嘆きの姫君-殺人教団と破壊神の侍女-

悪魔ベリアル

文字の大きさ
17 / 22
【3】 -警護騎士シンハ、殺人教団の首魁ジャイラダと邂逅す。-

■07■

しおりを挟む
「いいねぇ~♪」
にたりとジャイラダは下品な笑みを浮かべた。

「アタシャ、ゾクゾクしちゃうよぉ♪
 じゃあ、次会ったら…。
 すぐにアンタは殺すねっ♪」
会話を楽しむかの様に、軽い口調でそう告げるとジャイラダは笑う。

二人の間には一触即発な雰囲気が立ち込め、ドンドンとその気圧が高まってゆく。
アシュリータを含め周囲は、その雰囲気を緊張した面持ちで見守る。
周囲に居る敵味方全員が、二人の闘いが始まると予見していた。

「アンタが、そうして再戦を挑んでくれれば…。
 コッチとしては、より多くの贄と金が手に入るっ♪」

「よしっ!!」
ジャイラダは、シンハがいたく気に入った様子で声を張り上げた。

「アンタには、アタシらが何をしているか見せてやるよっ」

シンハの殺気をジャイラダは巧みに避け、にこやかに笑うとシンハを再び引っ張った。
不意に緊張を緩められ、シンハの身から殺気と怒気が抜き取られてしまう。

シンハは身分的に低いが貴族階級。
士族クシャトリアである。
今回の身代金は、一族の誰かが支払ってくれるだろう。
だが、問題は無事に帰った後だ。

"山賊ごときに遅れをとった。"

そう周囲から陰口を叩かれる。
主君である、アディティア大公からも無下に扱われるに違いない。

ジャイラダ率いる、ザジー教の総数。
今回の大規模襲撃の理由。
奴等の根城にある設備。

そうした情報だけでも、持ち帰らなければ…。
怒りを肩透かしされた事で、逆にシンハは冷静さを取り戻し、そんな事を漠然と考えた。

"まずは、この勧誘を利用して敵情視察するべきか…。"

そうして、前を歩くジャイラダに引き綱を引っ張られるまま
渋々と主人に従う飼い犬の様に、彼女の後をついて歩き出した。

夜の闇は深々とその帳を降ろしていたが、
見える範囲で、シンハはザジー教徒の根城を観察した。

精巧に積み上げられた石積み。
精緻に塗られた漆喰。
経年劣化と戦で壊れた外壁。
そうした劣化した建物に絡みつく蔦。
所構わずに鬱蒼と茂る雑草。

小さく崩れた廃墟だが、精緻で寸分の隙も無い高い建築技術で建てられた城。

シンハは、ザジー教徒達のアジトが、捨てられた帝国の施設だと気が付いた。
いつぞやの辺境戦争で、打ち捨てられた廃城の様だ。
そんなに大きな施設ではない事を見ると、城というより前哨基地なのか?

施設にある円周状に囲む様な外壁。
その奥にある広場が、狂信者達が騒いでいる宴の会場らしい。
ジャイラダに連れられてシンハは、その宴の会場へと脚を踏み入れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜

小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。 僕の名前は橋本 善。 正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。 理由なんてわかるはずがない。 死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。 僕には固有スキルがあった。 それは、スキル【レベルダウン】。 魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。 だから僕は戦わない。 安心安全のスローライフを目指すんだ!!

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

処理中です...