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第二十一話 それは実感を伴って
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浴室の壁に手をついて、与えられる快感に身体を震わせる。
後ろから伸ばされた手に、胸の先端は何度も捏ねられ、ずぶずぶと水音を立てている秘所の上の突起にもぐりぐりと刺激を送られている。
「やっ、それ…だめだってばぁ……!」
「…何がだめなの?」
「またイっちゃ…う…からぁっ…!」
奥まで挿れられたものが、引き抜かれては再びゆっくりと奥に押し込まれる。既に一度達した体は、そんな緩やかな律動にも大きく反応してしまう。
「…我慢しないでイっていいですって」
「だめ、だめっ、私ばっかりっ………んやぁあっ…!!」
いよいよ足腰が立たなくなって、がくっと膝をつきそうになったのを、しっかり支えられる。一生懸命体を捻って、しがみつくように正面から抱きついた。
矢野くんは私の背中を壁に押しつけてから、片脚を掴んで持ち上げた。不安定な姿勢に、壁にもたれたままその肩に掴まると、再び中に挿れられて、大きな快感に背中が反った。
もう体にあまり力が入らず、されるがまま状態だけど、ちゃんと支えてくれているから大丈夫そうだ。愛する人が眉間に皺を寄せて快感に耐える表情を間近で見つめていたら、その視線に気付いたのか「見過ぎです」とそれを封じるように噛みつくようなキスをされる。舌を絡められて、窒息しそうになりながらそれを受け止めた。
「も、むり…だよ…っ」
「うん、俺ももう限界…」
腰の動きが速くなる。掠れた声で喘ぎ続けることしか出来なくなった私に、愛おしそうに優しいキスが与えられる。
くらくらしながらも幸せな気持ちで微笑むと、矢野くんはちょっと泣きそうになりながら、でも幸せそうに笑った。
* * *
「美緒さん、これ飲んで」
「んん…ありがと…」
ベッドから抱き起こされて、コップに入ったスポーツドリンクを渡される。
結局あの後、完全にのぼせてしまった私は、焦った矢野くんに大急ぎで体を拭かれ、服を着せられ、ベッドに運ばれた。なんだか初めてのときと同じような流れでちょっとおもしろいけれど、その関係は大きく変わっている。
着ているものは矢野くんの家に常備している部屋着のワンピースだし、‘お泊りセット’のものではなく、洗面所に並んだボトルの化粧水と乳液でスキンケアをした。そういう些細な変化も、今はなんだか感慨深い。
――この人が、私の旦那さんになるんだ。
病めるときも、健やかなるときも。
じっとその顔を見つめながらスポーツドリンクを少しずつ飲んでいると、矢野くんは申し訳なさそうに言った。
「ほんとすいません…やり過ぎました」
「ううん、私もちょっと…ノリ過ぎました…」
「あまりにもその…嬉しくなっちゃって。ごめんなさい」
ベッドの脇で、ちょっとしょんぼりしたように私の手をぎゅっと握り締めながら謝る様子が何だか可愛くて、ふふっと笑ってしまうと、矢野くんはようやく少しほっとしたように息を吐いた。
まるで入院患者のような扱いをされているけれど、もうだいぶ落ち着いているし、第一、自分も望んでしたことだ。
カーテンの隙間から見える外は真っ暗で、時計を見ると、12時をまわろうとしている。
激しい行為のせいで全身の疲労感がすごいけれど、明日は日曜日。お互い仕事は休みだから少し寝坊出来そうだ。
コップをベッド脇のチェストに置いてから腕を大きく広げ、矢野くんに向き直ると、何かを察したのか、その腕が伸びてきてぎゅっと抱き締められる。
首筋に顔を埋めると、同じバスソープの香りがした。
「…直人くん」
「…はい」
私がいつもと違う呼び方で呼ぶと、顔は見えないけれど嬉しそうにしている気配を感じる。
ゆっくり体を離して、確認するように尋ねた。
「…今日はぴったりくっついて寝てもいい?」
「もちろんです」
矢野くん…もとい直人くんが、私の隣に横になって、ブランケットをきちんとかけ直してから頭を撫でてくる。ゆるゆると抱き締められて、全身の力が抜けた。
「…もう離さないです」
「うん…離さないで、ね…」
どうにか返事を返すけれど、既に強力な睡魔によって意識が飛んでしまいそうになっている。
