嘆きの姫君-殺人教団と破壊神の侍女-

悪魔ベリアル

文字の大きさ
16 / 22
【3】 -警護騎士シンハ、殺人教団の首魁ジャイラダと邂逅す。-

■06■

しおりを挟む
「アンタは、アンタの信じる神様から見放された。
 だから、負けたんだよっ。
 アタシャ、バトラマールナを信じているっ。
 バトラマールナ神を愛しているのさっ♪」

シンハの視線に真正面からジャイラダは向き合う。
その眼光には、しっかりとした芯があり、確固たる自信が溢れている。

「アンタが慕う神が誰なのかは知らないが…。
 神に対する愛が足りなかった。
 だから、負けたんだよぉっ。」

諭す様に彼女は告げ、ぐいっと視線を逸らさせない様にシンハの顎を掴んだ。
そうして、顔を近づけ真っすぐな視線をシンハへ向ける。

「バトラマールナ神がアタシに勝利をくれた。
 だから、アタシが正しい…っ!!」

「でも、シンハ…、お前は強いっ♪」

ジャイラダは視線を逸らさず、シンハの顎を掴んだままで立ち上がる。
ツラれてシンハも立ち上がった。

「アタシはお前が気に入ったっ♪
 だから、仲間にしたいっ!!」
「断る…っ!!」

シンハは間髪入れずにジャイラダの勧誘を断った。
領地を持っていないとは言え、シンハも士族クシャトリアの一員である。
下っ端とはいえ貴族階級であり、野卑な山賊に身を落とすなど許されない。

「ふぅーん…、そうかい…っ。
 アタシらが、"ただの盗賊"だと思っているかい?」
「そうでなかったら、何なのだ?」
「うふふっ♪じゃあ、他の山賊と違うトコを見せてやるよっ。
 ついて来なっ!!」

ぐいっと服の裾を引き、ジャイラダはシンハを檻の外へと促した。
だが、シンハは力を込めて踏ん張り、その場に留まる。

「おっとっ!?
 何だいっ?イヤなのかいっ??」
散歩を拒否して、踏ん張る犬の引き綱が張り詰める様に
引っ張る力を止められたジャイラダの身体は、ぐんっと引き戻された。

シンハは両手を後ろに縛られつつも、仁王立ちして彼女を睥睨する。

「別にお前達、狂信者共に付き合う気はないっ!!
 俺の身代金が欲しいのだろ?
 さっさと、仲介業者へ引き渡すがいいっ」

「…面倒くさい男だねぇ、殺すよ…っ?」
ジャイラダは眉をひそめると、片手に握っていた大鉈を握り直す。

「…俺を殺したら、身代金が減るぞ?」
ふんっと鼻息を吐きつつ、シンハは呟く。

「まあ、無事に帰っても…。
 再び、お前たちを全員ぶち殺しに来てやるがな…っ!!」

戦争の賠償金として、はじまった身代金制度。
山賊達にとって、品物以上に価値がある場合が多く。
人質の地位によって、身代金の金額は変化する。
現在、ここに居る中で身分が一番高いのは、警備兵のリーダーであるシンハであった。
当然、ケガで身代金は減額。
死亡の場合、身代金はゼロになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜

小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。 僕の名前は橋本 善。 正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。 理由なんてわかるはずがない。 死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。 僕には固有スキルがあった。 それは、スキル【レベルダウン】。 魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。 だから僕は戦わない。 安心安全のスローライフを目指すんだ!!

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

処理中です...