでイかされてしまったのでしょう……うわぁん、ダグのばかぁ! おかげでまっっったく腰がたちません! うぅ、今日は普通に授業もお手伝いもあるのにぃ……

「休んだらどうだ?」

「ばかばかばか、誰のせいさ……!」

「可愛すぎるユキのせいだな」

 言うと思いましたよ。ええ、予想通りですとも。納得はしてないけどね!

「休まないもん……! 絶対休まないもん……!」


 ……なんて言ったけどまぁ見事にへろへろでして。いつもの椅子には座れなくて現在カウチでクッションの山に埋もれております。

「……ユキや、休んでも良いのだぞ……?」

 なんてやってきたヴォイド爺にも心配される始末。……うん、僕ね、ヴォイド爺と一緒に来た熊さんを見て休めばよかったって思ったよ。ものすごく。熊さんがいるのは夢だと思いたい。

「ぶふっ!! ダグラスお前相変わらずだな!」

 爆笑しながらダグの肩をバンバン叩いているアルバスさんは随分と楽しそうです。でもなんでここにいるのさぁ……! えっちの翌日に会いたくない人ランキング上位入賞者だよ……! ちなみに1位はダントツでロイとアル。だってものすごくめんど……大変なんだもの。あ、父さん達もえっちの後はなるべく会いたくないかな。家族にそういうの知られるのって嫌だよね。

「私は休むことを提案しましたよ」

「……休まないもん……! 大丈夫だもん……!」

「などと本人はおっしゃっていますが腰は全くたたない状態です」

 リディアぁあああああ!!!

「ぶっふ、あっはっはっは!! だろうな!!」

「……孫の性事情を聞かされたような気分じゃ」

 ヴォイド爺はごめんなさい。アルバスさんには1発くらい雷神の怒りアンゴ・トール食らわせてもいいかなって思うの。……でもまだダグの肩を叩き続けてるから一緒に感電したら嫌だからやめときます。心の中だけに留めます。心の中では1発どころじゃないですよ。南無三。


「……で、なんでアルバスさんはここに?」

「くっ、ふ……お、おう。あれだ。指紋鑑定? とやらの話をな。じいさんとこの神殿とうちの騎士団で共同研究することになったんだわ。もちろん筆頭はユキな」

「……え、そんな大きな話になったんです?」

 僕、ひっそりと考えてみてもし出来たらそれを取り入れるなり改良するなりなんなりしてもらおうと思ってたのに……

「有用だとみなされたってわけだ。ほら、残留魔力が少なすぎて捜査が進まねぇことがあるって言ったろ? そう言う事件って大抵お蔵入りになっちまうからよ、これからそういう事件が減るっていうのは国にとってもいいことなわけだ」

 なるほど。確かに未解決事件を増やさないためにっていうのはいいことだね。冤罪も減るかもだし、気合い入れなくちゃ!

「金庫とかにも組み入れるのも可能ですよ。一般立ち入り禁止の部屋の扉とか。魔力認証のように特定の人の指紋でしか開けられないように設定するんです」

 これもけっこういい使い方だと思うから出来るなら使ったらいいと思うのです。

「なるほどな、そりゃいい!! よっしゃ、なんとしてでも開発するぞ」

「うむ、私も賛成じゃ。これは確かに研究すべき案件じゃな。じゃがユキや、ユキも協力するとなれば色々と考えることも増えて大変かもしれぬぞ? 良いのか?」

「うん、もちろん! みんなにはお世話になってるもん。僕に出来ることがあるならなんだってやりたいよ」

 どんと来いってもんです! やっと役に立てそうなことがあるんだもの。結構ワクワクしてるのです。

「そうか? ならいいんじゃが……」

「無理はしないから大丈夫!」

 リディアにも聞こえるように言っておきます。そうしないとリディアの目が鋭く光るんだもの。恐ろしや。

「ま、ユキにばかりやらせるわけじゃねぇし大丈夫だろ」

「それもそうじゃな。私らもいることだしの」

「ヴォイド爺も一緒にやってくれるの?」

 ヴォイド爺は研究者脳だし、すっごくいろんなことを知ってるから一緒にやってくれたら心強い。だけど忙しくないかな? もしもヴォイド爺が過労で倒れたら嫌だよ。

「あたりまえじゃ。というか私との授業の時間を当てるからのう」

「授業の? その分の授業はどうするの?」

「休みじゃな。といってもユキは頭が良すぎるからのう……今も必死に教えることを引き出してきてなんとかユキとの授業の時間を引き伸ばしてる状況じゃし……言ってしまえばユキに教える一般教養はあらかた教え尽くしたんじゃ」

「え」

 なにそれ。僕そんなの知らなかったんだけど……いやまてよ、確かに最近の授業の内容はなんだかマニアックな内容だったような……?