あたたかい体温に包まれて、満たされたような気持ちになる。私はあっという間に眠りに落ちていった。
後ろから伸ばされた手に、胸の先端は何度も捏ねられ、ずぶずぶと水音を立てている秘所の上の突起にもぐりぐりと刺激を送られている。
「やっ、それ…だめだってばぁ……!」
「…何がだめなの?」
「またイっちゃ…う…からぁっ…!」
奥まで挿れられたものが、引き抜かれては再びゆっくりと奥に押し込まれる。既に一度達した体は、そんな緩やかな律動にも大きく反応してしまう。
「…我慢しないでイっていいですって」
「だめ、だめっ、私ばっかりっ………んやぁあっ…!!」
いよいよ足腰が立たなくなって、がくっと膝をつきそうになったのを、しっかり支えられる。一生懸命体を捻って、しがみつくように正面から抱きついた。
矢野くんは私の背中を壁に押しつけてから、片脚を掴んで持ち上げた。不安定な姿勢に、壁にもたれたままその肩に掴まると、再び中に挿れられて、大きな快感に背中が反った。
もう体にあまり力が入らず、されるがまま状態だけど、ちゃんと支えてくれているから大丈夫そうだ。愛する人が眉間に皺を寄せて快感に耐える表情を間近で見つめていたら、その視線に気付いたのか「見過ぎです」とそれを封じるように噛みつくようなキスをされる。舌を絡められて、窒息しそうになりながらそれを受け止めた。
「も、むり…だよ…っ」
「うん、俺ももう限界…」
腰の動きが速くなる。掠れた声で喘ぎ続けることしか出来なくなった私に、愛おしそうに優しいキスが与えられる。
くらくらしながらも幸せな気持ちで微笑むと、矢野くんはちょっと泣きそうになりながら、でも幸せそうに笑った。
* * *
「美緒さん、これ飲んで」
「んん…ありがと…」
ベッドから抱き起こされて、コップに入ったスポーツドリンクを渡される。
結局あの後、完全にのぼせてしまった私は、焦った矢野くんに大急ぎで体を拭かれ、服を着せられ、ベッドに運ばれた。なんだか初めてのときと同じような流れでちょっとおもしろいけれど、その関係は大きく変わっている。
着ているものは矢野くんの家に常備している部屋着のワンピースだし、‘お泊りセット’のものではなく、洗面所に並んだボトルの化粧水と乳液でスキンケアをした。そういう些細な変化も、今はなんだか感慨深い。
――この人が、私の旦那さんになるんだ。
病めるときも、健やかなるときも。
じっとその顔を見つめながらスポーツドリンクを少しずつ飲んでいると、矢野くんは申し訳なさそうに言った。
「ほんとすいません…やり過ぎました」
「ううん、私もちょっと…ノリ過ぎました…」
「あまりにもその…嬉しくなっちゃって。ごめんなさい」
ベッドの脇で、ちょっとしょんぼりしたように私の手をぎゅっと握り締めながら謝る様子が何だか可愛くて、ふふっと笑ってしまうと、矢野くんはようやく少しほっとしたように息を吐いた。
まるで入院患者のような扱いをされているけれど、もうだいぶ落ち着いているし、第一、自分も望んでしたことだ。
カーテンの隙間から見える外は真っ暗で、時計を見ると、12時をまわろうとしている。
激しい行為のせいで全身の疲労感がすごいけれど、明日は日曜日。お互い仕事は休みだから少し寝坊出来そうだ。
コップをベッド脇のチェストに置いてから腕を大きく広げ、矢野くんに向き直ると、何かを察したのか、その腕が伸びてきてぎゅっと抱き締められる。
首筋に顔を埋めると、同じバスソープの香りがした。
「…直人くん」
「…はい」
私がいつもと違う呼び方で呼ぶと、顔は見えないけれど嬉しそうにしている気配を感じる。
ゆっくり体を離して、確認するように尋ねた。
「…今日はぴったりくっついて寝てもいい?」
「もちろんです」
矢野くん…もとい直人くんが、私の隣に横になって、ブランケットをきちんとかけ直してから頭を撫でてくる。ゆるゆると抱き締められて、全身の力が抜けた。
「…もう離さないです」
「うん…離さないで、ね…」
どうにか返事を返すけれど、既に強力な睡魔によって意識が飛んでしまいそうになっている。
あたたかい体温に包まれて、満たされたような気持ちになる。私はあっという間に眠りに落ちていった。
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