 今やってたのはお隣の国、コルンガ共和国の王弟殿下の外遊録についての考察。上巻、中巻、下巻の3巻から成るそれを読んでらこの土地の人たちはこうだったって書いてるからきっとここを通ったはず、なんて色々と考えるのです。お隣の王弟殿下、わざとなのかわからないけど地名を書いてないこと多いから考察がなかなかに大変なのですよ。しかも1冊1冊が辞書並み。

 あれ、なんの疑問も持たずに授業受けてたけどこれってやる必要あるのかな……

「ユキは優秀すぎるんじゃ。算学は最初っからむしろ私の方が教えて欲しいくらいじゃったし、歴史や地理なんかは本を渡せばいつの間にか全部覚えてしまう。経済学なんかもちょいと本を渡せばすぐに理解して学者顔負けの小難しい質問ばかりしてくる始末。教えることが少なすぎるんじゃよ」

 ふぅ、とため息を吐きながらそういうヴォイド爺。だって僕記憶することには時間取られないからしっかり読み込むもん。読み込んで噛み砕いてちゃんと考えるんだよ。そうしたらヴォイド爺が貸してくれる本ってどれもこれもいい参考書みたいになってるからしっかり理解できるのです。

「このじいさんにここまで言わせるって相当だぞ。生き字引に教えることがなくなるってなぁ……ユキは教えて欲しいことないのか?」

「1個ありますよ」

「なんじゃ?!」

 さっきまで項垂れてたヴォイド爺が一気にキラキラした目になった。

「魔法収納のコツだよ。僕、練習しても出来ない魔法って今のところあれだけなんだよ……」

 他の魔法はちゃんと魔法の構成を理解したら出来たのに! あれだけはなぜかいくら構成を理解してもできないの!

「う、うぅむ……報告では聞いておるが私にもなんで出来ないのかわからないんじゃよな……」

「俺もダグラスに聞いたわ。ユキの魔力と技術でなんで出来ねぇんだろうな」

 僕が知りたいことです。何回挑戦しても実験台のリンゴはホログラムのようにそこに浮かぶだけ。触れないリンゴが浮かんでるってまるで幻術魔法みたいだよね。ちなみに見えてるだけで僕の魔法収納にしまっている状態ではあるみたいで、僕が動くとちゃんとついてくるんだよね。結構シュールな光景です。

「1回実際に見せてくれんか?」

「別にいいけど……リディア、何か適当に使っていいものちょうだい」

「ならばいつも通りリンゴを」

「ありがとう」

 真っ赤なリンゴを受け取り、リンゴをしまい込むことを想像しながら魔法収納の魔法を構築する。魔力もしっかり注いで……

 ……だめかぁ。リンゴを持っていた手から重さは消えたけれど艶々としたリンゴはそこにあるまま。手を離してもずっとそのままの状態をキープ。

「……何か別の魔法で浮かばせているわけでは……ない、な」

「おもしれぇな、これ」

 ヴォイド爺は難しい顔をしてリンゴを見つめて考え込み、アルバスさんは楽しそうに持っていたペンを貫通させて遊んでいる。自分の手をかざさないのは正解ですよ。万が一途中でリンゴが実体を持ったりなんかしたらスプラッタだもん。

「うぅむ……何故じゃろうなぁ。構成に問題は見えぬし……想像の問題かのぉ。ユキの故郷には魔法がなかったことで異空間というのがきっちり想像できていないのかもしれんな」

「むぅ……」

 それを言われるとなぁ。ダグ達が使うのを見ているとはいえ、魔法収納なんて異次元の世界だもん。火だとか水だとかは目に見えるから出しやすいけど、逆に見えなくするっていうのが想像しにくいのかも。

「いっそ何か袋にでも異空間魔法をかけてはどうじゃ? 袋の容量を大きくするのじゃ。それならたとえ見えても袋だけじゃ」

 ……袋。魔法を切り離さなければできる、かも? 使用者は僕に限定して……僕から切り離すと異空間を維持する魔力の供給の問題があるから……よし、今度やってみよう。

「今度試してみる」

「うむ。私もやったことはないがユキならきっと出来るじゃろ」

 わからぬが、と続けたヴォイド爺にちょっと不安になるけど頑張ります! もし出来たら便利だし!! 僕の荷物を自分で管理できるようになるのも夢じゃない!!
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